Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

頭脳警察の反逆の歴史はそのままロックの歴史でもある。

2011.03.24

 日本のロック黎明期の1969年に始動した頭脳警察。1stアルバムと2ndアルバムが共に発禁となりながらも、当時の怒れる若者達から圧倒的な支持を受け、後に「パンクの元祖」などとも呼ばれた。その頭脳警察が『無冠の帝王 -結成40周年記念BOX-』制作中の昨年9月に「これまで発表した頭脳警察の全曲をライブでやってみよう」ということで開催した4日間のライブの模様が全104曲収録のDVD BOX『頭脳警察 from 全曲LIVE 〜反逆の天使〜』として3月23日にリリースされる。常に時代とリンクしながら現在までリアルで有り続ける頭脳警察は、坂口安吾の「文学は常に制度の、又、政治への反逆である」という言葉を借りれば、常に「反逆のロック」としてその宿命を生きていると言える。リリースを前にPANTA氏にお話を伺った。(TEXT:加藤梅造)

こんなことやるもんじゃないな(笑)

──今回の全曲ライブはセットリストを作るだけでも大変だったんじゃないですか?

PANTA(以下、P) 自分で考えるのは面倒だから高沢(正樹)にやってもらった。「まかせた!」って(笑)。かなり苦労したと思うよ。1回のライブを盛り上げればいいっていうものではなく、4日間かけて1曲1曲をじっくり聴かせるライブだから。高沢は非常にお客さんのことを考えていたよね。1日しか来られないお客さんも楽しめるようにとか、いろいろコンセプトがあったらしい。

──DVDに付属するブックレットにそのへんの苦労話が収録されるそうなので楽しみです。ちなみに演奏してみてどうでしたか?

P 俺とTOSHIはしょうがないとしても、バンドメンバーがよくやったと思うよ。俺、結構ミスってたし(笑)

──まあそれがライブですから。リハーサルも大変だった?

P リハーサルはほとんどしてないね。したって無駄だなって。

──えっ、ぶっつけ本番で118曲って正気じゃないですよ!

P だから終わった後熱が出た。こんなことやるもんじゃないなって(笑)。2日間ずつ分けてやったのは正解だったと思う。4日ぶっ通しだと多分喉がいかれてたね。

──最終日の第四夜は「世界革命戦争宣言」「銃をとれ!」「赤軍兵士の詩」の赤軍三部作をはじめ、特に激しい曲が続いてましたから。

P 4日目はパブリックイメージの頭脳警察の曲を固めてきたよね。(レコード会社のディレクターに向かって)DVDには全部入らないんだっけ?

T(ディレクター) ええ、入ってないです。(※編集部註…DVD BOXには4日間の全演奏曲118曲中104曲が収録されている)

P じゃあ残りは裏で(笑)。あとはやっぱり全国を回りたいよね。4デイズはなかなか出来ないと思うけど、今回収録できなかった曲を発売記念ライブでやるのとかいいよな。ロフトでどう?

──それは是非! このDVDを観たら絶対ライブに行きたくなりますからね。今回特に嬉しかったのは、第三夜(Disc3)の後半に8thアルバム『歓喜の歌』の収録曲が並んでいることです。当時(1991年)この傑作アルバムが出た時、頭脳警察は既に解散(自爆)してましたから。

P そうだったね。あれは俺がいけないんだ。制作が遅れちゃって。本当は解散ライブ(1991年2月27日「最終指令自爆せよ!」)の前に出てるはずだった(笑)。

──ある意味それも頭脳警察らしいんですが。あと、4日目終盤の「Blood Blood Blood」や「万物流転」を聴いて、当時のことをいろいろ思い出しました。頭脳警察が15年ぶりに再結成した時('90年)は、冷戦が終わって湾岸戦争が起こるというまさに時代の変わり目だった。もともと頭脳警察は時代状況とリンクするというイメージが強いと思うんですが、今もまさに中東で次々と革命が起こってますね。

P それは世界中でいろんなことが日常的に起きているということだよ。頭脳警察がどうこうじゃなくてね。

昔から頭脳警察って社会的な位置は変わってない

──今の時代にPANTAさんが歌いたい事って何ですか?

P 同じだよ。結局昔の歌が今も通じるってことは、必ずしも新しいものが必要ないってことだからさ。例えば『俺たちに明日はない』とかニューシネマの映画(※編集部註…1960年代後半から70年代に制作された一連のアメリカン・ニューシネマ)は、今観ても感動するでしょ。それはノスタルジーとは全く違うよね。そういえば去年1人で中国に行ってライブやってきたんだけど、中国やシンガポールで本格的にバンド形態でライブやってもいいかなって思っている。(ロフトの)平野に言っといて欲しいんだけど「今こそ中国にライブハウスを作るべきだ」って(笑)。

──弾圧されてこそやる意味があると。

P そう。その方がおもしろいよ。

──PANTAさんは映画『ドキュメンタリー頭脳警察』で「止まっているということと、変わらないということは、違うんだよ」って言ってましたよね。

P 結局昔から頭脳警察って社会的な位置は変わってないんだ。

──何かのインタビューで読んだんですが、「万物流転」を書いた時は「何にも変わらない」ということが否定的な意味合いだったのが、PANTAさんの中でだんだん肯定的な意味に変わってきたと。

P 同じように見えても少しずつ変わっている、それが分かるのに10年かかったね。それで、新しいものにこだわらなくてもいいんだ、その前にやったこととは絶対に違うんだからって思った。その時は本当に肩の力が抜けたな。

──そういう心境の変化があって、今回の頭脳警察は期間限定にしないでもっと気長にやろうってなったんですか?

P そうそう。'90年の頭脳警察はかなりストイックだったから。

──活動が1年間限定で最後は自爆するって相当なプレッシャーですよ(笑)。

P だから今はすごく気楽だよね。この気楽さはTOSHIにはあってるよ(笑)。TOSHIは一緒にやっていても性格的には正反対な所があるから。それが面白いんだけど。

──今度はどちらかが倒れるまで、ですか。

P まぁそこまで気張ってはいないよ。いつやってもいいし、いつ辞めてもいいしっていうそんな感じで。

──長くやるっていうのはすごく難しい事だと思うんです。今って瞬間的なものは多いけどなかなか続かない。ネット社会の特徴でもありますが。

P うん。ぱっと盛り上がってすぐに消えていくよね。

──その中で頭脳警察は今年42年目ということで、本当にすごいなと。

P ちゃんとした記憶中枢を刺激するのは歯の噛み合わせにあるんだって。それで厚生労働省は食べる時に一口で30回噛むことを推奨しているらしい。それと同じで、情報も一つずつ噛んで楽しむのがいいんじゃないかなって思うよ。そうじゃないと一瞬の刺激にはなるけど、すぐに忘れちゃうよね。やっぱり好きなものを噛み締めるのがいいんじゃないかな。

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頭脳警察
頭脳警察 from 全曲LIVE
〜反逆の天使〜

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