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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THEATRE BROOK(2005年6月号)- Reincarnation ~巡り行く愛の輪廻と時の車輪~

Reincarnation ~巡り行く愛の輪廻と時の車輪~

2005.06.01

この国は自由にものを言っていい国なんだぜ

──タイジさんが好きなロックや、聴いてきた音楽が、そういう“消費されていくもの”じゃなかったわけですよね。
 
タイジ:そういうことですよね。それは歌だけじゃないはずで、ギターの弾き方やタイコの叩き方ひとつもそうで。今回アルバムを作るにあたって、自分たちが好きだった音楽をもの凄くよく聴いたんですね。研究みたいな感じで。もうね、ボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズは果 てしないところで演奏してますよね(笑)。
 
──は、果てしないですか!?
 
タイジ:果てしないですよ。アルバムの最初の、デモ・テープを作る段階で、まず最初にドラムを打ち込むわけですよ。リズムから作っていくので。で、ウェイラーズのハイハットを聴いて、「そうか」と。で、打ち込みで作ろうとするじゃないですか? なんですけど……、できないんですよね。もう宇宙的なところにイッてて、不可能なんですよ。もの凄い演奏なんですよ! 普通に聴いてたら、ッチャ、ッチャってもの凄く気持ちいいじゃないですか? あの気持ちよさって、もの凄い果てしないところにあるんですよ。もはや人間の技ではないねん、ってぐらいの演奏をしてて。最初のハイハットを打ち込むだけで5、6時間かかってしまった(笑)。
 
──……レゲエって、とても簡単そうに聞こえます。
 
タイジ:でしょ? ところが! 果てしないですよぉ(笑)。
 
──(笑)ボブ・マーリィに限らす、「How do you do Mr.President」あたりはプリンスを感じますし、他にもニール・ヤングなど、垣間見えるものは全部みなさんのルーツにあるものなわけですよね。
 
タイジ:うん。漠然と好きなものを雰囲気でやるんじゃなくて、今回は相当研究しましたね。「この曲はドゥービー・ブラザーズみたいに作ろう」って思って、一生懸命研究するわけですよ。一生懸命、聴いて。「この曲は70年代のプリンスにしよう!」ってなったら、一体この曲はどうなってるんだろう? って必死に聴いて。研究、といっても要するに“聴く”ことなんですけどね(笑)。何回も聴きましたよ。
 
──やっぱり、それぞれの作品にはその人の人生や、その時々の時代背景も深く関わってきますよね。
 
タイジ:そうね。俺はやっぱり70年代が好きで。ニール・ヤング、ドゥービー・ブラザーズ、プリンス……プリンスも果 てしないですね。今回は初期の頃をイメージして聴き漁ってたんですけど、あの人の歌のトラックの作り方は異常ですな。他にも、もの凄い緻密にコーラスが組まれてたりする曲は、聴いたら気持ちいいですよね。あと、ファッションも70年代が好きやし。
 
──そういう70年代の匂いもありつつ、今の時代やアルバムを作られていた'04~'05年のタイジさんの思いが言葉にもダイレクトに現れてる気がします。「大統領」という曲はすでにライヴでもやられてますが、大統領が出てくる曲はそれだけじゃないんですよね(笑)。
 
タイジ:フフッ。なるべく個人攻撃にならないようにしてますよ(笑)。
 
──さっきも「自由」について言われましたが、MCでも「この国は自由にものを言っていい国なんだぜ」って言われてましたよね。冗談っぽくもありましたが、実際にそうじゃない国もあるんだなと思いまして。
 
タイジ:だし、この国も相当変な状況になってきてると思いますよ。漠然と危険な雰囲気を感じますけど。
 
──あぁ、そうですね。声高に“自由”を叫ぶということは、それだけ現状が自由じゃないということですよね。
 
タイジ:感じるっすよね。どうしても、やっぱその、自由だとはあんま思えないですよね。だって、イラクにしてもアフガンにしても、世界中のほとんどの国は“こんな戦争やめなさい”って思ってるはずでしょ? それが全然反映されてないってことは、ものが言えてないってことなんですよね。結局日本の軍隊も行っちゃってるわけじゃないですか。“しょうがない”みたいな感じになっちゃってますよね。おかしいって。と言いながらも、じゃ俺が何か政治活動をしたかと言えばしてないけど、ものは言いたいですよね。
 
──昔から不思議だったんですが、アメリカではR.E.M.やマドンナや、ミュージシャンが政治に関する意見をハッキリ打ち出してますよね。大統領を応援する人はその手のイヴェントに出演しますし。日本は、ほとんどと言っていいほどないですよね。
 
タイジ:それを控えますよね。何故か。
 
──それは、自主規制ですよね。
 
タイジ:うん。と思うよ。それは国民性なのかシステム上のことなのか判らないですけど、控える傾向が非常に強いですよね。俺は、日本はアメリカの大統領の選挙権を持つべきやと思いますね。だって、アメリカの軍隊を駐留させて、我々の税金を軍隊に使ってるわけじゃないですか? 有権者全部に投票させる必要はないとしても、たとえば衆議院議員は投票権を持つことができるとか、そういうシステムは欲しいですよね。それぐらいの権利は主張してもいいんじゃないかな。
 
──大統領の選挙権もそうですけど、日本人は、自分の国の選挙に行かない人も多いですよネ。
 
タイジ:そうね。ミュージシャンで政治に関して発言してる人って、ホントひと握りですよね。清志郎さんぐらいじゃない? そういうことをバンって言っちゃう人は。今回歌ってることも本当は全然、珍しくないんですよね。だって絶対に無関係ではいられないわけじゃないですか? 税金は払うわけだし。俺だって、嫁さんとニュース見てたらそういう話をするし、その話してることをそのまんま意見として出していいと思うんですよ。こないだの大統領選挙の時は、何で俺に選挙権がないんやろう? って不思議に思ってたし、欧米のミュージシャンが政治的な姿勢を打ち出すから俺も、とかじゃなく、普通 の人間としての意見ですよね。だって、サラリーマンやって普通に居酒屋でこんな話してるでしょ?(笑) 絶対に。日本のミュージシャンだって言っていいんですよね。普通に居酒屋で言ってることをインタビューで言ってもいいし、言うことによってビジネス的に難しいことになるって俺は思わないですけどね。ただ、日本では音楽とか芸能活動をする人はおしなべて政治的な発言はしないほうがいいとされてる。っていう風潮は感じる。でもそれに対して、「それはおかしいんじゃねぇの?」とは思う。ただ、そこだけで喧嘩しようとは思わんから、俺は自分のフィールドの中で言うことは言おうと思ってるけど。
 
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