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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】BORIS(2005年11月号)- 「聴こえないもの」を聴かせる"世界を変える音"

「聴こえないもの」を聴かせる“世界を変える音”

2005.11.01

実に2年半振りとなる大文字名義の"BORIS"作品、堂々の完成である。『PINK』と題されたこのアルバムにおいても獰猛な破壊性と緻密な音像とが混沌と渦巻く彼らの"HEAVY ROCK"スタイルは不変
──どころかその歪〈いびつ〉さと壮絶な音空間はさらに狂暴さを増し、21世紀の日本のヘヴィ・ロックの在り方を提示する大変な力作と相成った。四の五の言わず、凄まじい大爆音と振動の大海原に身を委ねて頂きたい。ロックの向こう側、その果てにあるものがそこには在る。さあ、世界を変えよう。(interview:椎名宗之)

目の前に現れたものをすべて肯定する
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──まず『PINK』が発表されるまでの経緯をざっと振り返ってみたいのですが、2003年11月1日にライヴ活動を一旦休止されて、それ以降1年半の間に海外盤を含む13タイトルもの作品を量産したのは?

ATSUO(ds, vo):ライヴを休んだのは、各方面からオファーを受けすぎたのがきっかけですね。自分達としてはどんどんやりたいんですけど、ライヴとレコーディングを並行して進めると色々と支障が出てくる部分もあって。集中してレコーディング作業に打ち込みたいと思ったんですよ。

──ライヴ休止期間にリリースされた作品の多くは、ロックの外側に向けての音を探究する小文字表記の“boris”名義がほとんどでしたが。

ATSUO:リリースを重ねるにつれて、「何かスペシャルなことをやってくれ」みたいなことをどのレーベルからも言われるようになりまして。有り難いことに、2枚組とかピクチャー盤とか何でもやらせてくれる状況にあったんですよ。そういうアートワーク込みで作品を発表できるので、形が先に決まっていると、自ずと音のほうもコンセプトや可能性が見えてくるんです。そこで自分達が思い付いたことは全部具現化したいじゃないですか。そう考えていくとマニア向けな方向性にならざるを得ない。音を出す現場で僕らが感じている気持ちいいことをありのままに伝えようとすると、やっぱりマスな方向からは外れていきますよね。

──メンバー自身の中では、大文字と小文字の表記に大きな区別があるんですか?

ATSUO:いや、全然ないですね。大文字、小文字の違いは、聴いてくれる人にとって入やすい、ガイド的な表記の差という程度です。入口を判りやすくしているだけと言うか。

──今回リリースされる『PINK』は、『あくまのうた』以来実に2年半振りとなるロックの中心に向かう大文字名義のフル・アルバムですが、これは小文字名義作品が続いたことへの反動もあるのでしょうか?

ATSUO:ええ。小文字のほうで徹底的にロックの外側へ向けた探究を続けてきて、その反動としてロックの中心を貫きたい、もっとその先へ行きたいと思ったんです。自分達が考える今一番新しいロックっていうものを今回やろうと。

──その“今一番新しいロック”というものを具体的に言うと?

ATSUO:ここ数年続けて試行している部分ではあるんですけど、消費され尽くされてるロックの記号的な部分と、僕らが音を出す時にまだ言葉にもなっていないような感覚を持つ音像という相反するものを融合させて提示する、って言うか。一聴すると普通にロックに聴こえるけど、今回の作品は多分判らない部分が凄くあると思いますよ。

──ミックスとマスタリングは、今やBORISの作品には欠かせない存在である中村宗一郎氏ですが、今度のアルバムで留意した点は?

ATSUO:録りはすべて自分達で行なったんですが、使っている機材がハードディスクでのデジタルレコーディングだったので、音が華奢な部分っていうのがやっぱりあるんですよ。それを中村さんというフィルターを一度通してもらって、ロックの譲れない部分みたいなものをしっかり残してもらったりしましたね。ツールとかハードとか、今回はその辺で中村さんに活躍してもらいました。

──『あくまのうた』の頃に比べて、レコーディングの手法は全然違いましたか?

ATSUO:ええ。『あくまのうた』は完全にアナログのテープで録ってましたし、録りも中村さんにやってもらって、素材の可能性や良さっていうのは中村さんが把握している感じだったんです。今回の場合は、何が録れてるかは僕ら自身が一番よく理解していたし、その違いは凄くありますね。ミックスも、今回はこちらが主導で進めていきました。実際に録れた音を曲としてどう“読んでいく”かと言うか、スタジオでジャムった音がベーシックの素材になっているものもありますし、それはガビガビの音だったりもするんですけど、そこから音や曲の方向性が生まれてくるんです。その時その時で目の前に現れたものをすべて肯定すると言うか、そんな作業でしたね。

──残響する音の彼方に見えない音像までが浮かんでくると言うか、聴いた人間のイマジネーションが掻き立てられる、独特としか言い様のないサウンドですよね。

ATSUO:自分達自身がひたすら楽しんでいる感じですね。スタジオで録れた音像から僕らの中でいろんな意味合いが引き出されてきたりとか、そういう部分が聴こえない音とか見えない意味になっていたりするので。

TAKESHI(vo, gu, ba):最初から「これはOKか? NGか?」、あるいは「必要か? 不要なのか?」っていうことに限定しているんじゃなくて、その時々で如何に楽しむかってことですよね。それがOKであるなら、最後の最後まで突き進んでいく。

ATSUO:例えばギターの音が凄くいい音で録れたとして、ミックスの時にそれを小さくしちゃったらただそれだけでその良さは台無しになりますよね。レコーディングしながら見えた、自分達が思う素晴らしい印象は形に残すように今回は努めました。

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