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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】おとぎ話(2008年3月号)- 誰もが口ずさめるメロディ。 おとぎ話が放つ"みんなのうた"

誰もが口ずさめるメロディ。 おとぎ話が放つ“みんなのうた”

2008.03.01

2007年の1月に1st.シングル『kids / クラッシュ』、9月に1st.アルバム『SALE!』をリリースし、各店のインディーズチャートで1位を記録して注目を集めたおとぎ話が、『ハローグッバイep.』という4曲入りの2nd.シングルをリリースする。「"みんなのうた"になりたい」と有馬が言っていたように、以前の作品に比べるとサウンドがクリアになって聴きやすくなったというのが第一印象。多くの耳に届いた分だけ、彼らの魅力に取り憑かれる人が急増すること間違いなしの1枚。 今回は、作詞・作曲を手がけているボーカルの有馬が昨年はどんな曲を聴いていたのかが知りたくて、お気に入りの5位をセレクトしてもらいつつ、『ハローグッバイep.』の魅力についても伺った。今年のおとぎ話はもっと面白い方向に向かっていくだろうということを感じさせた。(interview:やまだともこ)

有馬が選ぶ2007年によく聴いた5枚

有馬:CD持ってきましたよ。

──今回は洋楽が入ってますね。

有馬:そうなんです。アーケイド・ファイアの『NEON BIBLE』とスライ&ザ・ファミリー・ストーンの『Small Talk』。あとは、こどものこどもという友達のバンドが昨年出したデモ音源と、前野健太くんの『ロマンスカー』、おとぎ話の『SALE!』の5枚よく聴いてましたね。スライはずっと好きで、『Small Talk』は再発されて音が良くなったので、飛びついて買ってしまったんです。僕はこれが一番好きなんです。渋いんですよ。前野くんとこどものこどもは、日本語を乗せるセンスに長けてるから、日本人としてドキッとするんです。両方とも世間的には全然知られてないけど、すごくいいと思いますよ。

──前野さんとこどものこどもは対バンで知ったんですか?

有馬:そうです。この2組はリスペクトできるライバルなんです。ライバルって嫉妬とかに繋がるかもしれませんけど、嫉妬とかは一切なくて、純粋にファンというか、純粋にいいねって言える曲をやってる人達なので好きなんです。

──アーケイド・ファイアの『NEON BIBLE』は?

有馬:このアルバムはけっこう暗めなんですけど、自分の理想型なんですよ。メンバー全員が涙を流すためにやっているみたいなところがあって、ライブ映像を見た時に衝撃を受けたんです。このバンドみたいなバンドがやりたいって。だから頭の片隅にいつも置いてます。音楽は限りなく芸術に近いんだけど、芸術でありながら汗をかいてる感じ。おとぎ話は肉体的に汗をかくというか、コール&レスポンスを求めがちなライブをしてしまいますけど、究極は展覧会を見ているような感じのライブをしたいんです。ライブも参考にしたいし、こういう曲を書きたいというのも多いですね。このアルバムがアメリカやイギリス、世界的に売れているという状況がうらやましいです。

──日本と海外では、音楽の聴き方がやっぱり違うと思いますか?

有馬:基本的には一緒だと思いますよ。でも、例えばおとぎ話とか前野くんとかこどものこどもとか、一緒のシーンを盛り上げようと頑張ってもプロモーションやら、いろんな問題でまだできなかったりするんです。でも、アメリカはレーベル1個のコミューンが強くて、レーベルをやってる人達が売れるものを作るというより、まず最初に面白い音楽を作ろうとしてやってる感じがすごくするんです。アメリカのインディーのコンピレーションを聴く時にすごく思うのは、そこに“音楽”が入っているんです。有名なミュージシャンばかりじゃなくて、同じシーンで活動している新しくて良い音を出すミュージシャンも入っている。いい音楽をやる人はなんらかの形でリスナーの手に届いていってる感じがするんです。だから、今の日本でそれを打破するには、僕らがもっとがんばって状況を少しでも変えていかなきゃと考えているんです。

──ところで、自身の『SALE!』ですが、できてからけっこう聴いているんですね。

有馬:今の方がよく聴いてますよ。次の段階に早く行きたかったから『ハローグッバイep.』を作っていた時は聴いていなかったんですけど、『SALE!』をリリースして今ちょうど半年ぐらいですけど、もっと好きな作品になりましたよ。いい曲作ったなーって(笑)。“みんなのうた”ってありますよね。おとぎ話はそれがテーマだし、そういう曲を作れなかったら長くやる必要もないんじゃないかって思うんです。“みんなのうた”が一番大きなテーマで、そこを目指していれば他に目指すものはない。おとぎ話は“みんなのうた”だって胸を張って言えることが大事だと思うんです。

──誰もが口ずさめる…、子供でも歌える曲ということですね。

有馬:そうなんです。『HOPE』(M-3)は“みんなのうた”で流れてもいいのにと思うんですけどね。そういうイメージで作ったので…。まあ、世間と温度差はあると思うんですけど(苦笑)、僕にとっては完全にそうなんですよ。今こういう曲を残せたことに意義があるんです。いい曲だったらいつかきっと届くはずですからね。ライブで言えば、せっかくライブハウスに来たんだから汗かいてやろうぜっていう感じはなくて、自分がしたいように楽しんでもらいたいんです。究極は部屋でニコニコしながら音楽を聴いている時とか、お母さんのお腹の中にいた時にお母さんが鼻歌を歌ってるような曲を歌いたいんです。

──ライブを初めて見る人達に、こう訴えかけたいとか意識しているものってあります?

有馬:今はですけど…、ありのままであればいいと思ってます。戦略的なところは意識的にやればいいと思うけど、ライブ自体を意識的にやったら嘘をついている感じがしてキツくなってしまいますので。

──ステージに立つとかっこよく見せようとか、いろいろ考えちゃうことってありますよね。

有馬:僕はステージに立ったら、来てくれてるお客さんと会話をしたいんです。究極な話をするとみんながマイクを持っていてもいい。それも面白いですよね。

いろんな垣根をとっぱらって行きたい

──今回の『ハローグッバイep.』は、今までに比べるとより多くの人に浸透する曲になってると思いましたよ。

有馬:ファーストの頃からそう思いながら楽曲を作っていたんですけど、もっと意識するようになったというのはあるかもしれないです。いろんな人が聴いた時にいいと思えるもの。どんな楽曲を聴いている人にもアピールできる楽曲にしておきたいと思って、『smile』(M-1)だったらこれまでの日本のロックのフォーマットにはないような、ドラムの音をデカくしたり、そういうミックスの仕方をしたんです。

──Rooftop9月号で選んで頂いた“お気に入りの10枚”がありましたけど、大衆的な音楽というところでは今回は近づいているような気がしましたよ。本当のことを言うと、今まではわかる人にはわかるけれど、大衆的なものではないのかなって思っていたんです。

有馬:わかる人にわかればいいという風には作っていなかったんですけど、世間にとってはそうなのかなってちょっと思ったんです。それならどういう楽曲を作って戦うべきなのかっていうのを一生懸命考えたんですよ。でも、まだ20代だし、もうちょっと自分たちにしかできない音楽を考えながら作ってもいいんじゃないかと思ったんです。ただ、何万人に届くような音楽をやってる人はたくさんいるから、100万人に「いいメロディーだね」って言われるのを作らないと意味がないと思ったんです。それで『smile』ができたんです。

──『smile』は、すごくシンプルでハッピーでいい曲だと思いましたよ。

有馬:すごい好きな曲なんです。今までおとぎ話を好きだった人だけじゃなくて、例えば絵に興味がある人でも良いんですけど、いろんな垣根をとっぱらって行きたいと思っているんです。

──前から「POPの端っこにいながらROCKのド真ん中」というのがキーワードになってますよね。

有馬:そこは常に変わらないところで、もうそろそろちゃんと言葉にできる時期に来ているんです。そういう意識が強くなった時に『smile』を出せて良かったなって思いますよ。単純に自分がいいと思える歌、好きな曲の究極を作りたいと思って曲を作るから、これがたくさんの人に聴いてもらえなかったら意味がないだろっていう気持ちで書きました。今の世の中っていろんなジャンルをごっちゃに聴いている状況だと思うんです。だったら、おとぎ話はこういうアプローチで録音していきたいと思うんです。

──今回4曲とも良い意味でごちゃっとした感じを残しつつ、以前に比べるとクリアな音になりましたね。

有馬:おとぎ話でしかやれないことをやってるし、こういう感じが好きなんです。

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