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INTERVIEW

トップインタビュー【Brain Police Road to 50th Anniversary PANTA(頭脳警察)暴走対談LOFT編】白井良明(ムーンライダーズ)&大久保ノブオ(ポカスカジャン)- 音楽と笑いの融合を目指す"青空ボーイズ"の面々がPANTAのポップな側面に迫る!

音楽と笑いの融合を目指す“青空ボーイズ”の面々がPANTAのポップな側面に迫る!

2018.10.11

数値化できない、自分の感性を重視した曲作り

 
PANTA:頭脳警察に「だからオレは笑ってる」という未発表曲があるんだけど、本当は「暗闇の人生」と同じように4ビートでやりたかったんだよ。良明とライブをやることになって「だからオレは笑ってる」をやろうと思って、「4ビートいける?」と訊いたら難なくやれるわけ。聞けばロックをやる前はジャズをやってたって言うから驚いてさ。
 
白井:僕の中ではジャズもロックもフォークも全部一緒で、特に区別もしてないし、それらが混ざったような演奏しかできないんだよ。でもエンケンだってフォークだったけど、当時からすごくロックっぽかったしね。
 
PANTA:カントリーも通ってるんでしょ?
 
白井:通ってる。高田渡にだいぶ鍛えられたから(笑)。
 
──GO-BANG'Sの「あいにきてI・NEED・YOU!」が最たる例だと思うのですが、良明さんがプロデュースを手がけると、もともとポップな楽曲がそれまで以上にポップになりますよね。そのポップ・ミュージック請負人みたいな部分がPANTAさんの波長と合うのかなと思うんです。
 
白井:僕は下町育ちなので、賑やかじゃないとイヤなんだよ。祭りの精神がいつも頭にあるんだね。人が寂しがってるのを見るのがイヤだし、みんなが喜んでるほうがいい。
 
PANTA:今年の2月に良明が浅草公会堂でやったライブ(『白井良明 40th&45th記念 “良明Wアニヴァーサリー〆升” 〜隅田川・打ち出でて見れば半世紀-5〜』)でも、いきなり木遣り歌で入ってきたもんね。
 
白井:あれはああいう場所柄ね。自分の地元ということで、法被を着て、浅草木遣りの親方衆と登場してみた。
 
大久保:カーネーションが野音で結成35周年記念ライブをやった時も、他のゲストの方は普通に唄うだけだったのに、良明さんだけは「御手を拝借!」と手締めをしてましたもんね。あれがすごく良かったんですよ。
 
白井:三三七拍子ね。ああいうのが自然と出ちゃうんだよ。
 
PANTA:俺は所沢出身だけど、お婆ちゃんがそのむかし向島で働いていて、関東大震災をきっかけに所沢へ帰ってきたという話を聞いたことがあるんだよ。だけど下町の気質というものが俺はまだよくわかってない。向島出身の良明とは楽しく付き合えているけどね。
 
白井:のんちんはワハハ本舗の座長として、先輩と後輩のあいだをちゃんとつないでるじゃない? トラブルを収めたり、その場に適応するスポンジ力みたいなものがあるよね。
 
大久保:僕は長野県民に多い、バランスを取るタイプなんですよ。それが全然苦じゃないし、「俺が俺が」ではないバランサーなんですね。同じ長野出身の峰竜太さんともよくそんな話になるんです。
 
白井:それはリーダーとして大切な要素の一つだと思うよ。スポンジ力がないと物事を掌握できないからね。
 
PANTA:それでいくと、埼玉に突出した県民性はないのかもしれないな。所沢はベッドタウンだし、働くのは都内が多いしね。ただ、ベッドタウンだから団地が多いわけ。『万引き家族』の是枝(裕和)監督も清瀬の団地にずっと住んでいて、彼の映画は団地ネタと言うか長屋ネタが多いんだよ。つまり落語の世界なんだ。長屋に住む人たちは実に多彩で、ご隠居がいて、面倒見のいい徳さんや源さんがいて、うっかりものの喜六やしっかりものの清八がいる。そういうご近所同士の交流が笑いを生む。是枝監督の映画はまさにその世界だね。法が介入できない世界を情で絡め取って、それが法によってバラバラにされていくというパターンが是枝監督の映画にはあって、落語の長屋ネタが根底にあるんだよ。それがカンヌに通じたんだからすごいね。
 
──ところで、杏里さんの「白いヨット」や桑江知子さんの「カヌーボーイ」然り、堀ちえみさんの「幼な馴染み」然り、PANTAさんの提供楽曲はご自身の楽曲以上にポップであることが多いですよね。
 
白井:とてもわかりやすいメロディなんだよね。石川セリの「ムーンライト・サーファー」もすごく覚えやすいし、ああいう曲を書けるのはすごい才能だと思う。要するにパンちゃんはプロっぽい曲を作るのではなく、自分の感じたことや思ったことを飾らずそのまま曲にする人なんだよ。それはずっと一貫してるよね。
 
PANTA:そうだね。このあいだ芸人の永野くんと話したんだけど、彼が言うには今やお笑いも形式化してきて、一定のセオリーにのっとらないとウケないらしい。それと同じように、音楽のほうもアレンジャーやプロデューサーがどんどん形式化して作業を進める時代になったね。こういうアレンジにすればヒットするとか、ヒット曲を生み出す仕組みが決まりきってしまって、音楽が数値化されつつある。俺は昔からそういう曲作りをしたくなかったし、自分の感性を最も重視してきたんだよ。
 
白井:それが何より大事だし、還暦を過ぎたら特にそんな感じでいいんだと思うよ。
 
PANTA:たとえばミーナの「砂に消えた涙」はサビの部分が間奏になってるよね。それでメロディで終わるというだいぶ変わったアレンジなのに、名曲中の名曲として聴き継がれている。それは数値化されていない曲だからだと俺は思う。ある曲がヒットして、業界の中でそれに倣うように「この曲はサビ出しね」とか「演奏はツーハーフね」みたいな感じで形式化すると、そうじゃねぇだろ! と思うよね。

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LIVE INFOライブ情報

Road to 50th Anniversary
ZK Monthly Talk Session『暴走対談LOFT編 vol.3』
少女論 〜少女の美とエロス アリスマトニカからフランスギャル〜
【出演】PANTA(頭脳警察)
【ゲスト】伴田良輔(美術家、作家、写真家、愛猫家)
【司会】椎名宗之(Rooftop編集長)
【日程】2018年10月14日(日)
【時間】OPEN 12:30 / START 13:00
【料金】前売2,000円 / 当日2,500円(ともに税込・要1オーダー500円以上)
*チケットはイープラスにて発売中
【会場&問い合わせ】渋谷 LOFT HEAVEN 03- 6427-4651
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