Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューフジファブリック(Rooftop2016年5月号)【完全版】

「ポラリス」という不動の<自分たちらしさ>を追いかけて

2016.05.02

 2年ぶりとなるシングル「ポラリス」を発表するフジファブリック。TVアニメ『マギ シンドバッドの冒険』のエンディング曲として、すでに流れているタイトル曲は、これまで以上のストレートさと上昇感が印象的なナンバーだ。エレクトロの要素も多分に取り入れられ、右に左に細かい音が表れては、それらが絡み合うことで、一聴シンプルで分かりやすく伝えながらも、その実、かなり細かさが詰まった同曲は、ぜひ一度ヘッドフォンでも楽しんでもらいたい。
5月30日には、古巣とも言える新宿ロフトの40周年記念に華をそえるべく、久々に聖地のステージに立つことが決定している彼らに、ニューシングルや新宿ロフトについて、あれやこれや訊いた。(interview:池田スカオ和宏(LUCK'A Inc.))

複雑でいろいろなことをやっているけど、それを小難しく伝えたくはなかった

 
━今回のシングルはこれまで以上にヘッドフォン奨励ナンバーですね。
山内:なかでも「ポラリス」は、ステレオ感がありますからね。左右に音を振ったりといった音の遊びも、かなり楽しめるんじゃないかな。
━ですね。特に「ポラリス」は、ヘッドフォンで聴くと細かいところで細かい音がいろいろと鳴っているのが印象的です。
山内:この「ポラリス」は、ダイちゃん(金澤)が作詞/作曲なんですが、非常にキーボーディストらしい楽曲かなと。プログラミングも多分に融合させていて。今回は共同アレンジャーとして、コーネリアス等も手掛けてきた美島(豊明)さんと一緒に作っていったんです。それゆえの細かさが詰まった楽曲になったかなと。
金澤:今回は細かさの種類がこれまでとは違いますからね。
山内:一緒にやってみて、”さすが整頓するプロだ!!”と感心しました。それもあり、これまで以上にかなりギミックの入った作品にはなってます。
━歌メロはバシッとしつつ、かなり構築感のある楽曲ですもんね。本来、構築感重視の場合、頭でっかちになりそうなところも、かなり分かりやすくストレートに伝えているところも特徴かなと
山内:今回はアニメのエンディング曲ですからね。思いっ切りど真ん中を目指して作りました。とは言え、それをそのままやったんじゃ自分たちとしては物足りなかったんで、やる以上は、自分たちらしさも盛り込んでみたと。
金澤:そうそう。あえて色々と遊んでみました。
山内:音作りやその構成、構築感や音色にしても、いわゆる一筋縄ではいかないところや、聴いた人が、”やっぱりどこか俺たちっぽい”と感じて欲しかったし。パッと聴きストレートなのでスッと聴けるけど、よくよく聴くと、ひねってたり、色々なところで色々なことをやってたり…。
━確かに今回は、これまで以上に分かりやすく伝わりやすいんだけど、拭っても拭い切れないみなさんらしさもしっかり滲み出てます(笑)。
山内:スタジオジブリで言うところの背景のようなものなのかな。まっ、あんなに凄くはないけど(笑)。
━それは?
山内:ジブリって、セリフがない、例えば風が吹くだけのシーンでもすごく心象風景が表れてるじゃないですか。実はあれには、背景の画力や手で描くことでのリアルさがあると思うんです。そういった表層だけでなく、その下や地にあるもので自分たちならではを表せたらなと。。音楽的には、複雑でいろいろなことをやっているんですが、それを小難しく伝えたくはなかったし。まずはなによりもストレートに響いて欲しかったですからね。
金澤:分かりやすく、だけど、それをあからさまにはやりたくなくて。いわゆる、よくよく聴いたら、実はこうなってたんだ、と気づいてもらえるような…。昔、聴いていた曲でも、いま聴き直すと新しい発見やすごさに気づくことがあるじゃないですか。目指していたのはそこで。メロディ自体は分かりやすく、間口も広く、だけどよくよく聴くと深い。作り始めは、そんなイメージがありました。
 
 

カラッとしたものを目指したけど、結局はこうなっちゃう

━この「ポラリス」は、疾走感があってストレートなんだけど、実はいろいろなところで、いろいろなことをやってますよね。
金澤:それこそ今回は隠し味がたくさんありますよ。同じフレーズでもトラックを4つに分けて録ったり。その辺りはエンジニアの高山徹大先生の手腕です。おかげさまでトラックの数が大変なことになってますが(笑)。
加藤:メインのギターのフレーズにしても、フレーズを切って左右に振ったわけじゃなくて、ちゃんと手弾きで弾いたものですからね。エディットじゃないので、少し違和感や生感や人間ならでは感が出てるんじゃないかと。
山内:打ち込みやキラキラしたり、エレクトロなところはあるけど、生のグルーヴにはけっこうこだわったよね。今回の曲は非常にダイちゃんっぽいかなって。
━それは?
山内:特に顔が(笑)。くっきりして主張が凄くありそうなのに、実はガラスのような繊細な心を持っていて。だけど時には鋼鉄のような意志も見せる、みたいな。まさしく作ったダイちゃんそのものですよ、この曲は。
金澤:(笑)。意外と明るくないところも自分たちっぽいし。
山内:そうなんですよ。キラキラしてるんだけど、けっしてカラっとしていないという。
金澤:もっとカラッとなるイメージだったんですけど、気づいたらこうなってました(笑)。
━たぶんこの曲も他のバンドがやるともっとカラッとなるんでしょうが、そこもフジらしいなと(笑)。
金澤:それはバランスによるところも大きいかも。あえてエレクトロなキックに差し替えたり、でもサビではギターもギャンギャン鳴ってるし。絶妙なバランスで成り立ってると思うなぁ、この曲は。
━加藤さんはいかがですか?
加藤:ベースに関しては疾走感を大事にしました。おかげさまで録りの時も1回1回弾き終わる度に、”もういいんじゃないか?”ぐらい弾きましたから(笑)。意外とベースにも動きがあるんですよ。スッと聴けるけど、実は長さも5分ぐらいあるし。BPMも高いし、ライヴでのプレイが今から不安です(笑)。
山内:ついついシングルだと速い曲が多くなっちゃいますからね、俺ら。もう年齢的にもこれぐらいの高スピードの曲は最後にしたい(笑)。
━歌詞はいかがでした?
金澤:歌詞に関してはアニメサイドからテーマやイメージをもらって、それを僕なりに解釈して書きました。
━自分の未来へと飛び込んでいく感じや手繰り寄せる信念と力強さを全体的に感じました。
金澤:今までもアニメのタイアップは何度かありましたが、今回のように、闘うアニメの曲は初めてで。爽やかなメッセージがアニメ自体にあったので、その世界観に寄せて描きました。
━スタートというよりかはデパーチャー的な勢いを持った歌詞内容も印象的でした。
金澤:第一クールで使われることもあり、その出発感や発信感は意識しました。
山内:歌ってみてもサビの部分がすごく気持ち良くて。あと、自分が作った曲じゃないので、かえって気楽に歌えました。
━やはり作り手が自分じゃないと、歌う意識も違うと。
山内:他のメンバーの作った曲を歌う時の方が練習しますからね。自分のものにしてから歌う必要があって。だから、この曲も終始、楽しく歌わせてもらいましたよ。前向きになれる言葉もたくさんあるので、非常に上向きな気持ちで歌えました。
 
 

淡々とした中でも、きちんとあるドラマ性。それが「PRAYER」のテーマ

 
━「ポラリス」がキラキラと空にパーッと広がっていく印象だったのに対し、M-2.「PRAYER」は、打って変わって、地に足がついた土臭い楽曲ですね。
山内:あえて対照的な面を表してみました。こちらは、それこそ自分の歩幅に合わせた曲かなと。タイトルは「祈る人」って意味なんです。自分は特定の宗教をやっているわけではないんですが、この年齢になると、何かに対して祈ることが多くなるんですよね。それによって、その人や物の存在が、自分の心の中に確かにあったことに改めて気づかされたり。そのような気持ちを歌にしてみました。
━それを「ザ・祈る」みたいに表現しないところがこの曲の特徴かなと。
山内:祈るという行為にあまり特別感を抱かせたくなくて。いわゆる非現実感が出ちゃわないようにしたかったんです。何気ないことを案じたり願ったりする、それ自体を表したかったですからね。
━演奏的にはいかがでしたか?
加藤こちらは生楽器が中心で。それこそ「ポラリス」とは対照的でしたね。アーシーな感じだし。
金澤ハモンドオルガンも使っているんですが、聴いていて安心する、その辺りを目指しました。<全て置いていく>という意味も込もっていて、いい曲ですよね。深いことを考えなくても、ちゃんとそこに自分の世界があるという。この曲自体、しっかりと地に足がついてますからね。それもあって何の迷いもなく弾くことが出来ました。こういったタイプの曲って、実は自分たちの中でもありそうでなかったなって。メッセージも含めて。
━この曲にしても、今までだったら、もうひとひねりふたひねりしそうですが、それをあえて淡々と表しているのも印象深いです。
山内:その<淡々と>というのは、あえて意識しました。メロディや歌にしても、あえて抑揚をあまりつけないように、くどくならないように心掛けて歌ったし。大げさじゃなく、淡々とした中でもキチンとあるドラマ性。それがこの曲のテーマだし重要なところでもあったんで。
 
 
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ニューシングル「ポラリス」

2016.5.11 Out
・初回生産限定盤 CD+DVD AICL3099-3100 1,500(tax out)
・通常盤 CD AICL3101 1,000(tax out)
・期間限定盤 CD+DVD AICL3102-3103 1,300(tax out)※「マギ シンドバッドの冒険」描き下ろしスペシャルパッケージ仕様

amazonで購入

[収録]M1.ポラリス(作詞・作曲:金澤ダイスケ) M2.PRAYER(作詞・作曲:山内総一郎)
※初回生産限定盤:レコーディングドキュメント収録
※期間限定盤:ポラリス(TV edit)・『マギ シンドバッドの冒険』エンディングノンテロップ映像収録

LIVE INFOライブ情報

2016年5月31日(火)
SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY
「2016.5.31フジファブリックLIVE AT SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY」
OPEN 18:00 / START 19:00
ADV¥4500 / DOOR¥未定
【チケット発売中】LAWSON(Lコード:75085)・eplus・LOFT
【出演】フジファブリック
 
「フジファブリック LIVE TOUR 2016 "三日月ADVENTURE"」
5/17(火) 兵庫県・神戸 VARIT.
5/18(水) 京都府・京都 磔磔
5/20(金) 大阪府・大阪 BIG CAT
5/27(金) 茨城県・水戸 LIGHT HOUSE
6/3(金)  群馬県・高崎 club FLEEZ
6/4(土)  千葉県・柏 PALOOZA
6/8(水)  東京都・EX THEATER ROPPONGI
6/12(日) 岡山県・岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
6/17(金) 静岡県・浜松 窓枠
6/19(日) 岐阜県・岐阜 CLUB ROOTS
6/25(土) 熊本県・熊本B.9 V1
6/26(日) 長崎県・長崎 DRUM Be-7
※スタンディング 4,500円(税込)1Drink別
※発売中 
 
「フジファブリック 2マンライブ フジフレンドパーク2016」
7/1(金) 大阪府・Zepp Namba       ゲストアーティスト:Suchmos
7/6(水) 東京都・Zepp DiverCity(TOKYO) ゲストアーティスト:クリープハイプ
7/7(木) 東京都・Zepp DiverCity(TOKYO) ゲストアーティスト:KANA-BOON
※スタンディング 5,400円(税込)1Drink別
※一般発売 5月21日(土)
 
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