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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE 3PEACE(2002年3月号)- 空は一つなんですよ。バスクから見える空も、東京から見える空も

【復刻インタビュー】THE 3PEACE(2002年3月号)- 空は一つなんですよ。バスクから見える空も、東京から見える空も

2002.03.27

[interview:やまだともこ]

バスクで録音したマキシ・シングル

──待望のマキシ・シングル「星のない空の下で」が3月27日にリリースされますけれども、今回のレコーディングはどうでしたか?

原:バスクで録ってきたんですけど、ほとんど通訳がいない状態でレコーディングを強行したという…。

永野:担当のエンジニアが英語は全然ダメで、スペイン語とバスク語しか喋れなかった。日本のスタジオなら何人かスタッフはいるんだけど、今回はメンバー3人とエンジニアだけっていう状況で。

──何でまたバスクへ行こうと思ったんですか? 

永野:フェルミン(・ムグルサ/ バスクの独立を音楽を通して訴えるミュージシャン)が来日した時に、彼のエンジニアが「俺スタジオやってんねん、すごいええとこだから遊びに来い!」って言うて。周りの人に訊いたらメチャクチャいいとこで、ルー・リードのバンドのベースもレコーディングしたっていうすごい所らしい、と。調べたらごっつ安くて、「これは行けるぞ!」って。で、ツアーのついでにレコーディングをしようっていう計画が持ち上がった。でもうちら、バスクへ行くことが決まった時点でどういう国かあんまり知らなかったんや。それで決まってから慌ててリサーチ(笑)。

──じゃあ、レコーディングは言葉も通じなくて身振り手振りで? 

永野:スペイン語は私が南米ツアーの後から勉強してて、カタコトの会話ならできるんだけれども、それプラス辞書がないと…。

──ニュアンスとか伝えるの、すごい大変ですよね? 

永野:ニュアンスが伝えられないってところで、表題曲のミックスに関してパンチがうまく伝えられなかった。あれは困ったな。

梶原:“湿っぽく”とか“もっと広がりを持って”とか訳してもらってるんだけど、なかなか難しかったですね。

音楽をやることに何を求めているのか? 

──表題曲の「星のない空の下で」ですけど、THE 3PEACEの初期の頃の曲ですよね。なぜ改めてこの曲を? 

原:唯一ちゃんと発売されてない曲なんだよ。昔作った時は、なんかイマイチ浮いてたのね。というのも、他の曲が今よりももっとコアな音だったからかな。それがやっと、「今ならできる!」ってバンドと曲が一致して、今回のリリースに踏み切ったんだよ。

梶原:僕もそういう解釈でした。

──『ROOF TOP』の連載でもお馴染みのタイトルですよね。

原:“星のない空の下で”って東京だよね、俺にとっては。歌詞に出てくる「君」っていうのは、別に普通のラヴ・ソングで捉えてもいいけど、相手のことじゃなくて自分自身のことかもしれない。自分を探してるのかもしれない。

──私は東京の歌だと思ってて、それをあえてバスクで録るっていうのは何でだろう?  と思ったんですよ。

永野:うちらもバスクで「星を見よう!」って言って、一歩外へ出たら真っ暗でさ、すごい星が見えんねん。そこで「星のない空の下で」を録ってるのはすごい不思議やったなぁ。なんでここで録ることになったんやろうなぁ?  って。

原:「東京には空がないと智恵子は言った」(高村光太郎『智恵子抄』の一節)って言葉を、東京にいる時より実感した。バスクであんだけの星見てたら、東京は“星のない空の下”だって痛感した。 表題曲は究極のラヴ・ソングです。命かけたラヴ・ソングですよ(笑)。「上を向いて歩こう」並みです。「上を向いて歩こう」は涙で滲んで星が見えないのね。“星のない空”ってそういう解釈もできるな、って。でも、空は一つなんですよ。バスクから見える空も、東京から見える空も。

──今回のバスクでのレコーディングを経験して学んだところは? 

永野:バスクでのレコーディングはどんなシステムがあるかも判らなかったし、最初は音を鳴らしたらどんな音が鳴るんだろうって思ってた。今までのレコーディングは日本人の専属スタッフに囲まれた状況だからこそできたっていうのもよく判ったし、すごい勉強になった。バスクでのレコーディングは、言葉が通じないエンジニアとやり取りする状況で自分達がどれだけできるのか、どれだけできないのかっていうのもすごい判ったし、いろんなことを新たに学んだ。本当に貴重な体験だったと思う。

梶原:自分達の限界を充分把握してる人は、限られた状況の中で如何にいいものができるかっていうのをよく判ってるんだよ。メキシコのライヴ・ハウスの、何の機材もないとこで初めてやった時に似てた。あらゆるものが揃ってる中で初めてものが出来る状況とかじゃなくて、“音楽をやることに何を求めているのか? ”ということを認識させられた感じがありますね。僕らはライヴの時はそういう感じにはなってたんだけど、レコーディングにはすごいこだわりがあったから。それが今回のレコーディングはさらにそういう状況に追い込まれて…。

原:だからある意味、今のTHE 3PEACEって怖いもんなしですよ。THE 3PEACEにとっての栄養や核を、ライヴにしろレコーディングにしろ、そういう貴重な考え方を1回経験してるから。とにかく苦心作であり、自信作です。

“社会派”だとか見方がすごいあるけど、楽しいロックンロールやってるんだよ!

──カップリングの曲も含めて、いろんな世代に受け入れられそうな曲に仕上がってますよね。

原:間口は広いんじゃない?  3曲とも素晴らしいです、各人の個性が出てて。このシングルは買って損はないよ! 濃いマキシです。濃縮120%。あとね、THE 3PEACEってちょっとコアな活動をしてるように見られがちで、“社会派”だとか見方がすごいあるけど、楽しいロックンロールやってるんだよ! っていうのをより多くの人達に知ってもらえればいいなと思う。

──例えばまたバスクでレコーディングをやるとなったら、また行きたいですか? 

原:今度は通訳欲しいよね(笑)。

永野:他にも行きたいとこがあるねん(笑)。

 

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