Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューDJ TASAKA(Rooftop2015年9月号)

路上から生まれた「戦い」と「愛」の作品、DJ TASAKA 6年ぶりのアルバム『UpRight』

2015.09.01

目の前の人にガツンって伝えたい

 
――歌詞が入った曲があるのも大きな変化ですよね。
DJ TASAKA:タイトルだけでやれることかもしれないんだけど、いやいやいや言わなきゃダメだろって。今までのやり方だと、結局わかる人だけわかるっていう。自分もそこに甘えがあった。今までは、目の前の人に伝わらなくても遠い場所の誰かに伝わるかもしれないって甘い希望のようなことを思ってやってた部分もある。そういう、想像力をかきたてるような表現ももちろん大好きだけれども、今はそれ以上に、目の前の人にガツンって伝えたい。ワンクッション置いた想像の楽しみより、ガツンとストレートに。そういう音楽がやりたかった。
――言葉が出てきちゃったんでしょうね。
DJ TASAKA:そうそう、出てきちゃったんだね。今作で声を入れてくれた中で、MC JOEさんだけは昔から知ってて。俺が中学の頃、家を抜け出して行ってたクラブで既にステージに立ってた人。当時、俺は客だから話す機会はなかったし、その後もJOEさんはヒップホップ、俺はテクノって違う場にいたから会うこともなく。それがカウンターの現場で再会して、嬉しかった。で、歌詞は JOEさんがラップした曲だけJOEさんが書いて、あとは俺。JOEさんと「月曜から金曜までハードで面倒臭い生活して。そういう人達のパーティーって凄い楽しいよね」って話をして、そしたら「やることやる そんでパーティー」っていう言葉が出てきた(「BLEND iz beautiful」)。Kinueちゃんとやった曲(「Counter Side」)は、女の子がカウンターに立ってる視点を歌詞に書いてみようって思って。で、「上手い 迂回」とかね(笑)。繁華街の歌でもあるんだけど。「上手い 迂回」って言葉を入れられたのは今回一番嬉しいかも(笑)。
――もう1曲、Kinueさんがヴォーカルの「Edge of Panic」の「先頭まですでにパンパン」もいいよね。国会前の抗議で警官が制止する中、みんな先頭まで行ってる姿が浮かぶ。
DJ TASAKA:あれはスケベ曲でもあって(笑)。
――それかい!(笑)
DJ TASAKA:でもホントにね、一緒に作った人は同じ景色を見てたから、どんな言葉を歌いたいかわかるんだよね。SoRAさんは、俺からしたらSoRAさんってプロテストの現場でやってる人だから。反原発デモの現場とか、そういうイベントとか。だからこそアルバムでは、「想像力を遠くに飛ばせるようなことをやりたい」って、SoRAさんから出てきたの。なるほどって思って。だからネイティブアメリカンの言葉で。元々凄く雰囲気のある声だし、彼女の存在やムードが自分の音楽に入ってくるっていうのはとてもエキサイティングで。今までだったらやれなかったよね、全く違うジャンルだし。でもやれたのは、この2、3年だからこそで。この2、3年の出会いと経験で俺も変わったからで。
――ジャケットのアートワークもそうやって出会った人達。
DJ TASAKA:竹川宣彰さん、Akira the Hustlerさん、千原航さん。それまでは失礼ながら知らなくて。竹川さんの絵で、「新大久保昆虫大図鑑」っていうのがあって、虫に例えてるの、カウンターを。昆虫視点(笑)。竹川さんも差別デモに対して怒ってるんだけど、好奇心もあったんだよね。だから表現に昇華できるんじゃないかな。出口は一緒っていうかさ。写真にしろ、絵にしろ、歌にしろ、同じものを見てきた人は同じ感覚があるんだろうなって。するとさ、ジャンルなんかにこだわってるのはつまんないって思うよね。それより何を見てきたかってことが大事。
――だから仲間内の内輪で作ったってムードじゃなく、いろんな人、バラバラな人が、一つだけ通じてる思いがあって集まって。各々が個性を発揮してて。だから最初に聴いた時からデモみたいなアルバムだなって思った。
DJ TASAKA:あぁ、はいはい。デモっていうのはそうかも。怒ってるしヘヴィだけど希望があるし、楽しいアルバムだと思うし。あと解散するのが前提っていうか、「お疲れ様でした!」って自分の家や生活に戻るわけだしね。
――今作を聴いて、全然違うジャンルだし音だけど、eastern youthの最新作『ボトムオブザワールド』と似た感触だって思ったし。あのアルバムも集大成のように幅広いし、そしてヘヴィ。それなのに前へ進む躍動感がある。希望がある。デモやカウンターで街を歩いた人が作った音楽だなって。それはTASAKAさんも一緒だし。
DJ TASAKA:まだ聴いてない、絶対聴くよ。吉野さんや二宮さんもそこにいた人だもんね。あ、和歌山のライブハウスで、easyern youthのポスターと俺のポスターが並んで貼られてたとこがあって。嬉しかったな。
 

MAKE LOVE , NOT WAR

 
――街という現場を見た人の音楽が、遠くのいろんな人のとこまで飛んで行けばいいなぁ。今作はその可能性が凄くある。それはポジティブな音楽だからで。ポジティブっていうのは怒りと、その先に希望があるからなんだと思うけど……。
DJ TASAKA:怒りと希望は同等っていうかね。
――TASAKAさん、パブリック・エナミーの「FIGHT THE POWER」とドナ・サマーの「I FEEL LOVE」の2曲について、インタビューで話したいって言ってたけど、それも「戦い」と「愛」っていう?
DJ TASAKA:遠藤さんも来てくれた『UpRight』のリリースパーティーで思ったことなんだよね。「BLEND is beautiful presents」の第二回として開いたパーティーで、映画「UNITED IN ANGER ―ACT UPの歴史―」も上映して。あの映画は80年代のアメリカで、エイズに対して無策の政府に当事者達が声をあげて戦ったドキュメンタリーで。映画を観た時、80年代の彼らの思い、行動が、今の日本の俺に凄く響いたの。プロテスト行為、自分達の権利の為に行動することって、なんていうか、凄くセクシーな行動だと思ったんだ。そしたらさ、「MAKE LOVE , NOT WAR」って、スローガンとしては知ってた言葉が実感としてスコーンと自分の中に入ってきた。この映画はSEALDs世代の若い子達に是非、観てもらいたい。で、俺は3.11以降、気持ち的にかけられない曲もあって、「I FEEL LOVE」もそう。でもそんな映画を上映したリリースパーティーで、何年かぶりにドナ・サマーの「I FEEL LOVE」をかけんだよ!かけたい!って思ったんだよ!
――うん。高揚したし、浄化された感覚だった。
DJ TASAKA:うん。俺はパブリック・エナミーの「FIGHT THE POWER」とドナ・サマーの「I FEEL LOVE」という対極の2曲が大好きで。「FIGHT THE POWER」は怒りの曲だってすぐわかるじゃん。もともと14才ぐらいの頃に「DO THE RIGHT THING」を観て知って、ダイレクトにわかったの。「400年の間、虐げられた俺達は~」って。そういう怒りなのかって子供でもわかる。その怒り、戦い方が3.11以降の自分と重なった。でも同じように大好きな「I FEEL LOVE」は、ダンスフロアで上手いDJがセットの中で使って初めて本質をつかめる曲だと思っていて。音楽鑑賞、ではなく、体験というのが大事な音楽というか。音楽鑑賞的な側面では、ともすると、娯楽、ポルノ的な快楽のダンスミュージックってフォルダーに入れられがちだったり。でもね、俺はたぶん、こういう状況だからこそ「I FEEL LOVE」をかけたかったんだなって。かけたくなるタイミングを自分で作りたかったんだなと。それをあの夜に実感した。あの夜、フロアにはいろんな人がいて。最初に話した「BLEND is beautiful presents」の一回目、東京大行進のアフターパーティーの時のような、いや、それ以上にいろんな人がいて。各々の仕事とか人種とか性別とか考えてることとか、そういうのを超えた熱気があった。みんな普段はハードな世の中でハードな日々を過ごして、だからこそセックスの快楽をエレクトロミュージックに乗せた「I FEEL LOVE」って曲の価値を実感できた。
――雑多な人間のプリミティブな力を、音楽が引き出したんだね。
DJ TASAKA:または雑多な人間の力によって音楽が引き出されたっていうね。それはいい状態だと思う。もうさ、「I FEEL LOVE」をかけ続ける、その為に「FIGHT THE POWER」も続けるっていう。「I FEEL LOVE」をかけたあの夜の熱気、幸福感、快楽。まぁ、それはリリースパーティーで実感したことだから今作には間に合わなかったかもしれないけど、次にバーンと出せるかもね。そういう意味でもこれからなんだよ。
 
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DJ TASAKA
「UpRight」

URRCD-001 / 1,836yen

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1. INTRO -Let’ s Keep Our Head Up-
2. BLEND iz beautiful feat.MC JOE
3. Smash Em
4. Edge of Panic feat.Kinue
5. UnderGuard
6. Out in the Park
7. Free Those Freaks
8. Mitakueoyashin feat.SoRA
9. C Side Wins
10. Counter Side feat.Kinue
11. No!No!No!
12. Attendance

LIVE INFOライブ情報

UpRight Release Tour
 
9/4(金)Solfa 東京
9/5(土)DAZZBAR 静岡
9/11(金)BIBROS 愛媛
9/12(土)Django 香川
9/18(金)METRO 京都
9/21(月祝前)SHAFT 仙台
9/26(土)OctBaSS 茨城
10/3(土)brick 福岡
10/12(月祝)oath 東京
10/16(金)MAGO 名古屋
10/17(土)OPPA-LA 江の島
10/20(火)AIR 東京
10/24(土)熱血社交場 沖縄
 
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