Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー加納秀人【外道】(Rooftop2018年1月号)

あと200年くらい生きないと出したい音に追いつかない!
日本のロックの先駆者として今なお研鑽を積む「外道」のフロントマンが音楽活動50周年を記念してソロ名義の集大成的作品を発表!

2018.01.04

加納秀人の音楽はジャンルレス

──ギターは独学なんですよね。

加納:実を言うと、親父の存在も大きいんですよ。うちの親父は僕が16歳のときに「俺には俺の人生があるから」って家を出て行っちゃって、それから38年ほど会わなかったんです。10年くらい前に親戚が間を取り持ってくれて、老人ホームにいた親父に会いに行ったんですけど、実は僕のレコードをぜんぶ持ってたんです。それに、僕が子どものころにギターを教えてくれてたみたいで。そのことをぜんぜん知らなくてね。ある日突然弾けたと自分では思い込んでたんだけど(笑)。そういうきっかけから始まって、今回の『Thank You』というアルバムまですべての出来事がつながってるんですよ。こういうアルバムをつくっておけ、残しておけというのもお告げみたいなものだし。外道でもソロでも僕が弾く生の音を若い連中に聴かせて体験させたい。それが使命なんです。

──加納さんのソロ・ライブではたまにお客さんの飛び入りを交えたセッションをやりますよね。ああいうのはとても珍しいと思うのですが。

加納:ああいうことをやってあげたいんですよ。世のなかにはギターがもっと上手くなりたい、リズム感をもっと良くしたいと思ってる人がいっぱいいますよね。でもできないのはなぜか。理由は簡単なんですよ。本当にそういうことをやりたかったら、世界で最高峰の音を出せる人とやるしか方法がないんです。一緒に音を出して体験して覚えるしかない。だから僕が手を貸してあげないと、本当にわからないまま終わってしまうからやるしかない。生きてるうちにそういうことをしてあげないと。そういう使命も与えられている気がしてるんです。

──『Thank You』には「連れてかれちまうぜ?」のように軽快なロックンロールもあれば、「大いなる愛」のようにパワフルで雄大さのあるナンバーもあって、あらゆる音楽的要素が詰め込まれていますが、「ONE MORE CHANCE」や「CITY IN THE BLACK」といった哀愁感漂うメロディアスでブルージーな曲こそいまの加納さんの真骨頂なのでは?

加納:僕にはジャンルがないんですよ。本当にいろんなタイプの曲をつくるし、上から降りてくる音を表現するには何でもできるようにしておかなければいけなかったので、たとえばブルースをやるなら黒人が泣くくらいの音を弾けなくちゃいけない。ジャズでもそれ専門でやってる人に負けないくらいの演奏をする。ジャズ・ピアニストの島健が僕のバンドにいたこともあるし、クラシックの人とジョイントしたこともあります。長嶺ヤス子さんというフラメンコ・ダンサーのバックで演奏したこともある。長嶺さんが僕の演奏を気に入ってくれて、「これから私の音楽はぜんぶ加納さんにお任せしたい」と言われたこともあります。ラヴィ・シャンカルが日本に来たときは一緒について回ってタブラとかシタールを聴いたりしたし、ミッキー・カーチス、山下敬二郎、平尾昌晃というロカビリー三人男のバックをやったこともある。カントリーの人たちとも共演したことがあるし、ありとあらゆるジャンルをやってきたんです。だからジャンルレスなんだと思いますよ。

──「D3」のようにパーカッシブでラテン色の濃いナンバーが入ってもアルバム全体の流れを損ねていないのは、そういうバックグラウンドがあるからなんでしょうね。

加納:曲ごとで考えたら統一感が全くないですよね。外道も加納秀人という人間にとってある一つの表現の仕方であって、また別のほうにソロにはソロの表現の仕方があるんですよ。

──ご自身のなかでは外道とソロの明確な線引きがあるのですか。

加納:ありますよ。衣装です(笑)。外道ではステージに鳥居を立てて、衣装を着るとグッと外道のスイッチが入るんですよね。自分でも不思議ですよ。侍なら侍の格好をしてないと雰囲気が出ないし、相撲だって力士があの格好だから相撲として成り立ってるし、髷じゃなくてアフロヘアだったら相撲じゃなくなりますよね(笑)。そういう形から入るのは大事なんじゃないですかね。

 

自分を守ってくれる龍の存在

──今回のアルバムの一曲目は外道の「虹の彼方から」で、外道でもソロでも加納秀人の表現は変わらないという意思表示なのかなと思ったのですが。

加納:むかしから「虹の彼方から」みたいな壮大なスケール感、宇宙的な感じがものすごく好きなんですよね。そういう曲をアルバムのオープニングに入れたくなるんです。自分のスイッチを入れていく感じもあってね。「龍神」もそのタイプの曲ですよね。以前、知人に借りた別荘が熱海の山の上のほうにあって、そこに楽器を持ち込んだことがあるんです。山頂だから海を見下ろせて、四方を森に囲まれて、霧にダーッと包み込まれるような幻想的な所で、そこで演奏をしていたら龍の姿が見えたんですよ。それで「龍神」という曲ができた。そんな経験もあって、それから自分は龍に守られているという意識がすごくあるんですね。家のベッドで寝てるときに龍の口が突如現れて、すごくでかい音でガーッと驚かされて、思わずベッドから転げ落ちたこともあります。聞いた話によると、日本でいちばん龍を描くのが上手い画家があるとき龍の絵を描いていたら、絵のなかから龍が出てきたことがあるそうなんですよ。その画家は腰を抜かして、それ以来二度と龍の絵を描かなくなったそうです。でも僕は龍に出会えて嬉しかったし、龍に守られながら演奏している。龍の姿を思い浮かべながらね。ただし、ちゃんとやらないとお仕置きがあるんですよ。

──お仕置き?

加納:外道の前のタイコがね、「ステージの鳥居がいつも同じ赤色だから、たまには水玉の模様にしようよ」って言ったことがあるんです。そしたらTVKの『ヤング・インパルス』っていう番組の本番中にステージの電源がぜんぶ飛んじゃった。しょうがないから音の出ない状態で残りの時間を何とかやりきったんだけど、不用意なことをうかつに口にしちゃいけないんですよ。こんなことを話してもみんな信用しないと思いますけど、そういうことが実際にあるんです。

加納秀人 外道③(濱田秀人).JPG──言霊の力ってありますからね。

加納:神社には神社の掟があるし、そういうのをちゃんと守らなきゃいけない世界に僕はいるみたいなんですよね。いい加減じゃいけないみたいな。外道でもソロでも神様がちゃんと見てるし、責任もあるし、ちゃんとやっていかないとたいへんなことになるんですよ。ただね、17歳のときに神様が突然目の前に現れて、ああしろこうしろとお告げをした去り際に、僕は一つだけお願いしたんです。「人間らしくバカもやらせてください」って(笑)。「この先、いっぱいバカもやると思うんで、そのときは許してくださいね」って、いちおうのお断りをしたんですよ。僕はそんな立派な人間じゃないし、何から何まで自分に託さないでくれって思って。それでなくとも外道でライブをやれば見に来る暴走族の数がすごいわ、機動隊は出てくるわ、ドキュメンタリーの取材で田原総一朗まで追っかけてくるわでたいへんだったんですから(笑)。

──聖人君主どころか、人の道から外れたもの、邪悪なもの=「外道」というバンド名なわけですからね。

加納:ただ、僕としては悪い意味では使ってなくて、世のなかがいろんな方向に行こうと自分が信じた正しい道を見極めていこう、我が道を行こう、ということで「外道」と名づけたんですよ。世のなかで良いと言われているものが本当に良いのか? と自分で確かめなくちゃいけないし、悪いと言われているものが本当に悪いのかどうかも自分の感覚で見極めなくちゃいけない。そのために我が道を行く。さっきも話しましたけど、我が道を行くのままでここまで来ちゃって、その足跡をたどっていくと、日本にまだロックが根づく前から日本語のロックを始めたり、アントニオ猪木に頼まれてタイガーマスクのデビュー戦で演奏したり、浄土宗の大本山である増上寺でコンサートをやったことでみんなが神社やお寺でライブができるようになったり、ハワイのダイヤモンドヘッドで行なわれた『サンシャイン・フェスティバル』とか海外のフェスに最初に呼ばれたのも外道だったし、僕は常にそれまでの常識をぶち壊していく時代のさきがけだったんですよ。まさしく我が道を行く、外道の歩みだったんですよね。

 

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Thank You
〜Hideto Kanoh 50th Anniversary〜

2018年1月17日(水)発売
TECH-30521 / 定価:¥2,778+税

【収録曲】
01. 虹の彼方から
02. 連れてかれちまうぜ?
03. 新たなる孤独への出発
04. 淋しすぎる夜
05. メロディ
06. ONE MORE CHANCE
07. CITY IN THE BLACK
08. 大草原
09. 大いなる愛
10. ねむれない
11. D3
12. What a Wonderful World
13. 長い旅〜そして君に乾杯
14. 明日に向かって

LIVE INFOライブ情報

加納秀人音楽生活50周年記念&外道結成45周年記念
ソロ・アルバム『Thank You』レコ発ライブ

2月3日(土)柏thumb Up
2月4日(日)北浦和エアーズ
2月15日(木)原宿クロコダイル
2月17日(土)佐野バーken
2月18日(日)西千葉ZX
3月16日(金)名古屋バレンタインドライブ
3月17日(土)滋賀ココザホール
3月18日(日)四日市ガリバー
3月19日(月)神戸チキンジョージ
3月21日(水・祝)大阪JUZA
3月25日(日)いわきクイーン

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