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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE RODEO CARBURETTOR(2007年10月号)- 進化することを選んだバンドが辿り着いた『glare』という新たな地平

進化することを選んだバンドが辿り着いた『glare』という新たな地平

2007.10.01

ファイナルで初のシェルター・ワンマンを敢行した"meaningful/Precious' TOUR"、より音楽的なレンジが広がったセカンド・アルバム『Kingdom』のリリース、それを受けて未曾有のライヴ本数を重ねた"Kingdom TOUR"、そして夏の野外フェスティヴァルへの出演と、今年に入ってから精力的な活動が矢継ぎ早に続くTHE RODEO CARBURETTORが早くもニュー・シングル『glare』を発表する。変わり続けることの勇気とロックし続けることの強靱な意志はより強度を増し、その結果生み出されたタイトル・トラック「glare」は、バンドを新たな局面へと導くだけの高いポテンシャルに満ちた意欲的な楽曲だ。リリース後は遂に初のワンマン・ツアーを行なうことになったバンドの行く先について、ヴォーカル&ギターの鍛治 毅に話を訊いた。(interview:椎名宗之)

その時々のありったけの力を作品に注ぎ込む

──セカンド・アルバム『Kingdom』の全国ツアーを敢行後、今年の夏は“RISING SUN ROCK FESTIVAL”“SKY JAMBOREE '07”といった野外フェスティヴァルに立て続けに出演されましたが、手応えは如何でしたか。

鍛治:自分達にとっては初めての経験だったので不安もあったんですけど、バンド史上最長のツアーだった“Kingdom TOUR”で得た自信もあったのか、バンドのライヴを早く見せたい気持ちが何よりも強かったですね。そのモチベーションの高さが功を奏したのか、演奏を始めた途端にオーディエンスもたくさん集まってきたし、いい形でバンドをアピールできたんじゃないかな。

──野外は開放的だから、プレイするのも気持ち良かったんじゃないですか。

鍛治:そうですね。“RISING SUN”はテントがあったので大ホールでやるような感じもあったけど、その翌週に長崎でやった“SKY JAMBOREE”のほうは公園にステージを作ったような会場だったから、まさに初めてやる野外フェスっていう感じでしたね。まぁ、気を失うくらいの暑さでしたけど(笑)、凄くいい経験ができたと思います。

──普段ライヴを行なうライヴハウスとは勝手が違うところも多々あったと思いますけど。

鍛治:まぁ、モニターの聴こえ方が若干違ったりはしましたけど、そんなことも関係ないくらいの楽しさ、気持ち良さがありましたね。野外フェスに出たバンドマンが「野外はいいよ」って言う意味がよく判りましたよ。会場がどれだけ大きくなっても、3人の立ち位置さえしっかりしていればどこでライヴをやろうが大丈夫だと思えたし、そこは勉強になりましたね。

──1月からの“meaningful/Precious' TOUR”、5月からの“Kingdom TOUR”と今年に入ってからとにかくツアー三昧で、そこで培ったライヴの経験値が今のバンドの活性化に繋がっているんじゃないですか。

鍛治:今年行なった2本のツアーは特に充実していましたからね。バンドの名前もやっと少しずつ広まってきて、動員も着実に増えてきたし、そういう部分でも凄くテンションが上がりましたよね。特に“Kingdom TOUR”は“meaningful/Precious' TOUR”よりも確実にバンドが認知されてきた感があったし、自分達にとっても納得のできるいいライヴができたと思います。バンドの状況も凄く良かったからこそ、その状況のまま大舞台である夏の野外フェスまで駆け抜けていきたかったんですよ。

──今年の2本のツアーは、いずれも千秋楽を下北沢シェルターで迎えて頂いたんですよね。

鍛治:シェルターはずっと憧れのライヴハウスで、以前やっていたバンドで昼のオーディションを受けたこともありましたからね(笑)。

──ちなみに、オーディションには受かったんですか。

鍛治:ええ。何回か受かったんですけど、スタッフの人に「もう一度昼にね」って言われたから、“俺達、落ちたんじゃないか?”と思ったんですよ(笑)。そこから他のライヴハウスに移っちゃったんですけどね。だから、このTHE RODEO CARBURETTORで晴れて夜の部に進出できたんですよ(笑)。

──“Kingdom TOUR”の充実振りは、やはりアルバムがそれだけ高水準だったからだと思うんです。その時点でのバンドの集大成的な意味合いもあったと思うし、バンドのポテンシャルを最大限まで引き出した作品だったからこそ、その勢いがツアーにも如実に反映されたんじゃないですか。

鍛治:そうでしょうね。毎回、その時々のありったけの力を作品には注ぎ込んでいるし、そうじゃなければおかしいと思っているので。いつも全部を出し切るから、曲のストックも毎回空っぽになるんです。そのストックの中から最高のものを作り出そうとして、歌詞に関してもちょっと恥ずかしいくらいにリアリティを追求するんですよ。最低限そこまでやらないと、聴いてくれる人達に対して失礼だと思うし。だから、作品を作り終えた時は文字通り抜け殻のようになっていますね(笑)。

──『Kingdom』は、ファースト・アルバム『Black Luster Songs』に比べて曲調がヴァラエティに富んでいたのが大きな特徴でしたよね。疾走感に溢れた従来のナンバーに加えて、「tonight」のように憂いを帯びたメロディでスケールの大きさを感じさせる曲もあったり、そういった楽曲の多彩さがライヴでの流れに起伏として作用していたと思うんです。

鍛治:それはありますね。爆音でスピード感のある曲だけをやるバンドっていうイメージを多くの人が持っていると思うんですけど、決してそこだけじゃないんだぞっていうのを『Kingdom』で意識的に提示したつもりですから。

──ライヴでのオーディエンスの反応にも、今までと違う変化が見られましたか。

鍛治:反応がダイレクトで判りやすくなったというか、オーディエンスも最後まで楽しめるようになったんじゃないかと思いますよ。こっちが速い曲ばかりやっても観るほうは疲れてしまうだろうし、いろんなタイプの曲をやることで上手い具合に波を作れた気がしています。ライヴにも作品にも通用する、現時点で考え得る最高の楽曲ができたと思いますね。

「glare」のキーワードは“自問自答”

11_ap01.jpg──ニュー・シングルの『glare』なんですが、度重なるツアーと夏フェスの合間を縫ってよくこれだけ質の高い作品を生み出せましたね。タイトル・トラックの「glare」は溜めを効かせたグルーヴの後にサビで一気に爆発する曲で、これまでのTHE RODEO CARBURETTORにはありそうでなかったタイプの曲ですよね。

鍛治:そうですね。進化していくほうを選んだんですよ。革ジャンと革パンのスタイルでずっとやっていくような、変わらない格好良さってあるじゃないですか? その良さも充分に判っている上で、俺達はバンドの音を進化させていきたいと思ったんです。似たような曲は出していきたくないし、ちょっとでもいいからニュアンスを変えた作品を常に発表していきたいんですよ。進化するために余分なものを削ぎ落としていかないと、走るスピードが遅くなってしまいますから。今回のシングルはそういう思いを上手く形にできましたね。

──もちろん、THE RODEO CARBURETTORの代名詞とも呼べるメロディとリフの激しい交錯はこの「glare」でも健在だし、聴き手の心を鷲掴みにするメロディも際立っていますね。

鍛治:メロディにはいつも細かい部分までこだわっていますからね。3人ともメロディが芯にある音楽をずっと好んで聴いてきたし、ロカビリーみたいな音楽も大好きなんですけど、圧倒的に好きなのはメロディのある歌なんですよ。一本気なサウンドと良質なメロディの融合が昔はなかなか馴染めなかったけど、最近はそれを上手く表現できていると思うんですよね。

──その部分の融合はすでに『Kingdom』で片鱗を覗かせていたと思いますが、この『glare』でよりフォーカスが絞れた印象を受けますね。

鍛治:ありがとうございます。「glare」のキーワードを一言で言えば“自問自答”なんですよ。“Kingdom TOUR”の1週間空いた時期を使ってこのシングルを録ったんですけど、その時に自分が思い立ったことを形にしたんです。何というか、初期衝動に突き動かされる自分自身が薄れているんじゃないかという感覚に陥ったんですよね。過酷なツアーを巡る中で、リハーサルをやってホテルに戻ってギリギリの時間まで寝て、会場に戻って本番を迎えて…そんなことを繰り返していくうちに、自分さえ良ければそれでいいじゃないか? と思ってしまう瞬間があったんです。今のライヴではアマチュア・バンドとの対バンがまだまだ多くて、彼らは自分達のライヴを俺達に観て欲しいし、その上でアドバイスを求めてくるわけですよ。でも、結局は彼らのライヴも観ずにホテルで休んでしまっている自分がいる。“何なんだよ、俺は!?”っていうか、そんな自分自身に対する苛立ちを覚えたんです。

──“俺のハングリーさはどこへ行ってしまったんだ!?”っていうような?

鍛治:ええ。ハングリー精神って絶対に必要なものじゃないですか? だからこそ、余計に自分が許せなかったんですよね。端から見れば凄く小さいことかもしれないけど、それが積み重なって取り返しの付かないことになる前に、今の時点でこの自分の感情を全部吐き出しておきたかったんです。まぁ、身も心も摩耗するのは別にバンドマンに限ったことではなく、誰しもが日常的に経験することでしょうけど。その意味では普遍的なテーマの曲と言えるかもしれませんね。

──それにしても、「glare」はツアー中に曲作りをしたとは思えない完成度を誇っていますね。

鍛治:これはもう、締切パワーの賜物ですよ(笑)。「ここの期間で録れなかったから発売は延期だからね」っていうプレッシャーがスタッフから掛かるし、“そうは絶対にさせないぞ”っていう気合いを持って臨んでいますね。でも、昔に比べたら幸せな状況だと思いますよ。コンスタントに作品を発表できて、それを全国に流通できる環境なんて最高じゃないですか? 有り難いことにそんな環境に身を置ける以上、とても休んでなんかいられないですよね。

──これまで発表してきた楽曲は物語性が強い内容で、歌の主人公が“俺”ではなく“彼”や“彼女”であることが多かったと思うんです。それがこの「glare」では鍛治さんの主観が全面的に占められていますよね。

鍛治:制作期間がタイトで切羽詰まっていたのが功を奏した部分もあると思うんですよね。あと、嘘をつきたくなかったし、今の俺の感情をそっくりそのまま書いたらああなったんですよ。このテイストのままで次作に行くかどうかは断言できないんですけどね。その都度自分が感じたことを曲にしているので、またその時になってみないと判らないし。

──胸を深くえぐり出すようなハードなサウンドは、『Kingdom』の延長線上にあると言えますね。

鍛治:それをより簡潔に仕上げることができたかな、と。自分達が好きで聴いていたラモーンズとかの曲も凄く簡潔だし、知らず知らずのうちに俺達もソリッドな方向の曲作りになったんですよね。極々自然な流れで曲の構成や長さが短くなったんです。

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