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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】SA(2002年8月号)- 本当に格好いいと思えるものを突き詰めていきたい

本当に格好いいと思えるものを突き詰めていきたい

2002.08.01

 今年に入り、正式メンバーとして新たなスタートを切ったSAの、待望されていた新作がついにリリースされた。従来のメロディーセンスやスピード感を継承しつつも、そこからさらに一歩突き進め懐の深さを見せつけてくれている。パンクの歴史に新たな1ページを刻むことになるであろうこのニューアルバムについて熱く語ってもらった。 (interview:北村ヂン)

一番素直に表現したらああなったってだけ

──今年に入ってからメンバーチェンジをして、7月にもうフルアルバム発売をしたわけですけど、予想以上に早かったですね。
 
NAOKI:早かったよ。4月15日くらいから録りはじめて、5月の最初の週には歌入れまで終わってたからね。まあその後、トラックダウンとかでもうちょっとかかったけど。
 
TAISEI:本当に大速攻だよね、メンバーが決まって、リハーサル入って。もちろんライブも入ってるし、曲も作らなきゃならないし。もう、駆け抜けたって感じだね。
 
NAOKI:リズム録りなんて3日間だったからね。
 
SHOHEI:自分らでお金払ってするようなレコーディングはしたことはあったんですけど。こんなちゃんとしたのは初めてだったんで「こういうもんなのかな~」って思ってたんですけど、人に言うと驚かれますね。 
 
TAISEI:こんなもんだろ(笑)。 
 
NAOKI:いやいや、贅沢なレコーディングが出来たと思うよ、予想以上に。最初もっとショボイ所でやるのかと思ってたら。事務所がなるべくいい音で録らせてやろうってがんばってくれたから、その期待に応えてやるしかないしね。いいモチベーションが保てたよね。
 
──曲はメンバーチェンジ後に作り出したんですか。
 
TAISEI:完全にそうだね。
 
NAOKI:曲を作ったっていうよりは、その時の熱を注入したっていう感じだよ。
 
TAISEI:多分どういう風にこのSAってバンドをやっていこうとか、どういう風に見せたいとかが明確だったんだと思うよ。だから、楽曲であったりとか、構成であったりとかの部分で迷いがなかったんだよね。 
 
──もうその段階でこのメンバーでのビジョンが見えていたと。
 
TAISEI:うん、このメンバーでやろうって決まってからは、本当に毎回毎回ミーティングやって色々意見を出し合ったり出来たから。 
 
NAOKI:最初の二ヶ月はすごかったよ。リハの後、打ち上げと称して毎回ミーティング。連日朝5時までだからね、かなり濃かったよ~。
 
TAISEI:メンバー決まりました、スタジオ入って楽しいなってだけで終わりたくなかったんで、ある程度目的は持ってやりたいっちゅうか。せっかくやるからには自分の中で納得してやりたいっていうのがあったからね。 
 
NAOKI:だから飲んでても、SAの展望とか、どんなパンクロックをやっていきたいか、どういう風にやっていきたいかとか絶対そういう話になってたからね。
 
──アルバム全体通してみても、今までの雰囲気は継承しつつも、一曲一曲の曲調の振り幅は広く、今後のSAが進んでいく色々な方向性を観れたような感じはしましたね。
 
TAISEI:結構、そういう部分は気持ち的にはあったね。パンクロックだからこうでなければいけないっていうやり方はつまらないと思ってるから、色んな引き出しを出せた方が今後にも繋がると思うし。ある程度、このメンバーのキャパシティーは見せておきたかったんで。まあ、自分らの思うパンクロックの形を見せたって事だよね。
 
──色んな引き出しがありつつ、根っこに一本パンクロックっていうものが通 っていて、みたいな。 
 
TAISEI:昔は、色んな音楽を聴いてひとつひとつ引き出しが増えていっても、その引き出しをすぐ開けちゃってたんだよ。でも今はその引き出しがある程度たまった状態だから、その引き出しの中身と自分の中に流れているものをうまいこと合わせていけるんだよ。もちろんパンクという名の下にね。だからやってること自体に無理がないんだよね。 
 
NAOKI:一番素直に表現したらああなったってだけだよ。計らずしてって部分が大きいかな。頭で考えてやっても、なんかつまんないからね。 
 
TAISEI:頭で考えるとロクなことないよ。基本は「これいいな」か「ん~~?」のどっちかだから。ここがこうだからよくない、とかじゃなくて、音がバーンって出た時に答えは出てるからね。
 
──今回のアルバムは「いいな」と言えるものになっているということでしょうか。
 
TAISEI:今の時点ではね。
 
NAOKI:もちろん録ってる時点ではあれが最高の物で、全てを出し切ってると思うけど。こっちはもう完成してから100回以上聴いてるからね。これをみんなが聴く頃には俺たちはもう次の段階に行ってるよ。それはミュージシャンの宿命だからね。 
 
──まあでも、作った人間も100回以上は聴けるぞ、と。
 
NAOKI:それはもちろん。ビデオも出たけどそっちもえらい観てるよ。昨日も酒飲みながら観てたもん。
 
TAISEI:長さも35分っていうのがちょうどいいんじゃないかな。最近の曲って説明が長すぎるのが多いような気がするんだよね。SEで風の音があって、情景が浮かんで…みたいな。
 
──ヘタな説明抜きで、もうおいしい所だけ切り取ってバーンって突きつける感じで。
 
TAISEI:俺はそっちの方がいいと思うからね。 
 
NAOKI:友達がやってるバーでかけてみたら「もう終わりかよ」って言われたからね。でも、本当35分っていうこの長さが、時間的にもそうだし。内容的にもちょうどいい感じで見せられたんじゃないかな。もっとSAの色々な面 を見せようと思えば見せられるんだけど、これ以上出しちゃってもね。
 
TAISEI:今の録音技術だったらもっとどんどんダビング繰り返したりとか、凝ろうと思えばいくらでも出来ると思うんだけど、今回のアルバムは極力「4人の音」「バンドの音」っていうものを重視したかったからね。なんでも出来るから、なんでもホイホイやるって言う時期は過ぎたと思うんだよ。それよりは本当に格好いいと思えるものを突き詰めていきたいね。
 
NAOKI:もう村田兆治の様な気分なんだよ。36才で復活して、ガーンってストレートを投げて150キロ出すみたいな。真っ直ぐのボールをぶん投げて、それを思いっきり振り抜くバッターとの本気の戦いみたいな真剣勝負がステージでもあると思うからね。「これしか出来ない」んじゃないけど、もう「これしかやりたくない」っていう。
 
TAISEI:だからライブとかやるにしても人間性を作る必要がないんだよ。素だよね。素すぎてどうかと思う時もあるけど(笑) 
 
NAOKI:やっぱり、真っ直ぐなものの方が感銘を受けると思うよ。俺自身、そういうのが好きだから。小手先のテクニックを見せつけて関心されるより、直球勝負して感動されたいよね。自分も感動したいしね。 
 
──頭でやってる音楽って、聴く方も頭で聴いちゃいますからね。
 
TAISEI:それはそうだね、例えばパンクロックを作ろうと思って曲を作っても、それは絶対にパンクロックにはならないからね。それまで聴いてきたものとか、人間性みたいなものがにじみ出て、結果 的にパンクになるっていうだけで。俺自身パンクを作ろうと思って作ったことはないし、でも出来上がったものはパンクだと思ってるけど。
 
──前のアルバムが自分の中であまりにも大きかったんで、正直今回のアルバムを聴くまでは、不安な部分もあったんですよ。でも聴いてみたら今までずっと聞き続けてきたSAの曲たちと共に、すんなり自分の中のSAっていう箱の中に入れられたって感じがしたんですね。 
 
TAISEI:それはすげーいい事だよね。やっぱり、SAとして「I GET POSITION」とか「NOTHING NESS」とか昔からやってた曲がある訳で、その曲をずっと好きでしたって言ってくれるやつらも多いし、それを裏切る様な事はしたくねぇなっていうのが絶対あって。もちろん新しく好きになってくれた人にも今よりももっと感動してもらいたいしね。それも、もっとこういうファン層をねらってこういう風にしようとか、策略的にやってる訳じゃないからそう出来たんだと思うんだよね。格好いいと思ったものをやってるだけだから。
 
NAOKI:ストリートに近いからね、自分らのスタンスが。お客さんと会話したりとか、普通 にライブハウスで遊んでたりとか。目線がミュージシャン対客っていうんじゃなくって、対等な位 置で対話ができているからね。
 
TAISEI:俺ら世代って、もうそろそろこのシーンでは中堅っていうか。先輩も沢山いるけど、後輩もいっぱいいたりするわけで。だけどそういうポジションにあぐらをかいた音楽の作り方はしたくないんだよ。常に「今」のバンドであり続けたいからね。別 にロックンロールスターじゃないしさ。 
 
NAOKI:ビジネスでやってるロックじゃないからね。
 
──8月4日のシェルターでのワンマンですけど、ワンマンは初めてですよね。
 
TAISEI:うん、初めてだね。やっと曲もたまったし、ある程度の時間はできるかなとは思いますね。今までの曲はもちろん、今回のアルバムからもドンドンやって行きたいし。
 
NAOKI:ワンマンだから、来てくれるのは皆俺らの客じゃん。それでもライブはガチンコで行きたいね、真剣勝負だよ。 
 
TAISEI:どこまで限界を互いに高めて行けるかっていう戦いはしたいね。もしこっちがぶっ倒れたらお前らの勝ちなっていう。
 
──観に行く側も覚悟していかないとですね。
 
TAISEI:部活の夏合宿みたいなもんだからね。鬼のように歌わせて踊らせて(笑)。
 
NAOKI:俺が初めてSAを観た感覚がそんな感じだったかな。ステージも客も、もうすごいことになってて。 
 
TAISEI:もうなんかふっきれたというかね。自分から求めてこの場所に戻ってきた訳だし、周りの皆から今この場所を与えてもらえたっていう状況を絶対無駄 にしちゃいかんなっていうのはあるんで「今日のライブはイマイチだったな」とかは絶対言いたくないんだよ。いつも最高って言っていたいからね。だから終わった後ボロボロになっちゃってもいいから、常に全力投球で行った方がいいと思ってるし。今やらないでどうするってね。
 
NAOKI:ステージの上には無限の遊びが転がっているって考えたいね。ガキの頃公園に行って色んな遊びをドンドン発明してたみたいに、ステージの上も常に遊び場でありたいし、常に発見があると思うから。
 
TAISEI:特にこのメンバーになって半年経って、うまいこと固まってきたから、新しい発見がいつもあって楽しくてしょうがないね。
 
NAOKI:そういうワクワクしてたりドキドキしてたりする感覚を客にも絶対伝わって欲しいしね。そこにはその場でしか感じられないものがあるはずだから。
 
TAISEI:だから皆ライブに来てなんか一個でいいから持って帰って欲しいし、俺らも何か一個でもいいから得るものがあれば嬉しいよね。 
 
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