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INTERVIEW

トップインタビューCURSIVE - USインディ・ロックの至宝が6年ぶりとなる新作『ヴィトリオーラ』で見せつけた現代社会への怒りと力強い生命力

USインディ・ロックの至宝が6年ぶりとなる新作『ヴィトリオーラ』で見せつけた現代社会への怒りと力強い生命力

2018.10.15

太陽に噛りつき出血させているライオンのアートワークが意味するもの

──今現在、あなたは自分自身が悲観主義者だと思いますか。それとも楽観論者だと思いますか。

ティム:僕自身は楽観主義者だと思うけれど、シニカルでもあるね。シニシズムが歌詞に悲観的な要素を持ち込むわけだけれど、お互いに希望の手を差し出そうと試みてはいるよ。

──そうして完成したアルバムに、『ヴィトリオーラ』というタイトルをつけたのは、どういう理由からですか。「こきおろし / 痛烈な皮肉」という言葉を女性形っぽくしたことの意図を教えてください。

ティム:もともとは、レコードプレーヤーのブランド=ヴィクトローラをもじったものなんだ。《ヴィトリオル》と《ヴィクトローラ》を組み合わせて、痛烈な皮肉に満ちたレコードだと連想させようとしてね。でも、ヴィトリオーラという言葉をもっと調べてみたら、イタリアではある種の毒という意味で使われていて、このアルバムのタイトルにぴったりだと思えたんだ。

──アルバム・ジャケットの、太陽に噛りついて出血させているライオンのイラストレーションを使ったアートワークは、どのようにして決まったのでしょう?

ティム:これは古い錬金術の世界におけるひとつのシンボルなんだ。アメリカでもあまり知る人はいないんだけどね。ヴィトリオーラという言葉を調べているうちに見つけた絵で、緑のライオンが太陽を食べるという絵柄は《ヴィトリオル》、つまり硫酸鉄を表している。さっき言ったように、イタリア語でヴィトリオーラが毒という意味なのと語源は同じなんだ。

──このあと年内は本国でのツアーが予定されていますが、ツアーにクリントは参加せず、レディフィンガーのパット・オークスが代わりを務めるようです。このあたりの事情も教えてくれますか。今後、スタジオではクリントがパーマネントなメンバーだけれど、ライヴではその都度サポートを頼むような形での活動になるのでしょうか。

ティム:この先どんなことになるかは、アルバムを作ったばかりだから、まだなんとも言えないな。正直、自分たちでもよくわからないんだよ! 新作のあとすぐに次のアルバムについて考えることはほとんどなくて、とにかく今のアルバムに集中したいからね。時期が来たと思ったらもう1枚作るかどうか決めることになるだろうし、またクリントが参加してくれればいいなとは、もちろん思ってるよ。

──前任ドラマーのカリィ・シミングトンは現在、元アット・ザ・ドライヴ・インのジム・ワードが現在やっているスパルタというバンドに参加してますが、もし時間が合えば、彼もまだカーシヴのライヴに復帰する可能性はありますかね? 最近、友人がカリィ本人に会って、彼自身はカーシヴでまた叩きたいと話していたそうですよ。

ティム:カリィはいいヤツだし、ドアはいつでも開いているよ。とにかく今はスパルタがうまくいくといいなと思ってる。少し前に彼らのライヴを観て、カリィと一緒に作っている新しい音楽には本当に興奮させられた。

──では最後に、サドルクリークを離れ、15パッセンジャーで独立しようと考えた経緯と、実際に運営してみて現在までどんな調子か教えてください。15パッセンジャーズとしての今後の計画に関しても、たとえば、どういうアーティストの作品をリリースしたいとかイメージを持っていたりしますか。

ティム:僕たちは、ただ自分たちの作品を所有すること、自分たち自身の力で音楽を発表することを望んだだけなんだ。マットは、サドルクリークやチームラヴで長年レーベルの運営経験があって、その手腕はなかなかのものさ。まぁ、でも大変な仕事だよね! 将来的には、僕たちに刺激を与えてくれるようなアーティストを発表し続けたい。ただ、ゆっくりやるよ。1年に数枚のアルバムしか出さないつもりなんだ、一枚一枚に集中する時間が必要だからね。

(web Rooftop2018年10月号)

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Vitriola
ヴィトリオーラ

2018年10月17日(水)発売
価格:2,130円+税
DISK UNION 15P004C-0
直輸入盤・帯 / 解説 / 歌詞対訳ライナー付・国内仕様CD
プロデュース:Mike Mogis(マイク・モギス)
解説:鈴木喜之 対訳:平山秀朋

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【収録曲】
01. Free to Be or Not to Be You and Me
02. Pick Up the Pieces
03. It's Gonna Hurt
04. Under the Rainbow
05. Remorse
06. Ouroboros
07. Everending
08. Ghost Writer
09. Life Savings
10. Noble Soldier/Dystopian Lament

LIVE INFOライブ情報

suzuki_emo-night.jpgCURSIVE『ヴィトリオーラ』リリース記念「やむにやまれずエモ祭」
【出演】鈴木喜之(音楽ライター)
【ゲスト】二宮友和(ex.イースタンユース/パニックスマイル/uIIIn)


2018年11月17日(土)阿佐ヶ谷ロフトA
OPEN 12:00 / START 13:00
前売¥1,200 / 当日¥1,500(いずれも飲食代別・要1オーダー¥500以上)
前売は10月17日(水)12:00よりe+にて発売

先ごろ6年ぶりに強烈なニュー・アルバムをリリースしたカーシヴ、去年やはり17年ぶりの新作を出し完全復活を遂げたアット・ザ・ドライヴ・イン、一昨年に発表した最新作が充実の内容だったジミー・イート・ワールド、この3大バンドを中心に、満を持してエモコアで盛り上がるイベントを開催します!
これまでに何度も上記3組にインタビューしてきた音楽ライターの鈴木喜之氏が最新情報をまじえて、それぞれの現在位置を徹底解説。
また今回、強力な助っ人として、全バンドと対バン経験のあるトンカツこと二宮友和氏(ex.イースタンユース/パニックスマイル/uIIIn)をゲストに迎え、貴重な現場エピソードも開陳してもらう予定です。
さらに、リクエストいただいた楽曲をかけるDJタイムも実施。
サニー・デイ・リアル・エステイト、J.ロビンズ関連(バーニング・エアラインズほか)、ジェッツ・トゥ・ブラジル、ゲット・アップ・キッズ、キンセラ兄弟人脈などなどいろいろ爆音で鳴らして、思いっきりエモーショナルな土曜の昼下がりにしたいと思います。ぜひご来場ください!

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