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INTERVIEW

トップインタビュー能町みね子×花田菜々子(HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE 店長)「世界初のメン募漫画『中野の森BAND』をめぐる行き当たりばったりトーク」

世界初のメン募漫画『中野の森BAND』をめぐる行き当たりばったりトーク

2018.11.30

 本誌2009年12月号から2016年8月号まで約7年半にわたり連載されていた能町みね子の漫画『中野の森BAND』がロフトブックスより単行本化され、さる10月28日にHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEで刊行記念トークライブが開催された。同店の店長であり、自著『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』が9刷重版のロングセラーを記録している花田菜々子をMCに迎え、この世界初のメン募漫画をめぐるトークを繰り広げることになったものの、話の筋があるようでまったくない、能町がただ描きたいものを描く小ネタ集とも言うべき本書について改めて語ることがあるのか? と思ったが......果たして結末や如何に!?(構成:椎名宗之)

とにかくしょうもない漫画を描きたかった

能町:ごぶさたしております。

花田:こちらこそごぶさたしてます。能町さんとお会いするのはすごい久しぶりで、初めてお会いしたのは9年前くらいですかね?

能町:私の『呻け!モテない系』の刊行記念イベントでしたよね(2009年3月20日にロフトプラスワンで開催された『モテない系30周年記念祭』)。

花田:私が読者代表という形で出させていただいて、その時はたしかモテ本をディスりまくるみたいなことをして。「ほっぺにかわいくチューしてみよう」なんて、するわけないだろ! みたいな(笑)。

能町:ああ、当時はそんな本がけっこう出てましたね。

花田:9年も経つとその手の本もなくなってきましたよね。

能町:たしかに。私がその方面の本に疎いだけなのかもしれませんけど。

花田:まったくなくなったわけじゃないんでしょうけど、ネットで「男子に嫌われる発言ランキングBEST5」みたいなのはよくありますよね。

能町:みんなそういう情報にお金を払わなくなったんですかね。花田さんの本は今年出たんでしたっけ?

花田:はい。4月に出会い系の本を出させていただきまして。

能町:だいぶ誤解を招く言い方ですけど(笑)。

花田:『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』という本なんですけど、能町さんには帯コメントを書いていただきまして、その節は本当にどうもありがとうございました。

能町:いえいえ。とても売れているみたいで良かったです。花田さんは今日のイベントのために森ガールを意識した服を着てくださったんですよね。

花田:森ガールっぽい服はどれかな? と選んでみました(笑)。でも細部までは至らず、本当はベレー帽とかを被れば良かったんでしょうけど。

能町:さすがにベレー帽は被りづらいですよね。私は普段あまり着ないバンドTを着てきました。この漫画にも特に出てこないバンドなんですけど(笑)。

花田:このたびは能町さんの新刊『中野の森BAND』が出たということで、こうしたイベントに出演していただいて本当にありがとうございます。

能町:こちらこそです。花田さんの本とは全然内容が違うので、トークがまったく重ならないと思いますけど…。

花田:でも、メン募もひとつの出会いじゃないですか。

能町:強引に結びつけましたね(笑)。

花田:テテ子が出会いを求める物語ですよね。

能町:ある意味そうですね。70人くらいの人たちと出会っているので。

花田:ある種のサクセスストーリーと言いますか。

能町:サクセスはしてないかもしれませんけど、話の筋はあってないようなものと言うか。

花田:話の筋よりもわちゃわちゃ感を楽しむのが良いと?

能町:そうですね。連載中にこの物語を追っていた人が世の中に1人でもいたんだろうか? という疑問がありますけど(笑)。何しろ月1ページの漫画連載で、そういうペースの連載は稀ですよね。

花田:『日ペンの美子ちゃん』みたいな感じですね。

能町:ああ、近いかもしれない。月1の連載を80回分収録したので、本になるまで7年半くらいかかったんですよ。

花田:そこまで長く続けるのも大変だったんじゃないですか?

能町:でも、ストーリー展開は毎月その場で考えてますからね。1日、2日は多少迷ったりはしますけど、次の展開をどうしよう? とか悩むことはまずないです。

花田:ときどき話が進む時に初めて気づくんですよね。ちゃんと話が進むものなんだ? って。ああ、まだちゃんとバンドやるのを目指してたんだ? とか(笑)。

能町:そういうのはだいたい私自身が気づいた時なんですよね。話が進んでないなと思って、ここは1年後にしてみようとか。

花田:進めてまた戻すみたいなところがありますよね。メン募に立ち返ると言うか。

能町:そうですね。メン募という軸だけは一応崩してないので。

花田:そこがブレてはならない作品の軸なんですね。

能町:そんな大げさなことでもないんですけど。『中野の森BAND』でトークライブをやると聞いてすごくありがたいとは思ったんですが、ちょっと困ったなと思って。話の筋は特にないし、この本に対して熱い思いがありましたとかは一切ないので。今まで出した本の中でいちばん熱いメッセージがないんです(笑)。

花田:それはどのページを探してもないですね(笑)。

能町:でも、そういうしょうもない本が昔から好きだったんですよ。しょうもない漫画を描きたかったのはたしかなんです。

 

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