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トップインタビュー【復刻インタビュー】サンボマスター(2006年4月号)- サンボマスターと平野悠対談の全てをロックンロールと呼べ!

サンボマスターと平野悠対談の全てをロックンロールと呼べ!

2006.04.01

ロックはストラグルしながらも社会にコミットしていかなきゃいけない

01_ap2.jpg平野:コミュニケーションってそれはいつも必要だと思うんだけれど、新しい価値観とかを生む土壌って反逆とか反抗的な精神から生まれるっていう部分てすごく多いと思うんだよね。あなたは50や60のオヤジを断罪でなくってコミュニケーションしようよと言う。でも、コミュニケーションが成り立つかどうかっていうのがすごく難しい問題になってきているでしょう。時に相手は強大な権力を持っている場合もある。

山口:そこであなたが言ってることはさ、今のロックンロールを代弁しているのと一緒なわけ。だったら切り捨てるのか断罪するのかって話なの。あなたが断罪しているのはあなたが聞かなかったロックンロールなんだよ。あなたが聞きたかった僕らのロックンロールはそういうロックンロールじゃないんですよ。

平野:僕等は今の若い子たちのロックンロールを断罪しようとは思ってない。むしろ今そしてこれまでのロックンロールはダメなんだよって言えるのが君たち若者の特権じゃん。

山口:若者の特権じゃなくて平野さんが言えてるんだから、平野さんの特権じゃん!だけど、今回のアルバムの歌詞で言わせていただければ、「奴らが何をしたっていうんだ」(『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』)。それはあなた方への歌ととってもいいだろうし。だけど平野さんの話聞いて思うのは世代闘争という局面だけでみていいのかなって思うわけ。おじいちゃん、おばあちゃんが貧乏しちゃってていいの?って普通思いません? 俺の歌詞で「池袋の通りじゃまた老婆達が『偉そうなやつは殺して』」(『ゲットバックサンボマスター』)って歌ってますけど、俺本気でみんな怒ってると思いますよ。平野さんが言ってる事って俺は実はそれを否定しようとも思ってなくて、ひとつの提案としてもっと言うべきだっていうのは心にとどめたいわけ。それも含めた上でやりたい。対立の構造だけで終わらせたくない。

平野:その問題とコミュニケーションっていうのは分けて考えるべきじゃなく、コミュニケーションしながら対立するっていうのはありだと思う。対立から新しい何かが生まれる。

山口:そこに暴力っていうのはやめたほうがいいと思うよ、戦争になっちゃうから。さっきの世代の断絶という意味で言ったら逆に聞きたいんですけど、ロック史自体が断絶の歴史なんですか? 海外から入って来て、ひとつの繋がりはないのかしら?

平野:ずっと繋がっているんだけど、ロックというものが市民権を得て売れるようになってきて、サブカルチャー(対抗文化)だったのがメインカルチャーになってきた。そうするとライブハウスもそうですけど、売れなきゃクソだという世界になってきたわけじゃないですか。それがビジネスを含めた上でのロックの歴史なんです。やっとこの数年来レコード会社なんて相手にしなくても自分達で自主レーベル作れるよってそういう時代になってきてそれが繋がってると言えば繋がってるし、そこで今ロックが何を必要とされていて何を成すべきかというところだと思うんですよね。

山口:今話してることで言ったら、僕はこう思う。61歳の平野さん、30歳の僕。ロックンロールを通してこれだけ熱く語る。これコミュニケーションですよ。それでいいじゃないか。ロックンロールっていうのはストラグルしながらも社会とか空気とかにコミットしてかなきゃいけないと思ってるの。それがロックンロールと考えて僕はやってるんです。

平野:でも、若い世代だったらコミュニケーションふざけんじゃねえと俺はこう生きるんだっていう断固とした主張が一方では必要かと…。

山口:それはそういうやつにインタビューしてくれなきゃ困っちゃうよ!!

平野:山口さんがどういう人か知らないから話したかったんだよ。本当にロックで勇気をもらったり、生きる希望をもらったり、自殺を思いとどまったり、社会の不正を憎んだり。戦争とかグローバルなものは変えられないかもしれないけども、そういうことは変えられる。そういうメッセージを出してるロックンローラーが今どれだけいるのかな。政治の歌だけをうたえとかそういう意味じゃないですよ。そこで山口さんと出会ったんですよ。

山口:僕も興味ありますよ。そりゃそうでしょ。この新作聞いたらそんなことしか歌ってないんだから。ただ、弱ってる世代に追い打ちかけるの? って感じ。平野さんが言うことはさ。

平野:問題はその中に、天下り官僚や権力持ってるあぐらをかいている奴がいるわけじゃないですか。そこを言ってるわけよ。

山口:それは戦ったほうがいいよ。それは後ろから斬ったっていい。(笑)

平野:俺達の20代の時はそうやって世の中のシステムを作ってる権力者を憎んでた。

山口:そりゃ、憎いですよ。

平野:あっ! 意見が合った(笑)。

山口:あっ! じゃないですよ! (笑)

平野:だから自分だけでも今若者から憎まれる存在になったと自覚したいのに、あなた方が怒ってこないから。

山口:忘れられてるんだって!(笑)。でも、平野さんなんでロックやらないの?

平野:やってもいいんだけど、生き方がロック、それでいいいんだよ。

山口・近藤・木内:それは、そうですね。

平野:君たちの持っているコミュニケーションっていうのは大抵「君の気持ちもわかるよ」から始まる訳だ。無駄な争いごとはしたくない。俺達世代はそんなこと考えなくって論争で決着つかなかったら最終的には殴合いまでして、家に帰って悔しくて泣いたり論争に負けて悔しくて本買ってきて勉強したり。それが今の君たちは争いごとしたくないから「君の気持ちもわかるよ」から出発して最後には中途半端に「まあいいか」で終わる世界がずっときてる。この20年ぐらい。

山口:だから俺達は始めたんだっての!! 勝手に俺達を決めつけんなよなぁ!! だけど確かに「君の気持ちもわかるよ」から始まってる。

平野:それが俺はわかんない。青春っていうものは半端なもんじゃいけない。

近藤:平野さんは本当にスグ決めつけますねぇ。

木内:それは何が悪いのかわからないですよ。

平野:ほとんどのいわゆる論争における帰結が予定調和になっちゃう。そんなところからはなんにも新しいものが生まれない。

木内:予定調和じゃなくて、話し合うことで自分の頑なな部分があるじゃないですか。それが必ず正しいならいいですけど、正かどうかはわからないですよね。絶対的な自信があって知識も裏付けもあってってところならそれでいいと思うけど。

平野:解らないから相手から知識を吸収する意味でも、不退転の論争するのが俺達には必要だったから。その点で君達とは前提が違う上で話してるんだ。

山口:世代論としてね。

平野:君たちはそうやって育ってきてるから、破壊的なすごいことが生まれない。

山口:それもひっくるめてコミュニケーションって言ってるのよ。だいたいそういう事はちゃんとアルバム聴いてから言ってよ!(笑)全然聴けてねぇのに何が破壊的だよ!全然説得力ないよ!!そうでなければ1曲目(『二人ぼっちの世界』)にこんなうるさい曲やらない。だけど、平野さんが言ってることも間違ってるとも思えないのよ(笑)。

平野:論争に負けたら悔しくて帰ってきて勉強するんだよ。勉強して次はあいつをうち負かすっていうテンション。そういうもんだ。それが次のステップに行ける。「まあいいか」とか「君の気持ちもわかるよ」じゃなくて、お前の言ってることは分かんねえよっていうのを通すことによって生まれるものはある。でも「君の気持ちもわかるよ」って多分分かってないのに分かるって言ってたって何も始まらないの。

山口・近藤・木内:だから全然説得力ないってば!! (笑)

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