Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【FRENZ 2018】 前田地生× yama_ko 最高のFriendsと、最高のFrenzyに向かって! Web上で話題の映像クリエイターによる新作上映イベント

最高のFriendsと、最高のFrenzyに向かって!
Web上で話題の映像クリエイターによる新作上映イベント

2018.09.04

 毎年9月に2日間にわたって開催されるロフトプラスワンの名物イベント「FRENZ」。個人や少人数で制作・活動する作家による新作映像の上映イベントで、「普段は意識して映像作品を見たことがない」「ネット上の映像作品にはあまり詳しくない」という人でも楽しめる映像の祭典だ。2009年に始まったFRENZが今年ついに10回目を迎えるにあたって、主催の前田地生氏と運営スタッフで出展者でもあるyama_ko氏にFRENZの歴史を振り返ってもらった。[聞き手:加藤梅造]

FRENZ前史

 
 ロフトプラスワンで初めてネット動画のイベントが開催されたのは、2003年7月の「FLASH★BOMB」だろう。一部のネットユーザの間で熱狂的に支持されていた2ちゃんねるのFLASH・動画板のオフラインイベントとして開催されたFLASH★BOMBはチケットが即日完売し「最強のオフ会」とも言われていた。ちなみにFlashとは映像形式の1つで、インターネットで動画を見ることがようやく一般的なものになるきっかけになったのがこのFlash動画だった。
 当時、デザイン科の大学生だった前田地生も一般参加者の一人としてこのイベントに参加していた。FLASH★BOMBの他にも「映夜祭」「フラハク」などのFlash上映イベントがいくつも開催されるようになったが、地生はその全てに熱心に通っていたという。
 
地生:何かをつくることは好きだったんですが、学校に通う間に作る側ではなくサポートする側に回りたいと思い始めていたんです。元々人と話すのが好きなので、クリエイターと一緒に何かを作る方が自分には向いているんじゃないかと。その頃、FLASH★BOMBが終わって、2006年にその後継イベントである「slashup(スラッシュアップ)」が始まったんですが、イベントを主催している団体がちょうどスタッフを公募していたので、「これだ!」と思って、熱烈な応募メッセージを送りました。
 
 こうして地生はネット映像の世界にサポート側として関わるようになった。折しも2005年にYouTubeが、2006年にはニコニコ動画がサービスを開始し、ネットで動画を見ることが一般化する時代が幕を開けつつあった。
 
地生:ただ、自分が主催となりロフトプラスワンでslashup04をやった2007年頃はFlashをはじめ気軽にネット動画を作る流行が少し翳りを見せていたです。YouTubeやニコニコ動画は既にありましたが、ネットで動画を見ることはまだ今ほど当たり前ではなかったんです。yama_koの存在を知ったのはちょうどその頃ですね。すごい動画を作ってる作家がいるなと。
 
yama_ko:僕がFlash動画を作り始めたのが2005年頃で、自分でチケットを買って初めてオフラインイベントに行ったのはslashup02でした。ロフトプラスワンに初めて行ったのは2007年の映夜祭で、よし来年は自分の作品を出展しようと思ったんですが・・・
 
地生:2008年は空白の年で、slashup、映夜祭、そして大阪のフラハクが全部無くなったんです。全くの偶然なんですけどね。
 

FRENZの誕生

 
 いま振り返ると、2ちゃんねるで火が付いたネット動画の世界が、YouTubeやニコニコ動画などで一般的になるちょうど端境期にFRENZが始まったと言えるだろう。ネット動画の大きなイベントがなくなった2008年のことだ。
 
地生:もう一度イベントをやりたい気持ちはあっても当時のコアスタッフの状況も変化し本職も忙しくなって難しいという状況の中で、「既成のものではなく個人で一からやってみたら」という話になったんです。それで最初に連絡したのがyama_koでした。
 
yama_ko:突然電話がかかってきましたね(笑)。その時、ちょうど僕の周りにも上映イベントをやりたいと思う人が何人か集まっていて、じゃあ一回みんなで会おうということに。
 
地生:僕はそれまでいくつかの映像上映イベントが別々にやって派閥のようになっていたのを見てきて、ここは2つのイベントに分かれず絶対に一緒にやるべきだと思ったんです。あと僕が主催しかできない性格というのもあって(笑)。その時、yama_koに「主催やったら作品作れないよ」って言ったのを憶えてます。
 
yama_ko:主催してたら作品作る時間ないですからね。いま思うとなんて無謀なことを考えてたんだろう。それで、まずはイベント名を付けようとなって「FRENZ」という名前に決まったんです。
 
地生:これはyama_koのアイデアです。Friends(仲間達)とFrenzy(熱狂)という言葉をかけていて、しかも検索ワードとしても他にひっかからないので、これはいい名前だなと。
 
yama_ko:Frenzyって英語だと狂乱という意味でネガティブな感じもあるんだけど、まあそれもいいかなって。もう1つ言うと、僕はまだFlashへの思い入れがあったので頭文字を「F」にしたかった(笑)。
 
地生:前年にイベントがなかった影響もあって公募だけだと上映作品が足りないと思って、スタッフ総出で古くから知っている作家に声をかけました。
 
yama_ko:他にもその頃はニコニコ動画にも面白い作家が増えていました。
 
地生:2009年の上映は30作余りだったので、深夜の部は飲み会にしたんです。ニコ動やYouTubeにある見たい動画をその場で再生したり、急遽思いついて、ちょうど客席にいた映夜祭、フラハクの主催者と自分(slashup)がステージ上にあがって座談会をしたり(笑)。この年のFRENZは初回ということもあって開催まで大変だったんですが、蓋を開けてみたら結果的にすごくおもしろいイベントになりました。
 

FRENZの成長

 
 そしてFRENZは毎年開催されるようになる。年々規模を拡大し、2014年からは2日間で計4部の開催となった。
 
yama_ko:やっぱり1回目をちゃんとやったという実績は大きくて、2010年の2回目はすごく人が集まりました。
 
地生:出展作品も増えたし、当時は飛び入り作品の上映もやってたから、深夜の部は休憩なしという地獄のような回でした。
 
yama_ko:2010年はFRENZの闇ですね(笑)。2011年には1日目は夜、2日目は夜+深夜の3部制になり、2014年には今と同じ4部制になりました。上映作品もすべて公募のみにしたんです。やっぱり作品を上映したいという気持ちが大事なので。
 
地生:そうなんです。言葉の表現が難しいですがFRENZでは“ただの”すごい作品を見たいわけではなくて、“情熱がある”本気の作品を観たいんです。
 
yama_ko:僕は仕事でも映像を作ってますが、仕事の場合はクオリティが最優先で、どれだけがんばって作ったかというのは関係ないと思っています。でもFRENZの場合は、作品を作るためにどれだけ精一杯やったかという文脈的な部分が大事だと思うんです。ヤボな言葉かもしれないけど、魂のこもった作品を上映したい。
 
地生:いわゆる見た目のクオリティが高そうな作品を集めるだけなら最初からそういう人にだけ声をかければ良いんです。でもFRENZはそういうイベントになることを望んでいるわけではないから。
 
yama_ko:チケットを買ってくる参加者さんも、ただクオリティが高いだけじゃなくて、作者がそこにいて、その意思を感じることができる、そういう作品を求めているんじゃないかと思うんです。FRENZの参加者さんってすごく熱心だし、深夜の部でも寝てるどころかみんなギンギンに起きて観ている(笑)。当然、作ってる方もそれは感じるし、僕もちょっとでも手を抜いたらだめだなって思っています。
 
地生:FRENZのいい所は、毎回初めて来る参加者さんが多くて、出展者も3割以上は初めての人なんです。今年のチケットが発売開始30分でソールドアウトになってしまった。嬉しいことでもあり残念なことでもあるのですが、これだと初めて行こうかなって人がなかなか来れないんですね。かといってWEBで中継することは考えていません。もともとFRENZを始めた理由は「様々な映像を一堂に会して楽しむことを最大の目的」としているので、一堂に会してないと意味がないんです。あくまでも人間同士が同じ空間にいることを重視しているので、そこだけは変えられない。やっぱりFRENZってライブだから。
 
yama_ko:照明が落ちた時に場内が「おおー」ってどよめく、あの瞬間が一番好きですね。
 
(Rooftop2018年9月号)
 
 
 

LIVE INFOライブ情報

FRENZ 2018
9/15(土)昼の部+夜の部
9/16(日)夜の部+深夜の部
会場:LOFT/PLUS ONE
※SOLD OUT
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