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INTERVIEW

トップインタビューイライザ・ロイヤル × WAKAKO - パーソナル・イズ・ポリティカル! 私は黙らない

パーソナル・イズ・ポリティカル! 私は黙らない

2019.01.08

「私たち」じゃなく、「私」

——自分が信じてきた常識が崩されるのが怖いんでしょうね。ちょっと話飛ぶけど、WAKAKOちゃんの中学、君が代斉唱の不起立で停職処分を受けた根津公子先生がいらしたそうで。

イライザ:あ、そうなのね。あの出来事は覚えてる。酷い話よ。

WAKAKO:そうなんです。先生が復帰して、校門の前でトラメガ持って抗議してたのが、私が中学二年生の頃。私の家はかなりリベラルな家で、何故、君が代斉唱を拒否したのか、その意味は教えてもらっていて。トラメガ持って校門に立つ先生に、頑張ってくださいって声をかけたかった。でも言えなかったんです。彼氏もいたし部活の友だちや先輩もいた。先生に声をかけたらたぶんみんな離れていっちゃうんだろうなって。おはようございますぐらいは言ったんですけどね。見てますよって感じで。で、それから8年ぐらい経って、私は国会前でガンガンやってて。そこで根津先生と再会して。頑張ってくださいって言いたかったって、やっと言えた。

イライザ:なんか泣きそう。私、すぐ泣いちゃうの(笑)。

WAKAKO:私もです(笑)。当時、根津先生は2ちゃんねるとかでも叩かれてて。10年後に自分もこれだけネットで叩かれるんなら声かけとけばよかった(笑)。再会してからお話をして、そしたら当時、職員室でも誰一人口をきいてくれなかった、無視されてたって。足ひっかけられたこともあったって。

イライザ:うわー。教師同士で!?

WAKAKO:私、そういう人たちが牛耳ってた教育の現場で育っちゃったんだってことが凄いショックで。授業はよくさぼってたんですけどね、さぼってて良かった(笑)。私がSEALDsでやっていた頃に凄く叩かれたのも、はいはい、ずっと世の中はそうなんですねって。

イライザ:空気を乱されることを怖がるのよね。だから叩く。あと女で思想を持つと容姿のことを問われるじゃない? 関係ないのに。それは日本だから? WAKAKOちゃん、ドイツにいてどう? 日本をどう感じた?

WAKAKO:私が知ってる範囲の比較でしかないんだけど、なんか、日本人って人を褒めない。

イライザ:日本って褒める文化がないよね。それで、ディスる=仲がいいみたいな感じもあるじゃない? あと変な謙遜とか。

WAKAKO:家族でもそうですよね。夫婦は勿論、親子も。

イライザ:うちの愚妻がとかうちの愚息がとかね。意味わかんない。あと肩書をつける時に美人弁護士とか美人女医とかつく。なんなの、それ。

WAKAKO:SEALDsやってた頃、メディアのインタビュー受ける時も必ず、何とかの女特集、怒れる女特集とかね。SEALDs女子って特集とか。男にはそれ言わないですよね。

イライザ:SEALDs男子とは言わないよね。バンドもそうね。女性バンドとは言われるけど男性バンドとは言われない。

WAKAKO:それだと個じゃないですよね。女の子っていう記号が先にきてそれで消費されていく。で、私、ドイツに2年弱いて、体重が増えたんですよ。去年の今頃帰ってきて減ったんです。ダイエットもしてないのに。なんでかなって思ったら、プレッシャーで落ちたんだと思って。帰ってきたら周りは細い子ばかりで、自分も知らない間にプレッシャー受けてたんだと思う。

イライザ:日本の若い子、細くなりたがってるわよね。ガリガリよ。

WAKAKO:太るなって彼に言われるとか。

——彼氏の基準が自分の基準になっちゃう。

WAKAKO:あと世間の基準が自分の基準になってる人も多い。

イライザ:世間がプレッシャーを与えるのね。ドイツではそれがなかったのね?

WAKAKO:うん。でも…。私、料理は基本しないんですよ。でもドイツの食べ物が合わなくて。ソーセージは美味しいしビールも美味しいけど他は苦手。やっぱお米食べたいし、そしたら炊かないとないし。イライザさんみたいに必要だから料理しただけで、彼のためにやってたわけじゃない。なんだけど、彼氏が仕事で凄く忙しい時、頼まれてもないのに、私、5時起きでお弁当作っちゃって。彼氏、日本好きだから全部日本のおかずとかで。朝から米炊いて揚げ物も作って。

イライザ:朝から揚げ物はハードル高い(笑)。

WAKAKO:凄い喜んでくれて。でもなんか、送り出してからスゲェショックで。何やってるんだろうって。

イライザ:わかるわかる。普通に美味しいものは食べてほしいのよ。そういう愛情はあるしそこは否定したくないんだけど。

WAKAKO:美味しいもの食べてねって愛情と、社会にあるいい彼女のイメージ、そのバランスが私はまだとれてないんだろうなって。

イライザ:私もよ。自分で作ったご飯もお菓子も自分で食べるのはなんの抵抗もない。でもお弁当問題はあるわね。私もフランス人と付き合ってた頃、彼にお弁当作ってあげて楽しかったけど、ふと思ったことあるもん。自分がやりたくてやってるのか、彼氏のためにやってるのか、そしてそれは社会が作ったいい彼女のイメージに沿ってるんじゃないかって。

WAKAKO:私、彼氏はドイツ人でフェミニズムに関しては私より全然わかってる人で。絶対にお弁当作ってくれなんて言わない。そういう人に、5時起きでお弁当作るのは、それがいい彼女なんだって自分で思ってるわけで、無意識のうちに。見送ってキッチンの洗い物見たら、うーんってなっちゃって。誰に負けたわけでもないんだけど負けた気になって。

イライザ:わかる。だからといって、作らないぞ!ってなるのは違うのよ。このモヤモヤ、人には伝わりにくいし考え過ぎじゃない? って言われると思うけど。

WAKAKO:でも大事だと思う、考えることは。

——やりたくてやってることと社会が求めるいい女性像みたいなものが合致すると、普通はいいことじゃんって思うだろうけど。

WAKAKO:でもそういうモヤモヤっていろんな場面であると思う。例えば、私は週末にヒール履いて遊びに行くんだけど、痛いじゃないですか、高いヒールは。帰りはたいていヒール脱いで裸足で歩いてるんですけど(笑)。ヒールも好きだし好きな服を着てるんだけど、どこか、30%ぐらいは期待されてることをやってる部分があるのかなって、無意識にも。

イライザ:わかる!

——2人はセクシーであることを期待されているとこがあるのかもしれないけど、期待に応えてるんじゃなく、これが私よって胸張ってる感じでカッコイイです。あと、セクシーなファッションは男性が期待するものだからフェミニズムには反するって思ってる人もいるわけで。それに対しても、セクシーはフェミニズムに反してないって。

イライザ:そうそう。反してないのよ。だからそれを、何故ナチュラルにできないのかなって。ナチュラルにさせてくれないものがあるんじゃないかなって。だからWAKAKOちゃんが言うように考えていくことは大事なのよ。

WAKAKO:やっぱそれって、なんだろうな、タブーにしなくていいことをタブーにしちゃってる世の中が…。私、ドイツに行ってからタトゥーを入れたんです。SEALDsでやってた頃はタトゥーはマズイだろうなって思ってたから。でも今は別にいいじゃんって。コレもアートだし表現の一部だし。そんなたいしたことじゃないって思ってる。でも一定の人には受け入れられない。それはタトゥーだけじゃなく、隠さなくていいことも隠さなきゃいけないようになってて。セックスワークは隠してたほうがいいみたいなとこあるし、政治的な思想もそう。おかしいですよね。

イライザ:社会が未熟ってことなんでしょうね。社会が未熟だからオープンにできない。私自身、職業のことはオープンなんだけど、私のお客さんは自分の性癖に気づいた人たちなのよ。それは隠さなきゃいけないことかもしれなくて。でも私のとこに来れば解放できるわけ。今の世の中でそういう場所を見つけたっていうのは凄くいいことだと思うの。

WAKAKO:あぁ、うんうん。

イライザ:私のところに来る人は解放できる場所を見つけた。素晴らしいと思う。だから私は自分の仕事が大好きなの。

——例えばセックスワーカーの女性に上から目線で差別的に振る舞う人は?

イライザ:私が女王だからなんだろうけど、私のお客さんは会社での役職とか男としての役割とか、そういうの取っ払うために来てるのね。そんなもん私のとこでは通用しないしね。ただね、若い頃は舐められたことがあったな。でも粛々と技術を身に着けて、そしたらきちんとした客だけが来るようになった。ふるいにかけてよかったわ。若い頃は舐められることが悔しくてね。バンドでも上から目線でアドバイスしてくるおっさんがいたり。今はおっさんのクソバイスはなくなった。凄く楽しい。ただね、女ってだけで舐められることもあるわけよね。辛いわよね。ナチュラルに生きていたいだけなのに、何故、まず舐められまいってかまさなきゃないのかっていう。

WAKAKO:朝の満員電車に乗る時もなるべく女の人の側にいるようにしたり、夜道でも遠回りしたり。本来しなくていいことをしなきゃいけない現状。あの私、もうすぐ25歳になるんですけど、実はちょっと、これからどうなるんだろうって思ってて。

イライザ:楽しいわよ! でもそれ、ババアのマウンティングってとられるから、考えてから言ったほうがいいよって言われるの(笑)。

WAKAKO:特に男の人から、今が一番いい時だねってスゲェ言われるんだけど、大きなお世話っていう。

イライザ:オマエが20代の頃ピークだっただけだろ。オマエの経験をなんで世間一般ってツラして語るんだっていう。一番いい時なんて自分で決めるわ。

WAKAKO:常に今が一番いい時ですよね。昨日より今日。

イライザ:ホントにそう!

——そうそう! 最後に、WAKAKOちゃんはドイツから帰ってフェミニストたちと「I AM」というグループを作って、「私は黙らない」という街宣を新宿でやった(2018.4.28)。イライザさんと行ったんだけど、「私たちは」じゃなく「私は」なんだよね。

WAKAKO:「私は黙らない」って、私は黙らない、だけどあなたが黙っているのはOKってことで。私たちって言ってしまうと、特に日本の社会では、私が消えちゃう。私はSEALDsのWAKAKOでもなく「I AM」 ってグループのWAKAKOでもなく、ただの個だから。それをわかってくれないと人権もクソもないし。ちゃんと主語を持ってくれよってこと。私っていうのをみんながもっと持ってくれないとダメだよねっていうことです。英語の「I」はホントに個を差すんですよね。日本語の「私」には「I」が持つパワーはなくて。「私」って言葉に「I」ぐらいのパワーを持ってほしくて。だから日本語で「私は黙らない」にしたんです。でもね、黙りたい人もいますよって言われたり。

イライザ:それをわかってるから「私たち」じゃなく、「私」なのにね。

WAKAKO:そうそう。それは「私」が選択することで。

イライザ:それぞれが選択するってことが個なのにね。個として選択があって、「私は黙らない」。

——もう一つ最後に。WAKAKOちゃんはクライシスセンターを作ることが目標で。

WAKAKO:長期的な目標なんですけどね。街宣でも私はレイプされたことを言ったんですけど。その時、ショックでパニックで、ホットラインみたいなとこに電話したんです。そしたら対応が全然ダメで。で、街宣で自分の体験を話したら、ツイッターにメッチャメッセージがきて。自分もこういう経験をしたって。こんなに言えてない人が、言う場所がない人がいたんだ! って。ケアする機関はあるんだろうけど、言えてない人がこんなに多いってことは、まだまだ必要なんだと思う。性教育の知識を得られたり、検査ができたり、コンドームやピルをもらえたり、フェミニズムに理解のある産婦人科やセラピストとかと繋げたり。そういうサポートする場所がないとマズイなと。そういう場所を作りたい。あと、私は実際にレイプという体験をして、そんなことがなくてもクライシスセンターをやろうと思えればよかったのかもしれないけど、実際に体験したからその痛みはわかる。でも在日の人や障碍を持つ人の痛みは実際にはわからない。想像するしかない。その想像力を鍛えたい。だから勉強していきたいんです。

(Rooftop2019年1月号)

イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチ
Erieza Royal and the Summary Lynch

ER-001

1.パンクガールズ
2.今夜はデート
3.おんなの独立記念日
4.だれよりも
5.チェリーボム

LIVE INFOライブ情報

イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチ出演
 【いつかはクラウン117】
 2019.1.12(sat)
 @高円寺ショーボート
 18:00開場
 前売¥2400/当日¥2900
 出演:
 VIBRATE TWO FINGERS
 JOHNNYBOY&FRIENDS
 イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチ
 GIGOLO13
 モンキービジネス(広島)
 
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