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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】cruyff in the bedroom(2008年3月号)- "ジャパニーズ・キング・オブ・シューゲイザー"の帰還、届けられた至極のポップアルバム『saudargia』

“ジャパニーズ・キング・オブ・シューゲイザー”の帰還、届けられた至極のポップアルバム『saudargia』

2008.03.01

日本語詞になったことでより明確に表現された情緒的なクライフ・サウンド

──今回から日本語詞で歌ったりしてますが、これは英詞より日本語詞の方が曲に合ってたからでしょうか?

ユウスケ:実は前のアルバムまでは身近で英訳してくれる人が居たんです。その方とちょっと疎遠になっちゃって、別に何人か英訳してくれそうな心当たりはあったんですけど、その時に日本語でやっちゃおうかなってちょっと考えたんです。ふと思っただけの話なんですけどね。

──元々昔から日本語で詞を書いて訳してもらってたんですね?

ユウスケ:そうです。完全にちゃんとした訳ではなくて意訳ですけどね。歌詞に関しては10年経っても未だにストレートにコレを言いたいってことがないんですよ。その時の空気とか雰囲気とか…それこそ雲の移ろいみたいなものを今作はイメージしたんで、特にコレを言いたいって強い意志はないですね。

──特にメッセージ性はないんですね。

ユウスケ:ないですね。印象派などと一緒だと思います。

──曲が先に出来るんですか?

ユウスケ:バラバラですね。歌詞とメロディはあんまり僕の中で一緒に出来ることはないんです。曲作る時は「さぁ、作るぞ」って時もあれば、曲書かれてる方だったら皆さんよくあると思うんですけど寝起きにメロディが浮かんできて書き留めて作ったりとか。歌詞はそれこそ会話してたりとか歩いている時に思いついた言葉を携帯のメモリーに入れておいて後でノートに纏めたりとか。

──日本語詞になって例えば『frozen』から『hanaarashi』の感じとか日本の四季、いわゆる情緒感が出る様になりましたよね。

ユウスケ:そうですね。例えば『euiro』って曲があるんですけど、これは歌詞に単語のいくつかの鍵があって、ホントに夕色が出る時に書こうと思って何日か天気を待ったんですよ。夕方にスタンバイしてて「これだ」って思って一気に書き上げたんです。やっぱり日本人ですし、日本で暮らしているんで、日本の四季は…歳とったと思うんですけど(苦笑)、季節感は大事にするようになりましたね。あとは普段使う言葉はあんまり歌詞にしたくなかったですね。

──日常会話の1つ1つに使われる言葉ということですか?

ユウスケ:
そうですね。その辺はもう完成されたシーンがあるというか、そういうやり方じゃ僕は書けないですね。ホントかどうか判んないと言うか、薄皮が何枚かないとそういった歌詞を歌えないですね。

──曲調で言うとダンサブルな曲が増えましたよね。例えば『twinkletwinkle』や『tablet』みたいなちょっと踊れる感じとか。

ユウスケ:そうですね、これはちょっと単純なんですけど、僕ロックDJをやってたんですよ。でも途中でロックをかけるのが嫌になった時期があって、その頃はラテンとかサンバにハマってたんです。前のアルバムの時くらいかな。その頃からラテンハウスが凄い好きで、その流れで四つ打ちばかりをDJでかけるようになって、それが自然と作る曲にも如実に出たんではないかと。

──普段聴かれてる曲からインスパイアされて出来る曲は多いんですか?

ユウスケ:性格が単純なんで、その時に聴いている音楽はリアルに鳴っていると言うか…。四つ打ちの曲を持って行くとメンバーから「また?」とか言われますけどね(笑)。

──アルバムがリリースされてすぐですけど、次回作はまた変わったりしそうですか?

ユウスケ:変わると思いますよ。ただあの音響系の大袈裟な感じはやりたくないですね。あれはやってる方が楽しいだけかな。僕らのやり方だとうまくいかなかったです、もちろんカッコいいバンドはいっぱいいますけどね。僕は四つ打ちってシューゲイザーに近いと感じていて、このアルバムを作り終えて曲を書いてるんですけど、やっぱり書けた1曲目は四つ打ちでしたね。

──でもデジタルとアナログの融合というのが、1,2枚目よりもよく出来てるなって思うんですけどね。例えば『cherry』みたいに打ち込みとアコギがいいバランスの曲は温かみと冷たさが共有してたりしてて。これは全体的に言えますよね。

ユウスケ:そこは凄く意識しました。打ち込んだのはドラムなんですけど、ヴァイオリンとアコギとパッドのアンビエントっぽいものを作りたいってイメージだけ伝えてやって貰ったんです。

──サポートのドラムの方とは関係性はいいんですね。

ユウスケ:とても良いドラマーで凄くクライフのサウンドにあってると思いますよ。

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『saudargia』の鍵となる歪みへの拘り

──そういえば『saudargia』ってのは何かの造語ですか?

ユウスケ:そうです。ラテンとか好きだった頃“saudarge”って言葉が好きで、でも“saudarge”をそのまま言うのは嫌いなんで、“saudarge”の英語の“nostalgia”を混ぜて“saudargia”にしたんですよ。前作を録り終わって1年以内にタイトルは決めてましたね。

──じゃあ、前のアルバムが録り終わった時点で次のアルバム、今作についてイメージが湧いていたと?

ユウスケ:とにかく前作が大袈裟になっちゃったんで、今回はポップで歪みもシンプルでいこうと。まぁ、それで前のドラムとちょっと衝突して作業が進まなかったんです。前のドラムはもっと演奏者の顔が出るような音楽をやりたかったらしいんですけど、僕はやっぱりそれは恥ずかしいんで…。それもあって、こうなればいいなぁというよりは助走が長かった分、いいものが出来たと思います。

──約5年という歳月をかけたので研ぎに磨ぎつまされた、所謂現在のベスト盤的な雰囲気もありますね。

ユウスケ:そうですね、今のベストでとにかくポップアルバムってのは意識しました。

──意外と時間があるとついつい音を足して足してって方向に行きがちですけど、それに比べ今作は重ね過ぎてないように思えますし…。

ユウスケ:重ねてますよ(笑)。でもあんまり足してないように聴こえるのは、歪みにはそう足してないからだと思います。それこそギターのリバースとか原音を消したリバーブとか1曲につき6,7本は入ってますね。歪みを一杯足すとただ輪郭がもやけてしまうだけなんで、目立たせたい歪みに関してはステレオとかも使わずに作ったんです。僕はエフェクター好きなんでつい新しい音探してしまうんですよ。

──トレードマークのイメージがあった所謂トレモロ(アーム)サウンドはちょっと減りましたよね。逆にそのディレイの広がり感が増えて輪郭が整ったと言うか。

ユウスケ:確かにその通りですね。トレモロは3曲くらいですね。それもパッドの音を多く入れてゆらゆらというよりキラキラを出したかったというか、CDのジャケットの感じなんですよね。ハウスミュージックの好きなところはそんなキラキラしたところであったり、僕はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインよりライドの方が好きだったんです。あの青さと光りが好きでしたね。

──ジャケットは何をイメージして?

ユウスケ:これは最初、ただの海の写真だったんですけど、スタッフの子と2人で加工に加工を重ね、わざとハレーションを起してもらったりだとかで。

──店頭とかに並んでるとハウスのCDっぽいイメージですね。

ユウスケ:確かに(苦笑)。何が何だかわかんないですよね。「これ、UFO?」とか言われましたし。

──宇宙っぽいイメージもありますね。

ユウスケ:気づいたんですけど、1枚目のジャケットが大地だったんですよ。2枚目が空、それで海じゃないですか。3枚並べて初めて気づいたんですけどね。

──これは全然意識せずに?

ユウスケ:意識してなかったですね。ビックリしました。

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