Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューカンパニー松尾「テレクラキャノンボール2013」大ヒット記念インタビュー(web Rooftop2014年5月)

ヤルかヤラナイかの人生なら、俺はヤル人生を選ぶ

2014.05.01

「君はもうテレクラキャノンボールを見たか?」──1997年から続くカンパニー松尾監督の人気AV作品「テレクラキャノンボール」のシリーズ第5作が劇場版となって今年2月に渋谷オーディトリウムで公開されるやいなや、その評判は口コミとネット上を駆け巡り、予想を遥かに超える大ヒットを記録した。
 東京から札幌まで、車3台、バイク2台でレースしながら駆け抜け、テレクラやナンパ、各種出会い系を駆使して現地素人をキャッチしてハメ倒すという、AV史上最速最強決定戦を制するのは一体誰なのか? そして、人はなぜ走り、なぜハメて、なぜ生きるのか?
 大ヒットを祝う東京ロフトプラスワンでの凱旋上映イベント(5/12)と、ロフトプラスワンWESTでの大阪初上映イベント(5/16,17)に向けて、カンパニー松尾監督に語っていただいた。(Interview:加藤梅造、一木義彦)

●笑っちゃいけないのに笑っちゃう

RT1405_Matsuo_photo.jpg
(カンパニー松尾監督)
 
──まずはテレクラキャノンボールの歴史からお伺いしたいのですが、1997年に第1作を撮ったきっかけは?
松尾 もともと僕がバイク好きで、テレクラも90年代からはまっていたので、「夏に好きなバイクでテレクラ行って素人娘とハメハメしたい!」という私利私欲から生まれた企画です。その前からテレクラものAVは撮っていたけど、どうせやるなら一人じゃなくて、他のバイク乗りと一緒にのんびりツーリングしながらやろうかなと。それが回を追う毎にだんだんガチのレースになっていった。花岡じったというのが非常に負けず嫌いで、それが1作目で発覚したんですが、1日目の仙台で花岡さんがすごいデブの女の子をつかまえたんだけど、僕の方はけっこうエロい素人をつかまえた。それで夜にみんなでプレビューしていた時に、僕のハメた女を見た時の花岡さんが地団駄踏んで悔しがった。そこから「人よりいい女をつかまえたい!」という勝負になっていったんです。
──テレクラキャノンボールは第3作まで作られて一旦シリーズが終わりましたが、それが2009年に再開したのは?
松尾 ちょうど『AVグランプリ』という各メーカーが作品を出し合ってグランプリを決めようという企画があって、その時、久々にやろうと思って作ったのが『テレクラキャノンボール2009』で、エンターテイメントとしての出来がよかった。いろいろ理由はあって、レースとしてのルールがきちんと確立していったのと、みんなの撮影テクニックも上がった。さらに僕らより下の世代が参加することで、AV旧世代と新世代の戦いになっていった。もちろんバクシーシ山下が相変わらず変な女ばっかりつかまえたりとかも(笑)。
──『2009』はより映画的なものになった感じですか?
松尾 いや、もともと映画にする気は全くなかったんです。『2009』がすごく評判がよかったのでいろんな人が観てくれたんですが、その中に今回劇場公開した渋谷オーディトリウムの人がいて、もし次回作を作るんだったら劇場公開したいと言われていたんです。まあ僕としては撮ってみないとわからないので先延ばしにしていたんだけど、『テレクラキャノンボール2013』の出来が前作以上によかったので、じゃあ劇場公開しようという流れになったんですね。
──『2013』はDVD2枚組で合計10時間という大作になったわけですが、それを2時間の劇場版に編集するのは大変そうですね。
松尾 かなり大胆な編集をしました。基本的には一番見せたい札幌ステージを中心にしています。みんな勝ちたいがためにどんどん地獄に落ちていくという(笑)。最初、劇場版は6日間だけの限定公開のつもりだったんです。DVD発売前のちょっとしたお祭りという感じで。それが蓋を開けてみたら3日目から連日満員になった。実際、僕が公開の2日前まで編集してたっていうのもあって事前に宣伝ができなかったんだけど、毎日トークゲストを呼んだのもあったし、あとは観たお客さんの口コミで評判になっていったのが大きかった。それと僕が上映前にネタバレ禁止って必ず言ってたので、それが逆宣伝にもなったんじゃないかな。とんでもないシーンだから言いたくてもなかなか言えないというね。
──映画館が爆笑の渦になったというのも最近では珍しいんじゃないですか。
松尾 僕はあんまり映画を観ないのでよくわからないんだけど、確かに今の若い人は劇場で映画を観ながらみんなで爆笑するっていう体験は少ないのかもしれないね。
──特にAVは普通一人で観るものですからねえ。今後も劇場作品を作ろうと思います?
松尾 それはないです。僕は劇場にこだわってるわけではないし、最初から劇場版を作ろうっていうのはないですね。僕のフィールドはあくまでAVという1対1で観る作品で、悶々としながらもそこに何かプラスアルファが映っているというもの。だから劇場版にする時には、悶々とする所よりは爆笑する場面を多く入れています。でもあれほど笑いが起こるとは思いませんでした。だって本来、モラルに当てはめるとヒドイ行為ばっかりなんですよ。笑っちゃいけないのに笑っちゃうみたいな。お客さんの感受性も高いんだなと思いましたね。
──『2009』でのAV新旧世代の戦いが『2013』ではさらに3世代間の戦いになっているのも注目ですね。
松尾 それもあるよね。僕と山下、みのると今田、梁井とみちるという3世代間の戦い。ホントは花岡じったも参加してもらおうと思ったんだけど、彼は一日中レースをするような過酷なロケはやりたくないと。それより女くわせろって。自分で見つけるのはめんどくさいし、他の監督がいい女つかまえるのも悔しいから嫌だって。どんな理由だよ!
──確か撮影前には「最後の聖戦」という副題がありましたよね?
松尾 そのサブタイトルは外したんだけど、気持ちとしてはラストにしようと思っていた。それは今でも変わらない。これ以上のことはできないだろうなと。もしこの先やるとなったら本当にキリのいい所じゃないとできないかな。まあ決めてません。ハリウッドでやってくれって話があれば考えるけど(笑)。
cannon2013kaede001.jpg
 

●下水道にきれいな魚は泳いでない

cannon2013senden001.jpg
──前作は福岡を目指し、今作は北海道を目指したわけですが、南と北で違いはあるんですか?
松尾 南へ行ったほうがスケベな女が多いっていうのはあったかな。あと北海道はいい娘が多いとか。でも今回はスケベとかルックスがいいとかいう娘はあんまり出てこない。強烈な娘ばっかりで(笑)。やっぱりテレクラとか出会い系っていうのは社会の下水道だから。下水道にきれいな魚は泳いでないよね。下手したらワニとかサソリとかだから(笑)。でも面白いのは、街のナンパだったら女の子もそれなりの子がお金でついて来るんだけど、テレクラや出会い系の場合は街の風景とは違う部分が見えてくる。だって「猫と一緒に自宅で待ってます」って言われて、行ってみたらまさかあんな・・・。普通だったら逃げるでしょ。でもレースだから逃げるわけにもいかない(笑)。そこで興味深いのは、僕等はポイントを稼ぐために女の子にいろいろ無理なお願いをするんだけど、情が移った女の子たちがその男を勝たせたいと助けてくれるんです。だから最初見た時は「うわ、最悪」と思った女が最後にはすごくいい女に見えてくるという。そこが面白かった。だからセックスが終わった後の会話はカットできない。男達のレースの中で垣間見える素人女性達のたくましさや優しさ。もちろんお金っていうのもあるんですが、それ以上のものを通りすがりの男に対してやってくれるというね。
──いやあ、僕も最後は泣きました。
松尾 ああ、そう言う人は多かった。何なんだろうね、あれは。勝ちたい男とそれに応える女の両方だと思うんです。これが男だけの話で、女をないがしろにしていたら誰も感動しないだろうし。だから最後にはなぜか人間賛歌みたいになっている(笑)。
──奥深いです。
松尾 たいして深くないよ(笑)。でもAV監督の生き様とか、いろいろ見れるよね。男目線で言えば、映画のキャッチコピーにもしたけど「ヤルかヤラナイかの人生なら、俺はヤル人生を選ぶ」という、人生の岐路に立ったときの男の選択の映画にもなっている。
──そう、このキャッチコピーがまたかっこいいですね。
松尾 これは劇中にビーバップみのる監督が吐いたセリフを元に僕がキャッチコピーにしたんですが、実際に見てみるとあまりにもくだらなくて愕然とします(笑)。
──いわゆるサブカル好きな女性にも評判がいいですよ。AVなのに。
松尾 久しくサブカルっていう言葉が死んでたじゃないですか。90年代で終わったみたいに言われて。2000年以降はインターネットが普及したおかげでジャンルが細分化されて、そこにそれなりのファンが付いた結果、メインがなくなってしまった。それぞれの村でみんな生きていけるようになったからだけど、その結果、メインがあまりにもくだらなくなって、誰が見ても嘘臭いというか、テレビ局と芸能事務所とスポンサーの関係でしかなくなった。メインもサブもなく、すべてがフラットな状態。それが2009年のリーマンショック、2011年の大震災を経験して日本全体が自粛していく中で、例えばAKBのような分かりやすいものだけが大きくなっていく。本来なら一部のアイドルマニアの世界で終わっていたようなものがメインになっちゃった。でも2013年になって漸く喪が明けたというか、また新しいことができる状況になってきたと思う。揺り戻しというか、今まで押さえつけられてたものが塊になって、これからもう一回始まるような気がする。
──だから今回、劇場でやったことが大きいと思うんです。今までタコツボ状態にいた人達が表に出てきたというか。
松尾 そうだね。現象としては面白かった。ツイッターの情報だけでどんどん人が増えていって、最後の方はテレクラも知らないし、AVも見たことない人がたくさん来ましたから。
──確かに、こういう口コミだけで「今見なきゃ」と思わせる映画は久しぶりのように思います。
 
このアーティストの関連記事

テレクラキャノンボール2013

ハマジム / DVD2枚組600min

amazonで購入

出走:カンパニー松尾、バクシーシ山下、ビーバップみのる、タートル今田、梁井一、嵐山みちる
出演:神谷まゆ、新山かえで、仙台&札幌の素人20人

LIVE INFOライブ情報

◆東京・LOFT/PLUS ONE
5月12日(月) 
「みんなでわいわい見よう!劇場版 テレクラキャノンボール2013」
【出演】カンパニー松尾、バクシーシ山下
【ゲスト】宮台真司(社会学者)
 →詳細
 
◆大阪・Loft PlusOne West
5月16日(金)
「おまたせしました !劇場版 テレクラキャノンボール2013」
【出演】カンパニー松尾、バクシーシ山下
【ゲスト】マグナム北斗(元祖*巨根男優)、花房観音(小説家)
 →詳細
 
5月17日(土)
「まだまだやるよ!劇場版 テレクラキャノンボール2013」
【出演】カンパニー松尾、バクシーシ山下
【ゲスト】宮台真司(社会学者)
※深夜にバクシーシ山下Presents「発禁絶盤アダルトビデオの夜明け」も開催
 →詳細
haku
lpo