Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】UN 大江慎也(2004年10月号)- 僕は音楽家でありたいと思います。

僕は音楽家でありたいと思います。

2004.10.01

希望を、持ち続けたいですね

UN結成の他に、もう一つ大きな話題となったのが、今年のフジロックでルースターズのオリジナル・メンバーによるラスト・ライヴが行われたことだ。ルースターズ以降も順調に音楽的キャリアを積んできた花田裕之、井上富雄、池畑潤二と10年以上ブランクのある大江慎也との共演がはたしてうまくいくかという心配の声もあったが、結果は、客席を文字通り熱狂と興奮の坩堝とさせる、伝説の名に恥じない素晴らしいライヴであった。
 
その直後に雑誌のインタビューで大江は「ルースターズは僕の中では解散してない」と驚くべき発言をしたが、この発言の真意を改めて訊いてみたかった。
 
「やりたいと思った時に、演奏できたらいいなぁということです。それは自分一人でどうこうできないことで、状況とか環境が整わないとできないことですから。ただ、自分の基本的な部分としては、演奏したいときに集まれればいいなぁと、そういうことを表現しました。
 
──昔のことをいまさら訊くのもなんですが、かつて大江さんがルースターズを脱退した時、花田さんがルースターズの看板を守るということでバンドを引き継ぎ「大江さんを待ってる」みたいな発言をされてたんですが、大江さんとしてはまたルースターズに戻るという可能性もあったんですか?
 
「ありました。ただ、その時それはできなかったんで。ソロに関して、アーティストのエゴとして言えば、あれは本当にソロだったのかなと。
 
大江のソロ時代に関してはいまだに賛否両論がある。ただし、大江ルースターズ後期のような、崩壊寸前のところでギリギリ美しく結晶させることに成功した音楽を求める人にとって、大江のソロ、とりわけ『ROOKIE TONITE』は、まさしく『DIS』や『PHY』の次に来るべき作品として聴くことができるだろう。
 
「そうですねえ。当時のことを言えば、ブランクがあって、ソロとしての曲を作ったのは病院の中だったのかな、また演奏できるということにかなり力が入っていました。
 
もし当時、大江がルースターズに戻っていたとしたら、大江にとってより完全に近い作品が作れたのかもしれない。しかし、バンドというものが複数のメンバーやスタッフで成立している以上、やはりそれは実現されなかった歴史上のifでしかないのだ。(余談だが、ルースターズのラスト・アルバム収録の代表曲「再現できないジグソーパズル」を聴くと、このバンドの数奇な運命を考えざるを得ない)
 
ギリギリまで完全さを目指し、時に緊張の糸が切れてしまうまで表現行為をする大江慎也にとって、それでも音楽を続けるのは、やはり彼の中の業としか言えないものなのだろうか。
 
「ある面、アルカポネが禁酒法の中でお酒を売ってたというふうにはしたくないという気持ちがあるから、それは音楽が酒だという意味じゃなくて。はっきり言ってまだ長期的な展望はできてないんです。それが自分の業なのかどうなのか、確かに自分の中ではずっと音楽をしようという気持ちがあるんです。そういういろんなことを考えていると音楽ができるんでしょうね。音楽によって助けられる人もいれば、音楽を聴いて嬉しいと思う人もいるから音楽があると思うし、そういう音楽がずっとあるんなら、僕は音楽家でありたいと思います。
 
──音楽家であり続けたい大江さんにとって今はいい環境と言っていいですか?
 
「希望を、持ち続けたいですね。
このアーティストの関連記事
ロフトチャンネル
平野悠
keep the rooftop
どうぶつ
癒されたいカルチャー
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻