Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー酒井一圭(純烈)×久保 隆(日本クラウン/純烈ディレクター)(Rooftop2015年2月号)

平成を代表する純和製歌謡コーラス・グループ、新章突入!
2015年の勝負曲『星降る夜のサンバ』のディレクターはなんとex.有頂天のクボブリュ!

2015.02.02

 メンバーが戦隊ヒーロー番組出身のイケメン俳優という特性を活かして去年は"演歌男子"ムーブメントの一翼を担い、演歌・歌謡界における異色のコーラス・グループとして着々と活躍の場を広げている純烈(JUNRETSU)。そのバンマスである酒井一圭から編集部に電話があったのは昨年末。彼らの通算5作目となるシングル『星降る夜のサンバ』から関わることになった日本クラウンの担当ディレクターが、なんとあのKERA率いる有頂天のベーシスト、クボブリュこと久保 隆だという。有頂天と言えばライブの主戦場は新宿ロフト、酒井自身もかつてロフトプラスワンのプロデューサーを務めた経緯もあり、是非久保との対談をお願いしたいと依頼を受けた。この両者の対談から、常に人との縁を大切に育んできた純烈の8年の歩みと未来が垣間見られるのではないだろうか。(interview:椎名宗之)

純烈は動きが派手で躍動感のあるほうが面白い

酒井:今日はお呼び立てしてすみません。久保さんとじっくり話すのは、実は今日が初めてなんですよね。
久保:前任の担当から純烈を引き継がせてもらって、まだメンバーとコミュニケーションをしっかり取れていない状態で今回の『星降る夜のサンバ』の制作を進めたんですよね。今までの流れを僕なりに見聞きさせてもらい、プロダクションと話をしながら制作を優先していたもので、メンバーとの対話が後手に回ってしまって。
酒井:日本クラウンの移籍第1弾シングルだった『恋は青いバラ』は『星降る街角』みたいな踊れるムード歌謡で、目立ってナンボだということで宝塚みたいな衣装を着て派手に踊りまくるPVも作ったんです。その『恋は青いバラ』を作曲して下さった中川博之先生はロス・プリモスの『ラブユー東京』を手がけた巨匠で、去年お亡くなりになったんですけど、純烈のことを凄く可愛がって下さったんですよ。そんな中川先生に「純烈はここまで頑張ってきたんだし、もうチャラチャラ踊るんじゃなく、ここで一発ロス・プリモスみたいに直立不動の王道路線で唄ってみるべきじゃないか?」と言われたんです。それで作曲して下さったのが前作の『スターライト札幌』なんですね。今回はそれを受けて、もう一度“踊る純烈”で行く、ディレクターさんも変わるということは聞いていたんですが、実際に久保さんとお会いしたのはレコーディングの時でしたよね。
久保:そうですね。僕はそれ以前に町田の鈴木楽器のイベントで純烈を見ていて、直立不動で唄うスタイルもあれば、客席へなだれ込むスタイルもあるし、器用なグループだなと思って。ただ見た目もカッコいいわけだし、見る側としては動きが派手で躍動感のあるほうが面白いんじゃないかと僕は思ったんですよ。
──純烈の担当を引き継ぐことになって、戸惑いみたいなものはありませんでしたか。
久保:演ずる側が自分の表現に責任を持つバンドやシンガー・ソングライターをメーカーとしてサポートする仕事をやってきたので、作詞家、作曲家、アレンジャー、歌手というセパレートしたものをつなぎ合わせていく作業は実は今でも苦手なんです。主役である歌手以上にこちらが決定権を持っていいのか? みたいな感覚があって。
酒井:分かります。『星降る夜のサンバ』の作詞、作曲、編曲の発注は、久保さんはどれくらい関わってるんですか。
久保:純烈が日本クラウンに移籍してきたのは作詞家の水木れいじ先生の勧めだったじゃないですか。だからまず水木先生の作詞は外せない。そして作曲は中川先生亡き今、誰にお願いするのがベストなのか。そこからのスタートでしたね。
酒井:今回作曲して頂いた大谷明裕さんとは、一度ラジオ番組で共演したことがあるんですよ。大谷さんがシンガー・ソングライターとして出演された時に僕らも出ていて、ご挨拶させて頂いたんです。その大谷さんがレコーディングの時にいらしたのでビックリしたんですよね。
久保:大谷さんに作曲を依頼した時、純烈とは一度会っていたから話がスムーズだったんですよ。
酒井:編曲の矢野立美さんを起用したのはどんな流れで?
久保:曲調をどうするか考えて、演歌のアレンジャーじゃないだろうと思ったんですよ。ビートを強く出すなら矢野さんが適任だろうと、大谷さんと一緒に決めたんですね。
酒井:へぇ。矢野さんは2枚目のシングル『キサス・キサス東京』の時に初めてお世話になったんですが、僕らとしては『超電子バイオマン』や『特警ウインスペクター』といった特撮ヒーローものの音楽で馴染みが深かったんです。矢野さんが手がけてきたその手の主題歌は、どれも宮内タカユキさんが唄ってらっしゃるんですよ。
久保:ああ、そっちのつながりが最初なんだ?
酒井:宮内さんと串田アキラさんのトークライブを僕がロフトプラスワンでプロデュースしたり、仲良くさせて頂いてたんです。実は宮内さんは内山田洋とクール・ファイブのボーヤもやっていて、前川清さんが抜けた後に期間限定でボーカルとして参加したことがあるんですよ。
久保:ホントに!? それは知らなかったな。
酒井:だから深夜にCMでバンバン流れていた「東京砂漠」は宮内さんが唄っていたんですよね。そんな宮内さんに「お前、矢野さんに編曲してもらえるなんて凄いことだぞ!」って言われたんですよ。ホントに仰る通りで、『キサス・キサス東京』も今回の『星降る夜のサンバ』も、僕らのイメージに合った素晴らしいアレンジだったんです。
久保:そうやっていろいろとつながりがあるんですね。
 

練習以上のことが絶対にできないのが本番

酒井:つながりということで言えば、最初のシングル『涙の銀座線』の作詞は鹿島潤さんという方で、僕の友達のライターなんです。鹿島さんは『スコラ』の編集をやっていて、僕は10代の頃に熟読してよくお世話になっていたんですよ(笑)。その感謝の意味も込めて、是非詞を書いて頂けないかとお願いしたんです。あと、僕が映画学校の仕事をしていた流れで知り合ったのが『涙の銀座線』の作曲の琴姫さんで、僕とあまりにウマが合うので、思い切って曲を付けてもらったんですよね。当時、いろんなレコード会社に純烈のプレゼンをしていて、ムード歌謡に限らずにバンドっぽい曲とかSMAPっぽい感じの曲とか、いろんなタイプの曲を5曲くらい用意したんです。その中で一番評判が良かったのが『涙の銀座線』だったんですよね。それで先にPVを作ることにして、改めてプレゼンをし直したら「ああ、こういうことがやりたいのか」と理解してもらえて、契約に至ったんですよ。
久保:そういうことだったんだ。
酒井:2枚目の『キサス・キサス東京』の時は歌謡界の大御所の先生に曲を依頼したかったんです。ちょうどその頃、琴姫さんから「ウチの旦那が水木れいじという作詞家なんです」って聞いて。調べてみたら、天童よしみさんや氷川きよしさんなどの作詞を手がける巨匠で、その年の日本作詩大賞を受賞されていたんですよ。「琴姫さん、それを早く言ってよ!」って思いましたもん(笑)。そういういろんな人たちとのつながりのお陰で今日の僕らがあるんです。
久保:へぇ。面白いですね。
酒井:久保さんとのつながりもまさかのロフトっていうキーワードがあって面白いですよ。ディレクションして頂いた『星降る夜のサンバ』は純烈史上最高傑作だと思うし、なぜそこまでの作品を作れたのかと言えば、ディレクターが久保さんだからなんです。ミキサーの方とか他のスタッフはずっと同じで、唯一今までと違うのはディレクターさんだけだったんですから。久保さんとはレコーディングまで直接打ち合わせをしたことがなかったのに、「これぞ純烈!」と言えるピタッと噛み合った曲がこうして完成したわけだから、久保さんって凄い人だなと思って。特に引き立ったのが白川(裕二郎)のボーカルですよね。服で言えば丈の部分の微調整を久保さんに細かくやって頂いたと言うか。
──久保さんが有頂天のベースのクボブリュだったのは後から知ったんですか。
酒井:年末に日本クラウンの片岡(恵介)さんという偉い方と話していた時、「久保ちゃんはバンドのベーシストなんだよ」って聞いたんです。「何てバンドなんですか?」って訊いたら、それがKERAさん率いる有頂天だったわけですよ。もうビックリしちゃって。しかもちょうどその頃、有頂天の再結成で新宿ロフトのステージに立っていたんですよね。このつながりは凄いぞ! と思って、僕がロフトにいた縁で『Rooftop』編集部にその場で電話して、久保さんとの対談を直談判したんです。
久保:なるほど。でも、『星降る夜のサンバ』はそれまでの曲と特に音の違いはないと思うよ。たまたまグループの志向性と合っただけじゃないですか? 技術的には何も特別なことはしてませんからね。
酒井:いや、絶対そんなことないですよ! だって、白川の仮歌のへぼさと仕上がりの凄さは歴然としてますからね(笑)。
久保:それはきっと、白川君が急成長したってことじゃないかな?
酒井:まぁ、『涙の銀座線』の頃に比べれば成長はしてるでしょうけどね。
久保:今回、矢野さんを始め長年純烈を知る人たちが揃って「彼らは歌が上手くなったよ」って驚いていたんですよ。僕が久保マジックみたいなものを仕込んだわけじゃなくて、安定した歌唱力がベースにあったからいい仕上がりになったんです。第一、技術で補填するのも限界がありますからね。
──久保さんがベーシスト的な視点から唄い手にアドバイスをするようなことはあるんですか。
久保:歌で大事なのはリズムですよね。あとは一緒に唄えるかどうか。演歌でも何でも、一緒に唄って辛い場合は歌手が上手すぎる。こっちの歌が上回る場合は歌手のレベルがちょっと低い。リズムがキッチリと合えばブレスするポイントも合って、お互いが気持ち良く唄えるんですよ。そこが命かな。
酒井:長くビブラートを効かせて唄えばいいってもんじゃないし、いいタイミングでブレスしてリズム通りに正しく唄うのが大切なんですよね。プロフェッショナルの方は常に冷静に唄っていると思うし。
久保:それが練習でちゃんとできれば、本番でもできるからね。練習以上のことが絶対にできないのが本番で、ムリのない歌唱法を事前にどれだけ習得しているかが大事なんですよ。練習で仮に100の力を出せたとしたら、本番は60くらいの力がMAXだと思うんです。40の減点でもお客さんが満足できる状況にするためには、練習の100のレベルをどれだけ高められるかなんですよ。僕らみたいな凡人は練習を怠るとロクなことがない。
酒井:有頂天の再結成にあたって、どれくらい前から練習していたんですか?
久保:リハビリと称して、半年以上前から練習してましたよ(笑)。
酒井:会社員として僕らのレコーディングに携わりながら(笑)。
久保:そうそう。ライブの曲目が決まってからは、1日に1時間はベースを弾くことにしたんです。そうじゃないと筋肉が衰えちゃうし、本番の1曲目でピックを落としそうになったりするから(笑)。
酒井:やっぱり年齢の衰えってあるものですか。
久保:絶対ある。昔弾けたものが弾けないこともあるし、練習の立ち位置が昔と違うだけでなんか弾けなくなったりしてね。だから表舞台に立つ側は大変なんですよ。
 
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星降る夜のサンバ

日本クラウン CRCN-1849
定価:1,143円+税
2015年1月7日(水)発売

amazonで購入

【収録曲】
1. 星降る夜のサンバ(作詩:水木れいじ/作曲:大谷明裕/編曲:矢野立美)
2. SAYONARA SAPPORO(作詩:酒井一圭/作曲:歌星 錠/編曲:NAO2・夏目哲郎)
3. 恋はおとぎ話[唄:純烈&西田あい](作詩:田久保真見/作曲:田尾将実/編曲:石倉重信)
4. 星降る夜のサンバ(オリジナル・カラオケ)
5. SAYONARA SAPPORO(オリジナル・カラオケ)
6. 恋はおとぎ話(オリジナル・カラオケ)

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