Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

ありふれた日常の中にある奇跡
『MIRACLES』で提示された人生のブルース

2011.10.03

 SCOOBIE DOのニューアルバム『MIRACLES』が10月5日にリリースされる。以前1年に1枚のペースでリリースしていきたいと語っていた彼らだったが、自主レーベルCHAMP RECORDSを立ち上げて5年、自分たちでバンドを転がし、1年で全国のライブハウスを何十ヶ所と回り、よくこのペースで歌詞を書き、曲を作り、レコーディングをしてきたなと感心する。
 日常のありふれた奇跡を切り取ったという今作『MIRACLES』は、本当の意味のソウルミュージックを作りたかったとインタビューでマツキが言っていたように、聴く人に寄り添いながら心にグッと響く楽曲が並んでいる。バンドは結成して16年、ジャンルなんて関係なくて、良い曲は良いんだ! と真正面から堂々と言える名盤が完成した! (interview:やまだともこ)

 全てが奇跡に包まれた中で生きているんじゃないか

SCOOBIEDO_A.jpg── 今回の『MIRACLES』ですが、タイトルもストレートですし、まずどういう意識を持ってこの作品に取り組んだんですか?
マツキタイジロウ(g):とにかく楽しいものにしたいというのは大前提としてあって、笑顔で踊れるもの。そこに、なぜ生きているのかとか、なぜ生き続けなければいけないのかという、年相応の少し重たいテーマで。勢いに流されたものとか、雰囲気で作ったものじゃなくて、聴く人に寄り添う音楽というか、フォーマットや形式じゃない部分のところで、本当の意味でのソウルミュージックを作りたいなと思ったんです。出来上がった曲がどの曲もたあいもない日常を切り取ったものなんだけども、考え方だったり、物の見方を変えてみると全てが奇跡に包まれた中で僕たちは生きているんじゃないかなと。そういう曲が揃ってきたので、タイトルも所謂ありふれた奇跡なんだけど、それをまとめて『MIRACLES』で表したらどうかなと、そういうタイトルになりました。
── 日常の中で奇跡を感じる出来事が多かったんですか?
マツキ:些細なミラクルはいっぱいあるんですけど、自分の人生や生活に100%満足している人ってなかなかいないじゃないですか。もちろん僕らもそうだし。どんな人も漠然とした不安に覆われた中で日々暮らしていると思うし、そういうものを抱えながらも生きていかなければいけないという、それって誰にでも当てはまるブルースだと思うんですよ。昨年は『何度も恋をする』というアルバムを作ったんですけど、あれはひと言で言うと、夏の一瞬の場面を切り取った男の切ない恋心を、ある意味それもブルースということで僕は打ち出していたんだけれど、今回はそういう場面的な区切りをせずに大きい意味で、生きていくことに対してのブルース感をテーマにしてみたかったんです。
── 歌詞に“未来”とか“明日”という言葉が何度か使われていましたが、やはりこういうご時世だからというのもあるんですか?
マツキ:曲自体は震災前に出来ていたんです。ロックミュージックって、マッチョな人や、革ジャンを華麗に着こなすことだけをアピールするとか、そういう人が発する言葉よりも、ダメそうな人とか、弱そうな人、弱ってる人が発する言葉だと思うんですよ。さっき言ったようにブルースを抱えてるような人から生まれる言葉じゃなければ僕的にはあんまりグッと来ないんです。そういう意味でブルースを抱えていながらも、前に進まなければいけない、どこかで何か希望を見つけていかないといけないから、そういう思いが未来とか明日とか、将来的な言葉が出てきているんだと思います。
── 確かに今回最初に聴いた時はラブソングかと思ったんですけど、何回か聴いていくともっと大きい意味でのラブソングになっているんですよね。
マツキ:なるべく聴く人を限定したくないというか、どんな人が聴いてもそのまま受け取れる世界観というか、ポップスのど真ん中を目指したクセのない音楽を目指しました。
── ご自分の中で何かが振り切れたんですか?
マツキ:CHAMP RECORDSを立ち上げてフルアルバムは4枚目なので、そろそろ名盤を作りたいというミュージシャン的思いと、ターニングポイントになるアルバムを覚悟を持って作りたいと思ったんです。結果がどうなるかわからないですけど、バンドとしてはひとつここで区切りがつく盤と言うんですかね。今年は良い盤が作れたなとみんなが言えるような盤を作れたというところですね。
── 皆さんの音楽は基本的にブラックミュージックやソウル、ファンクが要素としてあって、その上でポップスとして成立しているんですよね。サウンドだけ聴くとすごい細かくやってるんですけどね。
マツキ:こだわりは数知れず(笑)。どんなジャンルの音楽であれ、聴いてる人がこういうジャンルだから好きとか、こういうジャンルだから苦手というものを飛び越えて、良いものは誰が聴いても耳に飛び込んで来るものだと思うんです。ルーツとなる部分はもちろん引き継いだまま音楽は作っていくけれども、その枠組みから溢れ出ていくようなものを常に作りたいと思っているんです。確かにサウンド的に聴くと細かい所はマニアックに作っているけれど、まず聴いた時にスッと入ってくるものを目指しました。

脚本を書いて配役を決める感じ

IMG_9140.jpg── 1曲目『ありふれた愛を』の出だしは完全にジャクソン5ですし(笑)。
マツキ:なるべくパンチがあったほうが良いと思って。あの当時のモータウンの音楽って、キラキラしたポップスを詰め込んだ作品ばかりだと思っていて、もともとこのアルバムを作る時の漠然としたイメージは、モータウンのアルバムのようにパッと聴いただけで心がワクワクするようなところは目指していて、狙い通りです(笑)。
── それと、私は『恋の彗星』と『踊りませんか』のベースのうねる感じが最高だなと思って聴いてましたが。
ナガイケジョー(ba.):『恋の彗星』はルートメインであくまでも支えるという感じに徹したものでもあって、それが逆に耳に飛び込んでくるという感じになったんでしょうね。
── ベーシストとしてバンドを支えてるって感じはありますか?
ナガイケ:今回はそういう意識がいつになく高かったと思います。自分のベースで曲を良くしてやるんだみたいな感じではなくて、自分の役割に徹すると良いベースになるんでしょうね。
── バンドを支えてると言えばドラムもですよね。
オカモト“MOBY”タクヤ(dr.):ジョーが言った通り、徹する。さらに徹する。ここを聴いてくれとか、今回のレコーディングに関してはほぼない。
コヤマシュウ(vo.):聴くところがない。困ったもんだ(笑)。
MOBY:いやいや(笑)。曲が呼ぶプレイに徹した感じではありますね。どうやってメロディーを聴く人に届けるか、さてドラムをどうしようかとアレンジしてレコーディングに入りました。
── いつものように、最初はマツキさんが持ってきた弾き語りを聴いて?
マツキ:弾き語りっぽいデモテープを聴かせて。
MOBY:でも、いつもは弾き語りから1曲ずつやっていくんですけど、今回はリーダーが作ったデモが10曲入ったCDを全員もらって曲のイメージを共有出来たので、そこで1曲ずつ丁寧にアレンジ出来たんじゃないかと思います。時間もかなり短縮出来るし、やりやすかったです。
── 今回はいつぐらいから作っていたんですか?
マツキ:昨年の秋ぐらいから作っていたんですけど、みんながアレンジしたり覚えたりする時間を考えると、曲はレコーディングよりも2〜3ヶ月前に出来上がってないとどうしようもなくなっちゃうんです。それを考えた時に、今までのやり方は効率が悪いと思い、自分の中で完成形を具体的にして、カバー曲をやるような感覚で。SCOOBIE DOは僕が作詞作曲しているバンドだから、僕が脚本を書いて配役を決めてお芝居を完成させて、そこにどういうメッセージを訴えるのかというのを全員で表現していくという感じなんです。こういう歌を歌いたいからこれを覚えて、と具体的なものがあったほうがイメージも共有しやすいし、僕が何をやろうとしているのかもわかりやすい。表現することに向かって全員が最短距離で行けるんですよ。今までもそれやっときゃ良かったなって思いましたけど(笑)。
── 16年目にして(笑)。
マツキ:個々のアレンジはそれぞれあると思うけれど、大枠で言ったら表現したいことはひとつしかないから、それに向かっていくだけ。
── 今回こういうアルバムにしたいんだけど、という話はするんですか?
マツキ:言葉で云々というよりは、この10曲が出来ているんだけどって聴いてもらうぐらいです。そんなに説明はしない。それはやっていくうちに馴染んでいくというか。スパーリングを重ねて相手と身体が合ってくみたいなね。
── …はい。
マツキ:よくわからないけど(笑)。それで十何年もやっているので、自分の中で言葉にするとそういうことなのかなという感じです。

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HICC-3208 / 2,625yen (tax in)
2011.10.05 IN STORES
発売元:CHAMP RECORDS/販売元:HIGH WAVE

amazonで購入

01. ありふれた愛を
02. 甘い未来
03. ミラクルズ
04. ABC☆123
05. 言葉になんてならないね
06. 恋の彗星
07. ドア
08. 永遠と赤いバラ
09. 踊りませんか
10. あと1秒の夜が

LIVE INFOライブ情報

SCOOBIE DO TOUR「Funk-a-lismo! vol.7」
2011

10/19(水)千葉LOOK
10/29(土)秋田Club Swindle
10/30(日)青森QUARTER
11/02(水)盛岡club change
11/03(木)福島Out Line
11/19(土)東京・LIQUIDROOM
11/23(水)金沢vanvanV4
11/26(土)高松DIME
11/27(日)大阪・心斎橋Janus
12/03(土)新潟CLUB RIVERST
12/04(日)長野LIVE HOUSE J
12/10(土)仙台PARK SQUARE
12/15(木)高知X-pt.
12/17(土)福岡CB
12/18(日)鹿児島SR HALL
12/20(火)大分CLUB SPOT
12/22(木)松山SALON KITTY
12/23(金)広島Cave-Be
12/25(日)名古屋CLUB QUATTRO

2012
01/09(月)横浜CLUB LIZARD
01/14(土)岡山CRAZY MAMA 2nd Room
01/15(日)米子laughs
01/21(土)京都磔磔
01/22(日)浜松メスカリンドライブ
01/28(土)札幌ペニーレーン24

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