Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー能町みね子×花田菜々子(HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE 店長)「世界初のメン募漫画『中野の森BAND』をめぐる行き当たりばったりトーク」

世界初のメン募漫画『中野の森BAND』をめぐる行き当たりばったりトーク

2018.11.30

すぐに古くなるものを取り上げるのがテーマ

能町:ちなみにこの連載はまだ『ルーフトップ』というロフトのフリーペーパーで続いていて、『新中野の森アーティストプロジェクト』というタイトルで、もう25回くらい描いているんです。

花田:一度終わったと見せかけて、第2部が始まっているわけですね。

能町:80回描いても話が終わらなくて、よくある打ち切り漫画みたいになっちゃったんですよ。それで主人公はテテ子のままで、舞台をバンドからラジオに変えた話を描いてます。最初のコマでは相変わらずその時期の旬の人を描いているんですけど、最近は誰を描いたかな。…そうだ、りゅうちぇるのタトゥーを描きました。りゅうちぇるがタトゥーを入れたことで世間から批判を浴びて、「タトゥーに対して偏見のある社会を変えていきたい」みたいなことを話していたじゃないですか。そこまで言うくらいの格好いいタトゥーなのかなと思って写真を見たら、残念なくらいに格好良くなかったんですよ(笑)。ハートに帯がかかっていて、そこにぺこの本名の「TETSUKO」ってローマ字が入っている何の変哲もないタトゥーで。これはもっと彫ったほうがいいはず! と勝手に思って、背中に「美幸」って文字を入れた絵を描いたんです。

花田:「美幸」というのは?

能町:鈴木おさむさんの奥さんの大島美幸さんですね。鈴木おさむさんは背中に「美幸」って彫ってあるんですよ。

花田:りゅうちぇると鈴木おさむの合わせ技なんですね(笑)。

能町:その絵に『クレイジージャーニー』みたいなロゴを入れて、やりたい放題ですね(笑)。そんな感じで内容は相変わらずです。

花田:ここまで来たら30年くらい続けて、テテ子の歩みとともに日本の歴史を振り返るみたいな作品にしていただきたいですね。

能町:いいですね。ただ仮に30年続けても、本としてはせいぜい4巻くらいでしょうけど(笑)。

花田:通しで読むと時間軸がおかしく感じるんですよね。ブームの過ぎた森ガールを扱った本や雑誌がいつまで出てたんだろうと思ったら、28話のセルフライナーノーツを読んで『森ガールLesson』というムックが2012年3月に出ていたのを知りまして。森ガールのピークはもっと昔だと思ったのに、意外と6年前だったんだなって。

能町:連載を始めた時点で森ガールは絶対に古くなると思っていたんですよ。すぐに古くなるものをなるべく取り上げるのが一貫したテーマなので、さっき話に出たイタい議員とか、SEKAI NO OWARIが共同生活をしている話とかを盛り込んであるんです。64話に出てくるテテ子たちが共同生活をしている家は、実際のセカオワハウスをネット検索して似たような家を描いたりして、けっこうムダな努力をしてるんです(笑)。そういうこともだいたいセルフライナーノーツや注釈に書いてあるんですよ。解説欄がとにかく多いので何でも書いてやれと思って、書けることはすべて書きましたから。…まぁしかし、よくこれが本になったと我ながら思いますね。

花田:ロフトブックスさんの心意気たるや、素晴らしいですね。ところで、最近の能町さんは文筆業がメインですが、漫画作品を描かれるご予定はあるんですか?

能町:依頼もないですし、特に予定はないですね。漫画って描くのが大変だし、漫画家ってすごいなと思います。『中野の森BAND』はまだ描くのがラクなほうですけど、描く時はそれなりに労力を使いますからね。

花田:ネーム的なことが大変なんですか。

能町:私は根っからの面倒くさがり屋なので、ネームを描いて、下描きを描いて、本チャンを描くって3回も作業をしたくないんですよ。『中野の森BAND』の場合は編集さんがネームをチェックすることは一切ないし、いきなり本チャンの原稿を提出して終わりですから。本当にありがたいです。

花田:では、能町さんの描く漫画はしばらく『新中野の森アーティストプロジェクト』でしか読めないわけですね。

能町:何だか『週刊少年ジャンプ』っぽいですね。「能町先生の作品が読めるのは『ルーフトップ』だけ!」みたいな(笑)。

花田:「能町先生に応援のお便りを!」とか(笑)。

能町:お便りほしいですね。『中野の森BAND』の連載中にお便りをもらったことは一度もありませんけど。「なんであのキャラをもっと出してくれないんですか?」とか、まったくないです(笑)。

花田:稲毛田のファンから「AV男優にするなんて酷い! 私の稲毛田君を汚さないで!」と怒りのお便りが届いたりして(笑)。

能町:本にも書いたんですけど、稲毛田という名字は弟の同級生から取ったんですよ。サッカーをやってる子で、全然いじめられるタイプじゃなかったんだけど、5話にもあるように実際に「チンゲダ」と呼ばれていたんです。それが忘れられなくて稲毛田と名づけたんですよね。全国の稲毛田さんには申し訳ないんですけど(笑)。

 

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