Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューAKIRA & SEIJI(HARISS)×TAXMAN & JIM(THE BAWDIES)

純真なロックンロールが教えてくれる“粋”と“意気”

2010.09.16

普段着でロックンロールをやるわけにはいかない

──ロックである以上は格好付けて欲しいと個人的に思っているんですが、衣装に気を遣ったり、ステージで魅せることに意識的なのは両バンド共通していますよね。

SEIJI:ロックンロールは時代性に沿った上で如何に格好良く見せるかが大事ですからね。理屈も何もなく格好良く感じさせるっていう。
AKIRA:50年代のロックンロールは冷戦時代に生まれて、ロックンロールに身を委ねている間は兵役の辛さを忘れられる側面もあったと思うんです。"少しの間現実を忘れて、楽しいことをしようぜ!"っていう姿勢が根本にあるし、つまりロックンロールは非現実的なものなんですよ。非現実的である以上、普段着のTシャツとジーンズでロックンロールをやるわけにはいかない。しっかりと格好付けて異空間を作り上げることがロックンロールの原点なんです。その意識はHARISSもBAWDIESも同じなんじゃないですかね。
SEIJI:余談ですけど、ボ・ディドリーがステージでスーツ姿だったのは「人前に出るなら正装しなさい!」と母親に注意されたかららしいですよ(笑)。
AKIRA:面白いよね。エルヴィス・プレスリーが襟を立てていたのは首が短いコンプレックスがあったからだって言うし。そういう偶然が積み重なってエンターテイメントになるのがロックンロールなんだと思う。
──私見ですけど、僕は映画の世界からステージに返り咲いた『'68カムバック・スペシャル』でのエルヴィスのコクとまろみをHARISSから、猥雑な腰の動きをテレビで放映できなかった若き日のエルヴィスの迸るエネルギーをBAWDIESからそれぞれ感じるんです。年輪の差はあれど、どちらも一級品のエンターテイメントには違いないという。
AKIRA:そのたとえは凄く嬉しいですね。最高の表現だなぁ...もう1杯頼んでもいいですか?(笑)
──どうぞどうぞ(笑)。ところで、『JUST BE COOL』の7インチにはPRIMAL SCREAMの『ROCKS』が収録されていますが、これは『HOT DOG』のカップリングと同じ音源なんですか。

TAXMAN:そうです。アナログなので音圧が全然違いますけど。
JIM:せっかくの7インチだし、僕らの思い出用に再収録したと言うか(笑)。
TAXMAN:『ROCKS』のカヴァーが入った7インチがあったら絶対に格好いいだろうなと思って。DJがこの7インチをかけてキッズが踊るなんて最高じゃないですか。
AKIRA:そうだよね。その発想、凄くいいと思う。
──70年代のストーンズへのオマージュである『ROCKS』を、ルーツ・ミュージックを出自とするBAWDIESがカヴァーするというのも妙なねじれ構造ですよね(笑)。

JIM:戻るんですよね。まるでインスタント・ラーメンが生麺に戻るみたいに(笑)。
TAXMAN:ボビー・ギレスピーの横で唄ってる黒人女性3人の役回りをROYがやって、そのままメインを取っちゃった体なんですよ。演奏自体はシンプルで、歌をどれだけ黒っぽくするかがポイントでしたね。
JIM:演奏は凄く簡単だったよね。ルーツに忠実な3コードのロックンロールだし、そこは得意としているところなので。
──1994年のナンバーを今年27歳の4人がカヴァーしたら60年代のブリティッシュ・ビート風情になる...そうやって自由に時空を行き来できるのが音楽の面白いところですよね。

JIM:ナチュラルに演奏したまでなんですけどね。逆に、僕らはPRIMAL SCREAMっぽく演奏できないので。
──BAWDIESは以前、SEX PISTOLSの『PRETTY VACANT』もカヴァーしていましたが、カヴァーの選曲基準はどんなところなんですか。

JIM:50年代、60年代のロックンロールを僕らがやってもそれほど面白くないし、この2000年代を生きる僕らにしかできないことと言えば、当時のロックンローラーにはできなかったことをやるしかないんですよ。パンク以降のロックンロールを50年代、60年代に返すのは純粋に楽しいし、僕らの感覚でしかできないロックンロールになるのが凄く面白いんです。インディーの最初の頃はルーツのロックンロールに傾倒していて、「それなら当時のレコードを聴いていればいい」とか「ケントスバンドみたいじゃん」とか嫌味をよく言われたんですよ。でも、ロックンロールの源流を血肉化することでBAWDIES独自のロックンロールが生まれると信じてやっていたので、何とも思わなかったんですよね。せいぜい「今に見てろよ」と思ったくらいで。だから、血肉化できた今はカヴァーをやるのがラクなんです。凄くナチュラルにやれるので。

世代ごとの音楽が地層となって成熟しない理由

──奇をてらった曲ではなく、割と知られた曲を敢えてカヴァーしているのも窺えますね。

JIM:みんなが知ってる定番曲で、自分たちも大好きな曲がいいんですよね。定番曲って、絶対に3コードのロックンロールを通ってるんですよ。根本にルーツがあるから返すのが凄くラクなんです。
AKIRA:そうなんだよね。特に洋楽の有名曲は3コードの延長線上にある作りだから演奏もしやすいんだよ。PRIMAL SCREAMもOASISもみんなそうだしね。
TAXMAN:3コードをちゃんと弾けないバンドって、にわかなのかな? って感じちゃいますよね。そういうシンプルな部分で実力が判ったりするじゃないですか。僕らはバスケ部で体育会系だったんで、基本は絶対に大事なんですよ(笑)。
JIM:レイアップシュートがちゃんとできないと、ダブルクラッチなんて絶対にできないですからね。だから、HARISSがアコースティック・サウンドという素に返した時のクオリティの高さは凄いんですよ。基本がちゃんとしてないとああいうことはできないし。

──実は難易度の高いプレイをさらりとやってのけるのも粋ですよね。

JIM:身体に染み込んでいるんだろうし、さすがだなとしか言い様がないです。
TAXMAN:僕らがアコースティック・ライヴをやった時は7曲演奏したんですけど、それしかできない7曲だったんですよ。今以上に引き出しが全然ない状態だったので。
AKIRA:そっかぁ...。ムダに歳取って良かったなぁ(笑)。
TAXMAN:いやいや、全然ムダじゃないですよ(笑)。
──HARISSに感化されて、BAWDIESもアコースティック・アルバムを作りたいと思いませんか?

JIM:まだ早いですね。引き出しを今開けてもネジくらいしか出てこないので(笑)。
AKIRA:でも確かに、基本は大切だよね。自分が何度も聴けるCDって、3コードをちゃんと通ってるかどうかが基準だからさ。
JIM:聴けば判りますよね。日本の音楽はヒットしても表層的な部分しか語られないし、本物が出てきても基本的な3コードの部分とかはないがしろにされる。だから世代ごとの音楽が地層となって繋がらないんですよ。
AKIRA:そうなんだよね。こういう話ができるバンドマンがなかなかいなくてね。点は散らばってるんだけど、それが線になって文化としてなかなか成熟しないっていう話がさ。
JIM:僕らは影響を受けた音楽をどんどん紹介したいし、むしろ漁ってくれと思いますね。今の子たちは音楽を掘り下げることができないから、掘り方を教えてあげたいんです。押し付けがましい感じじゃなくて。
AKIRA:BAWDIESみたいに時代を掴んだバンドが古き良き音楽を若い人たちに提示するのは凄く意義のあることだよね。
SEIJI:それを説教じみて提示しないことも大事だよね。俺が常に心懸けているのは、まず人が楽しまないと理屈は通らないということ。自分の理屈を如何に噛み砕いて提示するかがプレイの上での信念なんだよ。それには独り善がりは禁物で、芸事は理屈抜きに楽しめるのが一番なんだ。
TAXMAN:ロックンロールは誰もが踊れて楽しい音楽だったはずなのに、いつの間にか一部の愛好家向けのマニアックな音楽になってきてるのが僕は凄くイヤなんですよ。マニアックにする必要もないし、そもそもそういう音楽じゃないんだから。
SEIJI:つまらないルールなんて要らないよね。ロックンロールはそもそもダンス・ミュージックだし、踊ることは自由なんだから。あと、ロック・ファッションも型にハマりすぎてるよね。もっと自由な発想で自由な格好をすればいいし、安い服を如何に格好良く着こなすかが大事だと思う。3つボタンのスーツを着てなければモッズじゃないなんておかしい。本来のモッズの定義は、時代の最先端を行くヒップな連中ってことなんだから。
JIM:そうなんですよね。形式に囚われずにアヴァンギャルドなのがモッズなのに、今のモッズの格好は60年代で止まっちゃってるし。
SEIJI:「あなたはモッズですか? ロッカーズですか?」と訊かれたリンゴ・スターが「僕はモッカーズだ」って答えていたけど、そういう余裕が欲しいよね。やっぱり、ロックンロールはブルース・リーの名台詞みたいじゃないとさ。「Don't Think. Feel!」(考えるな、感じろ!)っていうね。

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通常盤:Getting Better VICL-36610 / 1,500yen (tax in)
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