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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ASIAN KUNG-FU GENERATION(2008年3月号)-出来れば世界を塗り変えたい新しい世界へ飛びだった『ワールド ワールド ワールド』

出来れば世界を塗り変えたい新しい世界へ飛びだった『ワールド ワールド ワールド』

2008.03.01

前作『ファンクラブ』から2年ぶりのリリースとなるASIAN KUNG-FU GENERATIONの4thフルアルバム『ワールド ワールド ワールド』 。よりポップなものを作ろうと取り組んだ今作は、今までに比べると開放感のある作品となっているように思う。初のインスト曲である『ワールド ワールド ワールド』で高らかな幕開けを感じさせ、『アフターダーク』の「進め」というメッセージに始まり、最後の『新しい世界』では、胸躍る新しい世界に飛び出そうというメッセージを込め、さらに飛躍する彼らを感じることができる。今までの経験を糧に、本作で新たなシーズンを迎えたと言っても過言ではない。 本誌としては2003年以来5年ぶりのインタビュー。「初ワンマンは体力が持つかな」と延々と言っていた彼らは、いつのまにか大きなステージに立って何万人ものオーディエンスと共に戦っていた。今回は『ワールド ワールド ワールド』の話から、現在に至るまでを伺うことができた。常に前に進んでいる彼らが、さらに目指すものとは? (interview:やまだともこ)

変えられるものなら世界を変えてみたい

──2年ぶりに『ワールド ワールド ワールド』 がリリースされますが、このアルバムのキーワードになっている“世界”は、初めから意識をした上で作られたんですか?

後藤正文(Vo & G):順序的には作りながらですね。最初からこんなにがっつりとタイトルにつけるようなテーマを絞りきっていたわけではなくて、なんとなく書きたいことを書いていくうちに自分で気付いたんです。

──何となく意識が向かっていったと?

後藤:自然にと言うと言い過ぎですけど、意図している部分もあるし意図していない部分もある。説明するのは難しいですね。制作期間が半年だったら意図したものになるんでしょうけど、2年もありましたからね。この間にライブもたくさんあったし、いいものを作りたいという気持ちは変わらないです。ポップなものがいいなというのはここ最近一番思っていたこと。ミュージシャンにしても、小難しいことをやらんといかんっていう時代の雰囲気がありますよね。だからと言ってコード3つぐらいでやろうとは思わない。自分で揺れ動きながら何が一番いいのかを考えてますね。でも楽しいに越したことはないし、ポップなものをやりたいんだったら楽しんでやらなきゃできるはずがない。辛い瞬間もありますけど、ひっくるめて楽しいと思えるようにならなきゃだめだなと思ったんです。

──以前リリースされた『マイワールド』(『ソルファ』収録)と今回の世界とでは見えている視点は違うんですか?

後藤:全世界と捉えているのはいつだってどんな時だって自分自身なので、『マイワールド』とイコールですよね。世界観が世界だから。視点が違うだけです。

──さきほど、ポップなものとおっしゃいましたけど、今までの作品に比べると楽しんで作っている感じがすごく伝わる作品ですね。

伊地知潔(Drums):楽しく作れたんですよ。レコーディングの初めの段階ではギクシャクしたこともありましたけれど、最終的にはすごく雰囲気が良かったです。

──ギクシャクするというのは?

伊地知:制作期間が2年間だったので、漠然とポップなものがやりたいというのはあったんですけど、一気に向かうことができなかったんです。前のモードが抜けきれなくて、徐々に向かっていった感じですね。

喜多建介(G & Vo):前作の『ファンクラブ』は、けっこうピリピリした作り方だったので、あの時のような作り方をさらに歪ませていったらうまく歯車がまわらなかったかもしれませんね。真逆のことをやりたいというのが何となく4人の中にあったんです。ポップなものをやりたいっていう4人の気持ちが作曲にうまく作用し始めてからは、いい曲がたくさんできてきましたね。

──では、アルバムタイトルの『ワールド ワールド ワールド』はどんな意味を込めたんですか?

後藤:『新しい世界』(M-13)の最後にある“世界! 世界! 世界! ”を『ワールド ワールド ワールド』に変換したのがまずひとつ。アルバムを作りながら世界っていうものがテーマになってきたのもあるし、続けて“世界って何か”って考えたら、『マイワールド』のように自分の半径何メートル以内の世界もあって、自分なりに客観視して、世界ってどこまで続いているんだろうって俯瞰で考えた世界。それって両方自分の中にあるものなんです。客観って言われても自分の主観の中にある世界。もうひとつは超客観と言って、本当に漠然とそこにあるだけの世界。だから、どこまで続いているのかっていうのは本当は答えがあって我々が知らないだけ。超客観の上では誰かが答えを言うまでもなくある。まあその3つしかないんです。結局最後はその人がどう思うかが正解なんですけど。

── “世界! 世界! 世界! ”の叫んでいるところは世界に飛び出したいと言う気持ちですか? それとも変えたいという気持ちですか?

後藤:それはエネルギーの問題かな。大きい声で叫んでみるというのはエネルギーに満ちあふれた行為だし、そのエネルギーとか喜びとかそれだけでやればいいんじゃないかっていうことなんです。

──『転がる岩、君に朝が降る』(M-10)では「出来れば世界を僕は塗り変えたい」と言われていますが、塗り変えたい世界というのは?

後藤:『転がる岩、君に朝が降る』で歌っている世界はとても大きな世界。例えば戦争をなくしたいとか、そういう意味。アルバム全体で変えたいと言ってる世界は自分自身の世界でもあるし、このアルバムを聴いてくれた人の景色や考え方が変わればいいかなと。それはこっちが強要するスタイルじゃなくて、少しポジティブなエネルギーに変換されてくれたらいいなと思いますけど。

──でも、音楽で世界が変わるとは思いますか?

後藤:それは変わらないと思うし、変わるとも思います。どちらでもある。どう変えたいかによりますね。日本でこういうアルバムを出しても、カンボジアとかで地雷を踏んで足が吹き飛ばされる子供のことを救えたりはしない。もっと簡単なことを言えばイラクから米兵が引き揚げたりはしないですよね。そういう意味での世界は変わらないと思うんです。もし本当に変えたいと思うんだったら、音楽を作るんじゃなくて運動としてやっていかないといけないし、人が集まるようにしないといけないと思う。だから、聴いてくれた人たちの気持ちにしか訴えかけられないよね。でも、そういうところから始めるしかない。戦争や貧困のことを歌ってるわけではないし、それをみんなに伝えたくて音楽をやっているわけじゃないんだけど、変えられるものなら世界を変えてみたいね。戦争とか、それにまつわるものに届くんだったらやってみたい。その方法はわからないけれど望んではいるよ。だからと言って何もできないけれど、そういう気持ちをみんなが持つことはいいんじゃないかな。

──ジョン・レノンが世界を変えたかって言ったらそうではないのかなって思いますしね。

後藤:そういうことでしょ。ジョン・レノンと比較して俺のほうが勝ってると思うヤツはいないでしょ。だから、実質世界を変えられると言ったら嘘になっちゃう。でもガキがオヤジを殺したりするんだからね。そういうヤツが音楽を聴いて踏みとどまったらいいと思うよ。ナタとかを振り回す前にギターを買ったらいいんだよ。

──誰かが音楽を聴いて踏みとどまったら、ちょっとずつだけど変わっていくかもしれないですからね。

後藤:じんわり変えればいいんじゃないかな。自分たちの力だけで変わると思ったらおこがましいし、もしかしたらミュージシャンが素晴らしい曲を作り続けて、世に聴かれる時代が来たら日本の雰囲気がもう少し変わるのかも知れない。そういうことなんじゃないかな。そうなったらいいなとは思うよね。いい音楽が街に溢れたらいいよね。

──となると、『新しい世界』の歌詞にある「批評的なスタンスやアンチテーゼだとか~目の前の景色を全部塗り替えるのさ」までの部分は後藤さんの今の心の叫びととっていいですか?

後藤:今の叫びというか、アルバムを通して一番言わなきゃいけないことは最後の曲に全部書いてあるんです。

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