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トップコラムせきしろの 投稿者列伝vol.10 業務用菩薩 〜ステータスポイントを『投稿』に振り分け過ぎた者たち〜

l.10 業務用菩薩 〜ステータスポイントを『投稿』に振り分け過ぎた者たち〜

vol.10 業務用菩薩 〜ステータスポイントを『投稿』に振り分け過ぎた者たち〜

2018.12.14

〜ステータスポイントを『投稿』に振り分け過ぎた者たち〜
ラジオのコーナーや雑誌の投稿ページにネタを一心不乱に送り続ける投稿者。それは決して誰かに頼まれたわけではないのに、時には何かを犠牲にしてまで送る。そんな特異で奇抜で最高の情熱を投稿にそそぎ続ける者たちの生態に迫るインタビューである。
 
菩薩顔写真.jpg
 
業務用菩薩:1984年12月7日生まれ。千葉県出身。東大卒。テレビ局勤務。

パーソナリティに自分の名前を呼ばれる喜び

──ではまず、初投稿について教えて。

菩薩:ネタ投稿ではないですが、文化放送の斉藤一美のとんカツワイド『FRIDAY SUPER COUNTDOWN 50』で電話リクエストをして、初めて自分の名前を呼ばれて嬉しくなったのを覚えてます。その時の投稿はFAXだった気がします。

──名前を呼ばれるだけでドキドキするよね。投稿でも病院の待合室でも。その時にリクエストした曲は?

菩薩:川本真琴の「愛の才能」です。あと全然好きでもないのに、文化放送でよくかかっているTWO-MIXとかをリクエストしてました。なんとなく読まれるであろうラインをその時から読んでいたんだと思います。そして、安室奈美恵が宣伝していたアイスZEROの宣伝の曲のCDをもらいました。

──聞いても広がらない質問をしてしまった。ネタの投稿はいつ?

菩薩:ネタで読まれた最初の番組はナイナイのオールナイトでした。中1だった気がします。学校の部活が苦しすぎて、生きる望みをラジオにかけていた時期です。

──コーナーは覚えてる?

菩薩:「セルゲイブブカ」という短文のコーナーと、「悪い人の夢」という長文のコーナーですね。あと「今週のインパクト」という、今週あったどうでもいい芸能ゴシップを送ってました。最初、どの番組でも必ず本名で送って、パーソナリティが自分の名前を言ってくれてるという喜びを噛みしめてました。

──名前を言ってくれると嬉しいからね。フランスワールドカップの時の岡田監督には名前を言ってほしくないけど。そもそもラジオを聴くきっかけは?

菩薩:姉が、電気グルーヴのオールナイトニッポンをテープに録ってくれていて、それを聴いて、よくわからないけど面白いってこういうことなんだというのを教えてもらった気がします。

──電気を! それはいつくらい?

菩薩:たしか小4くらいでした。

──それはよくわからないだろうな。そこからラジオを聴き始めるようになっていったのかな?

菩薩:そうですね。ラジオは、テレビや楽屋での裏話を聴くのが楽しくて。パーソナリティが我々リスナーにしか教えてくれない本当のところを話してくれるのが嬉しくて。テレビ見てラジオ聴いてという日々が続きました。

──当時、他に聴いていた番組は?

菩薩:『宮川賢の誰なんだお前は!?』(TBSラジオ)、『今田・東野のカモンファンキーリップス』(文化放送)、『コサキンDEワァオ』(TBSラジオ)、『極楽とんぼの吠え魂』(TBSラジオ)、『ふかわりょうのDEEPERSTREET』(TFM)、『安斎肇、みうらじゅんのTR2』(J-WAVE)、『バナナマンの火曜WANTED』(TFM)なんかを聴いていました。あと、芸人さんのネタが好きだったので、『赤坂お笑いDOJO』(TBS)とか『お笑い!ネタとこ勝負』(ラジオ日本)のネタ番組をテープに録音して、ベストアルバムを作る感じで、18KIN、やるせなす、アンタッチャブル、ネギねこ調査隊、ホームチームとかテープに作ってましたね。

──情報がいっぱい出てきた! そういえば菩薩はたしか東大出身だよね?

菩薩:東大です。

──だから記憶力が良くて、番組名がたくさん出てくるんだな。ラジオを聴きながら勉強してたの?

菩薩:浪人中はほとんどテレビも見ず、ラジオも聴いてませんでした。もうその時の娯楽の記憶はありません。今でもそうなんですが、何かしながら聴けないんですよね。器用じゃないので……。

──よく使ってた参考書は? 馬のマークの参考書?

菩薩:数研出版のチャート式を愛用してました。あと、実況中継シリーズ。ゴロで覚える古文、ゴロゴっていう本も使ってました。ゴルゴ13の表紙の本。馬のマーク……受験研究社のやつは、字が明朝体で昔の小説みたいな感じであまり頭に入ってこなかったので使ってません!

──どんな勉強法だったの?

菩薩:投稿が関係なくなってきてる……。「ノートの表紙にヒントを書く」勉強法やってました。1回解いて間違った問題に関しては、解くためのヒントを、簡単にノートの表紙に書いておく。それで、もう一度同じ問題を解く時に、わからなくなったらノートの表紙を見てヒントを得て解くというやり方をしてました。

──難しそうだから真似するのはやめよう。

菩薩:『東大生が選んだ勉強法』(PHP文庫)という本に寄稿してるので、それをお読みください。

積み重ねるのを8、ちょっと飛ばした刺激を2

──菩薩と出会った時はもう東大生だったよね。「菩薩と出会った時」ってすごいセリフだけど。

菩薩:やっと投稿に戻ってきましたね。そうです。『南海キャンディーズ山里亮太のオールナイトニッポンR』で知り合いました。大学3年でしたね。初めて常連となったのもこの番組です。さっきも言いましたが、受験の時はラジオから離れていて、4年くらいブランクがある中でまたラジオを聴こうと思い立ったのが大学3年で、一通り全部の番組を聴いて一番面白かったのが山里さんのオールナイトニッポンでした。

──ラジオネームにインパクトがあったのですぐに名前を覚えた記憶がある。たしか初採用は森末慎二のコーナーじゃなかったっけ? それとも横浜ベイスターズ三浦大輔のオールナイトニッポンのコーナーかな?

菩薩:「モリスエ道場」ですね。番長のコーナーは山里さんとせきしろさんと伊部さんが勝手にやってたやつでしょ。

──森末慎二のオリジナル体操技に「モリスエ」と名前がついたように、森末の他の行動にも「モリスエ」と名づけようってやつだよね。

菩薩:そうです。モリスエはよく採用していただきました。どこまですっ飛ばしても、情景が浮かぶと最後は「これ、モリスエ」ってワードでまとめられるのが楽しくて。理解してもらえるのが嬉しくてどんどん書いていた覚えがあります。何の前触れもなく森末慎二の「ムーンリバー」が流れてきて、突然コーナーが始まるというのもあんまりないパターンで衝撃でした。

──そのためだけに森末慎二のCDを買ったんだよな。自腹で。

菩薩:他のコーナーでは「北島ファミリーとすれ違う」も楽しかったですね。「『おい、譲二』から始まる言葉を送ってきてください」ってコーナー、今じゃ考えられないですね。個人的には、NANAのコーナーはあんまり得意ではなかったです。たぶん乙女になりきれなかったんだと思います。仮装大賞のコーナーは、投稿したネタにさらに山里さんがオリジナルワードを乗せてくれて、自分たちが材料を渡して、オンエアで仕上げてくださるので聴いていて楽しかったです。「5人の坊主が5本の指となって巧みに動く! 10番、Charの指使い」という投稿をたまに思い出してしまいます。

──懐かしい。あの仮装大賞の音を出す玩具も自腹で買ったんだよ。で、壊れたら困るから予備でいくつか買って。あの番組は時間帯も遅かったし、ネット局も少なくて、けっこうやりたい放題だったんだよね。

菩薩:僕は初回と2回目の放送を聴けてなくて、これは乗り遅れて勉強しないと、投稿してもピンとずれてしまって、嫌われてしまうかなと思って諦めようと思っていたんですが、ホームページにコーナーの説明と答えが書いてあってすごく途中からでも入りやすかったです。

──あれはもう一人の作家の伊部がやっていたのかな。ちなみにノベルティも俺が自腹で作ったんだよなぁ。それもまだ大量にあるよ。

菩薩:タオルですよね。めちゃくちゃ良かったですよ。家族で使ってました。いまだに実家にあると思います。ノベルティは実用性があるものに限りますね。みんなで重ねるように答えを出していく番組だったので、積み重ねるのを8、ちょっと飛ばした刺激を2くらいの配分で出していったのを覚えてます。

──難しいこと言ってるな。それは微分積分かな?

菩薩:微分積分じゃないです! そういうのは代ゼミでは教えてくれませんでした。

──金ピカ先生も教えてくれなかった?

菩薩:ヤンキー先生の吉野敬介も教えてくれませんでした。

──ってことは、マドンナ古文の人も教えてくれなかっただろうな。

菩薩:誰も教えてくれませんでした! すべてラジオから教えてもらいました!

 

 

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▲仮装大賞の玩具(未開封)がまだまだたくさん!

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▲せきしろの実家で使われているノベルティのタオル。

番組はパーソナリティのもの

──投稿していた時に何か努力したことってある?

菩薩:とにかく番組はパーソナリティのものだと思っているので、変な自己主張はやめて嫌われないようにしようと考えてました。顔も出さず、声やニュアンスを一切抜いた状態で、ネタのみでコイツどんな奴なんだろうと判断されるので、すごく神経質になってました。

──そう、番組はパーソナリティを第一に考えなければいけないんだよね。そこの距離感が大切だと思う。

菩薩:読まれなかった日は「嫌われた…こいつ調子に乗ってる…面白くない奴だ」と言われてる気がして、すごくショックな1週間を過ごしてました。と同時に、これがいわゆる「常連」の感情なんだと思いました。

──しかし短期間で番組が終わってしまって、楽しくもあり苦しくもある時間も終わり……。

菩薩:3カ月でしたからね。かけがえのない体験でした。当時、第4週目か5週目は放送休止で、その翌週、放送の冒頭で山里さんが「いや、先週放送がないから、せきしろさんと伊部さんと3人で、勝手にラジオを収録したよ〜、中野のかっぱ寄ってからさぁ」と話したのを覚えてます。しかも、その音源、リスナープレゼントだった気がします。ほんと幻の回、当時聴きたくてしょうがなかったです。

──ものすごいDIYの番組! 終わりが突然すぎて自分たちで番組のイベントをやった記憶がある。シアターDで。

菩薩:土曜の深夜、ちょうど最終回の次の週だった気がします。ここで初めてせきしろさんとお会いすることになります。狭いシアターDの廊下で。呼んでいただいて嬉しかったです。リスナー代表として呼ばれて大喜利させていただきました。当時、mixiでせきしろさんから突然連絡が来たとき相当嬉しかった覚えがあります。この出会いをきっかけに、実際に自分でもイベントをやるようになりましたね。

──けっこういろいろやってたよね。

菩薩:『大喜利寺子屋』というイベントでは、山里さんやせきしろさん、当時『3600』というネットラジオをやっていたオードリー若林さんにも出ていただきました。その後、『ハガキ職人ナイト』を本多さんと立ち上げたり、せきしろさん考案の『落合記念館ゲーム』では立会人として、Zepp Tokyoに立たせていただいたり、『消耗戦』では浜崎あゆみの本棚を再現したり、せきしろさんが1人で5時間大喜利をやる『ユーモアナイト』ではユーモアチルドレンとして影マイクをやらせていただいたのが非常に思い出深いです。そして、ご縁があって、あらびき団にリサーチャーとして入った時に、せきしろさんから「菩薩、卒業おめでとう」ということで、ハガキ職人卒業式を行なってくれたのは今でもふと思い出します。

──卒業式! あったなぁ、そんなの。で、いつの間にかテレビ局員になって。一番の出世じゃないかな。

菩薩:とてもありがたいです。投稿なくして、今の職業にはついてないので本当に感謝しております。

──あの番組に関わった、菩薩も、山里君も、みんな立派になって感慨深いよ。みんな頑張ってほしい。俺は伊部とモンハンやってるから。

 

 

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