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COLUMN

画と漫画の狭間で』古泉智浩の場合

『映画と漫画の狭間で』古泉智浩の場合

2013.11.22

漫画家・羽生生純古泉智浩タイム涼介、歌人・枡野浩一、注目の漫画家たちが自らメガホンを取った異色のオムニバス映画、『ポーラーサークル 〜未知なる漫画家オムニバス』が、12月7日(土)よりオーディトリウム渋谷にて5日間限定レイトショー公開!

劇場公開を記念して、『漫画と映画のはざまで!?』をテーマに、リレーコラム形式で4監督の製作秘話をお届け!
第2週目は、古泉智浩先生です!
 

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映画と漫画の狭間で 古泉智浩

 今から10年前、2003年に最初に自主映画を作ろうと思った際には、それはもう漫画で表現できないものをやるべきであると「音」をテーマに作ることにした。『雑音★エクスプロージョン21』という当時ハロヲタだったため『恋愛レボリューション21』をもじってタイトルにしたこの作品は、ストレスで耳が変になって、人の話し声が妙な雑音に聴こえる、例としては、友達の話し声が馬のいななき、母親の声がAVのあえぎ声などに聞こえて困るという内容だった。

 初めて撮影してみて、映像さえ押さえておけば音は後でどうにもなると思っていた。ところが、いざ編集してみると音声の扱いは非常にデリケートで、初心者にはとても難しかった。音声はカメラの内臓マイクしか使っていなかったため、屋外の撮影では風のボボボボボという音がひどくて役者のセリフがかき消されていた。アフレコもとても難しくて「音」をテーマにしているにも関わらず音声が非常にいい加減な作品になってしまった。

 また、漫画のコマ割りのような意識で撮影していたら、カットが多すぎたり、足りなかったりで、空気感のようなものが表現されず、映画のリズムではなくなっていた。漫画の感覚でやると何か間違っていた。

 漫画は読者が勝手にコマの間を読み取ってくれていた事に気づいた。読み手から作品に対して大きく歩み寄ってくれており、それに大きく頼ることができる表現だったのだ。感覚的には、ざっくり言って漫画より映画は5倍神経を使って表現しないといけないと感じた。漫画は1の表現で5受け取ってもらえている感じで、映画は5の表現で5伝わると言えばいいのかな、とにかくちゃんとしないといけない表現だった。視覚も聴覚も時間も、表現する側が支配するのが映画で、漫画は絵と文字を提供する表現だ。

 そんな大変神経を使う表現を、漫画のようにほぼ一人でやりたかった。役者は人に頼むとしても、撮影、録音、監督を一人でやろうとしていたので、外部マイクは使うようになってもモニターはせず、カメラはフルオートで撮影していた。そうして10年間、数本の短編作品と無数のショートムービーを作った。

 新潟の映画サークルの人の「映画は一人では作れない」という言葉に反発を覚え、そのような活動をしていた。大した作品でもないのに多くの人様の休日を己の作品に費やさせてのうのうとしているその神経こそ、どうかと思ったのだ。

 しかし、そこそこのクオリティの作品を作ろうと思ったらやはり一人では無理であった。フルオートで撮影した劇映画は映像がしょぼい。背景がボケている映像の方が断然映画らしさがあってかっこよかった。最近ではデジタル1眼を入手してマニュアル撮影に取り組み出したらピントが気になるようになってしまった。また、ある程度のクオリティでないと、出演してくれた人にも失礼であると改めて思った。

 今回の『O星人来襲』は、自分が出る場合以外では初めてカメラを他の人に委ねた。カメラもタイム涼介さんにお借りして、カメラマンには蔭山周さんにお願いしたのでかつてないほどのクオリティで、映画館でお金をもらっても全く申し分ないほどのクオリティとなった。

 そういうわけで、映画と漫画の狭間にはいろいろな事があった。
 

羽生生純、タイム涼介、枡野浩一と、蔭山プロデューサーが語る
『未知なる漫画家オムニバス』対談!!


『O星人来襲』(12分)
監督:古泉智浩 http://vivaall.cocolog-nifty.com/douteijanee/
出演:ピョコタン モリミキ タイム涼介 藤崎ルキノ 見ル野栄司 尾上龍太郎 他


 

【作品解説】

ある日突然、ガールフレンドの胸が小さくなっていた。どうやら上空を飛んでいるUFOと関係があるようだ。二人は無謀にもUFOに乗り込むのだが…。自主映画に取り組んで10年、40本以上のショートムービーを作り続けている漫画家・古泉智浩が10年の集大成として特撮SF映画を作製。

【監督プロフィール】

古泉智浩(漫画家)
1993年『ヤングマガジン』ちばてつや大賞を受賞し漫画家デビュー。漫画『青春☆金属バット』は熊切和嘉監督に、 『ライフ・イズ・デッド』は菱沼康介監督に映画化され話題となる。 出版業界の人を対象にしたショートムービーのワークショップ「よるひる映研」を主催。『よるひる映研傑作選DVDブック』が今年青林工藝舎より発売された。

 

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漫画家・羽生生純古泉智浩タイム涼介、歌人・枡野浩一、注目の漫画家たちが自らメガホンを取った異色のオムニバス映画、『ポーラーサークル 〜未知なる漫画家オムニバス』が、12月7日(土)よりオーディトリウム渋谷にて5日間限定レイトショー公開!

劇場公開を記念して、『漫画と映画のはざまで!?』をテーマに、リレーコラム形式で4監督の製作秘話をお届け!
第1週目は、羽生生純先生です!
 

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『サメナイユメコは選択した』(24分)
監督:羽生生純 http://homepage2.nifty.com/hanyu-new/
出演:澤純子 蒼あんな 蒼れいな 井之上史織 高橋和貴 森一生
 

【作品解説】

世界が裏返る!!都内の一軒家にサラリーマンの夫と高校生の娘あわせて三人で暮らす平_凡な主婦の醒無夢子(50)は、ある夜スーパーのパート帰りに突然 この世界の行く末を_左右する二者択一を迫られる・・・彼女はどちらを選択するのか?『恋の門』の原作者・_羽生生純が描くドメスティックSFムービー。

【監督プロフィール】

羽生生純(ハニュニュウ ジュン) 1970年生まれ。漫画家。
『恋の門』(2004年松尾スズキ監督により映画化)
『いってミヨーンやってミヨーン』 『俺は生ガンダム』『青(オールー)』
『アワヤケ』 『千九人童子ノ件』『ワガランナァー』『ピペドン』
『ファミ通のアレ(仮題)』(原作・竹熊健太郎)
『陋巷に在り-顔回伝奇-』(原作・酒見賢一)なと_。


『ポーラーサークル 〜未知なる漫画家オムニバス』
http://ameblo.jp/michi-manga/

2013年12月7日(土)〜11日(水) 5日間限定レイトショー!
オーディトリウム渋谷にて
http://a-shibuya.jp/
開場21:00 上映21:10より
特別鑑賞券 ¥900 当日料金 ¥1,000
(2013年/日本/カラー/104分/ポーラーサークル配給)

 

!!超お得!記念イベント開催!!

『漫画家が 映画を撮っちゃ だめですか? だめだとしても 撮っちゃいました!』
日時:11月23日(土・祝) 荻窪ベルベットサン
OPEN 16:00 / START 17:00 (CLOSE 23:00予定)
無料(1ドリンクオーダー制)
詳しくはこちら↓
http://ameblo.jp/michi-manga/entry-11680889141.html

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