Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューTHE NEATBEATS(Rooftop2018年4月号)

世界を股にかけるには三つのコードがあれば十分さ!
マージービートの真髄をいまに伝える極東のビート貴公子、圧巻のビンテージ・モノラルサウンドでSHAKE! TWIST! GRAVY!

2018.04.01

 日本が世界に誇るスリーコード職人でありロックンロール伝道師、ザ・ニートビーツが5年ぶりに放つオリジナル・フルアルバム『OPERATION THE BEAT』にもはや能書きは不要である。「リズム&ブルースを昇華したマージービートの真髄を堪能できる」とか「時空を超えたエイトビートを真空パックした」とか煽り文句を書き連ねることはいくらでもできるが、彼らの愛してやまないオールド・イングランドのロックンロール・クラシックスが無邪気にかき鳴らされるのを聴くと、過剰な修飾語や誇張した表現はまるで意味をなさないように思えるのだ。いつも通りの理屈ぬきで楽しい2分台のロックンロール。それ以上でもそれ以下でもない。泉下の客となったチャック・ベリーに捧げたナンバーを含む"SWEET LITTLE SIXTEEN" SONGS(全16曲)は信頼と安心のニートビーツ印である。だがしかし、そのいつも通りの尊さよ。バンドの顔役、Mr.PANこと真鍋崇にいつも通りのすべらない話を聞く。(interview:椎名宗之/artist & live pix:柴田恵理 a.k.a SHIVA-ERI)

やっぱりええやん、ニートビーツ

──昨年は結成20周年のメモリアル・イヤーということで、かなり充実した一年になったのでは?

真鍋:そんなに特別な感じもなく、さらりと終わったとこもあるかな。20周年やからちょっと背伸びして無理なことをやろうっていうのもなかったし。まぁ唯一、ずっと望んでいたバースディやクロマニヨンズとの対バンができたのは嬉しかったけどね。

──ニートビーツの4人が主演を務めた映画『ゴーストロード』が全国の劇場で公開されたのは大きなトピックだったんじゃないですか。

真鍋:映画はねぇ…ほとんど忘れたよね(笑)。撮影自体はもう3、4年前の話やから。どうやら映画のDVDが今年中に出るらしくて、そのオーディオコメンタリーの録音で久々に映像を見たんやけど、自分らがただただ若いなと思って。人間って40歳になった辺りで急激に変わっていくんかな? みたいな。人としての最後の若さがあの映画に刻み込まれてるね(笑)。

──映画を鑑賞したお客さんの評判は上々でしたよね。

真鍋:いやぁ、あれは甘い意見というかね。「すごい良かったよ!」みたいな感じじゃなくて、おばあちゃんが子どもに向かって「よく頑張ったねぇ、エラいエラい」と褒めてあげるみたいやったし(笑)。まぁ、みんなプロの俳優じゃないから演技が上手いわけでもないし、最初からあくまでB級映画のテイストを狙ってたからそれも仕方ないけど。俺のなかではまだバブルの残り香がある90年代のVシネマ全盛期を意識したとこがあって、そういうノリを出せたのは良かったかなと思って。

サントラ.jpg──すこぶる充実した内容だったサントラは素晴らしい副産物だったと思いますが。

真鍋:うん、あれは良かった。撮り始めたときはサントラをつくれることになってなくて、映画のなかで曲を使うにしても5、6曲でいいみたいな話だったんやけど、撮影が進むにつれて「これはマズい!」と思うようになって。俺たちの演技がひどいのでバックにBGMがなかったらとんでもないことになるというか、沈黙に耐えられへんというか(笑)。そういうのも含めて、ミュージック・ムービーとして捉えると随所に曲を入れるのは不可欠だと思ってね。それで映画がもう出来上がってるところに後から曲をたくさん入れようと提案したわけ。その流れでサントラもつくって、映画の上映が終わった後もぼちぼち売れてるね。

liveA.jpg──今回発表される新作『OPERATION THE BEAT』は、去年の20周年イヤーのうちにリリースする意向もあったんですよね。

真鍋:間に合わへんかったね。途中でもうこれは無理やなと諦めた。マックショウはそういう周年モノに無理やり合わせてくるけど、俺らは無理しない(笑)。

──だけど、年間100本にも及ぶライブをワーカホリックにこなしながら曲づくりをしたりレコーディングをする時間がよくつくれるなと思いますけど。

真鍋:それが自分らでも不思議でねぇ。いまは「TWISTIN' SHACK」というギャラリーづくりで大工の仕事の真っ最中やしね(笑)。何事もこの時期にこういうことをしなくちゃいけないとか特に決めずにやってるから、そんなに気負いなくやれてるんやないかな。

──それにしても5年ぶりのオリジナル・フルアルバムとは意外でしたね。そんなに間があいていたんだなと思って。

真鍋:カバー・アルバムとかシングルとかライブ盤とかはちょくちょく出してたけど、オリジナルは2013年以来でね。宣伝の謳い文句でよく「ついに最高傑作が誕生!」とかすごい期待させる言い回しがあるでしょ? 俺らにそういうのは全くなくて、「やっぱりいいなぁ、ニートビーツ」みたいな感じ(笑)。新しく聴いた人は「こんな音楽があるんだ!」と新鮮な気持ちになれるだろうし、むかし聴いてた人が久々に手に取って聴いたら「やっぱりええやん!」と思ってくれるんやないかな。

──良い意味での金太郎飴状態というか、老舗の安定感というか。

真鍋:うん。そういう感じが俺らには合ってるかなと思って。今回のアルバムは特にそういう感じだしね。レーベルのスタッフと曲順をこうしようああしようみたいな話もあってんけど、俺は別に1曲目から衝撃はいらない(笑)。最初に聴いたときに「これニートビーツじゃない?」くらいのところから始まるのがいい。ガツンとくる衝撃よりもリピートして聴ける状態のアルバムがいいというか、どれが1曲目かわからへんくらいの感じが自分のなかではちょうどいい。20年やってきてそんな境地に達したね。曲調もそんなふうになってるのかもしれない。

 

レコードの音が一番の理想

──今回はテープ録音した音源をアナログ・レコード制作用のマスター・ラッカー盤に落として、それにデジタル・マスタリングを施す手法を取り入れたそうですね。

真鍋:原盤となるラッカー盤をそのまま再生してデジタルにするっていうね。簡単に言ったら、むかしレコードをカセットテープにダビングしたでしょ? そういう状態の音になってる。レコードをCDに焼いてるみたいなね。前もシングルではそういうことをやってたけど、アルバムでは初。いままでテープからCDにしてたのを、今回はテープからレコードに落としたのをCDにしてる。

──恐ろしい手間暇をかけているわけですね。

真鍋:誰がそこまでやるのを喜ぶんやろ? と思うけど、少なくとも俺たち4人は大喜びやね(笑)。とにかくレコードの音が一番やし、CDもできるだけレコードの音に近づけたい。そういうのを自分らの特色にしておかないと、バンドの存在意義が薄まるしね。まぁ、こういうマニアックなことをやる会社があるんだ? みたいな隙間産業やから(笑)。

──真鍋さんとしては、できることならこのアルバムもレコードで聴いてほしいと?

真鍋:まぁね。望むのはやっぱりレコードやけど。とはいえCDでも楽しんで聴いてほしいから、CDにも最大限のレコードっぽさを入れてみたというか。一応レコードも出すんやけどね。日本盤は今年のレコードストアデイのエントリー作品として出して、あとジャケット違いでドイツ盤も出る。

sorrows.jpg──今回の収録曲なんですが、恒例のオールディーズ・バット・グッディーズなカバー曲で真鍋さん以外のメンバーがボーカルを取っているのが興味深いですね。ソロウズの「YOU'VE GOT WHAT I WANT」をベースの浦(大)さん=Mr.GULLYが、チャン・ロメオの「HIPPY HIPPY SHAKE」をドラムの中村(匠)さん=Mr.MONDOが、シフォンズの「ONE FINE DAY」をギターの土佐(和也)さん=Mr.LAWDYがそれぞれメインで唄っていて。

真鍋:最近はちょっとビートルズっぽい感じで俺以外のメンバーにも1曲ずつ唄ってもらっててね。誰かが突出して上手いわけやないし、歌のレベルは4人とも同じようなものなんで(笑)。それぞれ個人が得意そうなやつを選んでもらって、たとえば大ちゃんは黒人っぽいボーカルの曲が合うからいつもそういうのを選んでくる。

liveB.jpg──「HIPPY HIPPY SHAKE」はこのラインナップでは有名な曲ですね。

真鍋:そうそう。モンちゃんはスタンダード担当なんだよね。会社で言えば受付の窓口みたいな。窓口に立つのは若くて話しかけやすいキャラクターがいいしね(笑)。

──それでいくと土佐さんは何担当なんでしょう?

真鍋:土佐はロマンチストなので、選んでくるのはだいたい女性ボーカルのキラキラした感じの曲が多い。ロックンロールっていうよりはポップス寄りやね。

──真鍋さんはアーサー・アレキサンダーの「YOU DON'T CARE」、ジーン・ヴィンセントの「GIT IT」、ビリー・J・クレイマー・ウィズ・ザ・ダコタスの「DON'T YOU DO IT NO MORE」をカバーしていますが、取り上げたポイントはどんなところですか。

真鍋:アーサー・アレキサンダーはローリング・ストーンズとかビートルズとかイギリスのビート・グループがいろいろとカバーしてる黒人のシンガーなんやけど、「YOU DON'T CARE」のカバー音源ってあんまりなくてね。これは俺の想像の話で、ビートルズがハンブルグのスタークラブに出演してた時代にもし「YOU DON'T CARE」が発売されてたら、ステージで演奏してたんじゃないか? っていう。「YOU DON'T CARE」は1965年の曲だからあり得ない話なんやけど、やっててもおかしくないっていうか。もしくは雰囲気が「YOU BETTER MOVE ON」と似てる曲なので、音源には残してないけどストーンズもライブでやってたんちゃうか? と。そういうノリでカバーしてみようと思ってね。

 

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OPERATION THE BEAT【CD】

2018年4月11日(水)発売
SPACE-012 / ¥2,800+税
発売元:MAJESTIC SOUND RECORDS / 株式会社スペースエイジ
販売元:株式会社スペースエイジ

【収録曲】
01. IT'S MY FRIDAY(T. Manabe)
02. SHAKE! TWIST! GRAVY!(T. Manabe)
03. ICED COFFEE(T. Manabe)
04. YOU'VE GOT WHAT I WANT(Dallon)
05. OOH! MY BEAT(T. Manabe)
06. ROCKIN' HOME(T. Manabe)
07. ROAD-HUG RUBBER(T. Manabe)
08. YOU DON'T CARE(J. Willis-H.Ryals)
09. BYE BYE VERY GOOD(T. Manabe)
10. SWEET CHERRY PIE(T. Manabe)
11. GIT IT(B. Kelly)
12. HONEY DON'T CRY(T. Manabe)
13. HIPPY HIPPY SHAKE(R. Romero)
14. ONE FINE DAY(C. King-G.Goffin)
15. DON'T YOU DO IT NO MORE(MacDonald-Green)
16. WINKLE PICKER(T. Manabe)

OPERATION THE BEAT【LP】

レーベル:MAJESTIC SOUND RECORDS(国内盤)/SOUNDFLAT RECORDS(ドイツ盤)
品番:MSLP-091(国内盤)/SFR-091(ドイツ盤)
発売日:2018年4月21日(土)(国内盤)/ドイツ盤は4月下旬〜5月上旬発売予定
形態:LPレコード(完全限定盤)
価格:国内盤 ¥3,000(税抜)/ドイツ盤(価格未定)

【収録曲】
《side-A》
1. IT'S MY FRIDAY(T. Manabe)
2. SHAKE! TWIST! GRAVY!(T. Manabe)
3. ICED COFFEE(T. Manabe)
4. YOU'VE GOT WHAT I WANT(Dallon)
5. OOH! MY BEAT(T. Manabe)
6. ROCKIN' HOME(T. Manabe)
7. ROAD-HUG RUBBER(T. Manabe)
8. YOU DON'T CARE(J. Willis-H.Ryals)
《side-B》
1. BYE BYE VERY GOOD(T. Manabe)
2. SWEET CHERRY PIE(T. Manabe)
3. GIT IT(B. Kelly)
4. HONEY DON'T CRY(T. Manabe)
5. HIPPY HIPPY SHAKE(R. Romero)
6. ONE FINE DAY(C. King-G.Goffin)
7. DON'T YOU DO IT NO MORE(MacDonald-Green)
8. WINKLE PICKER(T. Manabe)

Blu-ray&DVD『ゴーストロード』

2018年6月13日(水)発売
【Blu-ray】KIXF-556/4,800円+税/本編約79分+映像特典/BD25G/オリジナル日本語+英語(DTS-HD Master Audio2.0ch)/1080p Hi-Def/カラー
【DVD】KIBF-1579/3,800円+税/本編約79分+映像特典/片面2層/オリジナル日本語+英語(ドルビーデジタル 2.0ch)/16:9 LB/カラー
【Blu-ray&DVD 共通映像(音声)特典】
★予告編
★NG集
★オリジナル劇伴(音源のみ)
★劇場初日舞台挨拶映像
★初日舞台挨拶スチール・ギャラリー(静止画)
★THE NEATBEATSのMr.PAN、THE PRIVATESの延原達治、ザ50回転ズのダニー、マイク・ロジャース監督による音声解説
【発売】キングレコード+日本出版販売+タワーレコード
【販売】キングレコード
© 2017 Mike Rogers / Robot55 LLC
※ジャケットデザインや商品仕様は予定となっております。予告なく変更となる場合がございますので予めご了承下さい。

LIVE INFOライブ情報

SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 19TH ANNIVERSARY
出演:Akabane Vulgars On Strong Bypass、KiNGONS、ザ50回転ズ、COYOTE MILK STORE、サーティーン、JUNIOR、THE STEPHANIES、the twenties、Dr.DOWNER、Drop's、THE NEATBEATS、ボトルズハウス、MAD3、myeahns、夜のストレンジャーズ 他(五十音順・計19組出演)
DJ:DADDY-O-NOV、MIWAKO(Gonna Ball)、SATO(URASUJI.)、TAKESHI(SLAP of CEMETERY)、DJ RCF ALLSTARS(Hanaken, Satoshin', UK, and Hachi)他
★2018年4月27日(金)新宿LOFT
OPEN 19:00 / START 19:30
前売 ¥3,400 / 当日 ¥3,900(ともにドリンク代別¥600)
問い合わせ:LOFT 03-5272-0382

その他のライブ
★4月7日(土)・4月8日(日)新宿 red cloth(THE NEATBEATS 生音ワンマン・ライブ『BACK TO THE CAVERN!』─TOKYO SPRING BEAT 2 DAYS─)
★4月14日(土)・4月15日(日)大阪塚本ハウリンバー(THE NEATBEATS 生音ワンマン・ライブ『BACK TO THE CAVERN!』─OSAKA SPRING BEAT 2 DAYS─)
★4月21日(土)本八幡サードステージ(with:石橋勲BAND、THE STEPHANIES)
★4月22日(日)下北沢GARDEN(スーパー神田ナイト〜 キャノンボール・フェスティバル東京2018 振替公演)
★4月29日(日)神戸メリケンパーク特設ステージ(078Kobemusic)
★4月30日(月・祝)名古屋 CLUB UPSET(with:GASOLINE、下八[ハッチハッチェル+下田卓ユニット]、ニャーゴ 他)
★5月3日(木・祝)神戸 VARIT.(ワンマン)
★5月4日(金・祝)十三 FANDANGO(with:GASOLINE、イヌガヨ)
★5月5日(土)京都 磔磔(with:騒音寺)
★5月13日(日)上諏訪ドアーズ&club ROCKHEARTS 他(SUWA Ride On!! Vol.2)
★5月16日(水)〜5月26日(土)スペイン・ツアー(10公演予定)
★6月16日(土)石巻BLUE RESISTANCE(with:THE ZOOT 16、ミドリのマル)
★6月17日(日)山形米沢ARB(with:THE ZOOT 16、ミドリのマル、時既に遅し、やってもーたろ!)

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