Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】吉村智樹(2004年10月号)- 頭おかしいと書いて【東京】と読む

頭おかしいと書いて【東京】と読む

2004.10.01

 自称・B級路上観察ライター、高校時代から雑誌・宝島の連載「VOW」に投稿、今や携帯VOWの総本部長でもある吉村智樹さんによる「吉村智樹のひと りVOW! 街がいさがし~」が今月、遂にロフトプラスワンにて開催! しかも新ネタ100連発! と聞いて一人ワクワクしていますが、路上観察って何 だよ! とかVOWって何? とお思いの路上観察10級のあなたのために、ルーフトップは親切に吉村さんとVOWの関係、聞いておきました。更に広告代 理店を通さない(笑)アウトサイダーアートも大公開!(interview:和田富士子)

14_02.jpg
これは大阪でほんとつい先日撮ってきたやつですけど、豆腐屋さんなんですよ。
……柔らかくないんですよね、もう。柔らかそうに見えて角があるんですね
 

看板の写真を撮るということが俺が生きるということ

──B級路上観察ライターという肩書きですが、なんで“B級”なんですか?
 
吉村:基本的にB級人間なんですよ(笑)。駄菓子が好きで、しょうもない看板が好きで、おしゃれな街が苦手で。代官山行ったら5分で息が出来なくなる。
 
──あ、それ分かる気がします(笑)。では、好きな街というと?
 
吉村:やっぱり猥雑な、東京やったら高円寺・荻窪・西荻窪・新宿。小岩・新小岩・亀戸……
 
──あんまり行かないそうなとこも出てきましたね。
 
吉村:そうですね、(※新宿起点で)上に行くと赤羽とか、千葉に行ったら船橋、下の方に行くと鶴見とか川崎とか。清濁併せ飲む街が好きですね。ただA級な街 の裏側にB級な街もあるので油断はならないんですけど。でも下町が好きかっていうとそんなことないんですよ。根津とか千駄 木とかあの辺は下町保全地区 で、下町を残そうとして頑張ってる。そんな街じゃないんですよね、もっと生活感のある、ヤクザもおればベビーカートを押してるお母さんもいるみたいな。 それで大阪から出てきたところもありますからね。大阪はすごい再開発が多くて、もう路上観察するなら東京しかないと。
 
──まだ制覇してない街もあるんですか?
 
吉村:ありますあります。(おもむろに関東の路線図を取り出して)東京だと東部伊勢崎線は行ってないんですよ。今、必死で押さえているのが京急なんですけ ど、でも京急の大師線とか空港線とかはまだですね。最近目覚めたのは鶴見線! ここはもう爆発してましたね。小田急線は打率めっちゃ低いねんけど、ダイナマイトが何個かあるんですよ。
 
──路線図を見てかなりアツくなってますね(笑)。もう各駅停車の旅。
 
吉村:そうですね、パスネットとか。都電荒川線みたいに一日乗り放題があると大体2日で全部回れる。“面白い看板を見つけるコツは?”って聞かれることがあ るんですけど、昔は地図上でピンク色になっている商業地域が狙い目です、とか日曜日になると快速が止まらないような駅が狙い目です、とか言ってたんです よ。でもほんまのこと言うとそんな法則ないんですよ。足が棒になるまで歩いて、“もうこれ以上歩かれへん、もう無理や”っと思ったらその先に絶対あるん です。
 
──持久力との戦いですね。
 
吉村:そう、どれだけ歩けんねんっていうことでしかないですね。
 
──そもそも吉村さんが路上観察に興味を持たれたきっかけは何だったんですか?
 
吉村:高校生の時、8ミリ映画少年だったんですよ。それで、ロケーションハンティングっていう作業があって。で、ずっと街を彷徨って写 真を撮っているうち に、面白い看板が結構あるんですね。そんなんで、ロケハンそっちのけで写 真を撮り歩いていたら結構集まって。で、“撮ってるけどどうすんねん”と。そこ にたまたま宝島の【VOW】が始まったんですよ。VOWって今でこそ面白い街の風景とか誤植とかを紹介するような趣旨のものですけど、元々それは1コー ナーで、写真が2点くらいしか載らなくてあとは全部情報コーナー。そこに送ったら写 真が載って。それが宝島に投稿し始めた最初ですね。高校時代からス タートして現在に至る(笑)って現在は投稿はしてないですけど。
 
──今では吉村さんが編集されているVOWもありますからね。
 
吉村:全然飽きずに未だにやっている感じですね。VOWの誤植とか新聞記事とかあるじゃないですか、僕、あんなんよう見つけへんのですよ。ストリート派とい うか……【ストリートスライダー】なんですよ。スライドで上映するし。ほんま【前略道の上から】ですよ(笑)。 ──ちょっとかっこいいこと言わしてもら うとね、なんでこんなに飽きひんのかな?と。高校時代に看板の写 真を偶然に撮って、そこから今に至って。しかも雑誌のコンテンツとしては絶対メインにも お金にもならへん、仕事になんかならへんワケですよ。じゃ趣味として割り切れるのかというと、趣味と言うにはあまりにも仕事にリンクしている。これはど ういうことなんだろうと最近思うて。“そうか!看板の写真を撮るということが俺が生きるということなんや”と。
 
──生き甲斐、ですか?
 
吉村:生き甲斐というか生きる目的ですよね、もう。最初ね【VOWの吉村ちゃん】って編プロ務めしても、テレビの仕事しても言われるからいい加減イヤで、俺 はそれだけじゃない! って思うて、一生懸命テレビ作ったり、音楽批評みたいに固い仕事もやったけど、やっぱりこの仕事(路上観察)に引き戻されるんです ね。で、最近の担当編集とかに話聞くと、当時の投稿を見て、名前を覚えてて、今、原稿依頼が来ているんですよ。僕らと同世代だった人が何らかの媒体に携 わって、仕事発注出来る立場になってVOWの吉村ちゃんに原稿依頼、みたいな。一巡してるんです。これは死ぬ までやっとんのやろうなと思うて。で、なん でやってんのかなって思ったら、これ別 におもろい看板見つけて、バカにしたいワケじゃないんですよ。【供養】してるんちゃうかなと思うてね。というのも ね、看板ってすごい寿命短いんですよ。大阪にいて痛感したのが、街の再開発がめっちゃ多くて。大阪って土建屋の街ですから、すぐに街を新しくしちゃうん です。東京より都会っぽいねんけど、悪い意味でダサい。小綺麗にして、駅前の商店街つぶしてコミュニティ広場作って、じゃ誰がコミュニティしてんねんっ て言ったら鳩しか歩いてないっていう、そんな広場作ってね。結局土建屋が儲かってるだけなんですよ。で、看板の寿命がめっちゃ短いから、遺影っていう か、生前の写真を撮り歩いているんやろうなっていう気しますね。
 
14_03.jpg
これね……律儀な犬ですよね。
荷物がベチャってならないようにちょっと浮かしているくらいの距離で、ご主人が帰ってくるまで見張ってるんですね。
撮った時キッとこっちを睨んでましたからね。使命感に溢れてますよ
 
このアーティストの関連記事
ロフトチャンネル
平野悠
keep the rooftop
どうぶつ
癒されたいカルチャー
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻