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トップコラムおじさんの眼第251回「70歳過ぎても「恋」は出来る」

51回「70歳過ぎても「恋」は出来る」

第251回「70歳過ぎても「恋」は出来る」

2019.06.02

 

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世界の6つの大陸・7つの海を制覇した

ちょっと鬱、小声で、そう小声で

 相変わらず老いてゆく私の生き様を描くしかない。もう随分前に70歳という古希を通過し、後期高齢者の仲間入りするのも間近だ。会社の役職からも離れ、毎日が全く自由気ままなのだ。言い換えればもう私は賞味期限も過ぎ、会社という競争社会では使い物にならないのだろう。

 そして70歳から80歳に向かってゆく今、自分の将来になんの前向きなものもなく、それといった希望もない。趣味の囲碁もテニスやジムに通って泳いだり走ったりするがまるで上達せず、若い人たちにどんどん追い抜かれてゆくのをほぞを噛んで、「俺も歳をとった」と悔しがるだけだ。巷に商品は溢れるが、買いたいものはほとんどない。ただ無意味に過ぎてゆく時間に苛立ち、周りの70歳にならんとする友達や有名人がどんどん亡くなってゆくのを見て、「そろそろ次は自分の番だろう。ろくな生き方をしてこなかったのだから早死は覚悟している」と自己承認する。

 生き方としては善良な社会の流れに反抗的な人生を送ってきたはずだったが、もうこの年をして敵もほとんどいない。政治や社会問題からも離脱した。あとは若者に託すしかない。「負けてなるものか」という発想もない。明日への緊張もない。いつものことだが電車は満員。

失ったものに悲しみを乗せる

 思えば、数年前に私は身も心も打ちのめされるような、”劇的な恋”をした。あんな恋をしたのは20数年ぶりだ。恋という作業も忘れてしまっていたので、慌ててしまった。ちょうど70歳になって、ピースボート106日間の北極周り世界一周船に乗った時だった。まさかこの歳で”Fall in Love”にハマるなんて信じられないことだった。恋の相手は人妻だ。まさに絵に書いたようなW不倫だった。その人妻は船内の乗客企画「聖書を読む会」や、「船内コーラス」で出会ったハイソな女性だった。「主人の再度の浮気に嫌気が差して、一緒にいると無視したりいじめ尽くす自分が嫌になって船に乗った」という女(63歳)だった。 

 この出会いは私の老後生活にとって、すごいことだった。私の人生最後の恋だと思った。彼女は私との恋の仕草に、「私は敬虔なキリスト信者です。キリストの教えの基本は「赦す」ことです。イエス様も牧師様も許しなさいと言っています。主人からも「別れないでくれ」という許しを願うメールも来ています。孫もいます。二人の娘は、「お母さん、お父さんと別れても私たちフォローはできないよ」と打ち明けられました。」と言った。

 この恋の数ヶ月間、私の毎日の気力と精神は充実し、久しぶりにアドレナリンの分泌を確認した。「わっ、俺は今生きている。全世界よ、俺に振り向け!」って広大な海に向かって叫んだのは、学生時代、全共闘で機動隊にボコボコになって、護送車に投げ込まれた時の感傷に似ていた。

 

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全て捨ててしまえ! 後は完全介護の養老院の入居費だけを持って大胆に生きよう

恋とはこんなにも心を揺さぶるものだったか

 私は本を出版することに決めた。

 『70歳の旅路〜恋と海と風と…』これが私が実体験した本のタイトルだ。確かに若い人から見れば高齢者の恋はちょっと気色悪い。事実を公表するのも恥ずかしく、躊躇われる。だが私は若い人含め、退職して年金暮らしの人生が虚しくなっている同年代の高齢者に、「70歳になっても真摯な恋はできるんだ」ということを伝えようと思った。若い連中からは、「70歳になっても恋ができるなんて勇気をもらいました」という意見をたくさんいただいた。この経験をなんとか一冊の本にしたい。この数ヶ月、私は原稿を書き続けた。まだ出版社は決まっていないが、近いうちに出版する予定だ。

小説- その3

『鎌倉の長い坂道』

鎌倉から江ノ電の信号機を渡って海岸に出る長い下り坂。

春の冷ややかな空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

江ノ島に灯が入る夕闇まで海岸のベンチにいた。

なんとなくうつろな1日。

小さな公園で私はあの人と出会った。

こんな一日があるなんて……なにか糸がプッツンと切れて、もう私は止められない。

私(65歳・独身)の人生は何だったのでしょうか。大半の女性のように、子孫を残したわけでもなく、家庭を築いたわけでもありません。

「これをやるために生まれてきた」と言えるものがなく、なにも残せなかった私の人生。

友人は一人もいませんが、友達のような妹がいます。あまり他人と仲良くできなくて、一人の方が好きです。

立ち上がってまた白波の立つ浜辺に戻る。靴を脱ぐ。砂を握りしめ、素足で砂地を歩く。また立ち止まる。

 

 

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はたして私になにができるのだろうか

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