Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューDJサンドウ(ゲームサウンドデザイナー)&小渕世子(作曲家)(Rooftop2016年1月号)

宝塚歌劇を愛してやまない関西の音楽家夫婦

2016.01.04

 ゲームの効果音や音楽、舞台音楽の作曲家として活躍するDJサンドウ・小渕世子ご夫妻は、二人揃って宝塚歌劇の大ファン。業界騒然のあのコラボを実現させたり、宝塚ファンが集うバーを開店したりと、ヅカオタを熱狂させるニュースを提供し続けている。今回はそんな二人にインタビューを敢行。宝塚歌劇への熱い想いとその魅力をたっぷり伺いました。(interview:宮武孝至&平松克規[Loft PlusOne West])

すべては宝塚歌劇を盛り上げたいという一心から

──お二人はいつ頃から宝塚歌劇のファンなんでしょうか。
小渕:私は小学生の頃から30年来のファンですね。
サンドウ:僕は奥さんと知り合ってからなので、2000年くらいからですね。
──サンドウさんは何をきっかけにファンになったんですか。
サンドウ:奥さんが繰り返し映像や音楽を流してて、まず音楽が良いなと思ったんです。
小渕:作曲家として見ても、宝塚って音楽のクオリティが凄く高いんです。私も音楽として良いお手本にしてましたから。
サンドウ:だから最初はコンサートに行くような感覚で、劇場へ足を運ぶようになりました。でも次第に、出演者の立ち姿やドレスさばきの美しさ、衣装や髪型へのミリ単位のこだわりに気づいたんです。女の人が男の役柄で、舞台に立つことにここまで命を懸ける! 「こんな素晴らしい文化がこの世にあったのか!?」ってくらい感動して、もうダダハマりですね。
──小渕さんはファンになって何か思い出深い出来事はありますか。
小渕:私自身、ゲーム音楽と宝塚音楽のお陰で作曲家になれたと思ってるんです。だからいつかどっちにも恩返ししたかったんですよ。ゲームのファンと宝塚のファンって、オタク度のベクトルが凄く近いと感じてたし、手を組めたらハマると思ってたので自社のゲームを舞台化したいと思いました。そのために会社と宝塚に掛け合って、8年掛かりの交渉の末に上演されたのが、宝塚初のゲーム原作となる『逆転裁判 -蘇る真実-』(2009年)なんです。
サンドウ:これがホントに幸せで、もう死んでも良いと真剣に思いました。だから今はもう余生だと思ってるんです。
──早くないですか(笑)。
サンドウ:いやね、僕、『逆転裁判』の効果音を担当していて、作品自体にとんでもない愛があるんです。その作品を大好きな宝塚が舞台化してくれる。しかもそれが作られていく渦中にもいられた。初日の開演前から閉演後まで、幸せすぎて延々と泣き続けてたんですよ。これ以上の幸せはこの世にないって感覚でしたから。
小渕:私も幸せすぎて死ぬんちゃうか!? ってくらい泣いて。出演者も「泣きすぎでしょ!」って笑ってたんですよ(笑)。
サンドウ:そしてさらに宝塚を盛り上げるためにオープンしたのが、『ZUKA BAR ノバボサノバ』だったんです。
──それはどんなお店だったんですか。
小渕:宝塚歌劇ファンが宝塚歌劇の話をするための店です。壁中を宝塚のポスターで埋め尽くして、BGMも基本、宝塚しか流しませんでしたから。連れて来られた宝塚ファンじゃないお客さんとかは、捕獲して洗脳してました。布教の場でもありましたね(笑)。
サンドウ:宝塚の話ってなぜか普段、あまり大っぴらにできないんですよね。こんなに面白いんだから何とか広げたいなと思って。僕みたいな人たちが情報交換できる場を作りたかったんですよ。
小渕:今は二人とも本業があるので一旦休憩してますけど、ファンやOGさんや関係者が集う凄く楽しい場でしたね。有名な方もちょくちょく来られてました。
──本業がありながら、そこまでやられるお二人の原動力は何なんですか。
サンドウ:宝塚の舞台や文化ってめちゃくちゃ面白いんです。とにかくこれがなくなって欲しくないんですよ。だからもっとファンが増えて欲しいんです。1公演に10回行く濃いファンはもちろんのことですが、1公演に1回行くライトなファンを100万人増やしたいんですよ。
 

真っ直ぐ観ても、斜めから観ても面白い宝塚歌劇

──そんなお二人が考える宝塚歌劇の魅力って何でしょうか。
サンドウ:まずオーケストラによる生演奏ですね。今の歌番組はカラオケや当て振りが基本ですけど、昔の歌番組って新人のアイドルでもオーケストラをバックに唄ってたんですよ。贅沢ですよね。そんな昔の歌番組みたいなことを宝塚では未だにやってるんです。
小渕:しかもその曲調は70年代の洋楽に影響を受けた、80年代の日本の歌謡曲で止まってる。音楽ジャンル的にも渋くて希少価値の高いものが、オーケストラの生演奏で毎日のように鳴ってるんです。
サンドウ:あと、ひとつの舞台に立つ人数も凄い。宝塚の舞台ってとにかく横に長いんです。そのひとつの舞台に出演者が80人いるんです。それだけでも凄いのに、4月の公演ではそこに新人が40人加わって120人がズラッと並ぶ。宝塚を観てしまったら、他の舞台を観に行ってもスケールが小さく感じてしまいますから……。
小渕:ブロードウェイの大作って言われてる作品でも、出演者は多くて40人くらいですから。
──世界的に見ても豪華な舞台なんですね。
サンドウ:そうなんです。でも宝塚歌劇って、やりすぎてて笑ってしまう部分もあるんです。101年もやってるから、「私たちが観に行っても大丈夫?」的な格調高いものと思われがちなんですけど、実際に観てみるとほとんどの人が「えー!?」って思うはずなんです。だって今の時代に、光GENJIみたいなバンダナ巻いて、サイヤ人みたいに髪の毛逆立ててる演目もあるわけですから(笑)。
小渕:他にも80年代のハードロックくさいギターをかき鳴らしながら、スパンコール付きのラバースーツで出てきますから。ホント一歩間違えたらお笑いなんです。
サンドウ:真っ直ぐ観ても、斜めから観ても面白いんですよね。
──僕自身、「宝塚歌劇はカッコいいもの」として観なければならないと思ってたんですが、そういう視点で観ても良いんですね(笑)。
サンドウ:もちろん真っ直ぐ純粋な見方だけをしてる人もたくさんいます。それも正しいんです。僕らも斜めから観つつも、感動して泣いたりカッコいいって感じたりしてますから。
小渕:それでもどうしても笑ってしまうおかしな場面があるんですよ。その時はお客さん全員、肩震わせて笑いこらえてますから。
サンドウ:でもなんでそれで感動できるのかって言ったら、出演してる人が普通ではないからなんです。倍率20倍の音楽学校へ2年間通った容姿端麗の特別な女性がやってるからなんです。どんなヘンな姿をしてても、芯の部分がカッコいいんですよ。
小渕:綺麗で、踊って唄える人がヘンな衣装を着てる。それでカッコいいんです。おかしいのにカッコいいんです。それってめちゃくちゃレベルが高いことなんですよ。それを毎日のようにやってるのが宝塚歌劇なんです。
 

ビギナー・玄人どちらでも楽しめるイベント

──さて、ロフトプラスワンウエストで定期的にイベントを開催していただいていますが、どんなことをされてるんですか。
サンドウ:宝塚のオモシロ場面を紹介するトークや、ピアノ漫談やイラストレーションなどのライブ。あと、宝塚のポスターを使ったクイズ大会とかをやってますね。
──イベントの手応えとしてはいかがでしょうか。
小渕:バーを閉める時に常連さんから「定期的に集会をしてくれ!」って声があったので始めたんですけど、フタを開けてみたら知らない人が半分くらいいてありがたかったですね。あと私ら笑わそうと思って、テレビでは絶対にできないギリギリのネタばっかりやってるんです。だからそこで笑いが起きると、「やっぱりみんな面白いと思って観てたんやん!」って個人的に嬉しくなりますね。
──イベントの宝塚ビギナーと玄人の割合はどれくらいなんでしょうか。
サンドウ:割合で言ったら玄人の方が多いです。でも宝塚を知らないビギナーの方にも絶対に笑えるようにしてるので、気軽に来て欲しいです。玄人の方には同じものが好きな、交流の場として使っていただければなと思ってますね。
──今後のイベントの展望はありますか。
サンドウ:親交のあるOGさんを呼びたいですね。辞めてすぐの方から何十年の方まで、さまざまいらっしゃいますし。一緒にトークや思い出の曲を1曲唄っていただくだけでも、イベントとして華も出ると思うので。
小渕:あとやっぱりヅカオタって、同じ公演を何回も観てるから歌・台詞・ダンスを覚えてて、みんなそれを真似したいんですよ。でも劇場での公演中にはできないじゃないですか。だからもういっそのこと、みんなで唄うコーナーとかもやりたいですね。
──いろいろと楽しみにしております! それでは最後に、1月27日のイベントに来ようか迷っている方々にメッセージをお願いします!
サンドウ:これまでの総集編的なイベントにしようと思ってます。過去の公演で特にウケたところをやるので、初めての人が来るのにはもってこいです! 是非来てください!
小渕:凄い人が来るかもしれませんし、来て損はさせません。迷ってるなら来るべきです!
 

LIVE INFOライブ情報

とんぼり文化祭 2016冬
ZUKA BAR ノバボサノバ presents『ヅカオタお茶会 vol.4』
【宝塚オモシロ場面紹介】DJサンドウ/小渕世子
【イラストショー】牧彩子(すみません!今回はお休みです)
【ライブ】TUKKA(ヴァイオリン&ピアノ)/青米星優梅(ピアノ漫談)
2016年1月27日(水)大阪ロフトプラスワンウエスト
OPEN 18:30/START 19:30
前売 1,500円/当日 2,000円(共に飲食代別・要1オーダー500円以上)
前売券はイープラス、ロフトプラスワンウエスト店頭&電話予約にて発売中!
*ご入場はイープラス→店頭電話予約→当日の順となります。
電話:06-6211-5592(16時〜24時)
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