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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】SPIRAL CHORD(2008年3月号)- サ・ヨ・ナ・ラ・セ・カ・イ── 新たな地平へと向かう軽やかな助走と第二章への序奏

サ・ヨ・ナ・ラ・セ・カ・イ──新たな地平へと向かう軽やかな助走と第二章への序奏

2008.03.01

ゲンドウ(ex.COWPERS)、HERA(200MPH)、中尾憲太郎(ex.NUMBER GIRL)という日本のオルタナティヴ・シーンの精鋭から成るスーパー・バンド、SPIRAL CHORDが3年振りに発表するオリジナル作品『サ・ヨ・ナ・ラ・セ・カ・イ』は、ミニ・アルバムという形態ながらも長らく待たされた甲斐のある渾身の力作である。処女作『脳内フリクション』で聴かれたふてぶてしいまでに音圧を掛けて歪みに歪みまくった音像から一転、肉感的なダイナミズムと躍動に溢れたグルーヴはそのままに、より研ぎ澄まされた鋭利な轟音と有機的なアンサンブルの妙を心ゆくまで堪能できるのが本作の大きな特徴と言える。そして注目すべきは、不協和音のコードと共に振り絞られるゲンドウの直情的な歌声と、聴き手の心を鷲掴みにする得も言われぬ美しい旋律がスケール・アップしたこと。本作に収められた6つの楽曲からバンドの確かな進化の証が見て取れるはずだ。レゲエのリズムを大胆に採り入れた「spiral double」というゲンドウ曰く"日本で世界一"な曲を聴いただけでも、SPIRAL CHORDがエモーショナル・ハードコアという狭義な世界から軽やかに脱却しようとしているのが判るだろう。彼らが世界に比類するエモーショナル・ハードコア・バンドであることは言を待たないが、そんな自らの出自を一度拒絶することで新しい世界に飛び込んでいこうとしているように僕には思える。彼らは柳に風とばかりに受け流すだろうが、『サ・ヨ・ナ・ラ・セ・カ・イ』には新たな地平へ旅立とうとする強靱な意思と覚悟が漲っているのだ。(interview:椎名宗之)

疲れないで聴けるものを作りたかった

──『脳爆旅団 -Brainburst Brigade-』(2006年8月)というDVD作品のリリースが間にあったにせよ、オリジナル・フル・アルバムの発表は実に3年振りとなるわけですが…。

中尾:その辺はまぁ、レーベルの都合がいろいろありましたからね。

ゲンドウ:オトナの事情ですね、そこは。オトナの事情に巻き込まれた(笑)。

──今回はゲンドウさんのプライヴェート・レーベル“ink-drive”からのリリースではないんですね。

ゲンドウ:最初は“ink-drive”から出そうと思ってたんだけど、そこへ「ウチから出さないか?」っていうステキなお誘いが舞い込んできて。で、オトナの事情で前作から丸3年経ってしまったという。

──でも、SPIRAL CHORDの場合は闇雲にリリースをするのではなく、まず新曲をライヴで試して、ちゃんと練り上げてから作品として形にするストイックなイメージがあるから、必要不可欠な3年間だった気もしますけどね。

HERA:まぁ、そういう感じでもないんだけど。

ゲンドウ:この3人が顔を合わせる時間も限られているんで、チャンスがあればいつでも出そうっていう感じではあったんだけどね。

HERA:なんせそこは、オトナの事情で(笑)。

──本作『サ・ヨ・ナ・ラ・セ・カ・イ』を一聴してまず驚いたのが、随分と音がクリアになったことなんですけれども。これは意図的に?

ゲンドウ:うん、結果的にそうなったね。

──ファースト・アルバムの『脳内フリクション』は音圧と歪みが凄まじいにも程があるし、今改めて聴くと、正直言って1枚通して聴くのがかなり疲れる時があるんですよね(笑)。

中尾:言うなぁ(笑)。でも確かに、そういうのは今回気を付けたところではありますね。

ゲンドウ:そこは気を遣ったよね。疲れないで聴けるものを作ろうっていうのは狙いとしてあった。

HERA:実際、自分達がミックスの作業で何十回と聴いても余り疲れなかったしね、今回は。

中尾:そうは言っても、疲れる部分は間違いなくありますけどね(笑)。

──ファーストのミックスは疲れまくったんでしょうね(笑)。

中尾:あの時はゲンドウさんにやってもらいましたから。

──前作の反省点を踏まえて、本作で改善しようとしたところはありますか。

HERA:そういうのは特にないかな。意図的にやろうとしたことはないね。

──レコーディング環境も結構違ったんですか。

HERA:前回は貸しスタジオに機材を持ち込んで録った。今回はかっちりスタジオに入ってやらせてもらったね。

──札幌在住のゲンドウさんを東京に招いて?

HERA:今回はね。前回はまだ俺が札幌にいたから、憲太郎を呼んで札幌で録ったけど。

──ゲンドウさんが東京にいられる期間も限られていただろうし、合理的にレコーディングを進めていかなければならなかったんじゃないですか。

ゲンドウ:そうだね。日数的にはかなりタイトな状況だったよ。録りは確か4日だったかな。

中尾:もう1日増えましたよ。

HERA:4+1日。

ゲンドウ:で、録りながらミックスもやって。

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