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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】てるる...(2006年3月号)- 『贈りもの』──静かな朝日が昇るとき

『贈りもの』──静かな朝日が昇るとき

2006.03.01

繊細でありながらエモーショナルなメロディ・ライン、イマジネーション豊かな独自の日本語詞、幸せや不安といった相反する感情が渦巻く渡辺 豪の歌声が聴く者に強烈な印象を残す平均年齢21歳(!)の3ピース・バンド、"てるる..."。2000年8月の結成以来、独自のペースでライヴを重ねながら自主レーベル"TERURUレコード"から次々と意欲的な作品を発表してきた彼らが今年遂にメジャー・デビューを果たし、ミニ・アルバム『贈りもの』を完成させた。昨今のギター・ロック・バンドの中でも群を抜いてメロディアスな楽曲を奏で、美しくも痛みを伴った唯一無二の歌声が際立つ"てるる..."のロックが、2006年の新たなスタンダードとなる日はそう遠くないだろう。『贈りもの』にはそんな確かな手応えを十二分に感じさせる説得力とギター・ロックの新たな可能性が満ち溢れている。(interview:椎名宗之)

自分達の世界観が出せる6曲にしたかった

02_ap_vo.jpg──インディーズ時代のセレクション・アルバム『TERURU』から1年、晴れてメジャー進出を果たしたわけですが、現在の心境は?

渡辺 豪(ヴォーカル/ギター):曲を作ったりライヴをやるという音楽をやること自体は何も変わってないし、意識もそれほど変わってないですね。でも、バンドに関わる人も多くなってきたし、そういう商業システムに入っていることをちゃんと自分の中で考えておかないと、とは思ってます。

──“商業システム”という言葉がこれほど似合わないバンドもいないでしょうけど(笑)、関わるスタッフが増えれば、作品作りもライヴにおいても、より一層責任感が増しますよね。

渡辺:そうですね、それは間違いなく。メジャーってものを判っているようでまだよく判っていないし、せっかく入ったわけだから、いろいろ勉強して自分達の活動に活かしたいと思ってます。

──今回のミニ・アルバム『贈りもの』に収められた曲は、すでにライヴではお馴染みのものが多いですね。

甲田悠一郎(ドラムス):そうですね、ライヴでは今もよくやってる曲です。

渡辺:レコーディング自体は12曲録って、最初はフル・アルバムで出そうかっていう話もあったんですけどね。

甲田:でもミニ・アルバムのほうが聴きやすいし、手に取りやすいだろうと思って。最近のライヴでよくやっている曲で、バラエティにも富んでいて、なおかつ自分達の好きな歌を選んだ感じですね。

渡辺:自分達の世界観が出せる6曲にしたかったんですよ。どの曲を入れても良かったんですけど、今のライヴでよくやっている曲が良かった。「大きな空の真下で」と「よく晴れた日」なんかはもう2年くらい前からやってる曲だから、そろそろ作品として出しておこうか、っていう(笑)。じゃあバランスを取るために後の4曲はどうする? って感じで選んで。

──インディー時代のファースト・ミニ・アルバム『最早 この絵は虫の息』から比べると、表現の説得力が格段に増したのがよく判りますね。

渡辺:客観的に聴き比べてみても前とは変わったと思うし、自分達でも良くなってるとは思ってますね。

──井嶋さんがてるる...に加入されて、自ずとバンド・サウンドにも変化があったでしょうし。

井嶋啓介(ベース):僕が加入したのが去年の1月ですから、もう1年以上経ちましたからね。

渡辺:井嶋が加入して、メンバーの間ではバンドとしてのまとまりがより強まった気がしてます。それをもっと音にして出していかなきゃいけないんですけど。この3人の中で意志の疎通がグルグル回るようになったのは凄く感じてますね。井嶋も最初はヘタクソだったけど(笑)、ヘンに音楽の色が付いてなかったのが良かったと思ってます。

甲田:ライヴでも僕と豪の根本的なものは変わってないですけど、個々っていうよりもっと3人で、っていう意識が強まったと思いますね。

──井嶋さんは、てるる...に加入して初のレコーディングは如何でしたか?

井嶋:単純に楽しかったですね。自分が如何に無知かを知りましたけど(笑)、凄く楽しかったです。

02_live02.jpg──てるる...のレコーディング現場の雰囲気ってどんな感じなんですか? 何か凄く張り詰めた空気なのかなと勝手に思うんですけど(笑)。

渡辺:いや、普通ですよ。冗談とか言い合いながら、割と楽しくやってますね。張り詰めてはいないと思いますよ。思うようにできなかったらできなかったで、またそこで考えたりすることはあるけど、基本的には楽しく。

──メジャーに移籍して、いい器材が使えたりとか、多少レコーディング環境も良くなりました?(笑)

渡辺:いや、レコーディング自体はいつも通りですね。だけど、単純に自分の作る曲がそうなってきたっていう感じというか…。

──“そうなってきた”というのは、より間口の広い曲作りに移行してきたという意味ですか?

渡辺:うーん、結果で言えばそうなんですかねぇ…。余り意識はしてないけど、自然とそうなってきた感じです。新しい曲を作ろうと思って作ってみたら、こんなふうに出来てきただけで。

──じゃあ、特にメジャーに対しての強い気構えもなく…。

甲田:うん、ごくごく自然に。今まで通り普通に曲を作ったし、「メジャーだからこの曲を入れよう」とかそういうのもなかったし、やっていることはこれまでと何も変わってないと思ってます。

──曲は完成形に近い状態でスタジオに入るほうですか?

渡辺:いつもほとんど出来た形でレコーディング・スタジオに入りますね。スタジオでセッション的なものから発展していくことは余りないです。

──「大きな空の真下で」でのメランコリックなワルツや「マロニエ」でのジャジーな感じとか、サウンド面でグッと大人っぽくなったと思うんですけど、制作期間中に何か影響を受けた音楽とかあったんですか?

甲田:何でしょうねぇ。特定の音楽に刺激を受けてそういう曲が生まれたわけでもなく、自然に出来たっていうか。(渡辺に)何かあった?

渡辺:……判らん(笑)。ただ、「マロニエ」のジャズ的なアプローチというか、裏打ちのリズムってあるじゃないですか? ああいうのが元々好きなんですよ。たまにスタジオとかでなりふり構わずリフを弾いたりすると、ああいうリズムが多いんですよね。

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