Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューDr.Downer('10年8月号)

躍動するバンドの“現在”がかき鳴らす
騒々しく鮮烈なエモーション

2010.07.20

 暴れ回るギターと、朴訥としたボーカルが歌う胸をかきむしるメロディー。Dr.Downer(ドクターダウナー)という名のロックバンドは今まで、その毅然とした存在感をライブハウスという現場において放ってきた。そんな彼らの4曲入りCDがこのたび、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が中心となって立ち上げられたレーベル"only in dreams"からリリースされた。ライブの凄まじいまでの勢いや「バンドって面白い!」という喜び......そんなバンドの"現在"すべてを真空パックし、CDという盤上で再現することに成功した本作は、インディペンデントな制作環境だからこそ成し得た奇跡と言っても過言ではあるまい。今、ここからDr.Downerが始まるのだ──。LINKのサポートギターも務めたフロントマン、猪股ヨウスケに訊いた。(interview:前川誠/構成:やまだともこ/協力:STUDIO JUST)


猪股ヨウスケ (Gu.Vo) / 高橋ケイタ (Gu) / 星野サトシ (Ba.Vo) / 小石トモアキ (Dr. Backing Vo)

やりたいことを全部やりたかった

──ここでDr.Downerを初めて知る方もたくさんいらっしゃると思いますので、バンドの紹介からお願いできますか?

猪股:え〜、まず俺は県立逗葉高校という逗子市と葉山町の境にある高校に通っていて、そこにいたのがギターのケイちゃん(高橋ケイタ)と、Qomolangma Tomatoのドラムを叩いている大工原幹雄で、大工は小学校からの同級生でもあるんですけど、その3人で高校の時に始めたのがSafety Secondっていうバンドなんです。

──実は僕、その頃の音源を聴いたことあるんですが、すごく好きなんですよ。

猪股:知ってる人は、ほぼいないと思いますけど(笑)。Safety Secondは2年ぐらいやって解散して、その後2004年にDr.Downerを始めるんですけど、その時はケイちゃんも大工もいなくて、俺がベースボーカルをやって、星野(サトシ)くんがギター、それとドラムの椎名(ユウスケ)という3人で始めて、1年やってドラムが辞めて家が近い小石(トモアキ)くんが入ったんです。小石くんは、昔フー・ファイターズのコピバンを一緒にやっていたことがあって、その時にこいつ良いじゃんって思っていて、一緒にやることになりました。それで1年やっていて、その頃ケイちゃんはHi-TOUCH Rookiesというバンドで活動していたんですけど、バンドが解散してうちに戻ってきて、2006年にこのメンバーになり今に至ります。

──詳細なプロフィールありがとうございます。さて、Safety Secondからの流れでお話したいんですけど、さっき大好きだったって言ったじゃないですか。そのあとも、皆さんのことは追いかけていて、Dr.Downerになってから出した『向こう側のレディオガール』(2006年リリース)を聴いたとき、録音状況もそうだし、内容的にもやりたいことはもっと先にあって、そこに向かって発展している最中だという感じがしたんです。でもライブを観たらもの凄くかっこいい。そこから4年経って今回の音源を聴かせてもらったんですが、本当に良かった。バンドの姿がすごく明確に、一番良い形で詰め込まれた作品だと思います。

猪股:実は今回の『さよならティーンエイジ』をリリースする前に、『スーサイドソルジャーマン26』というミニアルバムを出しているんですけど、それを出してツアーに回ってファイナルまでやったら、燃え尽きちゃったのかやる気がなくなってしまいまして、もうバンドはいいかなって思ったんです(笑)。CDの評判も良かったし、ツアーファイナルにはお客さんがたくさん来てくれて、やり遂げたからもう終わりにしようかなって思って。その後はバンドの活動を惰性でやっていたんです。でも、これじゃダメだって思って、バンドは辞めるけどその前に俺ギター弾けるからギターボーカルになってから辞めようかなって。LINKでギターを弾いていたし、もともとギタリストでもあるので、ギターボーカルになって音源作ってみようって作ったのが今回の音源なんです。

──自分がベースを弾いてた時とギターを弾くようになってからでは、曲を作る意識って変わったりしました?

猪股:全然違うかな。ベースボーカルの時は、Dr.Downerというバンドのイメージがまずあって、そこからハミ出る事はあまりできなかったんですよ。そういうのにも飽きて来てたし、せっかくならやりたいことは全部やりたいなって。ギターだったらやりたいことができるんじゃないかって思ったんです。だから『スーサイドソルジャーマン26』と『さよならティーンエイジ』はイメージが全然違うんです。『さよならティーンエイジ』は歌に寄ってるし、そうしたかったし。バンド名は同じDr.Downerだけど、全く新しいバンドだという意識ではあります。

──『スーサイドソルジャーマン26』は聴けてないですけど、前は音源よりもライブのバンドっていうイメージが強かったんです。でも、今回は、しっかりひとつの音源として完成されたものになってますよね。

猪股:歌を重視したからですかね、おそらくですけど。

楽しくやって悪いことはない

──今は、もうバンドはいいかなっていう気はなくなった?

猪股:まだできるんで、飽きるまではやろうかなって。

──また面白くなった?

猪股:そうです。音楽って別に無理してまで続けるものでもないし、飽きたら辞めれば良いと思うんです。俺は続けることにプライドを持ったりとかはしてない。続けることはすごい大事ですけど、それよりもやりたいことをやりたいっていうのが一番デカイですね。

──意外とそういうスタンスって、音楽をやる上で一番正しい気はするんだけど誤解されがちですよね。遊びでやってるんじゃないかって言われるし。ところで、歌詞や曲の世界観に"苛立ち"が含まれているところは、昔から一環してますよね?

猪股:普段生きているだけで、イライラすることってありますよね。

──猪股さんはどういうところにイライラします?

猪股:税金の督促状が来たりとか、スピード違反で捕まったり、駐禁切られたり、いくら働いてもお金が貯まらないとか(笑)。ポリティカルな苛立ちとかじゃなくて、日常に根付いた苛立ちなんですけど。基本的には、何かに反対してるとかは全くなくて、俺のことなんです。

──個人的な歌、ということですかね。

猪股:そう。個人的な歌しか作れないです。

──自分でも曲を作るモチベーションのひとつとして、"苛立ち"があるという自覚はしてますか?

猪股:でも、そこまでではないですよ。俺、わりと平和ですから。

──ライブを見ると全然そんな感じはしないですけど。

猪股:いや、ライブも実は平和なんですよ。めちゃくちゃやってないし、意外と余裕を持ってやってます。

──それがこの5年の成長ということなんですか?

猪股:そうだと思います。もう28歳だし。実は最近Safety Secondも復活させたんですが、曲は昔通り平和じゃなくて、たまにやるからおもしろいんだけど、これをずっとやるのはイヤだなって思う。ピース論みたいになっちゃうけど、平和じゃないものって長続きしないし途中で疲れてしまいますよね。

──無理に、平和にしちゃいけないみたいなね。

猪股:そう。だから自然が一番って思います。苛立ってる時もあるし、そうじゃない時もあるし、だから今回そういう気持ちが入ったCDが作れたような気もします。

──だいぶ肩の力が抜けましたね。

猪股:よく言われるけど、そういう意識は全くないんです。丸くなったとよく言われますけど、もともと言うほどそんなに尖っていたわけじゃないですよって。

──そうですか? けっこう尖っていたイメージがありますけど。

猪股:じゃあ、それが成長っていうことなのかもしれないですね。いろんな人に尖ってたって言われるんですけど、俺ってそんなに尖っていたと思われていたんですか?

──他人の事は嫌いそうでした。

猪股:間違ってないですね、それは(笑)。だいたいの人は嫌いでした。今はだいたい好きですよ。

──それは何か転換点があった?

猪股:いろんな人と楽しく話せた方が面白いかなというのは、Safety Secondが終わってDr.Downerを始めた時に気付いたんです。Dr.Downerを始めた時は遊びのバンドだと思っていて、バンドは適当にしかやらないと思ってたので、酒飲んでライブして、終わったらまた飲んで帰ってというのを2年ぐらい続けていたんです。それが楽しくて友達もたくさんできたし、だったらみんなとワイワイやったほうが楽しいなって。その頃にケイちゃんが戻ってきて、ちゃんとやろうかなって。LINKのサポートを2年ぐらいやってましたけど、そこで業界の人や対バンの人と話す機会が増えるわけですよ。いろんな人に会ったし、そういう人たちと面白い事ができたら良いなっていう考え方になったんです。それがバンドにも繋がっているんじゃないのかな。

──以前から音源を自主制作したりだとか、インディペンデントな活動を続けて来たじゃないですか。そうせざるを得なかった、という事情もあったかもしれませんが。でもそうすると、いわゆるオトナな人たちと打ち解けるのも難しいんじゃないかなんて思うんですが、今は全くそんなことないですよね。

猪股:確かにそうですね。でもそれは、環境に恵まれていたというか、周りにいた人が自分と合う人だったというのもあるかもしれないです。もちろん合わない人もたくさんいますけどね。前は偏見を持っていたところがあったけれど、最近はそんなことはないです。だからバンドを続けていられるし、面白い所でライブもできるし、今回のCDだってそうだし。今回のCDってもともとは自主で出そうと思っていたんです。今も基本は自主ですけど、ゴッチさん(ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文氏)のところ(only in dreams)の協力を得てできましたし、楽しくやって悪い事はないんだなって(笑)。楽しいと言ってもパーティー野郎ではないんですけどね。楽しければなんでもいいぜ! みたいなのでもないし、その感じは今回の歌詞の感じに近いかもしれません。

──まさに『さよならティーンエイジ』ですね。

猪股:10代にようやくさよならできたぜ! っていうところです。男の人って30歳ぐらいまで10代の感じから変わってないところってあると思うんです。たぶん18歳ぐらいからあまり変わってないというか。でも、20代を経て、昔は尖ってたけどみたいな変わってきた感じも実感としてあって、自分の集大成的な4曲になったかもしれないです。

──なかなか10代にさよならって言えないですよね、男の子は。

猪股:そうですか?

──少なくとも僕はまださよならできてないし、全然無理。子供もいるけど。

猪股:そうですか、それは大変ですね(笑)。でも、俺もたぶんできてないからこういう歌詞になったんですよ。さよならできてるヤツはさよならとか言わないもん。

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4songs EP「さよならティーンエイジ」

ODCS-001 / 525yen (tax in)
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1.さよならティーンエイジ
2.オレVSインソムニアック
3.世界は終わる
4.ラストソング
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LIVE INFOライブ情報

8.22(SUN)渋谷CYCLONE
Obrien label & shibuya CYCLONE presents “SxBxCxY-BASEMENT SESSIONS-in SUMMER”
Open 15:00/ Start 15:30
Adv ¥2,000 / Door ¥2,300 (+1D)
プレイガイド:L code(70125)/ e+
ガンフロンティア / KIFUDOH / 小手 / TOMBOTORI / マイライト / COCOBAT / BAD ATTACK / MEANING / 野良犬

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