Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューDischarming man(Rooftop2015年7月号)

純真なパーソナリティがこぼれ落ちて生まれた『歓喜のうた』

2015.07.01

またライブを見てもらえるようなリベンジ環境を作りたい

──「man」の冒頭で聞かれる結婚式のスピーチらしきものは蛯名さんのお父さんの声ですか。
蛯名:そうです。ちょうど10年ぐらい前に死んじゃって。肉声があれしかなくて。無理やり入れました。兄の結婚式の時なんで、20年ぐらい前ですかね。もっと彼の個人的な言葉を聞きたかったんだけど、もの凄い定型文言でウケる(笑)。その感じが臆病な蛯名家を物語ってます。あとタイトルも“男”って意味と名前が“万太郎”だったんでダブル・ミーニング。
──爽快感溢れる「かわいいじぶん」で聴かれる記名性の高い現動さんのギターは楽曲にダイナミズムと深い彩りを与えていますが、どんな経緯でオファーを?
蛯名:COWPERSの『LOST DAYS』で吉村さんが1曲参加してるじゃないですか。あの感じです(笑)。あれを真似しただけです。いろいろ話し合って「かわいいじぶん」で弾いてもらいました。実際にあそこの部分だけ空気が変わると言うか、江別(SMASH STUDIO)と宇宙が確実に繋がってましたね。ボアドラム並みに。それだけでも聴く価値があると思う。あっさりワンテイクで帰っていきましたけど。
──もし吉村さんが本作を聴いたら、何と言うと思いますか。
蛯名:たぶん関わってないってだけでこき下ろされると思う(笑)。でも、前作よりはいいって言ってくれるような気がする。なんとなく。
──Discharming manを始めて今年で10周年。これまでの歩みを振り返って感じるのはどんなことですか。また、今の活動のペースは理想的ですか。
蛯名:全然理想じゃないっす。もっとライブをいっぱいやりたい。でもどうしても仕事休めなかったりで、全然できてないっす。どんどんできなくなってて日々葛藤…。そんな中で、人には恵まれてる。10年振り返るとそこばっかり。そこしかないと言うか、結局一人じゃ何もできないから、それが10年経ってどんどんどんどん分かってくる。かと言ってキウイをまたやったりとかはないっすよ(笑)。たまにもしあの4人が集まったらどんな音鳴らすかなぁとか、そういう想いも全部Discharming manとして乗せてます。
──10年前と今を比べて、得たものと失ったものを挙げるとすればどんなことでしょうか。
蛯名:ん……、失っただけ得たのかな。物理的に会えない人とか会いづらい人とか、そういうのだけかな、失ったのは。それがあって得てる。そこに全部あるような気がしてる。でもよく分からんす。
──14年前、キウイロールで「いくつになっても大好きなのは自分だけ」、それが「本当のこと」と唄っていた蛯名さんが、「Dis song」では「君と話をしよう/君とぶつかってみよう/そこで輝くのがホントのこと」と唄っています。これは殻に閉じこもり気味だった臆病な青年が他者との摩擦から生まれるコミュニケーションに価値を見いだしたように受け取れます。「かわいいじぶんを捨てる」(「かわいいじぶん」)というフレーズにも同じことが言えると思うのですが、いかがですか。
蛯名:オレ来年40歳になるんですけど、人としての成長が普通の人と20年ぐらい遅れてるような気がしてて。当たり前のことがやっとこの歳で分かってきたと言うか、だからみんな大人だなぁって。自分の感覚がいつも全然子どもでビックリする。でも20歳ぐらいにはなれた気がしてて。成人式みたいな(笑)。それぐらいの節目感はありますね。
──今はもう次のアルバムのことを考えているそうですが、具体的にどんなアプローチの作品を思い描いていますか。
蛯名:このインタビューの直前にベースのエガワさんが抜けることが決まっていて、まぁ10月末までは今のメンバーでやるんですけど、その後は残ったメンバーでやるのか、それとも新ベーシストを入れるかをすげぇ考えてて。でも昔からやりたい音像としてジオラマのようなものと言うか、一つ一つの音は乾いてて軽いんだけど、合わさると広く重くなるみたいなのをやりたいと思って始めたDischarming manなんですが、いつもそうならない(笑)。意外とTortoiseの『TNT』とか常に理想にはあるんだけどなぁ、なかなかどうして…。
──40代の展望は?
蛯名:ヤバいですよね、40歳。髪も真っ白だし。疲れ取れないし。でもそんな中で来年もできたらアルバムを作りたいとは思ってて。あとは今年に入ってからライブがちゃんとできるようになってきたんで、ここ何年かダメだったライブを見た人とかにもう一度見てもらえるようなリベンジ環境をもっともっと作らないとな、とは思ってます。
 

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『歓喜のうた』

5B records 5B-15
定価:2,200円+税
2015年7月15日(水)発売

amazonで購入

【収録曲】
01. halfmorning
02. 歓喜のうた
03. 二つのモノレール
04. ダウンバイロゥ
05. ボトムズ
06. なおさら
07. 永遠の果て
08. かわいいじぶん
09. man
10. Dis song

LIVE INFOライブ情報

the act we act presents 『nurse green vol.29』
2015年8月22日(土)名古屋 HUCK FINN
出演:THE ACT WE ACT/bed/6eyes/Killerpass/Discharming man
OPEN 18:30/START 19:00
前売 2,000円/当日 2,500円(共にドリンク代別)
問い合わせ:HUCK FINN 052-733-8347

5B records presents『Dream Violence Vol.29』
〜Discharming man 10th anniversary

2015年9月12日(土)新代田FEVER
出演:zarame/LOSTAGE/Discharming man
OPEN 18:30/START 19:00
前売 2,800円/当日 3,300円(共にドリンク代別)
チケットはLAWSON(L:70270)、e+、FEVER店頭にて発売中。
問い合わせ:5B Records(guilty_of_being_yellow@yahoo.co.jp)

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