Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューおとぎ話 - 時代の変化を常に面白がることを忘れず、より等身大に音楽をやるということを楽しむ。おとぎ話、10年ぶりのRooftopインタビュー。

時代の変化を常に面白がることを忘れず、より等身大に音楽をやるということを楽しむ。おとぎ話、10年ぶりのRooftopインタビュー。

2018.10.04

 6月に9作目となるアルバム『眺め』をリリースし、これまでとはまた違ったバンドの一面を見せて我々リスナーを驚かせたおとぎ話。
 その『眺め』を引っさげたツアーを無事終え、「守りに入ることなく、常に攻めの姿勢で止まることなく新しい音楽を作りたい」という彼らのさらなる攻めの一撃は、バンド史上初となるSHELTERでのワンマンライブ。現在の音楽シーンや若い世代の音楽もしなやかに受け止め、柔軟に変化し続け、決してかっこつけず不器用な背中を見せてくれる敬愛すべき大人が、ここにいたのだった。[interview:川本 俊・安 佳夏(下北沢SHELTER)]

トンデモ恐怖体験が団結のきっかけに

 
——なんとRooftopは10年ぶりの登場になります。現在のバンドの状態はいかがでしょうか。
 
有馬和樹(Vo./Gt.):うわ〜、そっか。確か前は『理由なき反抗』のときだよね。あの時のレコ発がロフトでワンマンだったんだよな。今のバンドの状態は、たぶん未だかつてないくらい、演奏とかライブをするっていうことに対してのモチベーションは高まってるかな。すごくいい状態。大学の友達4人でやってるから、やっぱり喧嘩してる時期とか、いがみ合いじゃないんだけど殺伐としてる時期とかも多いんだけど、今はちょっと、どう考えてもいい状態かもしれない。というのもきっかけがあって、この間、風間が高速道路で事故って。そのおかげでバンドメンバー4人仲良くなった(笑)。恐怖体験を共有して(笑)。風間は適当な人間だから、自分にはそういうことが起こり得ないと思ってるし、起こってもなんとかなるって思ってるタイプなんだけど、その時はなんとかならなかったのよ。いつもだったら風間が事故ったら「ふざけんなよ!!!」ってメンバーはなると思うんだけど、風間もトラウマになるレベルで。気が動転しちゃってる風間を見て、メンバーみんなで「よし、団結しよう」ってなった(笑)。
 
——まじですか(笑)。最近ですか?
 
有馬そう、最近。8月くらいかな。風間も調子乗ってたんだよなぁ。でもその一件で、惰性みたいなところもあったバンドがもう一度気を引き締めたんだよね。風間のあの時の顔をみんなに見せたい…。バンド界はやっぱりトンデモ事件ありますからね…(笑)。
 

自分のものみたいに聴いてもらえるアルバムを

 
——6月に9作目となるアルバム『眺め』が出ました。聴かせていただいたんですが、聴く人にとても寄り添ったようなアルバムに感じて、正直「こうきたか! 」という印象を受けました。体に染み込んでいくような作品だなと。
 
有馬ロックバンドのロックっぽいやり方みたいなの…例えばノリがいい感じの音楽っていうのもすごく大事だし、ライブだとノリいい曲やったら盛り上がったりするのもよくわかるんだけど、最近そういうのってちょっとわかりやすすぎちゃうなと感じていて、そうじゃなくて、そんなにテンションは上がらないんだけど聴いててしっくりくるようなやつを作りたいっていうのはあったかな。みんなが肩組んでるような音楽ばかり溢れているような感じがして、それはそれでいいんだけど、嫌いじゃないしすごく好きだけど、ライブハウスで全員と一体感を持ちたいって思ったことがある人が全てじゃないし、自分が一人で仕事してる時とか、一人で夜に酒を飲む時とかって、そんなにどっかと繋がってるようには思えないから、そういう人に、自分のものみたいに聴いてもらえるアルバムができたらいいなって思って作ったんだよね。だから聴く人に寄り添ってるって言われて腑に落ちるというか、ありがたいなあと思う。そういう風に聴いてくれてる人がたくさん増えればいいなと思いながら作ったから。かと言って、「これみんな思ってたよね」っていう感じでもなくて、「おとぎ話は痒いところに手がとどくなぁ〜」みたいな風に思ってくれればベストかな。
 
——『眺め』を引っさげてのツアーが先日のQUATTROワンマンを締めくくりに終了しましたが、お客さんのリアクションはいかがでしたか? また、どんなツアーになりましたか?
 
有馬ツアーは今までと全然違って、バンド自体もあまり無理していなかったというか。今、自分たちがどんな演奏をしていてどういう風にしたいかっていうのがわかりやすくあったから、例えばライブハウスで、SHELTERでライブやってるとして、「SHELTERの先にでかいライブハウスが広がってて、そこに向けてどんどんみんなで盛り上がっていこうぜ」っていう感じのライブっていうよりは、その日そこに集まった人たちと、すごくいい現場を作り上げている、みたいな感じのライブができるようになってきていて、それが多分今までと全く違ったかもしれない。より等身大になっているっていう感じもあって、それが最初の話のバンドの状態っていうのにもつながってくるんだけど、カジヒデキさんのバックバンドをやらせてもらったり、レコーディングも参加させてもらって、カジさんとか堀江博久さんとかと話して、「おとぎ話ってめちゃくちゃうまいバンドっていうより、自分たちの個性をちゃんとわかっていて、わきまえているからそれゆえにすごくロックバンドに見える」って。今まで俺らがやってきたことを肯定してもらえたんだよね。そうやって言ってもらえたことによってメンバーみんな自由に、楽しそうに音楽をやれてるっていうか、もう一回復活したような感じになってるな、という実感がライブをしていてあった。
 

こんなに面白い音楽シーンになるとは

 
——ツアーの合間にもいろんなバンドのイベントに出演されていますが、現在の若いバンドやいまの音楽シーンについてはどう感じていますか。
 
有馬いまはみんな音楽を聴くにもYouTubeでも聴けるし、SpotifyもApple Musicもあるし、なんでも聴けるっていうのがすごくいい状態になってると俺は思っていて、なんでも聴けるからこそセンス良いか悪いかがすごいはっきりしちゃうじゃん、逆に。俺なんかはなんでも聴けなかったから、必死になっていろんな欲しい音楽を一生懸命探してきたけど、いまの子たちは一生懸命探さないでも聴けるから。そうなると本当にそいつに才能があるかどうかが、すぐにわかる。でも、音楽でお金を稼ぐということを考えた時に、変な音楽を作ったりすることをしないで、わかったようにうまーく器用にやる人がちょっと増えてるのも怖いな、とは思ってる。「こういう風にやればいいんでしょ」みたいにね。もうちょっと不器用な”ほんとの天才”みたいなのが現れて欲しいなというのもある反面、逆に両極端で面白いかなっていう風には見てるけど。40歳手前にしてこんなに面白い音楽シーンになってくるとは思わなかった。俺としては、若い世代の人たちには、「楽しんでるかっこいい大人の背中を見せないといけない」と最近ちょっと思ってるんだよね。多分、教えてくれる人がいないからみんなすぐそばのものしか聴かない。大人が偉そうにしてるのがほんとによくないなと思うの。ダサい。そういう点で言ったら若い世代の子たちの方が貪欲だったりする気もするんだよね、ダサいものがダサいっていうことが目に見えてわかる時代になってきてるから。そういうのが心地はいい。だけどそこで権力とか売れてるものにだけいくのはやめて欲しいんだよね。面白い人に、人がたくさん集まっていって欲しいなとは思う。おとぎ話としては、若いシーンのバンドの子たちの憩いの場になりたいかな。おとぎ話と対バンしてる時は変なこと抜きにして本気になれる、とかさ。おとぎ話とやるとやりたいことできるんだよな、っていうふうに思われたい。
 
——近年、対バンして特にグッときたバンドは?
 
有馬ライブを見てて一番面白かったのは羊文学とかかな。超、自分たちだけっていう感じがすごくいい。全然媚びないし、いい意味で倦怠感があるライブをするんだよね。周りに全く影響されてない感じ。アルバムも聴いたけど、「周りがこういうことやってるからこういうことやってる」っていう感じの音楽じゃないのが良かったかな。俺は今のシーンの音楽は全体的に好きだけど、大人の意見が入りすぎちゃってるのはちょっと難しいよね。みんな同じになっちゃうからね。
 

目の前にあることをどうやるか

 
——10月25日にSHELTERでワンマンを開催されます。イベントではかなり出演してもらっていますが、SHELTERでのおとぎ話としての企画は、前回が2008年と、こちらもまた10年ぶりとなりますが、今回の企画の経緯は?
 
有馬ここ数年、毎年秋にあんまり大きくない場所でワンマンをやるようになってて。例えば昔のアルバムの曲を全曲やったり、激しめの曲だけやるとか、ゆったりした曲だけやるとか、毎回コンセプトを決めてやってるんです。毎年U.F.O. CLUBでやってたんだけど、U.F.O. CLUBだとちょっとやり尽くした感もあって、もうちょっと違う、お客さんがまだおとぎ話のワンマンを見たことがないところでやりたいなと思って。SHELTERは毎回、出ると楽しいし、スタッフも好きだし、おとぎ話の歴史上SHELTERでワンマンはやったことないからやらせてもらいたいなと思って。ツーマンとかだと、SHELTERっぽい選曲をしちゃって毎回やる曲も同じになっちゃったりするんだよね。ワンマンだとわりと自由にできるから、今回はほんとに自由にやらせてもらおうと思っていて、お客さんも、「SHELTERで見るおとぎ話が特別だったな」って思ってもらえればいいかなと思う。箱に合わせたまさかの選曲もあるかも(笑)。みんなが思ったようなライブはしないと思うから、見てて楽しいんじゃないかな。
 
——今年結成18年目ということで、ちょっと早いですが結成20周年も見えてきて、アルバムは次に出すとなると10枚目になると思うのですが、『眺め』の先にあるバンドの未来、ビジョンを教えてください。
 
有馬わりと、『眺め』でやり尽くしてる感があるから、あまり何も考えずに自分たちがやりたいことをやれればいいかなと思ってはいるかな。かといって古臭い感じのロックにならなければいいなと思うけど。おとぎ話は守りに入ってはいないからね、常に。新しい音楽を作っていければいいかな。ビジョンっていうと、あんまり見えてはいないかなぁ。バンドなんて、先のこと考えたら不安しかないからね。それじゃつまらないから。でもゆっくり作っていくと思う。いろいろなところで曲提供の依頼とかも多いから、常に止まってない感じでやらせてもらえてるのはすごくありがたい。目の前にあることをどうやるかっていうことと、その時に自分たちがどんなことをしたいかっていうことを追求してやっていきたいですね。基本的に、バンドなんて自由に芸術活動をしたいと思って始めたわけで、メンバーそれぞれがそういう風に思ってて、そこにまだ夢を持ててるからやっているわけで、そうしていれば若いバンドの子たちもおとぎ話と対バンしたいって思ってくれるだろうし、いつまでもそういうバンドでいたいから、そこだけは頑張りたいかなぁ。その先にもしも、評価されて今よりもいろんな人が見に来てくれるようになったとしても、同じことを思えてたらいいなと思う。
 
 
 
(Rooftop2018年10月号)
 
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おとぎ話「眺め」

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01. HOMEWORK
02. ONLY LOVERS
03. HEAD
04. 綺麗
05. 魔法は君の中に
06. さよなら、またね。
07. ふしぎソング
08. 素顔のままで
09. 純真
10. LOST PLANET
11. EARTHBOUND

LIVE INFOライブ情報

おとぎ話ワンマンGIG<DAYS>
2018.10.25.THU@東京下北沢 SHELTER
2018.10.27.SAT@京都ネガポジ
 
 
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