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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】After me(2002年2月号)- 今まで作ったものの中から美味しい部分を集めて1曲作る

今まで作ったものの中から美味しい部分を集めて1曲作る

2002.02.23

 現在の消費社会のスピードは、私達に対して常に新しさを要求する。目に見える変化がもてはやされ、変わらないものは捨てられる。しかし、本当の変化というものは表層にはあらわれず、地表の奥深くで静かにそして着実に起こるものだ。音楽という表現は、まさにそのような歴史を経てきたに違いない。
 結成から8年、デビューして3年、After meの変化は決して激しいものではないが、彼らの作り出す1曲1曲はまるで時計の秒針が時を刻むように着実に歴史を積み重ねてきた。3枚のフルアルバムを経て彼らが辿り着いた地平には一体何が存在するのか? 新作『レインボーチェイサー』について4人の心境を語ってもらった。[Interview:加藤梅造]

強く、明るく、長島茂雄的に

──まずは久しぶりの新曲「レインボーチェイサー」についていろいろお聞きしたいのですが、今までで一番鮮やかなジャケットが目をひきますね。

長田:最初っから派手にしたかったんです。黄色か赤かそういう感じがいいなあと。そんなふうに漠然と思ってたら曲名もレインボーになった。

──でも歌詞の中には“レインボー”という言葉は出てこないですよね。

長田:曲を作ってる最初の段階から虹が浮かんでて、最終的には、虹が架かった風景に向かって歩き出そう、みたいな感じに結べたらいいなあと、そいうイメージで作ってたんです。結局、詞はそこまでいかなかったんだけど(笑)

──では、詞というよりはバンドのビジョンとして、虹に向かって行くという感じがあったんですか。

長田:ビジョン…って程のものはないんですけど(笑)

──今回、詞は三沢真一氏との共作になってますが、この人はどういう方なの?

長田:なんか、全国をお金を持たずに旅して回ってるという。

──ヒッピーみたいな感じの人?

長田:でも思ったよりは小綺麗な感じで、少なくともツッチー(土屋)よりは綺麗ですね(笑)

──土屋さんはヒッピーというよりフーテンって感じですが。

土屋:(無言)

土屋以外:(笑)

──まあそれはさておき、三沢氏とはどういう作業分担をしたのでしょうか。

長田:シチュエーションの設定を任せて、そのイメージを基に僕が書いていったんです。自分の心象風景としては、雨が降り続いたんだけど、それが上がった空に虹が架かるみたいなイメージで。

──結果的には、最もAfter meらしい世界観ができあがっていると思います。特に最近の傾向だと思うんですが、不安や諦観の中から希望を見出すような感じが伝わってくる。

長田:そうですね。より言うべき事がはっきりしたというか、全体的に力強く、明るく、長島茂雄的なロックをやりたいなと(笑)

──長島茂雄的?

長田:分析を許さない天然な感じというのかな。聴いてて楽しくなるような、そんな曲にしたかった。

──うーん、野生のカンですか。

長田:ロックって王貞治的なものが多いじゃないですか。苦悩したりさまよってる感じがするような…。もちろん、After meにもそういう曲はあるんですけど。

──むしろデビュー当時はそういうイメージの方が強かったと思います。僕の場合は「つよく抱きしめた」を聴いて少しイメージが変わりましたが。

長田:そうですね。結局、開き直った時にそういう茂雄的なものが出てくるのかもしれない。バンドの本質というか、自分の書く曲がそういう方向を向いた方がより持ち味が出るような。

──CDで聴く限りは貞治的な所もあるんだけど、ライブを観ると茂雄的な世界ですよね。桑島さんは特に。

桑島:そうっすね。最近は家で聴く音楽も茂雄です。ラテンとか、楽しいのがいいなあって。

長田:きっと僕らには苦悩が足りないんでしょうね(笑)。デビュー当時、「単純明快な」とか「温かみのあるストレートな」とか言われて、そういう分析はなんとなく自覚しながらも、「それだけじゃないよ」って反発したい気持ちがあったんです。反抗期ですね(笑)。もちろん雑誌とか読まなければいいんだけど、やっぱり気になるじゃないですか。それで、After meというバンドが固定されたイメージに定まりたくないっていう気持ちがあって、2ndや3rdではその都度テーマを変えていろいろ試していったんです。でも、そういう中でポロっと出てくるのが「つよく抱きしめた」のような曲で、結局、本質的にあるのは茂雄的な、プロレスでいうとジャイアント馬場的な(笑)そういうものなんだなあって。そういうことを初めて自覚して作ったのが「レインボーチェイサー」なのかもしれないですね。

──僕は、最初の頃、After meはソングライターである長田さんのパーソナルな部分が濃いバンドだと思ってたんですが、実はバンドとしての存在感の方が強い、ある意味最もロックバンドらしいバンドだと最近は思います。

長田:そう、もともとシンガーソングライター的な資質はあんまりないです。例えばポール・マッカートニーの曲ってあんまりパーソナルな感じが出てないと思うんです。それはジョン・レノンのソロと比べればはっきりしてると思うんだけど。After meもどっちかっていったらポールの持つ大衆性みたいなものを獲得していけたらいいなあと思っていて、決して個人的なものではないでしょうね。

──まとめてみると、茂雄、馬場、ポール…この3つの共通点にAfter meがあるわけだ。

長田:うん。そういえば3人とも虹のような人だなあ(笑)

桑島:メイクミラクルだね。

もともとあった資質の一番根っこにある部分

──カップリングの「I'm In Love」ですが、タイトルだけ見ると「I'm not in Love」(10cc)を連想しますね。

長田:まあ、そういう感じもありますよ。この前、知り合いの英語堪能な人が言ってたんですが、大人の恋愛では"I Love You"って言い方はあんまりしなくて、"I'm In Love"っていう回りくどい言い方をするらしいんですよ。へえーそうなんだって思ったんですが(笑)

桑島:なんかソウルっぽいタイトルだよね。アル・グリーンとかが歌いそう(笑)

長田:この曲は「レインボーチェイサー」よりもっとストレートな曲を作りたくてできたんです。詞だけに関して言うと、またポールの話になっちゃうんですけど、「Hello,Goodbye」(ビートルズ)の“僕がYesと言えば、君はNoと言う”っていう、そういう部分に恋愛の本質があるのかなって思って。それこそ今の自分が目指してる単純明快なものに近いかなと。

──好きでも嫌いでもない不安定な状況であえて「I'm In Love」って言うところは確かに現在のAfter meって感じはありますね。昔だったら「I'm not in Love」って言ってたかもしれない。

長田:うーん、そうですねえ。あと、関係ないけどラット(註:LAメタルのバンド)に「You're In Love」って曲もあります。

田中:それシングル持ってます。

長田:だから康治あたりは反応するかと思ってたんだけど。

田中:ああ、気が付かなかった。

──ダメじゃないですか!

桑島:そういえば僕、よくラットのロゴを机に書いてたな(笑)

──あとMSG(マイケル・シェンカー・グループ)もね(笑)

(※その後、話題は80年代ロックや「ベストヒットUSA」、「ザ・ベストテン」、「ファンキートマト」(シャーリー富岡)、土屋氏の潮干狩りの話で盛り上がったのですが長いので中略。ちなみにAfter meの2nd『PANORAMA SET』には80'sロックの影響が色濃く反映されている。)

──そういえば今回はゲストにキーボードで奥野真哉さん(ソウルフラワーユニオン)が参加してますが、どういった経緯で?

長田:それは、プロデュースの松岡さんの繋がりで参加していただいたんです。松岡さんには、最初のシングル(「いつもと同じ朝がくる」)以来久しぶりにプロデュースしてもらいました。

──ああ、だからデビュー当時のAfter meの匂いが感じられるのかもしれないですね。

長田:もともとあった資質の一番根っこにある部分が凝縮した感じになっていればいいなと思います。

桑島:今回リリースまでの時間が長かったんで、いろいろ試行錯誤はあったんですけど、レコーディングの時に、あんまり小細工はしないで曲を素直に活かすということにしたんです。だからこれが一番よかったんだと思いますね。

──結局、After meって小賢しいことはできないバンドなんでしょうね。

長田:そうですね。一周して思うのは。今までは自分が使ってなかった技を試行錯誤してきたんですが、今はもうそういう感じはないです。むしろ今まで作ったものの中から美味しい部分を集めて1曲作るという感じです。

──それって、まさにレインボーですね。 

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