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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】REGISTRATORS、FIRESTARTER、FIRST ALERT(2002年8月号)- そういう人たちに対して本気に復讐してやろうっていう気持ちは当然ありますよね

そういう人たちに対して本気に復讐してやろうっていう気持ちは当然ありますよね

2002.08.01

 REGISTRATORS、FIRESTARTER、FIRST ALERTという日本が世界に誇る3バンドがSHELTERで激突! しかも2DAYS。このイベントを前に過剰なまでにストイックな音楽への熱き想いを、REGISTRATORSのOTSUKIとFIRESTARTERのFifiに伺った。  (interview : 北村ヂン)

そういうヤツらがやってる音楽は、やっぱりいいに決まってるじゃないですか。

──今回REGISTRATORS、FIRESTARTER、FIRST ALARTという3バンドで2DAYSを行うわけですが、そもそもこの3バンドが知り合ったきかけって何だったんですか。
 
Fifi:前にやってたTEENGENERATEってバンドのライブをOTSUKIが観に来てくれてて、それが9年くらい前ですかね、それからの知り合いですね。FIRST ALARTは5、6年前に京都に行った時に対バンみたいな感じで一緒にやったんですけど。
 
──日本のパンクシーンの中でもこの3バンドって、独特のポジションにいると思うんですけど。 
 
OTSUKI:周りがおかしいだけじゃないですか。俺ら何も特別な事はやってないですからね。それが浮いて見えるのは、一般 に普通に見えているバンドがおかしいって事なんじゃないですか。
 
Fifi:俺たちはとびきりおっさんだっていうのもあるけど(笑) 
 
──70年代のパンクとかに対するリスペクトって言うか、純粋にその辺の音楽に取り組んでる姿勢が飛び抜けている感じがあるんですよね。 
 
Fifi:う~ん、まあ最近は前ほどこだわってはないですけどね。でも俺らの共通 して持ってるものではあるよね。 
 
OTSUKI:その時に聴いてたのがたまたまそれだっていうことはありますけど、70年代のパンクの様にとか、それをそのままやりたいと思っているわけではないですけどね。もちろん意識はしてましたよ。というのもその頃周りがそういうのを全然好きじゃなかったからなんですよ。今ほどパンクっていうのが認知されてなかったし。
 
Fifi:特にあの頃って初期パンクが馬鹿にされてた時代なんですよ。忘れられてただけじゃなくて、逆にダサイ対象になってて、もはやギャグとしてしか語られてなかったんですよね、いわゆる髪型だったり、ファッションだったりという部分で。俺たちは別 にそういうイメージには全然興味がなくって、ただ純粋に70年代のパンクって呼ばれてた音楽に惹かれてただけなんで。どこかのロックライターが書いた物とか、そういうのを読んで鵜呑みにしてたわけじゃなくて、ただ音楽を聴いてたら自然に色んな考えが浮かんできて、サウンドからファッションから何もかも自分で考えてきたんで。だからそういうパンクっていうイメージとは無関係にずっとやって来たつもりですね。 
 
──純粋に音楽としてのパンクから影響を受けていると。
 
OTSUKI:音楽をやっていく上ではそれが全てですよね、普通は。それなのにパンクっていったら髪立ててんのとか、服破いてんのとか、そんなのしかいなくって、冗談じゃないよっていうのがずっとあって。そういう人たちに対して本気に復讐してやろうっていう気持ちは当然ありますよね。もちろんそれは暴力だとかそういう復讐じゃなくて、まあ高笑いを聴かせてやればいいんじゃないかなって感じで。そういうイメージの中でしか処理出来ないくせに、俺たちもその括りに入れようとしたりさ。ちょっと新しい物をだせば「変わった、変わった」とかガタガタ言われたり、元もと俺の中に既にこういうものもあったんだよっていうね。そういう既成概念にとらわれたイメージって本当にイヤだっていうのはありますよね。「Killed by Death」とか「Back To Front」とかっていう当時出てたコンピなんかは、そういう既成概念のパンクとは無関係に存在してたからすごい好きだったんですよね。 
 
──パンクってやっぱり最初に出てきた時に、ファッションと結びついてわかりやすい形で出て来ちゃったんで、それが誤解されやすい部分でもあるんですよね。
 
OTSUKI:う~ん、そういうもんだって思い込まされている事自体がおかしくて。ちょっと歴史をひもといていけば、そうじゃないバンドも沢山あるのに、皆知らないくせにパンクパンクって言うなって感じだよね。いいんだよ、ラッパズボン履いてパンクやったって。 
 
Fifi:俺、今日のジーパンユニクロだもんね(笑) 
 
OTSUKI:だから、なんでもいいんですよね。なのにパンクっていったらすぐにそういうステレオタイプなものをイメージされちゃうのはどうかなとは思うな。
 
Fifi:何でもそうなんだと思うんですけど。例えばパンクっていうものがあったとして、それをステレオタイプにとる人とそうじゃない人っていうのが必ずいるのね。やっぱりステレオタイプなイメージでとる人が大部分だと思うんだけど、そういう考え方を最初から拒絶して、自分なりにそれを読み解く人っていうのも、パンクだとか音楽だとかに限らずいるはずだから。やっぱりステレオタイプに捉えちゃうと面 白くないし、すぐに先が見えちゃうじゃないですか。だから自分でイマジネーション働かせながら、勝手に色々考えていったほうが何するにしても面 白いと思う。
 
OTSUKI:ヘリクツ言ってるとしか思われないかもしれないけど、「パンク」って人から言われると、もうそういう枠組みの中で言われているような気がしちゃうわけですよ。それがイヤだからライブもあんまりやらなくなっちゃってるってのもあるんですよね。
 
──日本人の特徴かもしれないけど、とにかくジャンル分けするのが好きじゃないですか、なんならバンドやってる側もジャンル分けされたがってる傾向があると思うんですよ。
 
Fifi:ジャンル分けなんてレコード買う時に便利っていう、ただそれだけの物だと思うんですけどね。自分の人生までジャンル分けすんのかっていう。そもそもパンクってそういった惰性で行われてきた従来のロックの概念を覆そうっていうものだったのに、そのパンク自体が惰性になっちゃてる気がするのね。明日も同じ髪型、同じ服装、みたいな感じで。そういうのがイヤだからもっと違う部分に目を付けたり、自分で曲を作ってるんであって。そういうのにこだわっちゃうと全然パンクじゃなくなっちゃうと思うよ。 
 
──やっぱりジャンル分けとかして、自分自身もカテゴライズされると楽なんでしょうね、だから安易にそういった方向にいっちゃう人が多いのもわかるんですけどね。
 
OTSUKI:レコード屋とかライブハウスの人であったりといった、周りでジャンルを決めちゃう人がいるのも問題だと思うけど。バンドをやろうっていう人たちの方も自分からそこに入り込もうとしてるんだよね。自分で選んでそれをやってるというよりも、型にはまる事が前提でバンドをやってる人があまりにも多いんじゃないですか。だから、そういう音楽に対して興味を持てって言われても持てるわけないよね。必死に音楽とかを研究したりしてる立場からすればさ。
 
──そういう人たちって、新しい物を一から生み出そうっていうパワーがないんでしょうね。
 
OTSUKI:今って色んな物があって、機材とかにしてもいっぱいあるし、もし俺が今16才だったらすごい喜んでると思うよ。何か作りだそうとした時に、今なら四畳半の部屋で自分の力で全てを作る事ができるはずだからね。それなのにそいう事をやろうとしてる人が少なすぎるよ。極端な話、ライブにしたって別にやらなくてもいいわけでしょ、それをバンドを始める前から「バンドはライブをするもんだ」っていう既成概念にとらわれてるからおかしくなっちゃうんで。俺は、全部自分で考えて、全部自分で決めてやっていきたいっていうのはあるかな。 
 
Fifi:ず~っと昔から「ロックバンドはライブだ」っていうのが正しいものとして伝わってきてるじゃないですか。もう別 にライブよりレコードの方がいいっていうバンドがいてもいいと思うんだよね。もちろん結果 的にライブの方がいいなら、それでもいいわけなんだけど。そういう事を最初から疑ってみるというところから始めた方がいいよね。
 
OTSUKI:何がいいとか悪いとか、他人が決めることじゃないじゃない。自分で判断しなきゃ。なんかねぇ、上っ面が上滑りして物事が動いてて、それがグルグルグルグル回ってる感じなんだよね。それはパンクに限らず全ての事がね。もうちょっと考えてやってもいいんじゃないのっていうのが、あまりにも多すぎるんだよ。爪黒く塗って、なんか気持ち悪い入れ墨入れてる様なバンドとか冗談じゃねぇやって感じがするんだよね。それってすごい不誠実じゃない? 肉屋が賞味期限切れた肉をラベル貼り替えて売ってるみたいなもんで。音楽をまともにやってないのに、格好とかデコレーションだけしてやってる気になってて。その不誠実だっていうことを自分たち自身で全く気付いてないっていうのは本当にまずいよね 
 
──そういうことをすること自体が「ロック」の一環だと思ってる人もいますからね。
 
Fifi:そういう事に限らず、あんまり自分で深く考えることなく活動してる人が多いんですよ。 
 
OTSUKI:そういうのってつまんないですよね。ライブにしても音源にしても、もっと考えることはあるわけで。例えば「何かをリリースしたらツアーをやる」っていう事に関しても、理由もなくとにかくやるもんだっていうのが前提としてあるわけじゃない。そういうところもうんざりしちゃうものがあるし。もうちょっと違うことやってもいいのになぁって思うよ。俺は周りなんか関係ないから自分はそうするだけだけど。「何でツアーやんないんですか」とか言われても「別に、やりたくないからやんないだけだよ」っていう、それがなんで通じないのかなっていつも思うね。「ライブ全然やんないじゃないですか、音源ももっとはやく出して下さいよ」とか言われてもふざけんなよって思うしね。精一杯やっててこのペースなわけなんでね。俺たちはレコード買ってやってんだっていう気になるなって言いたいね。
 
──まあでもそれは純粋に求めてる人もいるんじゃないですかね。
 
OTSUKI:まあそうだろうけどね、でもそれを俺に言うなっての。逆にバンドやってる側にしてもさ、純粋に音楽で勝負しないで、客に媚びて媚びてライブ来て下さい来て下さいみたいなのをギンギンに感じるバンドっているじゃん。それまでいきがって演奏してたのにいきなり「次のライブは~…」とか言い出して。何だよそれって思わない? なんかもう、勘弁してよって思っちゃうんだよね。そういうバンドがあるのはしょうがないのかもしれないけど、俺はそういうヤツらとは関係なくやっていきたいですね。 
 
──やめろとは言わないけど、自分らとは関わるなと。 
 
OTSUKI:まあ出来ればやめてもらいたいですけどね。恥知らずだけがドンドン大きくなっていく世の中ですからね…。まあそこで俺たちもちょっと考えなければいけないのは、恥知らずな事を解っていながら、恥知らずなことをうまくやるっていう余裕があってもいいかなとは思いますけどね。 
 
──やっぱり、どの世界でも恥知らずの方が出てきやすいっていうのはありますからね。 
 
OTSUKI:そういうのを許しちゃっている人がいるのがいけないんだけどね。
 
Fifi:いや、恥知らずを使う方が、使う側からしたら楽なんだよ。例えばテレビのコメンテーターとかいるじゃん、よくそんなことしたり顔で話してるなって、本当に恥じるべき事だと思うんだけどさ、テレビ局からしたらそいうヤツらって呼んだらホイホイ来るし、使いやすいんだよね。
 
──プライド切り売りして金を稼ぐ仕事ですからね。 
 
OTSUKI:そうそう。それで、あの手の人が芸能界だけじゃなくて身近にもウヨウヨしてるっていうことに気付いた方がいいね。パンクって言ってる人の中にもウヨウヨしてるからね、そこは気付いとかないとまずいんじゃないかな。 
 
──芸能界って言うと「金儲けのため」みたいな、そういう汚い面がすごいわかりやすいんだけど、パンクっていうフィルターを通 しちゃうと解りづらくなっちゃいますからね。
 
OTSUKI:別に金儲けは悪いとはいわないけどね。
 
Fifi:例えばレコード売って儲けてる分には全然問題ないんだよ、それは本業なんだから。まあKISSとかがフィギュア売ってるのは、KISSってそういうバンドだからいいのかもしれないけど、どっかのバンドのギターくんが自分の本を出してるのはそれとは全然話が違うでしょ。なんじゃそりゃ、その本作るために切った木をもう一回植えろよって思うよ。
 
OTSUKI:実際作家さんでもそういうことをしてる人はいるしね。昨日プレス工場に行って来たんだけど、レコード作るのでもこんなにゴミが生まれるのかって思いましたよね。別 に俺、環境問題とかどうでもいいと思うけど、あれだけの資源を犠牲にしてレコードが作られてるんだからね。作っても全然売れないバンドのレコードとかもあるわけじゃん、レコードを出すっていうのはそれだけのリスクを伴ってるわけだから、それ相応の覚悟を持って作ってもらいたいよね。
 
──やっぱりその辺の事を認識してる人って少ないでしょうね。
 
OTSUKI:認識だけしてても、行動してなきゃ意味がないんだけどね。自分の中でもう止めなければいけない事とか、なにかを犠牲にしなければ、なにかが出来ないんだっていう事に気付いた方がいいよね。いけないと思いながらも「まいっか、まいっか」って進行しているのはもうダメだよ。俺はもうこれは一切やらないって決めたら、それはやっていかなきゃ何も変わらないでしょ。これもやりたい、あれやりたい、でも俺は悪いとは思ってるんだけど…、っていうのはおかしいよね。それを今やらなければダメだと思うな。大きな環境の事に限らず、身近な全てのことにおいてね。だから俺はちゃんと自分で自分をコントロールしてやりたいと思ってますね、ライブにしても何にしても。だからもう友達としかライブやりたくないし。これは、おいしいイベントだから、とかそういうのは一切切り捨ててやらない。 
 
──自分の中でアリなこととナシなことを明確に判断していくということですね。 
 
OTSUKI:自分としては、たくさんのやりたい事をやるために、やりたくない事をやるよりは、やりたくない事を全部やらないで、本当にやりたい事だけをやるっていうのを選択しようと思っているんだよね。
 
Fifi:やりたくない事ってそもそも恥ずかしくてやれないけどね。
 
OTSUKI:生きるという事においてもそれでいいと思うんだよ。女の子に会いたい、酒飲みたい、車乗りたいとか思うから働かざるを得なかったりするんだけど、そういうことを一切切り捨てちゃえば働かなくてもそこそこやってけるし、そうすれば本当にやりたいことだけに集中できるんだよ。
 
──本当に重要な事以外の欲望を切り捨ててってことですよね。
 
OTSUKI:本当はそっちもできたらいいんだけどね。俺たち、音楽っていうものに携わってて「コンプレッサーのつまみを一目盛り動かしただけで世界が変わっちゃう」っていうことに気付いてしまったんだよ。ちょっとつまみをいじくって「あ、すっげ~こんなんなった」っていうのが本当に楽しいんだよね。そこでもう一人一緒に作業してる人がいて、その気持ちを共有できたらそこにはすごい美しい時間が流れるんだよ。だから俺は女の子とどっか行ったりするよりは、そいうのをやってる方が好き。入れ墨入れたり、化粧したり、ピアスしたりしてるヒマはないよね。忙しいんだよ、一目盛り動かしただけで世界が変わっちゃうんだから、もっとたくさんつまみがあるわけだしね。だからあんまりライブとかよりもそういう方に行っちゃうっていうのがちょっと問題かもしれないけど。でも、その辺のライブバンドとかほざいてるやつらとかよりは全然スゴイと思うけどね、下準備はしっかりやってるから。俺たちはライブバンドだぜ、とは言わないけどライブをやったら絶対スゴイよ。 
 
──今回一緒にライブをやる3バンドはその辺の価値観が共有出来てる仲間ということになりますかね。 
 
OTSUKI:うん、楽しいんじゃないですか今度のライブは。
 
Fifi:この3バンドのヤツらって長い事つきあってるけど、間抜けな事をいうヤツがいないもん、一人も。全然意見は違ってたりはするんだけど、間抜けな事は絶対に言わない。最初に会った時からずっとそうだよ。やっぱり冴えてるヤツは若い頃から冴えてるし、ダメなヤツはずっとダメだからね。そういうヤツらがやってる音楽は、やっぱりいいに決まってるじゃないですか。
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