Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー中込智子(Rooftop2018年9月号)

これぞ大人の余興の醍醐味か?
アラ還ならではの明日なき暴走か?
LOFTを第二の故郷と呼ぶ現役パンク・ライターが同世代のバンドと繰り広げる酔狂の宴!

2018.08.29

 パンク・ロックから特撮まで「好きなものは好き!」と愛情だだ漏れの偏愛的文章を30年以上にわたり書き連ね、同じく非主流のジャンルを偏愛する読者から熱烈な支持を得てきた音楽ライター、中込智子。80年代から小滝橋通りにあった旧新宿LOFTで数々の名イベントを主催してきた彼女が久々にLOFTでブッキングを手がけてくれることになった。その名も『中込智子55才記念29年ぶり2度目の暴走』。POGOやKENZI、活動初期に中込がマネージャーを務めていたLA-PPISCH、R.B.F. RECORDS系バンドを観に西新宿まで通い詰めていた世代にはたまらない面子が一堂に会すこのイベントはさながら旧LOFTの同窓会のようであり、とりわけ中込智子&THE KISS MARKなる謎のバンドはいい歳をした大人たちがバカをやる暴挙ともいえそうだが、当人たちは至って真剣である。還暦も視野に入ってきた大人たちが大真面目に繰り広げる余興の破壊力と面白さは伊達じゃない。いまだ命懸けで娯楽と向き合うアラ還の本気をとくと見よ!(interview:椎名宗之/photo:長尾真樹)

“中込智子&THE KISS MARK”とは何ぞや?

──中込さんには何年も前から新宿LOFTで企画をやってくださいと個人的にお願いしていて、今回やっと実現できて嬉しい限りです。

中込:そう言われていたのがずっと頭の片隅にあったのもあるんですけど、1年半前に私が酔っ払って後頭部を強打しまして、しばらく使い物にならなかったんですよ。それがちょっと治ってきた頃、今度は友達の訃報が相次いで、お別れの会があるたびに同世代が集まるじゃないですか。そこで「まったくもって他人事じゃないね」という話になり、やりたいことをやれるうちにやっておかなきゃダメだなと実感しまして。それでやるのがKISS MARKかい! って話ではあるんですけど(笑)。

──企画のコンセプトとしては、80年代に小滝橋通りの旧LOFTで濃密な時代を一緒に過ごした面々が一堂に集うみたいなところですか。

中込:いや、そんな大したものではなく、単純に「久しぶりにPOGO観たいなぁ」というのがあったんです。解散以降、2、3回しかライブをやってないし、10年前にSHELTERでライブをやったのが最後だったので。ただ、みんな今のバンドで忙しいし、何かのきっかけでもなければまたPOGOをやるのは難しいのもわかっていたんです。でも、そこでひらめいたわけですよ。そういえば過去に一度、ほぼPOGOのメンバーでろくでもないライブをやったことがあった! と(笑)。

──それが中込智子&THE KISS MARKだった。

中込:はい。もちろん私が考えたバンド名ではありませんし、そもそもそのバンド名も事後報告だったんですよ。詳しいことはわかりませんが、高円寺の20000Vのこけら落としのライブだったので、出てくれとPOGOにオファーがあったんでしょうね。おそらくそれにシークレットで出ることになって、「(佐藤)シンイチロウをボーカルにしようぜ!」とか盛り上がったんじゃないかな。それで「バンド名はお前の名前を使うから」と後で(小河原)良太に言われて、「はい!?」と(笑)。

──そのライブで中込さんは何をやったんですか。

中込:頭だけステージに立って、ただ叫んだだけです。「TOKYO CITYは〜?」って言っただけ。

──それを受けてお客さんが「風だらけ!」と応えると?

中込:いや、メンバーに「中込だらけ!」って返されたんです(笑)。お客さんは意味がわからないし、誰も笑わないわけですよ。あれは私、ちょっとトラウマになりましたからね(笑)。

──最初のKISS MARKのベースは、KENZIの佐野俊樹さんだったそうですね。

中込:はい。本職はギタリストなのになぜベースを? って感じで。それくらいゆるいバンドだったんです。

──それが29年前の出来事だったと。

中込:シンちゃんが1989年だったと言い張るので、そうなると29年前だなと。当時のことを誰もちゃんと覚えてないし、20000Vのオープンがいつなのかもわからないんですよ。なのでシンちゃんが言い張る1989年説でいくしかないわけです。当時は私も半ば騙されて名前を使われて、まぁ要するにイジメですよね(笑)。だけど「THE KISS MARKのテーマ」という曲を作ったりして無駄な意気込みは異常にあって、しかもシンちゃんがそれをいまだに唄えるらしいんです。他のメンバーはそんなことすっかり忘れているのに(笑)。

──最初のKISS MARKではPOGOの曲をやったりしたんですか。

中込:やってない気がするんですよねぇ…よく覚えてないんですけど。なんせ最初に叫ぶという使命があって、それでものすごく緊張していたので。私は基本的に人前に出るのが向いてないんです。裏方の仕事ならなんぼでもやるんだけど、前に出された瞬間にいろんなことを忘れちゃうんですね。

──そもそもなぜ“THE KISS MARK”という名前だったのでしょう?

中込:シンちゃんが言うには、後楽園ホールか何かのライブで誰かが私の首筋にキスマークを見つけたと(笑)。それをまわりのみんなに大爆笑されたんですね。「お前、それ気持ち悪い!」とか言われて。まだ20代の前半だったし、若気の至りってことで許してほしいです(笑)。

 

小学校の男子女子のノリに近い親友たち

──中込さんにとって大切なバンドはたくさんいると思うのですが、そのなかでなぜPOGOだけが群を抜いて特別なんでしょうね。

中込:いちばん理不尽に私をイジメてきたのがPOGOだったんですよ。POGOというより良太ですね(笑)。あと当時、POGOのメンバーとKENZIのメンバーがうち(高円寺)の近所に住んでたんです。良太も最初は東中野だったのが阿佐ヶ谷に引っ越してきて、私と専門学校の同級生だった杉本(恭一)も阿佐ヶ谷に住んでいたので仲良くなったり、それが縁でPOGOまでポコチンロックに参加することになったりして。私の別の経由の友達がろくに対バンもせずに仲良くなっていったのは嬉しかったですね。私抜きで意気投合してましたから。

──POGOやKENZI、LA-PPISCHのメンバーとは公私問わずに何でも言い合える仲だったわけですね。

中込:いや、何でも言い合うとかそんな美しい話ではなく、小学校の男子女子のノリに近かったですね。普通に殴り合ったり、首の絞め合いとかしてましたし(笑)。そういうノリで付き合えたのが、良太、シンちゃん、杉本なのかな。その3人はまるで小学校の同級生みたいな感覚でした。女性として見られることが微塵もない異性の友達ですね(笑)。

──友達であると同時に、取材をする側とされる側の関係でもあるわけですが、そのへんの棲み分けはどうしていたんですか。

中込:私はミニコミ出身で、その当時に彼らと会ったわけですが、最初は完全にシロウトですからインタビューといってもそんな大層なものじゃなかったんです。取材を受ける側の彼らにしてもまだアマチュアだったし、インタビューの受け答えもお互い全然ダメだった(笑)。で、そこを経て、お互い次第にマシな受け答えができるようになっていったわけですが、そうなると普通に切り替わるんですよ。仕事の場面ではバンドとライター、インタビューが終わったら友達。自然に全員とそんな感じでしたね。一緒に育っていった感があります。

──今の若い世代のなかにはシンイチロウさんと良太さんが一緒にバンドをやっていたことを知らない人も多いんじゃないですかね。

中込:あの2人は茨城出身の幼なじみで、たしか同じ中学だったんじゃないかな。高校でバラけたんだけど、2人ともパンクが好きで法定伝染病というバンドを一緒にやるわけです。その時のボーカルがシンちゃんだったんですよ。

──今や名ドラマーのイメージしかないので意外ですね。

中込:シンちゃんは自分で言ってましたからね、「俺のほうが良太よりも歌は上手いんだ!」って(笑)。法定伝染病の次のTHE 305から良太がボーカル、シンちゃんがドラムになって、THE 305の頃から渋谷の屋根裏に出始めて、1985年にPOGOになるんです。その時もまだドラムはシンちゃんで、当時のシンちゃんは引きも切らぬ人気ドラマーだったんですよ。たとえばLA-PPISCH、LONDON TIMES、BLUE HEARTS、JUMPSが参加した『JUST A BEAT SHOW』というライブ盤に入ってるBLUE HEARTSの曲はシンちゃんが叩いてますからね。LOODSの西村(茂樹)くんもシンちゃんにドラムを頼んで、『STOP FUCKIN' AROUND!』は全曲シンちゃんが叩いてるんです。そんな感じで引く手あまたで、良太はPOGOだけでやってほしいから面白くないわけですよ。でもシンちゃんとしてはいろいろやってみたい。それで2人がケンカして、シンちゃんがKENZIに入ることになったんじゃなかったかな。

──名前こそふざけていますけど、KISS MARKはPOGOとKENZIの混成バンドとして貴重な存在だったといえますね。

中込:29年前にベースをやった佐野くんはもともとKENZIですしね。今回のベースは(塚本)研くんが遠方だし、仕事の都合上平日が難しいのはわかっていたのでどうしようと思っていたんですけど、Jun Grayが快く引き受けてくれたので助かりました。Jun GrayはもちろんKENZIつながりなんですけど、もうひとつ私には大事なつながりがあるんです。それは彼がものすごくウルトラセブンを好きということ。ウルトラセブンに関しては私より詳しいし、胸にウルトラ警備隊のマークも輝いていますしね。その意味でも大事なんです。

 

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LIVE INFOライブ情報

kissmark_flyer.jpg中込智子55才記念29年ぶり2度目の暴走
【出演】
中込智子& THE KISS MARK
[佐藤シンイチロウ(vo)・小河原良太(gt)・春日弘(gt)・Jun Gray(ba)・塚本純(ds)]
MAGUMI AND THE BREATHLESS
army call UP TEST
DJ:ISHIKAWA(DISK UNION / a.k.a TIGER HOLE)
【日程】2018年10月2日(火)
【会場】新宿LOFT
【時間】OPEN 18:00 / START 19:00
【チケット】前売¥3,500 / 当日¥4,000(ともにドリンク代別¥600)
ぴあローソンチケットイープラスLOFT店頭にて発売中
【問い合わせ】LOFT 03-5272-0382

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