Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー映画「などわ」 渋川清彦(俳優)×ナリオ(監督)- ライブハウス育ちだからこそできた映画

ライブハウス育ちだからこそできた映画

2018.12.16

 12月8日からシネマート新宿にて公開されるオムニバス映画『プレイルーム』。
その中の1本『などわ』に出演している俳優の渋川清彦、そして監督のナリオの対談が実現。ロカビリーやパンクの洗礼を受け新宿ロフトで育った2人ならではの、映画と音楽にまつわる興味深い話が聞けた。[interview & photo:丸山恵理]

2人の出会い

渋川:ナリオさんと初めて会ったのは映画『ソレダケ』の時でしたね。

ナリオ:キーくん(渋川清彦)が舞台挨拶に来ていた時に、喫煙所で配給の近藤さんに紹介してもらったのが最初。もともと好きな役者さんだったので、僕の作品にもいつか出演してもらいたいな…と思っていたんですよ。だから、やっとキーくんに会えた! って嬉しかったのを憶えてます。

映画『プレイルーム』とは?

ナリオ:現役ストリッパーであり女優としても活躍している若林美保さんの舞台デビュー16周年を記念して、主演のオムニバス映画を作ろうという企画に誘われたのがきっかけ。若林美保という素材を、「5人の監督がそれぞれの手法で料理する」って面白い企画だなと思って参加しました。ただ企画した人たちがなかなか動かなくて時間だけが過ぎていっちゃって…。

渋川:だからナリオさんがプロデューサーに?

ナリオ:そう、結局、僕がまとめ役に。そこから新たに監督を集めなおしたというね。

映画『などわ』

ナリオ:僕がずっとMVを撮っているイギリス人という実在のバンドがいて、メンバーと呑んでいた時に、イギリス人の楽曲『などわ』の話になって、僕が、「この曲すごく好きなんだよね。情景が浮かぶとてもいい歌詞。いつかMV撮ろうよ」なんて話しをしてたんですよ。そしたら、「せっかくだからMVじゃなくて映画化しません?」みたいに盛り上がって。で、具体的に進めようってことになった時に、この『プレイルーム』の企画の話がきたんで、じゃあコレでやっちゃおうというところから始まりました。

渋川さん起用の経緯

ナリオ:今回の作品はバンドマンの役なので、演奏ができる役者さんというのが大前提。そうすると必然的に、最も出てもらいたい役者さんといったら渋川清彦しかいないでしょう。あとはプロデューサーの川端さんの強い意向もあって、キーくんに出演していただきたいという意見が満場一致だったので、オファーさせていただきました。 

渋川:『ソレダケ』のときはもうこの話はあったんでしたっけ?

ナリオ:いや、たぶんギリギリまだ。だからオファーを決めた時、キーくんを紹介してくれた近藤さんに間に入ってもらおうと思ったの。そしたら、「いやぁ、俺よりもRooftop編集部の椎名さんの方が早いでしょ」と断られた。だから今度は椎名さんにお願いしたら、「近藤さんからお願いしてもらった方がいいでしょ」って。

渋川:たらい回しにされたんだ!(笑)

ナリオ:そうそう! だからもう結局、自分で動くしかないと思って、当時キーくんが出演していた『怪獣の教え』の舞台をボバさん(俳優:田中要次)と一緒に観に行ったんですよ、六本木に。そのとき共演していた中村達也さんは以前、僕の映画に出演してもらっていたので、終演後に楽屋に挨拶に行って。で、その時にキーくんをつかまえて、もう絶対に直談判しようと思っていたから、「以前、ご挨拶させていただいた監督のナリオです。次回作にどうしても出てもらいたいんです。これが台本です。渋川さんのために書きました!」ってオファーをしたんです。そうしたらなんと「いいよ」って! その場で即答! とても嬉しかったですね。

渋川:その時DVDもいただきましたよね。なんとなく匂いでと言うか、監督自らやって来てくださった熱と言うか。自分からどうしてもやりたいという熱意、そこなんじゃないかなぁ。若い子でも直接、自分で脚本を持ってきてくれるのは、できるだけ出演するようにしたいと思ってるんです。

撮影中、印象的だったシーン

ナリオ:お部屋のシーンはいろいろこだわりましたね。いろんなオマージュがある。それこそキーくんとの出会いのきっかけになった『ソレダケ』のポスターをさりげなく置いてみたり、キーくんの出演していた『下衆の愛』のチラシを貼ったり。あとは、僕の好きな小説、『星の王子さま』のテーマである「大切なことは目に見えない」というのが、『などわ』でも共通したテーマになっているので、星の王子様グッズをいろいろな所に散りばめたりしています。『などわ』のプロットを書き終わったとき、あっ、『星の王子さま』と一緒だなって…こじつけですけど(笑)。あと、僕の大好きな角川映画『Wの悲劇』のワンシーンも取り入れています。この狭い部屋のセットの中にクレーンを入れて、全く同じカメラワークにしているので要チェックですよ。

渋川:俺はチャリンコのシーンかなあ。すごくゆっくり走って。

ナリオ:撮影途中で雨が降ってきたんですよね。だから自転車シーンは、急遽、屋根のある商店街に変更になった。

渋川:バシャバシャ降ってましたもんね。

ナリオ:本当はカメラマンは自転車と並走して車から撮影するはずだったのに、人通りが多すぎて車は無理だと。で、結局カメラマンが走って撮影することになったの。できるだけゆっくり、かつ普通に漕いでるように見せて下さいという無茶な注文をつけるっていう。想定外のことばかりだね。そのしわ寄せが役者さんにいってしまった。本当申し訳なかったです…他にも困ったことあったでしょ?

渋川:いや、特になかったですよ。急遽の変更は撮影にはつきものですし。予算がない作品は特にそう。撮影も本当に2日しかなかったですもんね。予算のない現場はよくあるんで、困ったことは本当に特になかったなぁ。逆に帰りの奥多摩で最後に蕎麦を食ったのがよかったな。そのあとすぐに髪の毛染めに行ったよね。

役と自身での共通点

渋川:共通するところはかなりあるんじゃないかな。若い頃はこんな感じで音楽でメシを食うことを目指してたからね。

ナリオ:もともと、役者よりもバンドでやっていこうと思ってたの?

渋川:そうですね、バンドでやろうと思って専門学校にも行ってた。1年ぐらいで辞めちゃったけど。ロカビリー、サイコビリーバンドでこんな感じの時期がありましたね、うん。

ナリオ:今回のイギリス人というバンドはどうだった?

渋川:90年代の匂いがするバンドですよね。自分が二十歳ぐらいの時にまわりにいたバンドのイメージ。だから、親しみやすいというか親近感があった。

ナリオ:バンドブームの時代だね。僕はその頃から西新宿のロフトには遊びに行ってたり自分でイヴェント組んだりしてましたよ。キーくん、ロフト出演は?

渋川:ありますよ。西新宿の時もあるし、今のロフトでもBARステージで。こっちのステージの方が好きなんですよね。なんか好き。

自身にとっての音楽

渋川:音楽をやりたくて上京した。音楽で飯を食いたかったけど、今は全く違うことになってて。でもすごく近いところにいる。商売にしなくて…いや、商売にできなくてよかったのかなと思ったり。でもライブに行くと、人が一番熱狂するのは音楽だし、その瞬間のライブを感じると羨ましく思ったりもする。やっぱりライブはいいね。

ナリオ:僕はDJ、役者、監督と紆余曲折ですけど、人生の節目でいつもあったのはパンクロックだったんですよ。いつも自分の背中を後押ししてくれてるし、自分を変えてくれた。だから正直、映画で人生を変えられるってことは少ないけど、音楽で変えられたことは今まで何度もある。だから音楽は自分の中でとても大事な、なくてはならないもの。パンクロックのおかげで今がある。

映画のみどころ

ナリオ:僕もキーくんもライブハウスで育っているから、お互い売れないバンドマンが身近にたくさんいる。だからこそ描けるリアリティってありますね。本当を知ってるからこそできた映画。

渋川:とにかく若林美保さんに尽きますよ。若林さんをいろんな監督が調理してますからね。若林さんは度胸のある人。肝が座ってるしエネルギーがある。すごいですよ!

ナリオ:ちょうど2年前の12月14日が『などわ』のクランクアップで、実は僕の誕生日だったんですよ。そして今回、劇場公開も12月14日(※8日~公開)。

渋川:そうでしたね! ちょうどクランクアップの日と同じなんだ!

ナリオ:監督としては誕生日を現場で迎えて、誕生日に作品が公開されてと有難い偶然ばかり。名古屋も公開が決まって、大阪も決まりそうだし、この勢いで順次、拡大していければいいですね。

 

渋川清彦

1974年7月2日生まれ、群馬県渋川市出身。1998年の『ポルノスター』(豊田利晃監督)で映画デビュー。豊田監督作品には『UNCHAIN-アンチェイン-』以外の作品、全てに出演している。『そして泥船はゆく』(13/渡辺絋文監督)で映画単独初主演。主な映画出演作は、『お盆の弟』(15/大崎章監督)、『モーターズ』(15/渡辺大知監督)、『下衆の愛』(16/内田英治監督)、『追憶』(17/降旗康男監督)、『榎田貿易堂』(18/飯塚健監督)『ルームロンダリング』(18/片桐健滋監督)、『菊とギロチン』(18/瀬々敬久監督)、『高崎グラフィティ。』(18/川島直人監督)、『泣き虫しょったんの奇跡』(18/豊田利晃監督)『止められるか、俺たちを』(18/白石和彌監督)などがある。2019年1月に初主演ドラマ『柴公園』が放送。2月には『半世界』(阪本順治監督)の公開を控える。

このアーティストの関連記事

LIVE INFOライブ情報

現役ストリッパーと5人の映画監督による異端のオムニバス映画がいよいよ劇場公開!

【プレイルーム】

東京:シネマート新宿

12月8日(土)〜21日(金)

名古屋:シネマテーク

1月12日(土)〜18日(金)

 

今回の取材でも使わせて頂いた、ナリオ監督プロデュースのバーが新宿にオープン!

【BarOiRAN】

東京都新宿区新宿2-11-10

TEL:03-3354-7247 

営業時間:火〜木19:00〜25:00

金〜土19:00〜28:00

 
eastern youth
haku
lpo
lpo