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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】大槻ケンヂ(2002年8月号)- アンダーグラウンドな事を オーバーグラウンドでやろうと15年戦ってきた

アンダーグラウンドな事を オーバーグラウンドでやろうと15年戦ってきた

2002.08.01

ミュージシャンとして、作家として、俳優として、タレントとしてお馴染みの大槻ケンヂ氏がデビュー15年目を記念して、自らの楽曲をカヴァーしたアルバム「対自核」をリリース! いや~もう15年もたちますか、色々ありましたね~、色々ね。この15年どうだったんですか? そして、これからどォ~するんですか、大槻さん!? (interview : 北村ヂン)

僕はエンターテインメントの方の人なんで

──15年目記念のアルバムって事ですけど、なんで15周年じゃなくって15年目の今年に出すことになったんですか。 
 
大槻:いろんなタイミングが重なったっていうのがあったんですよ。まず「リンダリンダラバーソール」っていうデビューしてから15年間の事を振り返った自伝的小説を書いて、それが評判良かったんで、本でやったならば音楽でも15年を振り返ってみようってことになって。あとは、ちょうど特撮がサードまで出して、結構ポンポンポンって感じでやって来たんでちょっと間を空けてもいいかなって感じで。
 
──ミュージシャンの人とかって自分過去を結構無かった事にしがちじゃないですか、でも「リンダリンダラバーソール」にしても今回のアルバムにしても、大槻さんって本当に昔のことを隠さないで出してきますよね。 
 
大槻:そうは言ってもやっぱりいいことしか書いてないですよ。本当にヒドイ話とかは書いてないですからね。そこはやっぱり僕が通俗小説の作家だからですね、純文学だったら本当に辛いことをドロドロと書くんだろうけど、どっちかというとやっぱり僕はエンターテインメントの方の人なんで。 
 
──15年を振り返るアルバムを作るにしても普通「おっぱいマン」とか入れないじゃないですか。例えばX JAPANのYOSHIKIが過去を振り返ったとしたら、結構色々な事を隠蔽すると思いますからね。
 
大槻:ヘビメタ運動会とかは入れないでしょうね。
 
──そうそう、あの映像をDVDの映像特典に入れちゃうような感覚じゃないですか、「おっぱいマン」を入れるのって。 
 
大槻:まあなんかお徳感があればいいかなっていうだけですよね。 
 
──おっぱいマンって当時、ほとんど世に出回ってませんもんね。 
 
大槻:昔オールナイトニッポンをやってた頃に、番組でバカな曲を作ろうっていう事で出来上がったのがこの曲で、多分ノベルティーとして限定50枚とかしか出してないんですよ。僕も全然持ってなかったもん。 
 
──確かに現物見たことないですね。 
 

アングラ・トキワ荘

──それじゃこの辺で15年を振り返って頂きたいんですけど。大槻さんの曲を筋少最初期から最近まで聴いてきて、やっぱり時期によって心理的にかなり変化があったと思うんですよ。ナゴムの頃の歌詞とかって本当にモノスゴイものがあるじゃないですか。 
 
大槻:そうですね~。でも何も言わないで順番バラバラにして聴いたら意外に解らないんじゃないかなぁ。まあ自分で聴いてみるとやっぱり昔はこんな気持ちだったのか、とか色々思うところはありますけどね。でも一番思ったのは、とにかくこの人はアンダーグラウンドな事をオーバーグラウンドでやろうと15年戦ってきたんだな、という事ですね。そういったチャレンジ精神に溢れてて、なかなかいいじゃないかと思いましたよ。逆に言うとアングラでよく15年っていうのもあるし、アングラだからこそ15年もったっていうのもあると思いますね。 
 
──当時バンドブームっていうのがあって、色んな人が世に出てきた訳ですけど、その中でいまだに一線で活躍してる人って、当時「アングラ」っていう位置にあったナゴム周辺の人が多いじゃないですか。 
 
大槻:ケラさんなんか先生になっちゃいましたからね。ナゴムに携わってた人は元より芸達者だったし、何か表現したいっていう気持ちが強くて、それがたまたまライブハウスに集ったっていう事で、本当はその表現手段は音楽じゃなくてもよかった人たちだったのかもしれないですね。僕自身もそうだったし。
 
──必ずしもバンドじゃなくてもよかったんだけど、その当時の表現手段の一つとしてバンドという形をとっていたと。 
 
大槻:ナゴム界隈はね、ぶっちゃけ才能溢れる人が多かったですよ。ただ者じゃない人が多かったな。今にして思うとすごかったナゴムレコードっていうね。 
 
──アングラ・トキワ荘って感じですよね。 
 
大槻:そうそうトキワ荘だよね。昔、ケラさんは高円寺のトキワ荘ならぬ平和荘っていうアパートにナゴムの事務所を置いてたんだよ。それで平和荘の隣にももう一つアパートがあって、そこにP-MODEL好きのカップルが住んでたんだけど、俺とケラさんと犬山犬子ちゃんとかで窓を開けて寸劇の練習してると「お~う元気?」とかいって覗いてたり…、サブカルな青春がありました。 
 
──同じ匂い持った同志が集うっていうのはよくありますよね。かつてのトキワ荘もそうであり、ゲーム業界とかでもエニックスのコンテストに集った才能がドラクエ作ったりとか。 
 
大槻:後に世に出てくる人って偶然少年の頃に会ってたりするんだよね。今回「対自核」を出すにあたって、若手のアーティストにも参加して欲しいなと思って、大正九年とか掟ポルシェ、香菜ちゃん、犬神サーカス団、WiggleのRINARINA、湯浅湾の声とかっていう当時ナゴムに集ってた青年達と近いにおいを持った人たちに参加してもらったんだけど。いざ会ってみたら、やっぱり仲良くなって一緒に飲みに行ったりしてる人たちもいるみたいで、そういうのは嬉しいよね。新たなトキワ荘の大家になったみたいな気分で。 
 
──ポジション的にはテラさんですよね。 
 
大槻:ああ、トキワ荘にはテラさんがいて平和荘にはケラさんがいたんだ。 
 
──声ちゃんにしてもかなりヘビーなヘアヌード写真集とかビデオとか出してますけど、なぜこんな事をしなきゃならんのかって全然訳わかんないじゃないですか。当時のナゴムのライブにしてもなんじゃこりゃっていうパフォーマンスが多かったですし、あれは本当に自分の中に煮えたぎる創作意欲のほとばしりなんでしょうね。 
 
大槻:そうだよね。声ちゃんのへアヌード緊縛コスプレ写真集は、本人にとってはアートって事になってるらしいんだけど、端からみれば何だよこれってなっちゃうじゃない。表現したいものがあるんだけど表現の手段が見つかってなくて暴走しちゃってる感じがいいですよね。でも俺も常にそうでありたいと思ってますからね。表現意欲の暴走みたいなものは、いまだにやんなきゃなとは思います。とはいえ俺が緊縛されてもしょうがないけど。 
 
──だからその辺の迷えるヤングを導いてくテラさん役が必要なんですよ。 
 
大槻:いや~導かないですけどね、俺は。 
 

ライブ中毒

──やっぱり大槻さんの中でもいまだに溢れる創作意欲みたいな物が渦巻いてて、それが今バンドとかユニットをたくさん抱えてる理由になるんですかね。
 
大槻:今現在やってるバンドが、メインは「特撮」。あとは「電車」というアングラロマンバンドというのもやってまして、ロフトプラスワン限定フォークユニットとして「TPM」っていうのもあって、今度のツアーに向けてアンプラグドユニットも作って、「対自核」のツアーのために横関敦、三柴理が参加してくれるソロバンドもありますし……、まあ色々やってるんですが、何でこんなにやってるかと言うと、明らかに俺はライブ中毒なんですよ。もう本当にとにかくライブがやりたくてしょうがない。逆に言うとそれ以外にやりたいことが何もない人間なんですよ。特にツアーがやりたい。でもなかなか、費用がかかるは動員が大変だわ、難しいものがありましてね~。本当は目指せニューロティカなんだけどね(笑)。今まで映画をやってみたりとか、本を書いてみたりとか、テレビでタレントをやってみたりとか色々やってみたんだけど、やっぱり音楽でライブをやる以上に高揚感のある事って、僕にはないなぁ。 
 
──色々やってきた結果、原点のライブに戻ったって感じですかね。 
 
大槻:そうですね、でもまだサーフィンとかやったことないから(笑)、もしかしてそっちの方が燃えるかもしれないけどね。 
 
──最近買ったというポルシェはどうですか。 
 
大槻:ポルシェ買う時はさすがにドキドキしたけどね(笑)、でもそんなにホイホイ買えないからな~。ポルシェをオープンにして、お姉ちゃん横に乗せてガーッて走るとさすがに脳汁ちょっと出るんですけど(笑)、やっぱりライブが一番だなぁ。へこむ事とか、緊張する事とか、失敗するとか、疲労感とかそういうの全部含めた上でいいですね。元より体力がないんで、最近はワンマンのライブをやるとその日は交通 事故にあったみたいな感じで、もう頭も首も腰も痛くて、打ち上げに出ても辛いし、家に帰っても寝れなかったりするの。もうバンテリン塗りまくりですよ。そういうちょっとした大変な事もあるんですけど、やっぱりライブがいいんだよなぁ。逆に言うとそこまでライブがないと辛いっていう体質になっちゃったがために、他にもっと依存出来る物があればな~とは思いますけどね。 
 
──他に依存する物というと。
 
大槻:やっぱりライブって大変なんで、楽しいんだけど時たま疲れるな~って思うんですよ。だからライブ以外でも高揚感が得られる物があれば、ここまでライブに依存しなくて済むのになぁとは思いますね。やっぱりライブって精神的にも肉体的にもキツイじゃないですか、こんな大変な物の中毒になってしまった自分はちょっとヤバイかな~っていう気持ち、楽しいんだけどヤバイかな~っていう気持ちがあって。その内ロックとか音楽とかは二の次でとにかくライブ、ライブっていう、そういうミュージシャンっているじゃないですか、ライブの魅力に取り憑かれた中毒ミュージシャンになっちゃうのはマズイかなってことで、他にもう一つはまれるものを探してるんですよね。
 
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