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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】杉作J太郎(2006年1月号)- 男はカッコよく、女はステキに

男はカッコよく、女はステキに

2006.01.01

 これだけ公開を待ち望んだ映画も近年稀ではないか。そう、遂に! 男の墓場プロ制作二本立て映画『任侠秘録/人間狩り』と『怪奇!幽霊スナック殴り込み!』が1月21日から公開されるのだ。杉作J太郎がすべてを投げ打って立ち上げた、本物の男と女のための映画制作プロダクション、その記念すべき第一弾作品公開直前の杉作監督にお話を伺ってきた。(文/加藤梅造)

世の中に愛と理解と男気があまりにも不足しているという緊急事態

──Jさんは以前から映画を撮りたいと思っていたんですよね。
 
J:ずっと夢でした。上京してからも大学に通いながらシナリオ学校にも通ってましたから。いつかはやろうと思って準備はしていたんです。これまでの生活のすべてが準備だったと言っていいんじゃないですか。むかし『平凡パンチ』で仕事したのも、映画界の人達と仲良くなれるチャンスだと思ったからです。飯島洋一さんと初めてお会いしたのも、平凡パンチの仕事でした。で、撮るとしたら一千万単位は必要だからずっと貯金は続けていたんです。でも貯まったと思ったら、別の事情でなくなったりとか…。それが今回、遂に踏み込みました。
 
──その踏ん切りをつけたのはどういうきっかけだったんですか?
 
J:それはごっちん(後藤真希)主演の映画『青春バカチン料理塾』(2003年)を観たからですよ。って、急に話の流れがおかしくなってきたと思われるでしょうが(笑)、踏ん切りとしてはそうですよ。まあ、ごっちんだけじゃなくて、加護ちゃん、ひいてはモーニング娘。ってことになるんでしょうけど、彼女達を応援している過程において、世の中に愛と理解と男気があまりにも不足しているという緊急事態に気がついたんです。このまま僕らがぼんやりしてたら、まじめにがんばっている人達がどんどん過ごしにくい世の中になってしまう。だって、男がチマチマと女の子達の足をひっぱるような事をしてるんですよ。バカバカしい! 女性を助けてあげて、なおかつ何の見返りも求めないのが男でしょう。それを今の男は、見返りがないからって攻撃する側に回ってるわけですよね。これは庵野秀明さんが言ってたことだけど、攻撃することによってその対象に近づきたいという行為なんだと思うんですけど、全く情けない。遠くたっていいじゃないですか、応援してれば。愛なんていうのは、つきあっている女性に対してさえ、届いているかどうかなんてわかりゃしないんだから。そもそも愛は発信することに意味があるわけですからね。まあ、とにかくそういう活動から始まったんです(笑)。
 
──あいぼん運動(有志で加護ちゃんを応援する運動)はまさに、そういったものでしたよね。
 
J:彼女に届くか届かないかが問題じゃないわけですよ。届かないけど応援することが大事であり、それが僕に映画を撮ることを決断させたんです。
 
──ここ数年のJさんを見てると、映画を撮り始めた事は、まさに機が熟したって感じはありますよね。
 
J:いつかやらなきゃいけないってことは分かっていたんです。僕らが好きなハードボイルドで骨太な娯楽映画ってものがどんどん廃れてきて、いつしか口当たりのいい男と女ばかりが出るようなものになっちゃった。ホントに面白いものは違うだろうと。現実に僕らの周りには素敵な人達がたくさんいるし、そういう人達で映画を作ったら絶対面白いものができるという確信はあった。それで、もう今やらないと体力的にもキツいだろうし、それと、映像プロレスを目指していたFMWが、ああいう形で終わってしまったことも大きかった。荒井さんも、冬木さんも亡くなってしまい、もうまともな顔して生きていけない、俺も終わったなぁと。じゃあ、どうせだったら死んだと思ってやってみようというのも正直な所で。だから今、映画を始めたことで、ようやく僕も元気が出てきたのは事実ですよ。だからそれらすべてが一致したってことなんじゃないですか。
 
 

10年後の大スターは墓場プロから出ると思います

──実際に映画を撮り始めてどうでしたか?
 
J:映画を撮っていく中で、素敵な男達、女達に出会っていくことが一番の快感でしたね。僕がこれまで何度かテレビとか映画の現場で感じたことですけど、来るいわれのない人が集まってることがあるじゃないですか。墓場プロはそうじゃないのが楽しいですよ。とにかくアウトローが集まってるわけだから、検品ではねられた人達が大集合している。でも、そもそもその検品の仕方が正しいのかどうかってことなんです。今の時代の、これは使える、これは使えないという基準は間違っていると思うし、僕らはそこを是正したいわけですから。
 
──常々、杉作さんは、いずれは後藤真希を墓場プロ作品の主演女優に迎えたいと公言していますよね。
 
J:ええ、ものすごく存在として素晴らしいと思うんですよ。彼女の強いけれども優しい部分を打ち立てたドラマっていうのを観てみたいと思いますから。だからそれは実現させたいですね。でも、いやいや来てもらっても仕方がないから、スターをちゃんと迎え入れる体制を作りたいと思います。桑田佳祐さんとか、西郷輝彦さんとか、敏いとうとハッピーアンドブルーとか、そういう方々にも来ていただけるような。そういう信頼できる集団でなければ敏いとうさんが来るわけないですから。きっと10年後の大スターは墓場プロから出ると思いますよ。それは間違いない。だって、細かいことを気にせずに自分の思ったとおりの人生を生きている人達だから。
 
──いずれは墓場プロのスターと東映の大スターが共演するなんてこともありえますよね。
 
J:墓場のスターに、東映スターの人達のエキスを注入してもらいたいっていうのはありますよ。今度、4月頃に、内藤誠さんが墓場プロにいらしていただけると思うんですけど、きっと内藤さんもそういうつもりで来ていただけるんだと思います。つまり、墓場プロがやろうとしていることはいい、と。後は技術的に足りない所を俺が教えてやろうという。
 
 

いろんなタイプの男のプロが大集合している映画

──第一弾作品ということで、撮影を開始されてから公開に至るまで、かなり苦労されましたよね。
 
J:ええ。特に今年1年間は生きた心地がしなかったです。憔悴しきりました。でも、めげそうになった時、本当にいろんな方に助けていただきました。目の前で助けてもらうこともあれば、全くお会いしたことがない方に助けていただいたり。ステキな世の中だなあと思いましたね。
 
──世の中捨てたもんじゃないと。
 
J:男の墓場なんて言ってますが、ホント、生きててよかったと思いますよね(笑)。まあ、死んだ気になって頑張るってことは、逆に言えば生きる気も満々ってことですからね。
 
──公開間近の心境としてはどんな感じですか。
 
J:今、編集している真っ最中ですが、本当に素晴らしいものになってます。これは出演者のパワーによるところが大きいですね。これだけ出演者が強力な作品というのも観たことないですから。いろんなタイプの男のプロが大集合している映画、つまり男の見本市ですね。映画制作現場というよりは、男の修行の道場のようなものかもしれないです。まあ、その結果モテるかどうかは知りませんけど(笑)。 男として凄くなったからって必ずモテると限らないのが今の世の中ですから。
 
──でも、そういう状況を少しずつ変えていく映画でもあるわけですよね。
 
J:男の筋目を通すためにやっているだけですね。それだけの話ですよ。先日、石井輝男さんを偲ぶ会で鈴木則文さんに久しぶりにお会いしたんですが、則文さんから「映画の方、進んでるの?」って訊かれて、「いろいろあって遅れてるんですが、なんとか公開には間に合わせたいと思ってます」っていうような話をしたんです。そしたら則文さんが「そう。男はカッコよく、女はステキに描いてるかい?」って言うので、「はい、そこはきっちりやってます」って答えたら、「うん、なら何も心配することはない」って。いや、もう則文さんはステキですよね。男はカッコよく、女はステキに描いていれば、何も心配することはない、と。
 
──そんな映画がもうじき観れるということでとても楽しみです。では最後に見所を。
 
J:『任侠秘録/人間狩り』は、主演である飯島洋一さんのカッコよさを特に若い人達に見てもらいたい。男は、お金を持ってるとか、いい服着てるからとか、彼女がいるからとか、全くそういうことじゃないってことをたっぷりと見せてくれるはずなので。『怪奇!幽霊スナック殴り込み!』の方は、とにかく思いやりの精神がつまった映画になっていると思うんです。登場人物が悪役も含めてすごいステキに描かれていますから。救いようのないのはロマン優光ぐらい(笑)。でも、それはまた彼にしかできない役なんです。それは彼の人徳ですね(笑)。
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