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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】浪花男(ナニワマン)(2002年2月号)- 無理に今のものに合わせる必要はなくて、自分の浪花ワールドを展開していこう

無理に今のものに合わせる必要はなくて、自分の浪花ワールドを展開していこう

2002.01.16

「どうやら浪花男が生きているらしい」

そんな噂が先月、音楽業界でまことしやかに流れた。ジャパニーズ・レゲエの草分けとして、ランキンTAXI、チャッピーらと共にシーンを盛り上げるも、六年前に忽然と姿を消したナニワマン。名前の通り関西出身で「浪花=ジャマイカ説」を唱えたこのレゲエマンは、現在レゲエシーンで活躍する若手ミュージシャンの間では伝説として語られる存在。もし彼が生きているとしたら、これはもう鈴木あみ復帰どころではない大スクープだ。そして本誌は独自の調査により、ついにナニワマンとの接触に成功した。そして新宿ロフトへの出演を条件に、彼は本誌の取材に応じてくれたのだった。取材日。最初に、彼が六年間一体何をしていたのかを訊いてみたが、

「記憶をなくしてたんです。気がついたら九十九里浜に打ち上げられてた。」と、まるで若人あきらのような返答で質問をはぐらかす。そこで、失踪以前の話、彼が音楽活動を始めたきっかけについて訊いてみた。

「当時働いていたクラブで知り合ったチャッピーと一緒にジャマイカに行ったんです。そしたら、『俺も歌わなくちゃ!』と思って、それで目覚めたんです。」

 そしてレゲエ界の重鎮・ランキンTAXIともこの頃知り合った。

「TAXIハイファイにはよく行ってましたよ。でも、スピーカーを運ぶ時には隠れてましたが(笑)。たまに運ぶと、ランキンさんの所の若い奴に『浪花さん、今日はめずらしく運んでますねえ』って言われてました」

「その時働いてた店がつぶれて、退職金代わりに機材を持って帰った。それで毎週ミロスガレージとかでイベントをやってたんです。最後はみんな機材を片づけるのがめんどくさくなっちゃって、結局サウンドシステムは売っぱらっちゃったんですが」

「その後も歌だけはやってて、アニメの主題歌でブタの歌とか歌ってました(笑)」

 一見順調な活動をしていたようにみえるナニワマンが音楽界から姿を消した理由はよくわからない。しかし、その後何をしていたのかは次第に明らかになっていった。

「鰯漁をやってたんです。トロール船にのって。朝4時に海に出なくちゃいけなくてすごいきつかった。ほかには、カブト虫の養殖所にも行ったんですが、カブト虫だけじゃなくてザリガニとかミドリ亀とか夜店に売ってるのが全部いたんです。要するにテキ屋の元締めだった(笑)。で、それを数える仕事をしてたんだけど、虫はじっとしてないからなかなか数えられなくて。しまいには飛んでっちゃうし(笑)。あんまり向いてなかったですね。それから和歌山で紀州備長炭を焼く仕事についたんですが、それが行ってみたらチベットみたいな山奥で。しばらくやってたんですが、やっぱり向いてないなってことに気付いて(笑)」

「でも金がなくて山から脱出できずにどんづまりになってたんですが、ちょうどその頃偶然にも以前に出したレコードの印税が20万も振り込まれたんです。これは天の啓示だと思いましたね。JAHが俺にレゲエをやれって言っているんだと」

 こうして再びレゲエを始めたナニワマンだが、そこにブランクは感じなかったのか。

「最初は戸惑ったけど、やってくうちに俺はこれでいいなと気づいた。無理に今のものに合わせる必要はなくて、自分の浪花ワールドを展開していこうと。」

「浪花ワールドには、ラブソングがあったり元気が出るものがあったり、ちょっと考えさせるようなものがあったり、子どもから大人まで楽しめるものなんです」

 こうした浪花ワールドは2月20日に発売される新作『生きているって最高!』で聴くことができる。タイトルの由来を訊いてみると、

「漁業でも林業でも何度か死ぬ目にあったんです。船の甲板ってヌルヌルしてて滑って落ちそうなんですけど、海に落ちるとすぐにスクリューに巻き込まれてコナゴナになっちゃうんです。これはヤバイなって思ったんですが、すぐに辞めるわけにもいかないし。そんな状況ではポジティブに「生きる」ってことを考えないととてもやっていけない。それで『生きているって最高!』と思ったんです。」

 死に際で掴み取った生きることへの衝動。関西人らしいひょうきんなキャラクターの裏にはこんな硬派なメッセージが隠されていたのだ。最後にナニワマンの今後の展望を訊いてみた。

「レゲエだからこそメッセージの強いものを出したりしないといけないと思いますね。アメリカのミュージシャンが集まって『What's Going On』を歌ったみたいに、レゲエでそういうピースフルなことをやっていきたいですね。」

(取材:加藤梅造)

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