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トップコラムおじさんの眼第250回「クルーズ11日間の船旅に出た」

50回「クルーズ11日間の船旅に出た」

第250回「クルーズ11日間の船旅に出た」

2019.05.05

 
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ピースボートの中。360度カメラで撮影
 
 大好きな新緑の季節だ。暖かく静かな夕方、東京の郊外は青い葉が目立ち限りなく新緑の猛々しさと優しさを見せている。
 この10年、ピースボートの世界一周クルーズにハマっている。3ヶ月半・110日の長い船旅だ。世界一周といっても南極周り、北極周り、などがあり、それも2回も制覇した。この船のおかげで、三食・ハウスキーパー付きで、本を読んだり海を限りなく見たり、夜の満点の星空を眺めながら、死ぬまでには一度は訪れてみたかった南極や北極やスエズ運河やパナマ運河、ガラパゴス、イースター島、ギアナ高地のエンジェルフォールに行くことができた。超初心者の旅であったし、ちょっとお金はかかったが。
 

初めてのピースボート・ショートクルーズ

 そして今年、空白のこの時に、目の前に広がる大海原を感じたくてピースボートショートクルーズ11日間に乗ることにした。今までの航海と比べると著しく短い。神戸〜麗水(韓国)〜上海(中国)〜長崎〜済州島(韓国)〜横浜のコースだ。日韓合同ツアーという企画で韓国人が400名近く一緒に乗った。
 ピースボート初期設立メンバーの漫画家・石坂啓を誘ったら「私も乗りたい」と言い、ロフト社長・加藤梅造があまりにも忙しそうなので「ちょっと休憩」と強引な休暇宣言をしてもらって、一緒に乗るよう説得した。
 テーマは、友とおしゃべりをし、ただ酒を飲んで海風に吹かれ、音楽を聴いて本を読み、11日を過ごすことだけ。
 
 
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40年ぶりの上海

風邪をひいた

 4月6日、出立は神戸港なので大阪で一泊。大阪ロフトプラスワンウエストのスタッフと飲む。4月だと言うのに大阪は寒すぎた。酒を飲んで寒空で薄着、我慢し抜いた。そうして次の日、船に乗って、その夜も酒を飲んで深夜船室に入ったら、ついに倒れた。38.5度の熱があった。
 旅の始まりの2日目だ。麗水に寄り、韓国人が子連れで400人近く乗ってきた。もう、うるさすぎる。熱にうなされ眠る毎日だったが、5日目に上海に着いた。40年ぶりの上海はどうしても探索したかった。
 バックパッカーをやっていた時代、香港から船で上海に入った。当時の中国は面白すぎた。エクステンションして4ヶ月も中国をぐるぐる回った。上海では、ちょうどデパートがオープンして中国で初めてエスカレーターが登場した。なんと、人民はお金を払って楽しそうにエスカレーターに乗っていたのを今でも鮮烈に覚えている。
 まだまだ圧倒的に人民が自然に生きていた時代だ。道路は自転車の洪水だった。そんな町が、世界の上海になったと言う。若干の風邪気味ながらやはり行ってみたかった。漫画家・石坂啓と料理家・枝元なほみとタクシーで街に行くが、この女性たち、買い物が大好き。本来は夕刻に和平飯店でジャズのイベントを見る予定だったが、みんなで中国料理店に入り、料理家の枝もんが出てくる料理にもう大はしゃぎ。彼女たちに付き合っているうちにまた調子が悪くなって、ひとり船に帰った。
 

世界平和を願うピースボートだから……

 ひとり船室でベットに寝ていると「今、飲んでます」と言う電話が入る。ちょっと一杯だけと参加するが、また調子が悪くなった。持ってきた風邪薬でなんとか熱は下がったが咳が止まらない。同室の梅造(ロフト社長)には迷惑をかけた。
 梅造が「南京大虐殺記念館」のツアーに行こうと言う。日本人なら行かねばならない、と。船は上海から長崎についた。私は船を離れ日曜の午後、終着駅長崎に佇む。長崎は昼間でも哀愁が漂う。夜はナントカ山(忘れたのだ・笑)に登って世界三大夜景と言われる夜景を楽しんだ。
 次の日、また梅造が「長崎の山奥の”ホタルの里”の小さな小川がダムになる。おばさんたちが抗議してブルドーザーの前で座り込んで頑張っている。悠さん行きましょう」と言う。『ほたる川のまもりびと』という映画を撮った山田英治監督も同行し、石木ダムに反対する村人の激励に行ってきた。長崎県民の70%が反対しており、おばさんやおじさんたちが「美しい自然を壊さないで」と蛍の生息する小川を守るために戦っている。私は村民との歓談の中で、下北沢再開発問題の戦いの経験を話した。
 
 
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長崎の夜景

小説part2「私はあと何年生きられるのでしょうか」

 その日、私は鎌倉の大学病院を出て、竹林を抜け海の見える江ノ島までの長い坂を下って行った。私はもう老いてしまった。若かった日々を思い出し、空想する。賑やかな鎌倉の街を歩く。私は、白紙に埋もれる人生を考えている。だが夢はなくなってはいない。私はいつだって逃げたいと思いながらも逃げることができずにいる自分を見る。
 その頃の私は糖尿病をこじらせ、毎週3回の人工透析を行なっていた。それに厄介なことに小便が出ない。だから水分は全く飲めない。体にある余計な水分は毎日銭湯のサウナで汗として取るしかないのだ。そうしないと尿毒症になって身体中がむくみ始める。「あなたの症状は一生付き合っていくしかないのです」と、医者はパソコンの画面を見ながら無表情に言った。「あと何年生きられるのでしょうか?」と口元まで出かかった言葉を飲み込んだ。まだ少しの時間は生きられそうだと思った。(続くか?)
 
 
 
 
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こんな田舎の山奥、ほんの小さな小川をダムにするなんて……
 
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