Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー八十八ヶ所巡礼×the band apart the band apartの20周年を記念して2018年9月19日TRIBUTE ALBUM 「tribute to the band apart」を発売する。それに参加する八十八ヶ所巡礼とthe band apartのRooftopでしか読めない特別対談が実現!

the band apartの20周年を記念して2018年9月19日TRIBUTE ALBUM 「tribute to the band apart」を発売する。それに参加する八十八ヶ所巡礼とthe band apartのRooftopでしか読めない特別対談が実現!

2018.09.04

バンアパ結成20周年

————では最後に、バンアパは結成20周年を迎えましたが、今の心境は?

原:正直なところ、目の前のことをやっているだけ(笑)。だけど、商業的に言えば、“ここで稼いでいかないと”とは思います(笑)。大体稼げるのって5年毎のアニバーサリーだから、そういうことなんでしょうけど、“皆さんのご愛顧で僕たち20年間なんとか食いつないで来れました。これからも音楽乞食を続けていくんでどうか宜しくお願いします”という気持ちです(笑)。

————対して八八は今年、12年目となりますが、今後の意気込みは?

廣井:僕もあんまり考えてないんすよ。20周年に向かっていってる予感はするんですけどね。この先は20周年だなって。

原:次、15周年もあるよ。でも15周年をアリにすると、次1周年、2周年という風に細かい話になってきちゃうから、難しいよね。

廣井:だから、あまり周年という概念を持ちたくないんですよね。振り返ると辛いことばっかりじゃないですか。いや、違うな……ただ“無”でした。

原:そうだよね。俺もいま振り返ってみたけど、辛いはずがないんだよね。ただ楽器を弾いてて、遊んでただけじゃん。辛いはずがないんだよ(笑)。

————振り返ると“無”っていうのが、ふたりの大きな共通点かもしれませんね。

原:まぁ、虫みたいなもんじゃないですか、俺たち。

廣井:俺もですか?

————(一同爆笑)


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8月18日(土)新宿LOFT
“八+八+八祭 —八月は極楽浄土キャンペーン!!!—”
ライブレポート

 八十八ヶ所巡礼という3ピース・バンドについて、強烈な個性を放つ、いわゆる“個性的なバンド”だと思っている人が多数だと思う。しかし、その実態は、スタイルを確立した高次元の演奏力を持つ3人のプレイヤーが、自分自身の個性を最大限に発揮し、さらにそれらを絶妙なバランスで織り交ぜた、“ヒリヒリ”とするほどにスリリングで新感覚な音楽を鳴らしている稀有な3人組なのだ。どんな楽曲においてもメタリックで高速なギター・プレイを聴かせるShimizu、正確さとタイトさを持ち、自在にリズム感覚を変化させるKenzooooooo、そして、うねりまくるグリージィなベースと、コンセプティヴで魅力的な世界観を有する歌詞世界がユニークな廣井。月並みな表現をするのが心苦しいが、ここまで独特なスタイルを持ったスタイルのプレイヤーは珍しいうえに、この3人が集まってひとつの音楽を成しているだけですでにおもしろい。8月18日(土)に新宿LOFTにて行なわれた新作『凍狂』のリリース・パーティ、“八+八+八祭 —八月は極楽浄土キャンペーン!!!—”を観て、筆者はこのことに気づいたと同時に、彼らの持つミュージシャンとしてのポテンシャルに驚かされた。

 SEが鳴り出すと、メンバー一同は登場した。廣井が一升瓶を持って登場するのは定番らしく、グイッと呑むと観客が沸き、彼らのカルト的な人気の要因が“キャラクター性”にもあるのだと気づく。そして、ライヴは「虚夢虚夢」を皮切りにスタートする。コーラスがかったギターが轟音を轟かせるなかで、クランチィに歪んだベースが耳につき、忙しなく移り変わる楽曲中のセクションに良い意味で違和感のあるアンニュイな主旋律。非常にエキセントリックな要素で形作られているが、その土台を固めているのがKenzoooooooのビートで、プログレッシヴな構成でありながらもセクションを移行する瞬間のフィルやドラミングがわかりやすく、楽曲にポップネスを付加してくれる。

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 「脳の王国」「仏滅トリシュナー」「幽楽町線」を披露し、続けて人気曲「PALAMA JIPANG」を繰り出した。イントロの不協和音たっぷりのベース・リフが印象的で、しっかりとためた重めのグルーヴがクールだ。前に進むようなテンポ感で弾くイメージがあっただけに、廣井のリズム・アポローチの広さに感激した。ヒップなドラム・ビートに合わせて歪んだサウンドのベース・ラインがファンキーなロック・サウンドを作り上げ、Shimizuのギターが合間に装飾音を形作る。3ピースという最低限の編成で全く無駄のないアンサンブルだ。その後も「凍狂」「惡魔霧島」と続けて披露し、終始フロアは熱しっぱなしだ。

 MCを挟んで披露されたのは、映画に出演した際に演奏したという「肩噛むな」。ゲスト

ヴォーカルを迎え入れ、ベースとコーラスに徹するサイドマン的な廣井のパフォーマンスは珍しい。フロントマンだけでなく、引くところでは引くこともできる、引き算の美学を感じる。

 ライヴは終盤戦へ。「金土日」は、八十八ヶ所巡礼の楽曲のなかでは珍しく、メタリックでロックな要素が比較的少ない、良質なポップ・ソングだと思う。歌いやすいリフレインのサビは観客を大いに高揚させ、中盤のコール&レスポンスはこの日のハイライトのひとつと言えるほどに印象的なシーンだ。この勢いを保ったまま「紫光」「BUTT’S TRIP BAR」「月斗」と駆け抜け、「霊界ヌ〜ボ〜♨︎」が披露させると観客の歓声がピークに達した。この曲で聴ける廣井のベース・ヴォーカリストとしての実力は、ひとつの境地に達している。“歌とベースが同じ/違うリズムかどうか”なんてことはもうどうでもよくて、ベースがポリリズムでリフを弾いているのに対して、リズミカルで抑揚のある歌はそれだけでもテクニカルで難しいはずだ。パフォーマーとしてのストイックさを感じさせ、楽曲が終わると自然に大きく拍手してしまった。その後、「Ohenro3」「絶妙Σ」「攻撃的国民的音楽」とクライマックスの盛り上がりを魅せ、MCを挟んで「具現化中」「日本」でライヴの本編は終了した。

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 八十八ヶ所巡礼は、笑いを誘うファンシーなMCや、コミック的ビジュアルなどによってサブカル領域内のギークなバンドに思われがちな気がする。しかしその実態は、高い実力を持つ3人が絶妙なバランスで絡み合い、全く新しいポップ・ミュージックを作り出してる、今の音楽シーンに必ず必要なオーセンティックな存在だ。この日のライヴで感じたのは、ヒリヒリとした危険性、高い演奏力、そしてキャラクターと楽曲のポップネス。結成12年目である彼らがこの先も進み続け、シーンにどういったポップ・ミュージックを投じていくのかが楽しみだ。

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(Rooftop2018年9月号)
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