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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】detroit7(2008年1月号)- 紅く燃え滾る"地球から3番目の星"の如く──

紅く燃え滾る“地球から3番目の星”の如く──

2008.01.01

ひとしきり泣いて元気を取り戻す

──続く「FATMAN BLUES」は粘着質なリフが耳に残るブルージーな曲ですが、これもダンサブルな要素がありますね。

菜花:
もう二度と会えない人に捧げた歌ですね。リフは仰る通りに粘っこく、溜めて爆発させる感じで。

山口: 「IN THE SUNSHINE」と同じように4つ打ちなんですけど、こっちはかなりベースが効いていますね。さっき言ったダーンッ!とした音の壁からちょっと変わってきたと言うか。

菜花: ダーンッ!と行って、最後はドカーン!だ(笑)。でも、今までにないタイプの曲ですよね。できた時に自分達でも“これいいよね!”って凄く盛り上がったんですよ。

──個人的に本作の中で一番好きなのが4曲目の「Cry for the moon」なんです。日本語で切々と唄われるメロディアスなラヴ・ソングで。

山口: ありがとうございます。最初から“Hey, little baby”という歌詞があった曲なんですよ。

菜花: なぜ“little baby”なのか、自分でもよく判らないんですけど(笑)。パッと頭に浮かんだ言葉を歌詞に残して、そこから膨らませていく書き方が多いんですよね。

──歌詞が日本語なのは、メロディとの相性が良いからですか。

菜花: 英語にするか日本語にするか、自分の中では最初から決まっているんですよ。これまた、自分でもよく判らないんですけど(笑)。「Cry for the moon」はなぜか最初から日本語だなと思っていて、そういうのは感覚的なものですね。インスピレーションがすべてです。

──“Hey, little baby 旅に出よう/Hey, little baby 世界の果てに/Hey, little baby 星を見よう、君とふたりで”と唄われるロマンティックな歌詞で、情感のこもったヴォーカルがとにかく素晴らしい曲だと思います。

菜花: 旅をしたいといつも思っているんですけど、なかなか行けないんですよね。“世界の果て”という言葉も好きなんですよ。果てなんてあるわけないんだけど。昔、九州を車で一周したことがあって、その時のことを色々と思い出して歌詞を書きました。

──“君”に愛情を注ぐ沸点の高さと、タイトルにある“moon”の凍てついたイメージとの対比がユニークですよね。

菜花: “Cry for the moon”は“どうしても手に入らないもの”という意味があって、手に入れたいのにどうしようもできないもどかしさを表現したかったんですよ。君がそばにいてくれさえすればいいのに、っていう。こう見えて私、凄くロマンティストなんですよ(笑)。

──最後の「Watering!」はシンプルかつストレートなロックンロールで、こうした小気味良い締め方は粋に感じますね。

菜花: この曲は、私が憧れる鈴木いづみと阿部薫の関係、ゼルダ・セイヤーとスコット・フィッツジェラルドの関係、『ベティ・ブルー』という大好きな恋愛映画の要素を全部詰め込んで、“Watering”=泣くという行為をテーマにしてみたんです。私、泣くと元気になるんですよ。泣き女体質なんです(笑)。ひとしきり泣くと、“明日も頑張ろう!”ってカラッとなれる。この曲が終わって元気を取り戻して、また1曲目の「IN THE SUNSHINE」に戻って欲しいんですよ。そうやって何回も聴いてくれたら嬉しいですね。

山口: あと、今回は笑って終われるアルバムにしたかったんです。「IN THE SUNSHINE」で始まって「FATMAN BLUES」で終わるような、ダンス・ナンバーで始まって終わるパターンも考えたんですけど、「Watering!」をレコーディングしていたらどんどん面白くなってきて、締めはこの曲で行こうと思ったんです。ギターの音が突然大きくなったり、異常にコーラスに凝ってみたり、何じゃこりゃ!? っていう感じの曲ですから(笑)。

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音楽は国境を越えると信じている

──今年の3月には、“SXSW”(サウス・バイ・サウス・ウエスト:アメリカ最大の音楽見本市)への出演とアメリカ・ツアーも決定していますね。“SXSW”は事務局から直々のオファーで、異例の大抜擢だったそうですが。

山口: 有り難いですね。GO!GO!7188が去年“SXSW”のジャパン・ナイトに出演していて、O-WESTで彼女達とやった2マンを観た関係者が打診して下さったみたいですね。もちろん私達もアメリカに行ってみたい気持ちはずっとあったんですけど、まずは日本でやるべきことをやってから行くべきだと考えていたんですよ。そのやるべきことは『GREAT Romantic』を完成させて成し遂げたと思ったので、やっと海外に目を向けられるようになったんです。新しいミニ・アルバムの発表後でもあるし、時期的には良いタイミングだと思いますね。

──海外でのツアーは初めてですか?

菜花: “SXSW”も含めて、初めての経験ですね。

──凄く意外ですよね。ティーンエイジ・ファンクラブやリーフ、マニック・ストリート・プリーチャーズやグレアム・コクソン(ex.ブラー)といった海外のアーティストが来日の際に度々共演している印象が強いので。

菜花: ああ、なるほど。私達としては“今だ!”っていう感じなんですけどね(笑)。

──自分達の音楽が世界基準でどの位置にあるのか、やはり常に意識していますか。

菜花: 音楽は国境を越えると信じていますからね。その音楽が格好良ければ何処の国だろうが関係ないと思うし、何語だっていいんじゃないかと。響くものは響くはずだし。

山口: そう、日本語だろうと英語だろうと、渾身の思いで“アアッ!”って叫ぶだけでも伝わるものがあると信じたいんですよ。

──言葉の壁は越えるものだと?

菜花: うん。超えるものだと信じていますね。そこに揺るぎはないです。

──アメリカ・ツアーはニューヨーク、ボストン、シカゴ、デンヴァー、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルスと1週間に7公演が予定されている過密スケジュールですが、目に物を見せるという意気込みで?

古田島: もちろん。

山口: 一昨年メンフィスでレコーディングした時に、1回だけ向こうでライヴをやらせてもらったことがあるんですよ。呑み屋みたいな所だったんですけど、ダイレクトさが日本とはまるで違ったんですよね。演奏が始まった途端に呑んでいる人達がこっちに来てくれるし、歓声も凄くて。あの身近な感覚が凄く楽しかった。

古田島: 観るほうも純粋に音楽を楽しんでいる感じで、音楽が生活の一部であることがよく判りましたね。

──こうした海外のツアーはいずれ定着化させたいですか。

山口: 是非そうしたいですね。イギリスやヨーロッパにも行ってみたいですし。

菜花: ツアーの規模が大きくなったら、さっき話したようにデトロイトでフェスをやってみたいですから。日本人がデトロイトでフェスをやるなんて、前代未聞じゃないですか?(笑)

──凄く今さらですけど、なぜに“デトロイト”なんですか。

菜花: 単純に響きだけで決めたんですよ。地名と数字の付いたバンド名にしたかったんです。“デトロイトって格好いいなぁ”っていう。で、デトロイトって言えば“7”かな? って(笑)。ホント直感なんです、これも。

山口: でも、後付けだけど菜花ちゃんの好きなアーティストはデトロイト出身が多かったりするんだよね。

菜花: そうそう。MC5もイギー・ポップ&ザ・ストゥージズもデトロイト出身で、無意識のうちに繋がったなと思って。今のデトロイトって音楽的にはどうなんだろう。エミネムとかホワイト・ストライプスもデトロイトだよね?

古田島: ちょっと前はデトロイト・テクノが流行っていたよね。アナログ・シンセとドラム・マシンを多用した感じの。新しい音楽や文化が比較的多く生まれる土壌なのかなと思いますね。

──detroit7のバンド人脈なら、アメリカ以外の国でもツアーができそうですよね。

菜花: 今まで対バンしたバンドが結構いますからね。オーストラリアのウルフ&カブやイギリスのフィクション・プレイとかとは連絡が取れると思いますよ。

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Third Star From The Earth

rudie&records RR-777
1,500yen (tax in)

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01. IN THE SUNSHINE
02. microphone drives
03. FATMAN BLUES
04. Cry for the moon
05. Watering!

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