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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】立花ハジメ(2007年9月号)- オータナティヴっていうのは次の時代の中心になるという意味なんだ── 日本のサブカルチャーを牽引し続けてきた重鎮が新編成のバンドを始動!

オータナティヴっていうのは次の時代の中心になるという意味なんだ──日本のサブカルチャーを牽引し続けてきた重鎮が新編成のバンドを始動!

2007.09.01

"LOW POWERS"としての活動以来、約10年振りにニュー・プロジェクト"THE CHILL"を立ち上げた立花ハジメ。女優の紺野千春(ヴォーカル)、クニ杉本(ベース)、屋敷豪太(ドラム)というメンバーによるTHE CHILLのサウンドは、音響系~エレクトロを通過した筋金入りのオータナティヴ・ロックに仕上がっていて、立花氏自身も"予想以上の出来"と大満足。このバンドはパーマネントなものであり、「来年の夏のロックフェスを目指す」(!)という発言も。10月にはプラスティックスの再結成ライヴも控えており、今年から来年にかけて"ロック・アーティスト、立花ハジメ"は精力的に活動することになりそうだ。(interview:森 朋之)

自分でも何をやるか判らないから面白い

──“LOW POWERS”がちょうど10年前ですよね。

立花:そうですね。'97年だから。

──で、その10年前には“TAIYO-SUN”があって。ちょうど10年周期で音楽活動が盛んになるっていうのは、単なる偶然ですか?

立花:まぁ、“たまたま”なんだろうけど…。わざわざレコーディングをやって、たくさんのスタッフにも動いてもらってっていうのは大変なことですからね。それだけの価値があるって思わないとやれないんですよ。音楽でもデザインでもそうだけど、周りに好きなものがある時は自分でやる必要もないし。これは自分で作ったほうがいいだろうなって思わないとね。

──そのスパンが10年おきにやって来る、と。

立花:プラスティックスの時は自分が当事者だったから、当然、活動のペースも早かったけどね。毎年のようにアルバムを出して、海外のツアーもどんどんやって。でも、'87年くらいからはヒップホップ、ハウスが出てきて、ニューウェイヴの時代ではなくなった。僕としても何をやっていいか判らなかったし、世の中からの需要もなくなるわけで、だんだんと制作のペースも落ち着いてきちゃったんだよね。ヒップホップにもハウスにも、全然興味がなかったから。

──あ、そうなんですか。

立花:ヒップホップにもハウスにも、それからJ-POPにも全く興味がなくて。'97年くらいにナンバーガールとかイースタンユースとか、新しい日本語のロックが出てきた時は“同じような意識を持ってる人がいるんだな”って思いましたけどね。LOW POWERSをやったのも、そういうことだし。今はまた、状況も違いますよね。さらに10年くらい経って、ニューウェイヴもリヴァイヴァルしてきて。といっても、そのこととTHE CHILLはまた別なんですけど。

──CDの中にも書かれていましたが、ギタリストとして、B-52'sのリッキー・ウィルソンから受け継いだ変則チューニングを用いるっていうのがポイントだった?

立花:うん、あのチューニングを受け継いでるのは、僕しかいないから。10年くらい前までは、どうやってもリッキーっぽくなってたんですよ。それが少しずつ、自分なりに弾きこなせるようになってきて、曲も書けるようになってきて。それを纏めて、バンドというスタイルでやってみようと。

──3弦がなくて、D、A、D、B、Bっていう、凄いチューニングですよね。リッキーとはもともと、どうやって知り合ったんですか?

立花:トーキング・ヘッズとB-52'sが最初に日本に来た時、ポスターとかパンフレットのデザインをやってたんですよ。好きだったから、自分からやらせてくれって言ったんだけど、知り合ったのはその時ですね。その後、プラスティックスがislandからリリースできることになって、その時のマネージメントを彼らと同じ会社が請け負ってくれたんですよ。で、トーキング・ヘッズのセントラルパークのコンサートでオープニング・アクトをやったり、B-52'sとも全米ツアーを一緒に回って。今でも仲がいいけどね、デヴィッド・バーンとかケイトとは。

──チューニングを教わったのも、その頃ですか?

立花:うん。バックステージにギターがいっぱいあったから。でも、さっきも言ったように、あのチューニングはリッキーの発明みたいなものだし、ホントに独特なんですよ。変則チューニングってたくさんあるけど──キース・リチャーズのオープンGとか、ソニックユースのギターの子とか──あれを受け継いでるのは僕だけだし、みんなに教えてあげたほうがリッキーも喜ぶんじゃないかなって。去年から今年にかけて、一気に曲を書き上げて“やっぱり、バンドっていう形態を取るのがいいだろうな”って思った。

──その時点で、バンドのイメージっていうのは固まっていたんですか?

立花:僕がメンバーに曲を伝えて、それをリハスタでやるだけだと、普通のロックになっちゃう。だからまず、豪太(屋敷豪太/ドラム)と邦君(クニ杉本/ベース)と一緒にエレクトロな感じでデモを作って、そこで出来上がったベースラインだったりドラムだったりをコピーする、っていうスタイルがいいなって思ったんですよね。一度エレクトロを通ることで、普通じゃない感じになるっていうか。それをやるためには、まず、上手くなくちゃいけない。あと、そういうセンスを理解できる人じゃないとダメだから。

──バンドとしての方法論が先にあった、と。

立花:それはね、LOW POWERSの時にBuffalo Daughterの大野さんとよく話してたんですよ。「次やるんだったら、こういう方法がいいだろうね」って。それが今回、自分が思った以上に機能したっていうのはあった。曲順、曲間が決まって、マスタリングが終わってから、さらに見違えるように良くなったし。満足してますね。CDもリリースしたし、ライヴもかなりやったし、プロモーションはほとんど終わったし。全部やりきって、気が抜けてます(笑)。

──(笑)歌詞に関してはどうですか? 「私はあなたに所属したい」の“新しいものとは何かわからないもの”というフレーズには、強いメッセージを感じたりもしたのですが…。

立花:ああしろ、こうしろとは一切言ってないけどね。でも、日本語の歌詞でやる、ってことですよね。カヴァー以外は全部日本語だから。大変ですけどね、歌詞は。違うテンションを上げていかないといけないから。まぁ、よく書けたとは思いますよ、今回は。「UP DATE」にしても「私はあなたに所属したい」にしても。自分でも何をやるか判らないから面白いんですよね。

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