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COLUMN

六回ゲスト:愛甲猛(後編)

第十六回ゲスト:愛甲猛(後編)

2012.03.02

野球選手のゴルフは基本「握る」!

吉田豪(以下:豪) 今回の愛甲さんの本(「球界のぶっちゃけ話」宝島社・刊)に、野球選手のゴルフは基本、握る(=賭けること)って書いてあって、「握る」をここまで細かく説明してくれた本は初めて見ましたよ!

愛甲猛(以下:愛) 相撲の野球賭博事件ってあったじゃないですか。あの時、横綱の白鵬が賭けゴルフをやってテレビで頭下げてましたけど、あれをやるなら野球界にいる840人全員、頭下げなきゃいけないですよ(キッパリ)。

 ダハハハハ! みんな賭けゴルフやってます、と(笑)。

 だって俺、今、現場でやってる監督さんとほとんど握ってますもん(あっさりと)。

 前に言ったかもしれないですけど、1970年代末の『少年ジャンプ』で『王者のゴルフ』っていう王(貞治)さんがゴルフをやるマンガがあったんですよ。王さんが『プロゴルファー猿』みたいな感じで断崖絶壁のゴルフ場で、当時の選手たちとゴルフで闘うんですけど、普通の少年マンガなのに「チョコレート」(=賭けゴルフの意味)がどうこうってフレーズが出てきて(笑)。

 選手同士で行くゴルフでも握るし、選手会のコンペでも握るし、野球選手が集まるゴルフのイベントだと握りがドンドンデカくなるし。去年引退したKなんかは、ポケットに4~50万を二つ折りに入れて、握りで負けた時も「さぁ、いくら払おうかなー」って言ってましたからね(笑)。

 あのー、専門用語は全然わかんないですけど、本の中に「詳細は避けるが“ヘビ”とか“ラスベガス”“サオイチ”などなど。複雑過ぎて自分の勝ち負けがわからなくなることがある」って、色んなルールがあるんですね。

 僕が好きなのはラスベガス(※1)で、前に某GのHさんともやったんですけど、レートが高いんですよ。一緒に回った時に、「ラス(ベガス)はいくらで行く?」って聞かれて、オレら金のない連中は、大体1打100円位でやってたんですよ。そしたら「今日は500円でいいか」って言い出して。オレら驚いちゃって「普段いくらでやってるんですか?」って聞いたら「大体1000円から2000円位かな」って。そうなると1ホールで10~20万は動くんですよ。

 結構なレベルの額ですよね。

 そう、だから俺、必死でしたもん! Hさんといえば、ベンツとかセルシオとか色んな車を持ってたんですけど、「この前、久々にセルシオのトランクを掃除してたら、封筒が出てきたんだよ。中身見たら知らない100万が入ってた」って言ってて。

 雑ですねぇ(笑)。

 金銭感覚がロッテと●●じゃ全然違いますもん。あ、球団名言っちゃった(笑)。

 ダハハハハ! 大丈夫ですよ、みんなもうわかってますから(笑)。あと、本にも書いてましたけど「テレビ局主催のゴルフコンペでも50万、100万は飛び交ってた」らしいですね。

 飛び交いましたねー。終わってからパーティーの時に、顔見知りの連中で握りあってましたから。相当な額が飛び交ってたと思いますよ。

 「コーチのNさんが負けが込んで、土地を手放した」とか。

 あー、有名な話ですよ。麻雀とゴルフでしたね。あと今、野球解説者のEさんは、ゴルフでイップス(※2)になっちゃったんですよ。テイクバックしてからクラブを下に降ろせなくなって。なんでかっていうと、あまりにも高い握りのやりすぎで。

 ダハハハハ! ホントですか!

 それでゴルフやめちゃったんですよ。だって麻雀をやるにしても、掛け金が違いすぎましたから! Eさんの話で言うと、前に一緒のサイン会に呼ばれたことがあって、僕のギャラが10万なのに対して、Eさんは50万だったんですよ。でもその額を伝えたら「50万だったら寝てた方がいいや」って、断られたらしいですからね。

 そのぐらい動くお金が違うわけですよね。

 某Gの場合は、一軍の選手がサイン会をする場合、大体一帯(100万)が最低相場だったみたいですから。だって僕、ロッテの時、サイン会のギャラが5万から始まってやっと30万になったんですよ。そしたら●●の二軍選手と一緒だったんですよ。その位、格差がありましたからね。……あ、また球団名言っちゃった!

 もう気にしないでいきましょう!(笑)

※1 ラスベガス……ゴルフのベットの中で最も得点に差の出る競技。4人が2人ずつペアを組み、1ホール毎に各ペアのスコアの少ない人の数字を10の桁、多い方の数字を一の桁として計算し、得点の少ないチームが、その得点差だけポイントをリードするという方法(例えばA、BとC、Dがペアの場合、あるホールでAが4、Bが6、Cが5、Dが6ストロークだったら、AB組は46、CD組は56となり、AB組が10ストロークの勝ちとなる)。

※2 イップス……精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、自分の思い通りのプレーができなくなる運動障害。

失踪事件の真相!

 今回の本、お金の話もかなり書いてあって、最近出演した元プロ野球選手のドキュメント番組のギャラまでそのまま書いてますよね。

 僕なんかまだ全然安い方ですよ。薄利多売でやっていかなきゃいけないくらいですけど。ただマスコミとは色々と揉めたこともあって、一時期、警戒していた時もありますけどね。

 それは失踪事件(※3)とも関係ある感じですか?

 あれは新聞社と、亡くなった梨元勝さんと、テレビ朝日で作り上げられた話で。あの失踪事件の記事が載る前の日に、日刊スポーツが取材に来てドア越しで喋ってたんですよ。「取材を受けてくれなかったら、明日新聞に出しますよ」って言うから、「勝手にすれば」って言ったらホントに次の日の日刊スポーツの一面に出されて……。

 「愛甲、失踪!」って。

 そしたら、すぐにテレビ朝日が来てたんですよ。それで、それを追っかけるように他のマスコミも来ちゃって。ヘリコプターまで来ましたからね(笑)。

 しかもそのとき自宅にいたんですよね?

 だから自分の失踪をテレビで見ながら、「俺はどこに行ってるんだ」って家族と話してて(笑)。そしたら近所のおばちゃんがテレビの取材に答えてたんですど、ホントおかしいんですよ!

 何を言ってたんですか?

 「そういえばこの間の夜、家の前にワゴン車が来てデカいバッグを車に積んでたから、もしかしたらあの中に愛甲さんが入ってたんじゃない?」って、そんなわけねえだろって!

 ダハハハハ! 拐われたんじゃないか、と(笑)。

 それは、女房の弟がスキー行くのに持って行っただけなのに(笑)。ムチャクチャですよ、ホントに。

 あれはわかりやすく言うと、事務所トラブルだったんですか?

 そうですね。それで事務所との連絡を一切、断ち切っちゃってて。嫁にも連絡来てもいないと言ってくれ、って伝えたり。

 芸能活動を始めた時に色々あって……。

 まぁ、その事務所も失踪事件後、すぐに潰れちゃったんですけど。それから何年かして、その事務所の社長とバッタリ会ったんですよ。で、「あれって、連絡が付かなくなった俺への仕返しだったんですか?」って聞いたら「そうだよ」って。その事務所に梨元さんの娘さんが所属していて、それで梨元さんに話がいったようで、それでテレ朝にも繋がって。すぐにワイドショーが来ましたからね。「なんで俺ごときでこんなに騒いでるのかなぁ」と、思いましたけど。で、サンケイスポーツの編集長と知り合いなんで、すぐに電話したら「一切、取材を受けるな。ウチだけに書かせてくれ」って言われて、だからサンケイスポーツにだけ「実は、愛甲は家に居た!」って記事が出たんですけどね。

 当時、愛甲さんがバカラ賭博に狂っておかしくなったせいだ、って言う人もいましたね。

 その辺は普通にやってましたから(あっさりと)。

 ダハハハハ! 狂ったうんぬんじゃなくて、普通です、と(笑)。

 中日の時に韓国遠征とか行くと、今、コーチになった中村(武志)なんかは、片方でバカラやりながら、もう片方でルーレットやったりしてましたからね(笑)。女遊びに関してもセ・リーグとパ・リーグで格差があって、中日に行ったらみんな隠しケータイを持ってたんですよ。

 隠しケータイ?

 要するに奥さんに隠れて使うケータイなんですけど、みんな名義をトレーナーにしてたんですよ。だから支払いの時期が来ると全員分の請求書がトレーナーに集まる(笑)。それでバレないようにしてましたけどね。

 まだ野球界が平和な時代で良かった、と。

 平和……だったのかな?(笑)。でも野球界がまだ楽しい時でしたよね。今、つまんないでしょ? 乱闘は無いし。

 つまらなくなった第一の理由は乱闘ですか(笑)。

 乱闘は野球の花と言っても過言ではないですよ。だから今、一番期待しているのはキヨ(清原)が早く現場復帰すること。で、星野vs清原の乱闘をみんな見てみたいと思うんですよね。

 それは見たいですよ!

 星野さんが阪神の監督時代に乱闘になって、その時キヨはベンチ裏でマッサージ受けてたんですけど、ベンチから出て行ったら星野さんから「お前は関係ねえだろ!」ってTシャツの後ろを引っ張り回されて「引っ込んどけ!」って言われたらしくて(笑)。それくらい、キヨも星野さんには食ってかかれなかったみたいで。

 乱闘も今、少なくなりましたもんね……。

 インコースに厳し目のボールを放るピッチャーが少なくなりましたからね。星野さんは確実に指示出してましたよ、「ぶつけろ」と(笑)。で、ぶつけられなかったピッチャー2人を次の日、二軍に落としましたからね。

 ダハハハハ! ぶつけられなかっただけで!(笑)

 テレビで見てても、その方が面白いじゃないですか。そういう荒っぽさが今のプロ野球には、ちょっと足りないんじゃないかと思いますよ。

※3 失踪事件……2002年2月に愛甲さんに捜索願いが出され、マスコミが一斉に報道、愛甲さんの行方を追ったが、実はずっと自宅にいたらしい。

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