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INTERVIEW

トップインタビューイライザ・ロイヤル × WAKAKO - パーソナル・イズ・ポリティカル! 私は黙らない

パーソナル・イズ・ポリティカル! 私は黙らない

2019.01.08

大事なのは自分で決めること

イライザ:ケーキ作ってきたの。おうちで食べて。

WAKAKO:わ、ありがとうございます。

——ありがとうー。イライザさんって料理が上手だよね。でも昔は、女だからって料理するのはおかしいって、料理しなかったそうで。

イライザ:そうなの。料理して彼の帰りを待ってるなんて、自分の考えに反してると思って。絶対に料理なんかしないって言って毎日毎日コロッケ弁当食べてたの(笑)。そしたら私、35の時に癌になって。入院して手術してって凄い大変で。退院してから体質的にしばらくはお粥しか食べられなくて作るしかなくて。それで料理を始めたらハマッちゃって。楽しくなっちゃって。

——それまでは、女だから料理をするっていう常識はおかしいってやらなかったけど、やってみたら好きだってことに気づいた。好きなことはどんどんやろうって。

イライザ:そう。今は料理が好き。好きなことはどんどんやるわ。でも料理ができることを女子力っていうのは違うのね。女子力高いですねって言われるのがホントに鬱陶しい。

WAKAKO:わかります。私もお菓子作るのは好きなんで。それ言うと意外だねって言われたりもするし。

イライザ:言われるー。意外だね、とか関係ないわよね。好きなことをやってるだけなのに。私、美容とか化粧とかも好きだしハイヒール履くのも好き。そういうのを女子力ってされると気持ちが悪い。なんなのよ、女子力って。それを言うなら人間力よ。

——今日はそういう話をどんどんしましょう。まず2人は表現者だと思うので、そこから。イライザさんはバンドマンで、WAKAKOちゃんは…、WAKAKOちゃんって呼んでいいですか?

WAKAKO:もちろんです。

——WAKAKOちゃんは抗議行動でマイクを持ったことも表現だと思うけど、5月に行われたTRP2018(東京レインボープライド2018)で渋谷の街をパレードした時、サウンドカーに乗ってラップをやってましたよね。こんなにできる人なんだ! って実はびっくりしました。何か表現していきたいという気持ちはずっとあった?

WAKAKO:SEALDsの時の国会前とかの抗議行動は、SEALDsのメンバーそれぞれスピーチをしてたんだけど、政治家みたいにライターが作るんじゃなく、自分で原稿書いて自分の言葉でスピーチしてたんです。で、私はずっと書くことが好きで。これからも書いていく人になりたい。書くだけじゃなく、言葉を発する人。私、歌は全然ダメなんですよ。だけど書くことや発することはできる。抗議の場でやってたことも表現のツールの一つだしラップをしたのもそうだし。自分でZINEを作ってるんですけど、それもツールの一つだし。たぶんツールはたくさん持ってたほうがいい。

イライザ:そうだ、ZINE買いたいの。

WAKAKO:あ、持ってくればよかった! そういうとこ全然ちゃんとしてなくて。

イライザ:私も作ってるのよ、ZINE。持ってきたわ。何号か出してて、一番最初の第一号だけど。あげる。

WAKAKO:ありがとうございます。

イライザ:私、お米が大好きで、6月に田植えしに行ったのね。

WAKAKO:へー!

イライザ:そういうことを書いてる新聞。イライザ新聞(笑)。自分の言葉で書いて残すことって私も好きだし、ZINEっていいわよね。

WAKAKO:増えてますしね。私もいろんなツールを使って言葉を発していきたい。

——イライザさんはバンド始めてから20年ぐらい?

イライザ:20年ぐらいやってる。全然上手くならないの、歌もギターも(笑)。

——カッコイイですよ! 「パンクガールズ」を歌う時なんかガッと目を見開いて。

WAKAKO:いくつか動画を拝見したんですけど、パワーが凄い。私が叫ぶのは抗議行動の時だから怒りだけど、それとはまた違うパワーがあって。生きてる! ってエネルギーを感じて。それはなんだろう? って思って。

イライザ:WAKAKOちゃんも言葉ってことを言ったけど、私も生きてる言葉というか、自分に身についている言葉じゃなきゃ歌えないの。歌詞も全部自分の物語しか書けない。だから本当に思ってることだけで。「パンクガールズ」は、ライヴハウスでバンドのメンバーのガールフレンドが物販でかいがいしく売り子をしてるのを見てるとね…。いや、みんなでバンドやシーンを盛り上げようってしてる中で物販スタッフの存在は大事。でももし自分が何かをやっていて自分の時間を売り子をすることに費やすのなら、自分のことをやってって思っちゃう。彼氏をサポートするのも悪いことじゃないけど、自分にやりたいことがあるならやってほしいし、やりたいことを見つけてほしいの。表現してほしいの。そう思って作った曲。

——イライザさんの曲は自分の個人的な物語だとしても、女の子が共感したり鼓舞されたり、あと女性の立ち位置みたいなものに気づかされたり。「女の独立記念日」とか。あの歌詞は最高。

イライザ:“あんたのチンポは好きだったけど 頭の中身はどうかと思うわ”って歌ってて(笑)。

WAKAKO:うははは。

イライザ:その歌は、昔の彼氏のことで。震災後、私が反原発のデモに行っていたら、そいつ、「バンドやってる人は反原発反原発って言ってる人多いし、そっち側にいれば楽でしょ」とか言って。そんな感じの人だったのよ。冷笑的な人。

——女性の方がジャッジされることが多いじゃない? それがあの歌詞はイライザさんがジャッジしてる。だから個人的なことなのに、こう、世の中とコミットしてるんだよね。

イライザ:コミットしてもらえるとうれしい。

——でも以前はもっと社会的な歌詞だったこともあったそうで。

イライザ:10年ぐらい前、私ヴィーガンだったんだけど、動物実験反対で。ブッシュの頃、イラク侵攻反対のデモに行ったり。そういうことを歌詞にしてた時期もあった。戦争反対とかね。今はね、もちろん世界のことも大事だし心を痛めるけど、どんどん自分のことに向かってる。自分のことだから自分の言葉が出るの、自分の言葉が歌詞になるの。伝えたいことはいっぱいあるけど、自分のことを歌いたい。パーソナル・イズ・ポリティカルって、ホントに思うのね。

WAKAKO:私もそう思います。

——今こうして話してるのも社会だと思うし。で、パンクを聴いたのが先?

イライザ:パンクを聴き始めたのは中学生とかでバンドはその後。バンド始めたのは20歳ぐらい。当時、ライヴハウスでバイトしてて、仕事終わってから楽器使えるからジャムろうってバンドっぽいこと始めたんだけど、それは全然形にならなくて。ライヴハウスにお客として通い始めて、バンドやってる人も多かったし、それでなんとなく。バンドやるぞ! って感じじゃなくなんとなくやってたのよ。私、仕事はSMの女王やってるんだけど、プロの女王になってから15年ぐらいなのね。それまでも調教師的なことはやってたんだけど、やっぱり勉強したいと思って縄の師匠さんが教えてくれるクラブの門を叩いて入って。で、今は掛け持ちでカフェで仕事しててケーキを焼いてるの。ファンシーでしょ(笑)。私、自分の仕事、SMの女王も大好きなの。ただ女王になったのも絶対なりたい! 男を調教したい! ってのもなく。やっぱりなんとなくなの。全ては運命のまま(笑)。

——ちょっと女王のことを聞かせてほしいな。やっぱり師匠さんがいて…、

イライザ:そう。職人の世界で。師匠さんについて教えてもらったり、お姉さん方からセッション見せてもらったり。教えてもらうかわりに使った部屋を掃除するみたいな。そういう世界。それが面白かった。楽しかったなぁ。

WAKAKO:私、山田詠美が好きで。メチャメチャ好きで。

イライザ:私が修業してたクラブって、詠美先生が働いてたといわれるクラブがなくなった後、その場所に新たに入ったクラブなのよ。だからちょっとだけ縁があるの(笑)。

WAKAKO:羨ましい(笑)。当時、エイミーの小説は叩かれるぐらいに新しかったですよね。たぶん、セックスに向き合って…、それまでとは違う姿勢でセックスと向き合ってる文学だと思って。コレを文学にできるってスゲェって。

イライザ:うんうん。文章自体の技術も凄いしね。作家に技術が凄いなんて言うのは失礼だけど、ホントに上手。

WAKAKO:読む人にとってはその内容を、消費されてるだけじゃんとか品がないじゃんとか言う人いるけど、わかってないなぁって。

イライザ:そういうふうに見られがち。SMというフィルターを通してるから色眼鏡でね。

WAKAKO:もしSMやセックスだけで売れようってものなら消費されていってたかもしれないけど、エイミーはセックスを書かないと文学ができないってわけじゃない。でも私はエイミーがSMで働いてた時の作品が大好きで。むしろそれに消費されないものを感じて、凄いなって。で、私の周りにもSMではなくてもそういう業界にいる人がいて、その子たちのほうがそういう業界に縁がない人より、だいぶ真面目にフェミニズムを考えてるように思う。考えざるを得ないとこもあるんだろうけど。

イライザ:真面目だし、ケアのことも詳しい。詳しくて当たり前よね、自分を守るためだから。

WAKAKO:検査にいくのも性的なことじゃなくて健康のためですよね。でもそれを言うと、そのイメージだけでとられる。産婦人科に行ってる女って。

イライザ:日本って、日本ってとか言うと主語が大きくてアレだけど、私の仕事にはいろんな国の人が来るのね。うちはセックスは一切ないの。ないんだけど、日本の男性は性に対して変に安心してるというか、ぼんやりしてるとは思う。プライベートでもそれは思う。

WAKAKO:ツイッターかなんかで、彼氏がコンドームつけたがらなくてどうしたらいいでしょう、みたいなのを見たんだけど…、

イライザ:その彼氏をここへ呼べ! 正座正座(笑)。

WAKAKO:ホント呼んでほしい(笑)。私、去年まで2年ぐらいドイツにいて、ドイツに行ってから低用量ピルを飲むようにして。向こうでは14歳ぐらいから当たり前に飲んでる。私が飲んでないって言ったらびっくりされた。妊娠しようとしてるの? って。いろいろ聞いて飲むようにして。それを日本の人に言うと、遊びたいんでしょって。

イライザ:もうー! ピルの話ってヘルスのこと、自分の体のことなのに。

WAKAKO:ホントにそう。あと遊びたいから飲んでたって、別にいいですよね。

イライザ:そうそう! 遊びたいことは責められることじゃない。それぞれの自由。大事なのは自分で決めるっていうこと。

WAKAKO:人によるだろうけど生理痛が減ったり肌荒れもなくなったりするのに、そういうのは知られてなくて。あと医者。飲まないほうがいいって言うとこもあるみたいで。手にすることもできなかったりする。

イライザ:産婦人科って差が激しすぎる。だから産婦人科には行きづらいってなって、必要な時に行けなくなる。

——性ということを世間が隠そうとしてるし。当たり前なことは隠して、隠すべきものを見せて。

イライザ:そう! おかしいのよ、逆転してて。セーフセックスなり検査なり避妊なり、教育としてやるべきことには蓋をされていて、セクシャルな広告とかは街にバンバン出てるわけじゃない? こんなのが法的にOKなの? ってものが視界に入ってくる。日本って、辛くない? 辛いよね。でも私、実家に帰ってそういうこと言ってると、日本から出てけとか言われるの。

WAKAKO:私も言われます。イヤなら出てったほうがいいよって。

イライザ:凄くない? 問題に向き合わない、その態度。

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イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチ
Erieza Royal and the Summary Lynch

ER-001

1.パンクガールズ
2.今夜はデート
3.おんなの独立記念日
4.だれよりも
5.チェリーボム

LIVE INFOライブ情報

イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチ出演
 【いつかはクラウン117】
 2019.1.12(sat)
 @高円寺ショーボート
 18:00開場
 前売¥2400/当日¥2900
 出演:
 VIBRATE TWO FINGERS
 JOHNNYBOY&FRIENDS
 イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチ
 GIGOLO13
 モンキービジネス(広島)
 
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