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十五回「鮎の塩焼きと共に思い出す、フジロックで観た衝撃のレディオヘッド」

第七十五回「鮎の塩焼きと共に思い出す、フジロックで観た衝撃のレディオヘッド」

2021.08.23

想い出の音楽番外地 戌井昭人
 
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 今年も続々と夏のロックフェスティバルが中止になってしまいましたが、フジロックは行なわれるようなので、どうか、なにごともなく乗り切って欲しいです。この原稿が掲載されているときには、もう終わっているはずです。
 
 一番最初のフジロックが山梨県の天神山スキー場で開催されたとき、わたしは行きませんでしたが、台風が直撃して、大変な事態になり、ニュースにもなりました。そのとき、ロックミュージックをまったく聴かない河口湖在住の友達が、「若者がゾンビみたいに国道を行進してたけど、なにがあったんだ!」と驚いていたました。翌年、豊洲で開催されたときも、わたしは行きませんでしたが、新宿で酒を飲んでいたら、フジロック帰りの友達がやってきて、「イギー・ポップ凄かった最高に格好良かった!」と興奮して喋っていました。そこまでの印象は、「若者ゾンビ」「イギー・ポップ」でしたが、苗場で開催されるようになってからも、あっちこっちで「最高!」と聞き、いつか自分も行きたいと思うようになっていましたが、「鮎の塩焼き買うのに凄い並んだ」というのを聞き、少し行く気が失せてしまいました。その後は毎年、フジロックに行く友達を、羨ましさ半分、鮎の塩焼き買うのに大変だぞ、という気持ちが入り乱れて見送っていました。でしかし2012年に、とうとう自分が行くことになります。それも前日、知り合いから、「チケットあるから」と誘われ、行くことにしたのです。
 
 会場に着いた瞬間、鮎の塩焼きの屋台を見つけ、人が並んでいなかったので、急いで購入しました。でも串に刺さった塩焼き鮎を食べながら、果たして自分はコレが本当に好きなのだろうか? という疑問がわいてきました。人が並んでいなかったので、衝動的に購入してしまっただけのようでした。凄い並んでいたといるというのはデマだったのか? というか、ロックフェスティバルにやってきたというのに、鮎の塩焼きなんてどうでもいいじゃないか! と思えてきたのです。その後、いろいろなステージをまわり、音楽を堪能し、最終的に疲れ果ていたら、「レディオヘッドがグリーンステージでやるぞ!」とのことで移動しました。しかし、それまで自分は、レディオヘッドをほとんど聴いてきたことがありませんでした。アルバムは持っていたけれど、実は、なんの思い入れもなく、「どうしてみんな好きなんだろう?」くらいに思っていたくらいです。
 
 このように、まったく主体性がないまま、レディオヘッドのステージを見て、「Karma Police」を聴いたのですが、あまりにも素晴らしくて身体がシビレてしまったのです。昔、ジャンボ鶴田のサイン会に行ったとき、前座で、岡田有希子を偶然見て衝撃を受け、ファンになってしまったのと同じ感じでした。生は凄い。その後わたしは、1カ月間、毎日「Karma Police」を聴きまくっていたのです。そんなこんなで、今回の一枚は、レディオヘッドの「Karma Police」の入っている『OK Computer』ということで、よろしくお願いします。今年も鮎の塩焼き繁盛していたのでしょうか?
 
戌井昭人(いぬいあきと)1971年東京生まれ。作家。パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」で脚本担当。2008年『鮒のためいき』で小説家としてデビュー。2009年『まずいスープ』、2011年『ぴんぞろ』、2012年『ひっ』、2013年『すっぽん心中』、2014年『どろにやいと』が芥川賞候補になるがいずれも落選。『すっぽん心中』は川端康成賞になる。2016年には『のろい男 俳優・亀岡拓次』が第38回野間文芸新人賞を受賞。
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