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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ASIAN KUNG-FU GENERATION(2008年3月号)-出来れば世界を塗り変えたい新しい世界へ飛びだった『ワールド ワールド ワールド』

出来れば世界を塗り変えたい新しい世界へ飛びだった『ワールド ワールド ワールド』

2008.03.01

バンドを続けていく上で付随するものへの葛藤

──バンドを結成されて12年経つと、ある程度こういう曲にしたいんだろうとか、こういう雰囲気にしたいんだろうっていうのはわかってきます?

後藤:たまに伝わってるなって思うのは、僕よくコードの名前を間違えるんですけど、間違ったコードの名前で山ちゃんに言ってても山ちゃんは正確なコードで弾いてくれてる。「次C」って言いながら僕はDを押さえているんですけど、山ちゃんもちゃんとDを弾いたりするとわかってくれてんだって思う(笑)。山ちゃんはたぶん訂正するのがめんどくさいからそのままやってくれてる時がある。用意されてる言葉は違うけれど、言わんとしていることはわかってくれて、伝わったなって思う。

山田:それは確かに長い時間やってきた経験からわかるところだよね(笑)。

──今までバンドを続けて来られたのは、どんな思いがあったからなんですか?

後藤:なんなんでしょうね? 最終的には自分が思い描いているものが形になることもそうかもしれないし、ライブができることもそうだし、ライブにお客さんが来てくれるのも嬉しい。そういうところなんですかね。これでCDも作れないし、ライブハウスでお客さんが3人とかだったら違うやり方を考えますね。

──バンドを始めた当初はお客さんがほとんどいないところでライブをやる中で、「今に見てろ」という気持ちはありました?

後藤:わからんヤツが多いだけ、俺は間違っていない!って、当時は絶対にライブハウスがいっぱいになると思ってやってました。盲目的に信じていたというか。今は外向きな攻撃的な気持ちは完全に内側に向いてる。自分に向けているというか、作品が良くなるほうに向いてる。いいものを作っていれば大丈夫だろう。自分たちは本当にいいと思うものが出来たけど、お客さんが1人も来ないんだったらしょうがないじゃんっていう感じです。それはそれで潔くそうかって思える。今だったら、その方が大事だな。年齢的なものもあるかもしれないですけどね。

──30歳を越えて変わった事ってあるんですか?

後藤:病院に行く回数が増えましたね(笑)。いろんなところにガタが来てね。

喜多:スタジオで病院の話題とか多いよね(笑)。

──………。

後藤:そんなもんですよ。30歳を越えた日から嫌なヤツになったりするわけじゃないから、積み重ねだからわかんないですよね。気持ちだけは若いつもりでいますよ。

──音楽やバンドを続けることは、やり始めた当時と同じぐらいの意気込みは維持されてます?

後藤:サラリーマンをやりながらバンドをやっていた時期もあったけれど、あの頃は音楽以外の仕事を朝から晩までやらないと音楽ができないっていう状況だった。それに比べたら今は幸せだと思いますよ。でも今は音楽をお金に替えてるから、それはそれで責任がある。申し訳ない気分になる時もあります。音楽って自分たちが純粋に好きなものであって侵されたくないもの。だから商売としてお金に替わることに罪悪感はあるよね。そういうことが純粋なのかどうなのかっていう思いは常に持ってますよね。揺れますよ、金が欲しくてやってるわけじゃないから。インディーのバンドからしてみたら音楽で金をもらえたらこれ以上幸せなことはないと言うわけじゃないですか。俺も昔は音楽だけやれたらいいって思ってたもんな。だから、とても複雑だよね。今、音楽に割く時間は増えて嬉しいけれど、メジャーに来たらプロモーションの時間だったりも増えるわけで、それが本当に楽しいことなのかと考えたら俺たちもわからないし、こんなことがしたいのかなって思う。でもプロモーションをすることによって、CDを買ってすごい感動したヤツがいるんだったらどこの誰が悪いんだっていうのはわからなくなっちゃう。難しいですよ。こういう悩みはずっとありますね。

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楽しいと思うことを続けたい

──4月29日からは2年ぶりのライブハウスツアー“Tour 2008「ワールド ワールド ワールド」”がスタートしますね。ツアーの構想は徐々にできていますか?

後藤:アルバムは4枚目なので曲もたまってきているし、新しいアルバムだけをやるのもな。新しいアルバムの曲を全部やることが見る人にとって嬉しいのかなって毎回メンバーで悩みますよ。レディオヘッドとかオアシスを見に行った時にどうだったっけ? という話はよくしますね。往年の名曲もやるけど、俺たちには往年の名曲はねえなみたいな(笑)。

──いっぱいあるじゃないですか。でも、アルバムが出た後だったらまず全部聴いてみたいって言う気持ちはあると思いますよ。

後藤:もう少し幅広く選曲したい気もするんですよ。せっかくのライブハウスだし、ライブハウスだからこそ映える曲もあるし。

──昨年は大きな会場が多かったですしね。ところで、横浜アリーナとか日本武道館は、見に行ってた側だったりもすると思いますけど、そこに立つっていうのはどういう感じなんですか?

後藤:横アリはステージの使い方にもよるけど、でけえなって思いますよ。でも、どんな感じとか浸ってられないよね。その日はやるしかねえっていう状況ですからね。そりゃ、何万人もお客さんがいたら気合い入れなきゃ負けますからね。当日は高ぶっているところがあるから、「今日は武道館だねー。昔あの辺にいたよねー」っていう気分はない(笑)。武道館は取り囲まれる様な感じで、せり上がっているからお客さんが近い感じがするけど、初めてやった時はビビリましたよ。でも、今だったら武道館は近い感じがしてやりやすいって思うのかもしれない。だだっ広い野外に比べたら全然近いよね、武道館の方が。

喜多:意外と近く感じるよね。

──ライブハウスのオーディションを受けていたバンドが武道館も横アリのステージも経験されて、皆さんがこれ以上に目指すものってどんなものですか?

後藤:楽しいと思っていられればいいかなと思ってますね。売れなくなったらそれはそれで仕方ないと思うし、だからと言って売れそうな曲を書こうは思わない。楽しいと思えることを続けられたらいいですね。それでゴハン食わせてもらえるならラッキーって感じです(笑)。ラッキーボーイですよ。だって好きなことやってるだけだもん。ミュージシャンって社会の仕組みのひとつではないし労働者でもない。尊敬されたりするけど、遊んで暮らしている人たちだからね。もちろん、表現と捉えると生みの苦しみはありますけど、それぐらいはね。それすらなかったら何してるかわからないよ(笑)。楽しいだけでは終わらないですよ、なんでもね。

──音楽以外に楽しいと思えることって何ですか?

伊地知:休みですね。みんなと遊んだりとかもできますし。…休みが欲しいです。

後藤:わりと休んでるほうだけどな、メンバーの中で比べたら(笑)。僕は相撲が好きですね。あと最近Wii Fitが面白いですね。スタジオでみんなでやってます。

山田:僕はおいしいお酒を飲んで、面白いお笑いの番組を見るのが好きです。

──いいですね。

喜多:ライブスタッフから誕生日に世界のビールをたくさんもらったので、家に帰って飲むのが楽しみです。

──なるほど。では、他に言い足りないこととかあります?

喜多:今年はけっこう忙しい年になりそうなので、がんばろうねってみんなで言っていたんです。まだまだ言えないけど…。

後藤:…それが言い足りないことだったんだ(笑)。

喜多:たくさん驚かせるようなことがあるので楽しみにしていて下さい。

──攻めモードだということで、今年はNANO-MUGEN FES.もありますし、活躍が楽しみですね。他には…。

後藤:言い残しはないです。はい。

喜多:言い過ぎたぐらいだね(笑)。

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